当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
(全般)
当事業年度末における総資産は、前事業年度末に比べ、430,885千円増加し、6,896,235千円となりました。その主な要因は、現金及び預金が184,089千円、棚卸資産が150,940千円それぞれ増加したためであります。また、自己資本比率は前事業年度末に比べ2.8ポイント減少し、87.3%となりました。
(流動資産)
当事業年度末における流動資産は、前事業年度末に比べ、362,341千円増加し、3,433,537千円となりました。その主な要因は、現金及び預金が184,089千円、棚卸資産が150,940千円それぞれ増加したことによるものであります。
(固定資産)
当事業年度末における固定資産は、前事業年度末に比べ、68,544千円増加し、3,462,698千円となりました。その主な要因は、機械及び装置が54,695千円、投資有価証券が54,233千円それぞれ増加したためであります。
(流動負債)
当事業年度末における流動負債は、前事業年度末に比べ、231,465千円増加し、864,587千円となりました。その主な要因は、未払金が50,742千円、未払法人税等が116,000千円それぞれ増加したためであります。
(固定負債)
当事業年度末における固定負債は、前事業年度末に比べ、4,233千円増加し、10,862千円となりました。
(純資産)
当事業年度末における純資産は、前事業年度末に比べ、195,186千円増加し、6,020,785千円となりました。その主な要因は、利益剰余金が214,867千円増加したことによるものであります。
当事業年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する中、ワクチン接種の普及に伴い感染対策を実施しながらの経済活動正常化への動きがみられましたが、世界的な半導体不足やサプライチェーンの混乱による原材料価格の上昇、緊迫するウクライナ情勢など、依然として先行きは不透明な状況が続いております。
このような環境の中、当社は景気動向に左右されにくい葬祭市場に対し、遺影写真等画像映像のデジタル加工や通信出力サービスを主に提供するフューネラル事業、1冊から本格的写真集という新しい写真のアウトプット手法を提案するフォトブック事業、空中結像という今までにないユニークな技術で新しい市場を創造し、夢の実現を目指す空中ディスプレイ事業というそれぞれに位置づけや特色が異なる三つの事業を展開してまいりました。
2022年1月には、成長に向けての重点分野であるxRや3D領域を中心に投資するベンチャー投資ファンドに出資いたしました。
当事業年度より、メモリアルデザインサービス事業はフューネラル事業に、パーソナルパブリッシングサービス事業はフォトブック事業に、エアリアルイメージング事業は空中ディスプレイ事業にそれぞれ名称変更しております。
セグメント別の概況を示すと、次のとおりであります。各セグメントの業績数値にはセグメント間の内部売上を含んでおります。
(フューネラル事業)
当事業におきましては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け葬儀の小規模化傾向は継続しているものの、葬儀の施行自体はほぼ正常化している状況です。主力である遺影写真加工収入は、ピント復元技術を切り口とした営業が効果的で新規契約が順調だったことに加え、全国的に葬儀施行件数が増加したことにより、想定より伸長いたしました。それに伴い、額やペーパーなどのサプライ品の売上やハード機器の売上も順調に増加いたしました。
取組みとしましては、葬儀業界向けDXサービス「tsunagoo(つなぐ)」に、参列者が制限されるコロナ禍の状況に有用な「tsunagoo AFTER」をリリースするなど機能強化を図るとともに、その拡販を進めてまいりました結果、利用件数は大きく伸びました。また、相続・不動産など喪主の困りごとを解決するサービスとの連携も図ってまいりました。
利益面につきましては、展示会の出展による広告宣伝費の増加や、旅費交通費、備品費などの経費が増加したものの、売上の増加やそれに伴うオペレーションセンターの稼働率の上昇等によりセグメント利益は増加いたしました。その反面、遺影写真加工件数の増加に伴い、繁忙期においてオペレーションセンターの稼働が超過状況に陥ったため、人員の増強等運営の改善に取り組んでいるところです。
以上の結果、売上高は2,773,460千円(前期比111.3%)、セグメント利益は713,054千円(前期比115.6%)となりました。
(フォトブック事業)
当事業におきましては、国内プロフェッショナル写真家向け市場は「アスカブック」、国内一般消費者向け市場は「マイブック」ブランドで展開しております。また、スマートフォンで撮影された写真をもとにフォトブックや写真プリントをOEM供給しております。
