業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。

なお、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、財政状態については、当該会計基準等を遡って適用した後の数値で前連結会計年度との比較・分析を行っております。

 

 ① 経営成績の状況

当連結会計年度における、当社グループを取り巻く外部環境は、2019年5月に開かれた「バーゼル条約(有害廃棄物の国境を越える移動及びその処分の規制に関するバーゼル条約)」の第14回締約国会議(COP14)において、2021年以降、相手国の同意なしで、汚れたプラスチックごみを輸出することが禁止されました。また、2019年6月のG20大阪サミットでも取り上げられましたが、深刻化が指摘される海洋プラスチック汚染問題などの解決に向け、国際協定の締結により、自然界へのプラスチックごみの流出を根絶するというビジョンや、意欲的な排出削減目標の制定などが望まれています。加えて、首都圏では東京オリンピックに向けた建設需要及び都区内の開発案件の増加等、廃棄物処理に関する需要は堅調な状況で推移しております。

このような事業環境において、当連結会計年度における取り組みとして、建設系リサイクル事業においては、計画的な受入数量の調整と施設の安定稼働による処理数量の向上を推進することにより、外注委託費用及び維持管理費用の削減に努めてまいりました。廃プラスチック類等の輸出規制により、新規取引先からの処理委託に関する問い合わせも増加しており、焼却施設においては処理可能な数量以上の需要過多の状況が継続しております。外注処理単価の高騰に加え、外注委託先の受入制限等により、当社グループの受入数量を絞らざるを得ない厳しい事業環境でもあります。一方で、高カロリー廃棄物の増加により処理可能数量が低減する傾向が続いていたため、外注委託費用及び維持管理費用に連動する処理単価に見直すことにより、将来的な収益の改善に努めてまいりました。食品系リサイクル事業では、液状化飼料の品質の向上に努め、白蟻解体工事においては、新規取引先の受注拡大に努めてまいりました。森林発電事業につきましては、発電燃料となる森林資源の安定的な確保を目指し、地域関係者の方々との協議を進めるとともに電力小売事業において、一般家庭向けの受注拡大に努めてまいりました。また、管理職及び一般社員の中期的な成長と育成を目的とした意識改革と行動目標を浸透させる取り組みを推進してまいりました。

これらの結果、売上高は3,922百万円(前期比14.4%増)となり、10期連続の増収で、過去最高の売上高となりました。

売上原価は3,370百万円(前期比11.7%増)となり、既存事業においては維持管理費及び人件費が前期比で増加しておりますが、計画比では修正計画数値と概ね同額となりました。森林発電事業で燃料となる木材の仕入費用及び電力仕入費が増加しておりますが、売上高の増加により売上総利益は551百万円(前期比34.5%増)となりました。

販売費及び一般管理費は233百万円(前期比7.1%増)となり、営業利益が317百万円(前期比65.7%増)、経常利益は259百万円(前期比84.0%増)となりました。次期以降における事業環境の変化に対応するため、機械設備の減損損失として30百万円を特別損失に計上しておりますが、親会社株主に帰属する当期純利益は160百万円(前期比181.0%増)と建設系リサイクル事業の効率化により収益が大幅に改善しました。

セグメント別の業績を示すと次のとおりであります。

 

    セグメント別売上高

                               (単位:百万円)

セグメントの名称

売上高

構成比

建設系リサイクル事業

1,590

40.5%

食品系リサイクル事業

172

4.4%

白蟻解体工事

238

6.1%

森林発電事業

1,920

49.0%

合計

3,922

100.0%

 

 

 1)建設系リサイクル事業

建設系リサイクル事業は、焼却施設の需給が厳しく、外注委託の見込数量が減少傾向で推移する等、極めて厳しい状況が継続しております。その結果、受入制限を継続しながらの営業活動となりました。受入数量は前期と比較して12.7%の減少となりました。発電施設の受入数量は、他社の発電施設が点検の為に停止した影響もあり、前期と比較して5.3%の増加となり、売電売上高も前期比で8.6%増加しております。新築工事現場及びリフォーム工事現場からの廃棄物収集運搬事業も新規取引先の拡大などにより、売上高は前期比で41.0%増加しております。

これらの結果、当連結会計年度の売上高は1,590百万円(前期比7.3%増)、売上原価は1,307百万円(前期比1.8%減)となった結果、営業利益は283百万円(前期比88.7%増)となりました。

(単位:百万円)

 

当期

前期

前期比

計画

計画比

売上高

1,590

1,481

108

1,580

10

売上原価

1,307

1,331

△24

1,300

7

営業利益

283

150

133

280

3

 

 

 2)食品系リサイクル事業

食品系リサイクル事業は、期初は液状化飼料の販売数量が好調に推移しており、再資源化センターでの合計受入数量は前期比で6%増加、液状化飼料の販売数量は前期比で7.7%増加しております。

