業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態と経営成績の状況

a. 経営成績

当連結会計年度における日本経済は、新型コロナウイルス感染症の世界的な影響によって厳しい状況は続いているものの、ワクチン接種の進展により緊急事態宣言が解除されたことを受けて、経済活動の回復が期待されておりますが、依然として経済の見通しは不透明な状況にあります。

当社グループは、『日本一のギグ・エコノミーのプラットフォーマーになり、労働市場に革命を起こす』をビジョンに掲げ、単なる仕事の仲介だけに留まらない「ギグ・エコノミーのプラットフォーマー」として更なる飛躍を目指しております。当社グループではギグワーカー(働き手)とクライアント企業(発注者)の間で、仕事の受発注を直接成立可能とする新プラットフォームサービス「GiGWorks Basic」をリリースしており、正社員、契約社員における時短勤務はもちろんのこと、ショートタイムでの副業(複業)、フリーランスやテレワークなど多種多様な働き方を選択できる環境及び働く方々の生活に合った多様なワークスタイルを提供しております。労働の多様性、スキルシェアに関してメディアで取り上げられる機会が増えている昨今、当社グループの社会的な重要性も日々増していると認識しております。

このような環境の中、当社グループは、ITに精通した登録ギグワーカーによるオンデマンドエコノミー事業と子会社のアセットデザインを中心に展開しているシェアリングエコノミー事業の業容拡大とサービスの品質向上、強化に取り組んでまいりました。当連結会計年度における当社グループの業績は、第2四半期(上期)時点では過去最高益を更新するなど、業績は堅調に推移しておりました。下期については大型案件の終了もあり、当初より中長期的な成長に向けた新たな事業にも挑戦する期間として、若干弱含みな見通しとしておりましたが、断続的な緊急事態宣言の発出など感染症による悪影響が想定以上だったこともあり、厳しい運営を余儀 なくされました。

以上の結果、当社グループの当連結会計年度の売上高は211億69百万円(前連結会計年度比7.1%増)、営業利益は9億3百万円(前連結会計年度比9.8%減)、経常利益は9億37百万円(前連結会計年度比6.7%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は4億34百万円(前連結会計年度比33.9%減)となりました。

 

(注)ギグ・エコノミーとは、インターネット等を通じて単発・短期の仕事を受注する働き方やそれによって成立する経済活動のことを言います。近年、グローバルに使われるようになった用語で、ネット仲介の配車サービスや宅配サービスなどが有名です。一般的にギグ・エコノミーは、個人の働き方が多様化した一つの形態であり、日本国内においても、働き方改革、副業・兼業の定着化に伴い、今後は仕事を仲介・サポートする当社のようなプラットフォーム提供企業の役割がより重要になると考えております。 

 

セグメントごとの経営状況は、以下のとおりであります。

 

(オンデマンドエコノミー事業)

オンデマンドエコノミー事業は、ライフスタイルや人生のステージに合わせて「必要な時に必要なだけ働ける」をテーマとしたプラットフォームを提供することで、労働市場に新しい価値を生み出しております。創業以来、多様な働き方を提供し続けている当社グループには、「雇用関係だけによらない働き方」・「多様かつ柔軟な働き方(副業・在宅等)」を希望する個人事業主、フリーランスが数多く登録しており、当連結会計年度には7,718人のユニークワーカーが日本全国で活躍しております。このような登録スタッフの活躍により日本全国における幅広いニーズに応えられる体制を構築しております。具体的には、企業と個人を繋げるオンデマンドサービスと、ITエンジニアによるシステム開発を主体としたプロフェッショナルサービスの提供を行っております。

オンデマンドサービスにおいては、政府が推進する働き方改革や感染症の拡大に伴うテレワークへの取り組みなどを背景に、ヘルプデスクやサービスデスク関連のニーズは、引き続き高い水準を維持しております。昨年受注した大型案件が予定通り今春にて完了し、本年度上期の業績に寄与しております。下期においても上期実績を評価いただいた結果、複数の新規案件の引き合いがあり受注に至っております。自社で運営するコンタクトセンターは、ニーズの高まりを受けて「東京・大阪・福岡」を中心に増席を進め、6拠点を活用したBCP(事業継続計画)の体制が整い、通販・テクニカルサポート・IoT関連のサポートセンター等の受注拡大が進んでおり順調に稼働しております。また、各学校に1人1台の学習者用パソコンと高速ネットワーク環境などを整備する「GIGA(ギガ)スクール構想」に関連する案件は、本年度上期において、半導体不足によるPC調達の遅れはあったものの、作業効率化の効果もありパソコンのキッティング業務や設定設置業務は堅調に推移いたしました。一部地域でサービスが開始された次世代通信規格5Gは、インフラ整備の需要が高まっており、今後の伸長も期待できることから、本格稼働に向けた工事班体制の強化を推進しております。

