業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 経営成績の状況

 当事業年度における我が国経済は、景気は緩やかな回復基調で推移しましたが、年度の後半には、新型コロナウイルス感染による国内外の経済に与える影響が懸念されるようになり、先行きは不透明な状態が続いています。
 当婚活市場におきましては、オンラインマッチングアプリなど廉価なサービス利用者の増加、街コン・婚活パーティ・各種イベントなどお客さまニーズの多様化が進行しながら、業界内の競争は更に激しくなっております。
 このような環境の中、当社は「人と人のつながりを大切にし、出会いを創造する」という経営理念のもと、従来のマッチング中心のサービスからマリッジコンサルタントがお客さま一人ひとりに寄り添いながら個々のニーズに対応する「パーソナル婚活支援サービス」に進化させるべく事業の構造改革に取り組んでまいりました。
 当事業年度の主な取り組みとして、以下の取り組みを実施してまいりました。
 

[新規入会者増加、成婚以外の退会者減少による会員数増加]
 広告宣伝におきましては、結婚意欲の高いお客さまへのアプローチを強化するため、マリッジコンサルタントに よるコンサルティングの価値を訴求するプロモーションを実施するとともに、地方エリアを中心としたTVCMによるサービス認知の向上を図ってまいりました。また、入会率の向上策として、入会率の向上が早期に実現できると見込まれるマリッジコンサルタントを選抜し、専属トレーナーによるOJT教育を実施してまいりました。しかしながら、広告宣伝においては、当社サービスの優位性を効果的にアピールすることができず、資料請求数、ご来店いただくお客さまの人数が計画および前年を下回りました。入会率については、教育によるスキルアップの効果は見えたものの、その効果の影響度は小さく、結果、当事業年度の新規入会者は計画、前年を下回りました。
 成婚以外の退会者の減少については、店舗マリッジコンサルタントによる会員サポートの強化、第2四半期に設置した成婚推進本部を中心とした活動サポートプログラムの導入、拡大を図りました。その結果、当事業年度の退会者は前年に比べ4.4%の改善となったものの、新規入会者が退会者を下回り、会員数の減少に歯止めをかけることができませんでした。
 

[新しい収益モデルの拡大]
 昨年導入した写真とプロフィール情報からお相手を選択できる検索型サービスの「インプレッションマッチング」につきましては、当事業年度においては、追加申し込みのオプションサービスを充実させるなどの取り組みを実施してまいりました。会員数の減少により計画には未達でありましたが、前年を46%伸長する売上となりました。
 また、関西、中部エリアから展開した成婚料モデルである「お見合い型オプションサービス」につきましては、期首の17店舗から37店舗へ拡大を図りました。これにより、利用者数は45.0%増加し、売上高は前年に対し99.6%伸長しました。
 

 以上の取り組みを実施してまいりましたが、新規入会者減による入会金売上の減少、会員数減による月会費の減少等により、売上高は30億52百万円と前年に対し4億78百万円の減収となりました。
 売上原価については、店舗閉鎖等によるマリッジコンサルタントに関わるコストの減少や周辺サービスの効率化により前年に対し1億88百万円減少し16億64百万円となりました。

 

 販売費及び一般管理費については、生産性向上の取り組みによる人件費の削減、当第3四半期末にシステムを中心とした固定資産の減損損失を計上したことによる減価償却費の減少や業務のデジタル化による一般費の削減等により前年に対し1億34百万円減少し17億21百万円となりました。
 上記の結果、利益については営業損失3億33百万円(前年より1億55百万円の減益)、経常損失3億円(前年より1億69百万円の減益)となりました。また、当事業年度においては、当社の保有株式を売却したことによる投資有価証券売却益7億87百万円を計上するとともに、当社の保有するシステム等の固定資産について、将来の回収可能性を検討した結果、減損損失8億18百万円を計上し、当期純損失は4億45百万円(前年より2億51百万円の減益)となりました。

 

