業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症に起因した度重なる緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の影響で総じて厳しい環境下にはあったものの、ワクチン接種の普及も進み、年度後半にかけては緩やかな回復基調にあったと言えます。特に、当社グループの基幹事業「人材・教育ビジネス」が主に関わる製造業関連では、半導体関連が好調でコロナ前の水準を上回る傾向にありました。しかし、足下では再び新型コロナウイルス変異株の感染拡大が進んでおり、先行きの不透明さが続く状況にあります。

 このような状況下、当社グループにおいては、コロナ禍に対する対策はしっかりと進めながらも、基幹事業である「人材・教育ビジネス」が、各セグメント間でのシームレスな営業連携が奏功していることに加え、従前から注力してきた5Gをはじめとする半導体関連が順調に推移しグループ全体を大きく牽引できたことから、増収増益となり、売上高・営業利益・経常利益においても過去最高を更新いたしました。

 この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

a.財政状態

 当連結会計年度末における総資産は97,269百万円となり、前連結会計年度末と比較して18,111百万円の増加となりました。負債につきましては、負債合計が64,042百万円となり、前連結会計年度末と比較して14,946百万円の増加となりました。純資産につきましては、純資産合計が33,226百万円となり、前連結会計年度末と比較して3,165百万円の増加となりました。

 

b.経営成績

 当連結会計年度の売上高は154,704百万円(前期比7.8%増)、営業利益は7,481百万円(前期比19.7%増)、経常利益は7,738百万円(前期比14.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は4,626百万円(前期比21.8%減)となりました。

 セグメント毎の経営成績は次のとおりであります。

 ファクトリー事業は、売上高は70,707百万円(前期比28.3%増)、セグメント利益は3,631百万円(前期比37.9%増)となりました。

 テクノ事業は、売上高は18,474百万円(前期比8.7%増)、セグメント利益は2,233百万円(前期比10.6%増)となりました。

 R&D事業は、売上高は8,012百万円(前期比11.3%増)、セグメント利益は885百万円(前期比5.0%増)となりました。

 セールス&マーケティング事業は、売上高は7,293百万円(前期比90.2%増)、セグメント利益は352百万円(前期はセグメント利益18百万円)となりました。

 不動産事業は、売上高は36,977百万円(前期比23.1%減)、セグメント利益は2,977百万円(前期比16.1%減)となりました。

 情報通信事業は、売上高は9,367百万円(前期比2.6%増)、セグメント利益は118百万円(前期比50.8%減)となりました。

 その他事業は、売上高は3,872百万円(前期比20.5%増)、セグメント利益は6百万円(前期はセグメント損失200百万円)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は30,748百万円となり、前連結会計年度末と比較して7,931百万円の増加となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動によるキャッシュ・フローは1,370百万円の収入となりました。主なプラス要因は、税金等調整前当期純利益7,511百万円、仕入債務の増加額488百万円、前受金の増加額985百万円、法人税等の還付額913百万円によるものであり、主なマイナス要因は、売上債権の増加額2,448百万円、販売用不動産の増加額7,163百万円等によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動によるキャッシュ・フローは1,782百万円の支出となりました。主なプラス要因は、貸付金の回収による収入156百万円等によるものであり、主なマイナス要因は、有形固定資産の取得による支出879百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出353百万円等によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動によるキャッシュ・フローは7,990百万円の収入となりました。主なプラス要因は、短期借入金の純増加額9,167百万円、長期借入れによる収入10,595百万円等によるものであり、主なマイナス要因は、長期借入金の返済による支出9,981百万円、配当金の支払額1,775百万円等によるものであります。

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当連結会計年度における生産実績は、当社グループ全体の事業活動において重要性が乏しいため、記載を省略しております。

 

b.受注実績

 当連結会計年度における受注実績は、当社グループ全体の事業活動において重要性が乏しいため、記載を省略しております。

 

c.販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年1月1日

至 2021年12月31日)

前年同期比(%)

ファクトリー事業(百万円)

70,707

128.3

テクノ事業(百万円)

18,474

108.7

R&D事業(百万円)

8,012

111.3

セールス&マーケティング事業(百万円)

7,293

190.2

不動産事業(百万円)

36,977

76.9

情報通信事業(百万円)

9,367

102.6

報告セグメント計(百万円)

150,831

107.5

その他(百万円)

3,872

120.5

合計(百万円)

154,704

107.8

 (注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自  2020年1月1日

至  2020年12月31日)

当連結会計年度

(自  2021年1月1日

至  2021年12月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

アマゾンジャパン(同)

22,559

15.7

27,437

17.7

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 a.財政状態の分析

(資産)

 当連結会計年度末における総資産は97,269百万円となり、前連結会計年度末と比較して18,111百万円の増加となりました。これは主に現金及び預金の増加額7,932百万円、受取手形及び売掛金の増加額2,889百万円、仕掛販売用不動産の増加額6,681百万円、のれんの増加額487百万円等によるものであります。