国内プロフェッショナル写真家向け市場では、主力であるウェディング向け写真集が、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を引き続き受けており、結婚式の小規模化がみられ、大都市を中心に一部では延期されているものの、地方を中心に対策を施したうえでの結婚式の開催が戻ってきており、想定よりは売上が回復いたしました。また、家族写真や子ども写真などスタジオ向け写真集の売上も順調に増加いたしました。コロナ禍環境に適応したオンラインセミナーの開催や動画配信を積極的に進めるほか、「赤ちゃん等身大フォトコンテスト」などの企画も行ってまいりました。
国内一般消費者向け市場は、旅行や様々なイベントの自粛、またマスク着用の常態化による撮影機会の減少により厳しい環境は継続しており、自社ブランド「マイブック」、OEMともに売上の減少を余儀なくされました。このような厳しい状況の中、様々なキャンペーンの実施やSNSの活用、新製品の投入などの施策を実施してまいりました。また、等身大アルバム付出張撮影サービスを東京都内23区より開始いたしました。
利益面につきましては、原材料価格の値上げや、広告宣伝費や旅費交通費の増加があったものの、自社工場の稼働率が上昇することにより粗利率が改善するとともに、発送配達費や地代家賃の抑制が奏功し、セグメント利益は順調に増加いたしました。
以上の結果、売上高は3,410,229千円(前期比108.0%)、セグメント利益は644,083千円(前期比136.7%)となりました。
(空中ディスプレイ事業)
当事業におきましては、空中結像技術を用いた新しい画像・映像表現により市場を創造することを目指しており、独自技術により空中結像を可能にする「ASKA3Dプレート」について、ガラス製、樹脂製それぞれを開発、製造、販売しております。
営業面につきましては、国内は自社営業を主として、海外は代理店を主として販売を進めております。国内では、サイネージ用途での設置案件や、コンビニエンスストアやマンションでの実証実験、自治体への導入などの実績を重ねてまいりました。海外は、期初の想定より新型コロナウイルス感染症の影響が長引き、代理店の営業活動や当社の営業サポートに大きな制限を受け、特に中国市場では活動が困難な状況となっております。その結果、有力案件の長期化を余儀なくされ、売上の伸び悩みに繋がりました。展示会につきましては、国内では出展ができなかったものの、海外では代理店の協力を得て3か所出展いたしました。
製造・開発面では、ガラス製、樹脂製プレートとも、外製による生産の拡充、歩留まりの改善への取組を継続するとともに、ASKA3Dプレートの大型化にトライしてまいりました。また、技術開発センターでは、ガラス製ASKA3Dプレートの内製化に挑んでおり、工場の増設、生産設備の拡充を行い、中型サイズまでの生産技術の確立及び早期市場投入を目指しております。
費用面につきましては、技術開発センター関連の先行費用の増加に加え、外製ASKA3Dプレート大型化のための研究開発費や特許関連費用、旅費交通費などの費用が増加いたしました。
以上の結果、売上高は148,116千円(前期比119.2%)、セグメント損失は352,037千円(前期は272,628千円の損失)となりました。
以上の結果、売上高は6,331,332千円(前期比109.7%)となり、利益面につきましては、フューネラル事業とフォトブック事業のセグメント利益が増加したことが主要因となり、経常利益は452,715千円(前期比136.8%)、当期純利益は332,810千円(前期比147.6%)となりました。
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、当期純利益の増加や長期性預金を短期性預金に振り替えたことにより、前事業年度末に比べ、584,089千円増加し、1,994,178千円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において営業活動の結果獲得した資金は、827,132千円(前事業年度は359,336千円の獲得)となりました。これは主に税引前当期純利益452,043千円、減価償却費468,455千円を計上したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において投資活動の結果使用した資金は、91,260千円(前事業年度は335,819千円の使用)となりました。これは主に、有形固定資産の取得が370,085千円、無形固定資産の取得が65,510千円あった一方で、長期性預金の払戻400,000千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において財務活動の結果使用した資金は、157,761千円(前事業年度は169,864千円の使用)となりました。これは主に、配当金の支払118,502千円によるものであります。
a. 生産実績
生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 金額は、製造原価によっております。
2 フューネラル事業は、主に役務提供及び仕入商品の販売であり、生産を伴わないため、生産実績を記載しておりません。
仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 金額は、仕入価格によっております。
3 空中ディスプレイ事業は、主に生産であり、仕入を伴わないため、仕入実績を記載しておりません。