② 財政状態の状況

 

第35期

(2019年2月28日)

第36期

(2020年2月29日)

増減額

 

千円

千円

千円

流動資産

1,608,121

2,210,967

602,845

固定資産

2,412,172

404,934

△2,007,238

流動負債

319,110

370,442

51,331

固定負債

356,205

116,128

△240,076

純資産

3,344,978

2,129,331

△1,215,647

 

 

(資産)

  当事業年度末における総資産は、前期末から14億4百万円減少し26億15百万円となりました。

 流動資産は、前期末から6億2百万円増加し22億10百万円となりました。主な要因は、株式売却等による資金(現金及び預金と関係会社預け金の合計)が6億91百万円増加したことによるものです。

 固定資産は、前期末から20億7百万円減少し4億4百万円となりました。主な要因は、固定資産の減損損失8億18百万円による減少、株式売却による投資有価証券10億13百万円の減少及び保険積立金の解約による60百万円の減少等によるものです。

 

(負債)

 負債は、前期末から1億88百万円減少し4億86百万円となりました。

 流動負債は、前期末から51百万円増加し3億70百万円となりました。主な要因は、株式売却益を計上したことに伴い未払法人税等が51百万円増加したこと等によるものです。

 固定負債は、前期末から2億40百万円減少し1億16百万円となりました。主な要因は、株式売却等に伴う繰延税金負債が2億26百万円減少したこと等によるものです

 

(純資産)

 純資産は、前期末から12億15百万円減少し21億29百万円となりました。主な要因は、当期純損失4億45百万円と配当金支払1億18百万円等により株主資本が5億62百万円減少したこと、及び株式売却に伴うその他有価証券評価差額金が6億51百万円減少したこと等によるものです。

 

 

③ キャッシュ・フローの状況

(単位:百万円)

項 目

第35期

第36期

比較増減

自 2018年3月1日
至 2019年2月28日

自 2019年3月1日
至 2020年2月29日

営業活動によるキャッシュ・フロー

62

△2

△64

投資活動によるキャッシュ・フロー

△62

825

888

財務活動によるキャッシュ・フロー

△131

△130

0

現金及び現金同等物の増減額

△131

691

823

現金及び現金同等物の期首残高

1,103

971

△131

現金及び現金同等物の期末残高

971

1,663

691

 

 

  当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末から6億91百万円増加し16億63百万円となりました。

 

  当事業年度末における各キャッシュ・フローの状況は、以下のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動による資金の減少は2百万円(前年より64百万円の減少)となりました。増加の主な内訳は、減価償却費1億98百万円、減損損失8億18百万円、売上債権の減少69百万円等によるものです。減少の主な内訳は、税引前当期純損失3億31百万円、投資有価証券売却益7億87百万円、法人税等の支払額19百万円等によるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー

  投資活動の結果得られた資金は、8億25百万円(前年は62百万円の使用)となりました。主な要因は、有形固定資産の取得48百万円と無形固定資産の取得70百万円等の支出がありましたが、投資有価証券の売却8億66百万円、保険積立金の解約60百万円等の収入によるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動による資金の減少は、1億30百万円(前年比99.7%)となりました。主な内訳は、配当金の支払額1億18百万円によるものです

 

④ 生産、受注及び販売の実績

 当社は、会員に対する自己の配偶者選択に関する情報提供を主としたサービスを事業としているため、生産及び受注の状況は記載しておりません。

 

 

販売実績

 当事業年度における販売実績を売上種類別に示すと、次のとおりであります。

 

種類別

当事業年度

(自 2019年3月1日

至 2020年2月29日)

前期比
(%)

入会金売上 (注2)

(千円)

549,350

74.7

月会費売上

(千円)

2,407,355

91.8

周辺事業売上(注3)

(千円)

90,215

54.4

その他

(千円)

5,491

72.9

合計

(千円)

3,052,412

86.5

 

 (注) 1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 2.入会金売上には、登録料、情報選択料および活動サポート費収入が含まれております。