しかしながら、2018年末以降に販売先の養豚農家の様々な事情により、液状化飼料の出荷数量が大幅に減少しております。液状化飼料の販売数量に合わせて受入数量を調整した結果、当連結会計年度の売上高は172百万円(前期比4.2%増)となりましたが、施設の修繕等により売上原価は198百万円(前期比40.0%増)となった結果、営業損失は25百万円(前期は24百万円の営業利益)となりました。

(単位:百万円)

 

当期

前期

前期比

計画

計画比

売上高

172

165

6

170

2

売上原価

198

141

56

180

18

営業利益

△25

24

△49

△10

△15

 

 

 3)白蟻解体工事

白蟻解体工事は、解体工事につきましては施工体制の充実に努めた結果、計画通り推移しており、一般個人からの受注も増加し、売上高は前期比で13.8%増加しております。また、白蟻工事は既存工事の売上高が増加しております。

これらの結果、当連結会計年度の売上高は238百万円(前期比12.9%増)、売上原価は221百万円(前期比15.3%増)、営業利益は16百万円(前期比11.5%減)となりました。

(単位:百万円)

 

当期

前期

前期比

計画

計画比

売上高

238

211

27

230

8

売上原価

221

192

29

220

1

営業利益

16

18

△2

10

6

 

 

 

 4)森林発電事業

森林発電事業は、発電燃料となる木材の乾燥による含水率の低下を促進するため、発電施設敷地内を含め6ヶ所の貯木場を設けておりますが、一層の含水率の低減に向け、在庫方法の効率化に注力してまいりました。また、原木、背板に加え、チップ化された木材の受入を強化し、安定的な燃料調達を進めることにより、100%に近い発電数量で安定稼働を継続してまいりました。電力小売につきましては、代理店経由での一般家庭の受注が拡大しております。また、新たな営業体制の構築により、新規販売先の拡大に努めてまいりました。

 これらの結果、当連結会計年度の売上高は電力小売事業の拡大により、1,920百万円(前期比22.4%増)、売上原価は1,643百万円(前期比21.5%増)、営業利益は210百万円(前期比33.9%増)となりました。

(単位:百万円)

 

当期

前期

前期比

計画

計画比

売上高

1,920

1,569

351

1,870

50

売上原価

1,643

1,352

290

1,600

43

営業利益

210

157

53

175

35

 

 

② 財政状態の状況

当連結会計年度における総資産の状況は、前連結会計年度末に比べて71百万円減少し、6,053百万円となりました。当連結会計年度における資産、負債及び純資産の状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(資産の部)

流動資産については、現預金の増加により、前連結会計年度末に比べて 331 百万円増加し、 2,035 百万円となりました。固定資産については、減価償却費の計上により前連結会計年度末に比べて 402 百万円減少し、 4,017 百万円となりました。

 

(負債の部)

流動負債については未払費用及び短期借入金の増加等により、前連結会計年度末に比べて 158 百万円増加し、 1,448 百万円となりました。

固定負債については借入金の返済等により、前連結会計年度末に比べて 235 百万円減少し、 2,479 百万円となりました。

 

(純資産の部)

純資産については、親会社株主に帰属する当期純利益の計上、自己株式の取得及び配当等により、前連結会計年度末に比べて 5 百万円増加し、 2,126 百万円となりました。

 

 

③キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べて 297 百万円増加し、 1,074 百万円となりました。当連結会計年度における活動毎のキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果獲得した資金は752百万円(前連結会計年度は576百万円の獲得)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益222百万円及び減価償却費421百万円の計上によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は82百万円(前連結会計年度は158百万円の使用)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出108百万円等によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は 372 百万円(前連結会計年度は 376 百万円の使用)となりました。これは主に自己株式の取得による支出 100 百万円、借入金の返済による支出 138 百万円、リース債務の返済による支出 54 百万円、配当による支出 54 百万円等によるものであります

 

(参考) キャッシュ・フロー関連指標の推移

 

 

2017年6月期

(連結)

2018年6月期

(連結)

2019年6月期

(連結)

自己資本比率(%)

33.4

34.6

35.1

時価ベースの自己資本比率(%)

32.1

31.2

34.1

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)

4.0

5.9

4.3

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

24.1

17.3

22.6

 

   注1.各指標の算出方法は次の通りであります。

     ① 自己資本比率:自己資本/総資産

     ② 時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

     ③ キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー

     ④ インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い

   2.各指標は、いずれも連結ベースの財務諸表により算出しております。

   3.株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式総数(自己株式を除く)により算出しております。

4.キャッシュ・フローは、キャッシュ・フロー計算書の「営業活動によるキャッシュ・フロー」を使用しております。

5.有利子負債は、貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象にしております。また、利払いについては、キャッシュ・フロー計算書の「利息の支払額」を使用しております。