ITエンジニアによるプロフェッショナルサービスにおいては、自社開発商品のCRMシステム「デコールCC.CRM3」の販売は、感染症再拡大の影響で一部開発の延期が発生していることもあり軟調に推移いたしました。しかしながら、受託開発案件は、感染症拡大の影響を受けた後底入れし、 案件延期により発生していた非稼働エンジニアは解消されコロナ禍以前の稼働水準にもどりました。

以上の結果、当連結会計年度におけるオンデマンドエコノミー事業の売上高は185億31百万円(前連結会計年度比7.3%増)、セグメント利益22億93百万円(前連結会計年度比19.3%増)となりました。

 

 

(シェアリングエコノミー事業)

シェアリングエコノミー事業は、主に起業家や個人事業主支援を目的にスペースシェアを主体としたシェアリングサービスの提供を行っております。当社子会社アセットデザインが運営するシェアオフィスは、首都圏を中心に84拠点(2021年10月末)を展開し、様々な利用提携先の施設を含めると国内最大級となる740拠点以上のオフィスネットワーク網となりました。シェアオフィスの利用会員数は6,300会員、ドロップイン会員についても1,300会員に達し、「必要な時に、必要な分だけ使う(借りる)」をテーマに、利用者に対して低コストで高品質な働く場を提供する体制構築を積極的に進めております。

また、働き方改革やコロナ禍での急速なリモートワークの導入を背景にオフィス分散化、オフィス削減、通勤時間の短縮や生産性向上等、確実なニーズの高まりと共に利用シーンも多様化しております。このような変化に応えるべくマルチロケーションが利用できるサテライトオフィス「Smart Office」のサービスを付帯することで、利便性の更なる向上に努めてまいりました。当連結会計年度においては、主にこの新サービスの直営拠点開設による費用や、利用会員獲得に向けた広告宣伝の影響及び緊急事態宣言等の影響により新規会員数の伸びが当初の想定より鈍化していることや解約会員も想定以上に発生したことも影響しセグメント損益は引き続き赤字となっております。このような状況において、今後は、直営店の契約条件の見直し、広告宣伝活動の促進やブランド価値の再構築、他業種との業務提携を引き続き積極的に行い、利用価値向上に努め、収益の拡大を図ってまいります。

以上の結果、当連結会計年度におけるシェアリングエコノミー事業の売上高は28億80百万円(前連結会計年度比12.6%増)、セグメント損失は2億21百万円(前連結会計年度は69百万円の利益)となりました。

 

b. 財政状態の分析

(資産)

流動資産は、前連結会計年度末に比べて、 3億76百万円減少 4.9%減 )し、 73億19百万円 となりました。これは、主として現金及び預金が 3億48百万円 増加した一方で、受取手形及び売掛金が8億69百万円減少したこと等によります。

固定資産は、前連結会計年度末に比べて、 6億49百万円増加 24.3%増 )し、 33億24百万円 となりました。これは、主として建物(純額)4億38百万円、工具器具及び備品(純額)が1億28百万円、敷金が1億9百万円増加したこと等によります。

この結果、総資産は、前連結会計年度末に比べて、 2億73百万円増加 2.6%増 )し、 106億43百万円 となりました。

(負債)

流動負債は、前連結会計年度末に比べて、2億67百万円減少5.7%減)し、44億6百万円となりました。これは、主として短期借入金が3億88百万円増加した一方で、買掛金が3億24百万円、未払金が1億84百万円、未払法人税等が1億37百万円減少したこと等によります。

固定負債は、前連結会計年度末に比べて、 2億26百万円増加 12.8%増 )し、 19億96百万円 となりました。これは、主として社債が2億40百万円増加したこと等によります。

この結果、負債合計は、前連結会計年度末に比べて、 41百万円減少 0.6%減 )し、 64億3百万円 となりました。

(純資産)

純資産合計は、前連結会計年度末に比べて、 3億14百万円増加 8.0%増 )し、 42億40百万円 となりました。これは、主として親会社株主に帰属する当期純利益を 4億34百万円 計上したこと等によります。

自己資本比率は、前連結会計年度末に比べて1.9ポイント増加し、38.9%となりました。

 

 ② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は44億11百万円となり、前連結会計年度末残高40億62百万円と比べて3億48百万円の増加となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの増減要因は次のとおりであります。

   (営業活動によるキャッシュ・フロー )

当連結会計年度における営業活動の結果得られた資金は、9億59百万円(前連結会計年度は9億40百万円の収入)となりました。これは、主として税金等調整前当期純利益8億14百万円、売上債権の減少額8億70百万円を計上した一方で、法人税等の支払額5億20百万円を計上したこと等によります。

   (投資活動によるキャッシュ・フロー )

当連結会計年度における投資活動の結果支出した資金は、11億62百万円(前連結会計年度は3億90百万円の支出)となりました。これは、主として有形固定資産の取得による支出7億55百万円、無形固定資産の取得による支出2億57百万円、差入保証金の差入による支出1億56百万円を計上したこと等によります。

   (財務活動によるキャッシュ・フロー )

当連結会計年度における財務活動の結果得られた資金は、5億52百万円(前連結会計年度は7億28百万円の収入)となりました。これは、主として長期借入れによる収入6億50百万円、短期借入金の増加額3億88百万円、社債発行による収入2億94百万円を計上した一方で、長期借入金の返済による支出6億17百万円、配当金の支払額1億47百万円を計上したこと等によります。

 

 

 ③ 生産、受注及び販売の状況

 a. 生産実績

当社グループの業務は、人材サービス及びレンタルオフィスの提供であり、サービスの性格上、生産実績の記載に馴染まないため、当該記載を省略しております。

 

 b. 受注状況

 「a.生産実績」と同様の理由により、記載を省略しております。

 

 c. 販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

第45期

(自  2020年11月1日

至  2021年10月31日)

金額(千円)

前年同期比(%)

オンデマンドエコノミー事業

18,459,020

7.1

シェアリングエコノミー事業

2,710,021

6.9

合計

21,169,041

7.1

 

(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

2.総販売実績の10%以上の割合を占める主要な取引先はありません。

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されておりますが、この連結財務諸表の作成にあたっては、当社グループの判断により、一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、資産・負債や収益・費用の数値に反映されております。これらの見積りについては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果は、これらとは異なる可能性があります。

当社グループの連結財務諸表作成にあたって採用している重要な会計方針及び見積りに関しては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)及び(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの当連結会計年度の経営成績は、前連結会計年度と比較し 売上高が13億98百万円増加して211億69百万円、売上総利益が79百万円増加して48億84百万円、営業利益が98百万円減少して9億3百万円、経常利益が66百万円減少して9億37百万円、税金等調整前当期純利益が1億64百万円減少して8億14百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が2億22百万円減少して4億34百万円となりました。

売上高は、オンデマンドエコノミー事業においては、政府が推進する働き方改革や感染症の拡大に伴うテレワークへの取り組みなどを背景に、ヘルプデスクやサービスデスク関連のニーズは引き続き高い水準を維持しており、虎ノ門本社についてもプロフィットセンターとして流動的に活用いたしました。また、各学校に1人1台の学習者用パソコンと高速ネットワーク環境などを整備する「GIGA(ギガ)スクール構想」に関連する案件は、半導体不足によるPC調達の遅れはあったものの、作業効率化の効果もありパソコンのキッティング業務や設定設置業務は堅調に推移した結果、7.3%の増収となりました。 シェアリングエコノミー事業においても拠点数の増加並びに、マルチロケーションで利用できるサテライトオフィス「Smart Office」のサービスを新たに付帯したことにより利用会員数が6,300会員に伸長した結果、12.6%の増収となりました。

売上総利益率は、前連結会計年度から1.2ポイント低下し23.1%となりました。

販売費及び一般管理費は、前連結会計年度と比較し1億77百万円増加して39億80百万円となりました。主な要因として事業拡大に向けた人員の積極的採用によって人件費が増加しております。

 

 ③ 資本の財源及び資金の流動性についての分析

当社グループは、重点分野における確固たる競争力を早期に築くため、中長期的な経営戦略に基づき、投資を推進しております。特にシェアリングエコノミー事業においては、利便性の更なる向上のため、高い収益性が見込める直営施設開設に投資を行っております。

設備投資の資金需要につきましては、自己資金での対応を基本としておりますが、必要に応じて、資金調達(銀行からの借入等)を行った上で対応する予定であります。

当連結会計年度の資金の流動性の情報につきましては「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 ②キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。

 

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