フューネラル事業、フォトブック事業、空中ディスプレイ事業とも受注実績はありますが、受注から売上計上までが、フューネラル事業においては概ね1日以内、フォトブック事業においては概ね20日以内、空中ディスプレイ事業においては概ね1か月以内であるため、記載を省略しております。
販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合
第26期及び第27期において、損益計算書の売上高の10%以上を占める相手先はありますが、守秘義務を負っているため、顧客の名称、売上高の公表は控えさせていただきます。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたり、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者はこれらの見積りについて、過去の実績や現状を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項(重要な会計方針)」に記載しております。
また、財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
新型コロナウイルス感染症拡大による当事業年度における影響は一定程度ありますが、会計上の見積りに大きな影響を与えるとは認識しておりません。
当事業年度の経営成績は、売上高6,331,332千円(前期比109.7%)、経常利益452,715千円(前期比136.8%)、当期純利益332,810千円(前期比147.6%)となりました。
当社は経営指標として、売上高増加率と売上高経常利益率を重要視しております。当事業年度の売上高増加率はプラス9.7%であり、前事業年度がマイナス12.2%であったことに比べると、売上の回復が見られました。新型コロナウイルス感染症拡大の影響は依然として継続しており、特にフォトブック事業において、プロフェッショナル部門はメインターゲットであるウェディング市場は想定ほどではなかったものの、コロナ禍前に比べるとまだ回復しきってはおりません。また、コンシューマー部門におきましても、旅行やイベントの自粛によるダメージが継続しているうえ、マスク着用の常態化により写真撮影機会が減少していると推察しております。OEM供給部門も同様の傾向となりました。外部環境により売上の落ち込みはみられますが、基本的な需要は持続しており、環境の回復とともに、受注は回復していくと考えております。とはいえ、フォトブック事業では新型コロナウイルス感染症の抑制による需要の回復を待つだけでなく、現在活況となっておりますフォトウェディングや、スタジオ写真、建築写真など一般ウェディング以外の市場に向けた営業を継続してまいります。また、既存サービスのシェアアップだけでなく、新製品・サービスの開発や新しい市場開発を重要視してまいります。フューネラル事業におけるtsunagooなどのITサービスは市場の性格上、普及には一定の時間を要するものの、サービス自体の評価は高く、インサイドセールス機能の強化などの施策が奏功し、着実に契約数及び利用数を増加させておりますので、この動きを継続させてまいりたいと考えております。また、空中ディスプレイ事業につきましては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響が想定以上に長期化し、特に海外において代理店の営業活動に制約が生じました。その結果、有力案件の長期化、新規案件獲得への対応が十分に行えず、売上の伸び悩みに繋がったと分析しております。外製での生産体制の拡充を図るとともに、技術開発センターでの量産技術の確立と早期の市場投入を実現し、売上の増加を図ってまいります。
売上高経常利益率は7.2%となり、前事業年度に比べ、1.5ポイント回復いたしました。これは、フューネラル事業、フォトブック事業とも、売上の回復により、画像処理センター及び生産部門の稼働率が上昇したことが主な要因になっております。空中ディスプレイ事業につきましては、継続してセグメント損失を計上しており、事業化に想定以上の時間を要していることは重く受け止めております。国内では有力な実証実験や官公庁等への納入実績を積み重ねており、売上拡大を図ってまいります。また、海外では中国市場では依然として活動の制約が継続しているものの、欧米、中近東市場を中心に売上獲得を進めてまいります。
キャッシュ・フローの分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
当社は、十分な手元流動性を有しており、運転資金及び投資資金は基本的に自己資金で賄うこととしております。
当社の事業活動における資金需要の主なものは、フォトブック事業における生産設備や空中ディスプレイ事業における生産設備や研究開発費等になります。
翌事業年度においては、フォトブック事業における印刷機等生産設備の購入のほか、空中ディスプレイ事業におけるASKA3Dプレート大型化や技術開発センターでの生産技術確立のための研究開発投資などの資金需要がありますが、これらは自己資金で賄う予定であります。
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