 

 

④生産、受注及び販売の状況

a.生産実績

当社グループの生産実績の内容は販売実績と一致しているため、「c. 販売実績」を参照してください。

 

b. 受注状況

当社グループは、受注と役務の提供がほぼ同時であるため、受注管理は行っておりません。

 

c. 販売実績

販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自  2018年7月1日

至  2019年6月30日)

前期比

建設系リサイクル事業

1,590百万円

+7.3%

食品系リサイクル事業

172百万円

+4.2%

白蟻解体工事

238百万円

+12.9%

森林発電事業

1,920百万円

+22.4%

合計

3,922百万円

+14.4%

 

 

 (注) 1.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりです。

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

販売高(百万円)

割合(%)

販売高(百万円)

割合(%)

株式会社サイサン

600

17.5

644

16.4

テス・エンジニアリング株式会社

466

13.6

498

12.7

 

 2.本表の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っております。

詳細につきましては「第一部  企業情報  第5  経理の状況  1 連結財務諸表等」連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項をご参照ください。

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.財政状態
 当連結会計年度末の財政状態につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要②財政状態の状況」に記載のとおりであります。
 
b.経営成績

当連結会計年度の売上高につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」に記載のとおり、3,922百万円(前期比14.4%増)となりました。売上総利益につきましては、売上高の増加により551百万円(前期比34.5%増)、売上高対売上総利益率は14.1%(前期12.0%)となりました。

販売費及び一般管理費が前期比で微増した結果、営業利益は、317百万円(前期比65.7%増)となり、売上高対営業利益率は8.1%(前期5.6%)となりました。

経常利益は259百万円(前期比84.0%増)となり、売上高対経常利益率は6.6%(前期4.1%)となりました。主な要因は、保険解約による保険解約返戻金計上による営業外収益の増加、シンジケートローン手数料計上による営業外費用の増加によるものであります。

特別損失において、食品系リサイクル事業に係る減損損失等を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は160百万円(前期比181.0%増)となり、売上高対純利益率は4.1%(前期1.7%)となりました。

 

  c.キャッシュ・フロー

当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

  

③ 経営成績に影響を与える重要な要因について

経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「2.事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

④ 資本の財源及び資金の流動性

a.資金需要

当社の資金需要につきまして、運転資金の主なものは、廃棄物のリサイクル及び処理施設の運営管理に関する人件費、光熱費、燃料費、修繕費、消耗品費、外注費等の売上原価並びに営業部、管理部門の人件費、支払手数料、賃借料等の販売費及び一般管理費であります。設備資金の主なものは、廃棄物処理リサイクル施設の新設、改修、増設及び車両、重機等の購入資金であります。

主要な連結子会社であります㈱一戸フォレストパワー及び㈱一戸森林資源の資金需要につきましては、運転資金として人件費、消耗品費、修繕費並びに発電燃料となる木質バイオマスの購入費用であります。設備資金の主なものは、発電施設の改修及び車両、重機等の購入資金であります。

b.財務政策

当社は売掛金の回収期間が40日間前後であり、営業債務である買掛金及び未払金の支払期日が40日前後でありますので、運転資金は内部資金を利用しております。

設備資金は少額物件につきましては、内部資金及びリース契約による調達を行っており、高額物件は長期借入金及びリース契約による調達を行っております。

当社は、長期的な事業拡大を目指して積極的な設備投資を行った結果、当社グループの有利子負債は高水準で推移しており、当連結会計年度における負債総額は、3,927百万円であります。

主要な連結子会社であります㈱一戸フォレストパワー及び㈱一戸森林資源は、多額な設備投資資金をシンジケートローン契約で調達しております。

今後も収益構造の強化と持続的な成長に向けた設備投資が必要となりますので、事業活動の指標の一つであります営業キャッシュ・フローを重要な経営指標として事業を行い、借入金とのバランスを考慮しながら設備投資を行うことにより、中長期的に営業キャッシュ・フローの拡大に努めてまいります。

 

 ⑤経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当連結会計年度の業績は前期と比較して、売上高は49 4 百万円増加、営業利益は125百万円の増加、親会社株主に属する当期純利益は103百万円の増加となりました。これらの主な要因は以下のとおりです。

売上高は、森林発電事業において電力小売事業の契約件数が増加したこと、建設系リサイクル事業において処理単価を見直したこと等が要因であります。

営業利益は、建設系リサイクル事業及び森林発電事業における売上の増加により売上総利益が増加したことが要因であります。これらの結果により、親会社株主に帰属する当期純利益が増加しております。

当社の目標とする経営指標であります営業キャッシュ・フローは752百万円となりました。今後も営業キャッシュ・フローの拡大を目指してまいります。

 

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