 

(負債)

 負債につきましては、負債合計が64,042百万円となり、前連結会計年度末と比較して14,946百万円の増加となりました。これは主に短期借入金の増加額8,245百万円、前受金の増加額987百万円、未払法人税等の増加額534百万円、長期借入金の増加額1,681百万円等によるものであります。

 

(純資産)

 純資産につきましては、純資産合計が33,226百万円となり、前連結会計年度末と比較して3,165百万円の増加となりました。これは主に利益剰余金の増加額2,854百万円、非支配株主持分の増加額209百万円等によるものであります。

 

 b.経営成績の分析

(売上高)

 基幹事業「人材・教育ビジネス」が主に関わる製造業関連では、半導体関連が好調でコロナ前の水準を上回る傾向にあり、売上高は104,487百万円(前期比25.7%増)となりました。不動産ビジネスにおきましては、未だ物件価格の高止まり状況が続く中、慎重な事業展開を進めておりますが、第4四半期に多くを計画していた物件の引き渡しを着実に進めたことで、売上高は36,977百万円(前期比23.1%減)となりました。情報通信ビジネスにおきましては、関連する携帯電話販売業界が、新規事業者の参入や総務省からの料金値下げ要請に応じた各通信事業者によるオンライン専用の新プラン導入等により売上高は9,367百万円(前期比2.6%増)となりました。その他におきましては、旗艦施設である大阪府の「堺・緑のミュージアムハーベストの丘」が、春夏の最繁忙期において緊急事態宣言による臨時休園を余儀なくされたことにより大きな痛手となりましたが、第4四半期においては、前年を大幅に上回る来園者数を記録したことにより、売上高は3,872百万円(前期比20.5%増)となりました。

 以上の結果、当連結会計年度の売上高は154,704百万円(前期比7.8%増)となり、増収となりました。

 

(売上原価、販売費及び一般管理費)

 売上原価は128,073百万円(前期比8.0%増)となり、販売費及び一般管理費は19,149百万円(前期比2.0%増)となりました。

(親会社株主に帰属する当期純利益)

 法人税等及び非支配株主に帰属する当期純利益を控除した親会社株主に帰属する当期純利益は4,626百万円(前期比21.8%減)となりました。

 

 c.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

(ファクトリー事業)

ファクトリー事業は、戦略的に注力してきた5Gをはじめとする半導体関連が好調に推移し、また自動車関連のオーダー増や、物流分野の新拠点開拓等により、大幅な増収増益となりました。

何より、2020年度から続くコロナ禍の混乱の中においても、社員の雇用維持を最優先に進め、人材育成を重ね、現場力向上に努めてきたことが、その後の景気回復とともに増加した各種オーダーに対し機動的に対応できる結果となり、増収増益の大きな源泉となりました。

一方で、製造業関連の復調と共に、人手不足・人材採用難が続いておりますが、オウンドメディア(JOB PAPER)を中心に投資を行い、次期以降のさらなる拡大準備を進めております。また、請負化・チーム化を積極的に推進し、よりよい人材育成環境の構築を進めるとともに、生産性やクオリティ面の向上及び差異化を図っております。

 以上の結果、売上高は70,707百万円(前期比28.3%増)、セグメント利益は3,631百万円(前期比37.9%増)となりました。また、セグメント資産は前連結会計年度末と比較して2,061百万円増加の10,633百万円となりました。

 

(テクノ事業)

テクノ事業は、全分野とも総じて回復基調にあった中、特に半導体、自動車、情報通信、建設技術分野等において、グループ内のリソースを活かしシームレスな連携を行うことで成長に繋げました。特に、好調な半導体業界においてはファクトリー事業との連携で成長したことに加え、情報通信分野においても各グループ企業の連携により受託業務の強化を図りました。

 以上の結果、売上高は18,474百万円(前期比8.7%増)、セグメント利益は2,233百万円(前期比10.6%増)となりました。また、セグメント資産は前連結会計年度末と比較して1,568百万円増加の5,082百万円となりました。

 

(R&D事業)

R&D事業は、主力の研究者派遣部門においては、医薬関連のバイオ・化学・分析等各分野とも総じて好調に推移する中、PCR検査やワクチン開発等のコロナ関連需要を一部取り込んだことに加え、戦略的に取引分野の拡大等を図ったことで、過去最高水準のオーダー獲得に繋がり、売上高利益ともに順調に伸長いたしました。

また、増加するオーダーに対応しさらなる成長を図るため、積極的な採用投資を進め、次期以降の拡大準備を進めました。加えて、人材育成プログラムが充実している強みも活かしながら、社員のスキルアップ・キャリアアップを進め、単なるマッチングビジネスではない、より高度な研究者集団としての業界での立ち位置確立を図っております。