 3.周辺事業売上には、パーティ・イベント事業、ウエディング事業等の売上が含まれております。

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況と関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。この財務諸表の作成にあたっては、経営者は、決算日における資産・負債及び報告期間における収入・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを行わなければなりません。これらの見積りについては、過去の実績、現在の状況に応じ合理的に判断を行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は、第5「経理の状況」の1「財務諸表等」(1)「財務諸表」の「注記事項」の「重要な会計方針」に記載しております。

 

② 当事業年度の経営成績の分析

 

第35期

(自 2018年3月1日

至 2019年2月28日)

第36期

(自 2019年3月1日

至 2020年2月29日)

増減額

 

千円

千円

千円

売上高

3,530,535

3,052,412

△478,123

売上原価

1,853,176

1,664,403

△188,772

販売費及び一般管理費

1,855,882

1,721,645

△134,236

営業外収益

48,754

34,585

△14,169

営業外費用

1,601

1,477

△123

特別利益

20,000

787,743

767,743

特別損失

41,221

819,102

777,880

 

 

 (売上高)

 売上高は、30億52百万円となり、前事業年度に比べ4億78百万円減少(前年比86.5%)となりました。新規入会者減による入会金売上の減少及び会員数減による月会費売上の減少等によるものです。

 

 

(売上原価)

 売上原価は、16億64百万円となり、前事業年度に比べ1億88百万円減少(前年比89.8%)となりました。店舗閉鎖等によるマリッジコンサルタントに関わるコストの減少や周辺サービスの効率化等によるコスト削減によるものです。

 

(販売費及び一般管理費)

 販売費及び一般管理費は、17億21百万円となり、前事業年度に比べ1億34百万円減少(前年比92.8%)となりました。生産性向上の取り組みによる人件費の削減や第3四半期末にシステムを中心とした固定資産の減損損失を計上したことによる減価償却費の減少や業務のデジタル化による一般費の削減等によるものです。

 

(営業外損益)

 営業外収益は、受取配当金32百万円などの計上により34百万円(前年比70.9%)となりました。営業外費用は、1百万円(前年比92.3%)となりました。

 

(特別損益)

 特別利益は、当社保有株式を売却したことによる投資有価証券売却益、7億87百万円を計上しました。特別損失は、当社保有の固定資産について、減損損失8億18百万円等の計上により8億19百万円となりました。

 

③ 当事業年度の財政状態の分析

 財政状態の分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の状況」をご参照ください。

 

④ 当事業年度のキャッシュ・フローの分析

 キャッシュ・フローの分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。

 

⑤ 経営者の問題認識と今後の方針について

 経営者の問題認識と今後の方針については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。

 

⑥ 資本の財源及び資金の流動性について

当社の主な資金需要は、媒体費(広告宣伝費)や人件費等の運転資金需要と店舗設備投資やシステム投資等の投資資金需要であります。これらにつきましては、基本的に営業活動によるキャッシュ・フローや自己資金を充当し、投資が必要な場合には、状況に応じて金融機関からの借入等による資金調達で対応していくこととしております。

なお、現在の現金及び現金同等物の残高については、当面事業を継続していくうえで十分な流動性を確保しているものと考えております。

 

⑦ 重要事象等について

 「2 事業等のリスク (7)継続企業の前提に関する重要事象等」に記載のとおり、当社は、継続企業の前提に関する重要事象等が存在しております。

 当社では当該状況を解消すべく、競争他社との差別化を明確にするため、従来のデータマッチング中心のサービスからマリッジコンサルタントが個々の会員ニーズに合わせて入会から成婚退会までのサポートを行う「パーソナル婚活支援サービス」へ転換する事業改革を早急に推進してまいります。

 また、営業損失から脱却するため、新たな集客チャネルの確立や店舗における営業力強化を図るとともに店舗収支の見直しやデジタル化による更なる本社コストの削減を実施してまいります。

 

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