 以上の結果、売上高は8,012百万円(前期比11.3%増)、セグメント利益は885百万円(前期比5.0%増)となりました。また、セグメント資産は前連結会計年度末と比較して126百万円増加の1,345百万円となりました。

 

(セールス&マーケティング事業)

 セールス&マーケティング事業は、既存のコンタクトセンター分野や軽作業分野を確実に伸長させたことに加え、ワクチン接種会場などのコロナ関連需要と、オリンピック関連の特需的要素、及び年末繁忙等も確実に取り込み好調に推移したことで大幅な増収増益となりました。

 また、新たにコールセンターの設置や、人流コントロールのノウハウを活かしたBPO関連業務の受託を模索するなど業容拡大を図り、次期以降の拡大に向けた準備を推し進めました。

 以上の結果、売上高は7,293百万円(前期比90.2%増)、セグメント利益は352百万円(前年同期はセグメント利益18百万円)となりました。また、セグメント資産は前連結会計年度末と比較して201百万円増加の1,803百万円となりました。

 

(不動産事業)

不動産事業は、未だ物件価格の高止まり状況が続く中、慎重な事業展開を進めておりますが、第4四半期に多くを計画していた物件の引き渡しを着実に進めるとともに、緻密なマーケティングによる営業展開により利益率向上に繋げました。

仕入面に関しては、引き続き慎重に進めながらも、得意とする事業用地の開発ノウハウと人材・教育ビジネスとのシナジーにより、後継者難に苦しむ中小企業を対象とした不動産М&Aを駆使すること等で着実に優良物件を仕入れるなど、業界での独自ポジションを確立しながら、次期以降に向けた準備を推し進めました。

 以上の結果、売上高は36,977百万円(前期比23.1%減)、セグメント利益は2,977百万円(前期比16.1%減)となりました。また、セグメント資産は前連結会計年度末と比較して11,024百万円増加の51,473百万円となりました。

 

(情報通信事業)

情報通信事業は、関連する携帯電話販売業界が、新規事業者の参入や総務省からの料金値下げ要請に応じた各通信事業者によるオンライン専用の新プラン導入等により再び大きな変革期にある中、優良店舗網構築のための販売促進施策の実施、及び人材育成等に投資を行ったため、利益面において減益となりました。引き続き、地域に根差した優良店舗網の構築、ドミナント化、残存者メリット享受に向けた施策、及び法人向けソリューション事業等のポートフォリオ強化を進め、再成長に向けた準備を推し進めております。

 以上の結果、売上高は9,367百万円(前期比2.6%増)、セグメント利益は118百万円(前期比50.8%減)となりました。また、セグメント資産は前連結会計年度末と比較して28百万円減少の3,318百万円となりました。

 

(その他事業)

農業公園の施設運営管理に関しては、旗艦施設である大阪府の「堺・緑のミュージアムハーベストの丘」が、春夏の最繁忙期において緊急事態宣言による臨時休園を余儀なくされたことにより大きな痛手となりました。しかし、第4四半期においては、前年を大幅に上回る来園者数を記録しており、足下ではコロナショックからの順調な回復が続き、全体として増収増益となりました。本来「密」にならない屋外施設であるため、その社会的認知と、適切な誘引施策を進め、引き続き地域に必要な憩いの施設としてのプレゼンス向上を図ってまいります。

 以上の結果、売上高は3,872百万円(前期比20.5%増)、セグメント利益は6百万円(前年同期はセグメント損失200百万円)となりました。また、セグメント資産は前連結会計年度末と比較して2,225百万円減少の2,329百万円となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 1)キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容

 当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況の分析・検討内容につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

 2)資本の財源及び資金の流動性

 当社グループにおける資金需要は、主として不動産事業における事業用地購入資金、建物建築資金及び子会社株式取得資金であります。これらの必要資金は主に金融機関からの借入金により調達しております。また、今後の事業展開における資金需要に対して、2020年9月に主要取引金融機関1行と借入極度額10,000百万円、期間3年のコミットメントライン契約を締結したことに加えて、2020年12月に主要取引金融機関1行と借入極度額10,000百万円、期間3年のコミットメントライン契約を締結しており、機動的かつ安定的な資金調達に備えております。

 当連結会計年度末の短期借入金の残高25,450百万円のうち不動産関連資金が21,457百万円、子会社株式取得資金が363百万円、長期借入金の残高13,754百万円のうち不動産関連資金が7,275百万円、子会社株式取得資金が620百万円となっております。

 今後も不動産関連資金及び子会社株式取得資金の調達が見込まれる中、金融市場の動向を的確に把握するとともに低利かつ有利な資金の調達を図ってまいります。

 

③重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国で一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たっての会計基準は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 注記事項 重要な会計上の見積り」及び、「第5 経理の状況 2.財務諸表等 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載のとおりであります。

 

 

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