以下において、当社グループの事業展開上のリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、必ずしも事業上のリスクに該当しない事項についても、投資家の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資家に対する情報開示の観点から積極的に開示しております。なお、当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避、発生した場合の対応に努める方針であります。
なお、以下の記載のうち将来に関する事項は、別段の記載のない限り、第24期有価証券報告書提出日現在において、入手可能な情報に基づいて判断したものであり、不確実性を内在しているため、実際の結果と異なる可能性があります。
(1)事業環境について
① 遠隔型教育市場について
当社グループは、インターネットを活用した遠隔型マネジメント教育事業を営んでおりますが、当社グループとしては、今後も遠隔教育市場が拡大するものと見込んでおります。しかしながら、遠隔教育市場の順調な成長が見られない場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。そのため、当社グループでは、独自で設計開発してきた遠隔教育システムのプラットフォームである「AirCampus®」の機能強化及び学習支援の運用も含め、充実に努めております。
② 競合について
社会人を対象としたマネジメント教育に関しては、民間の研修会社、コンサルティングファーム、シンクタンク系企業に加え、独立行政法人化による大学の社会人教育への進出が急速に伸びてきており、競争が激しくなるものと認識しております。また、国内だけではなく国外からも競争相手が出現することにより、価格・サービス競争が激化することも予想されます。当社グループのコンテンツ制作や遠隔教育システム等が競合企業と比べ優位性を維持できない場合や、価格・サービス競争に適切に対応できない場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。当社グループでは、企業全体のマネジメント教育を「新人から社長まで」一括して引き受けられるよう大型提案に経営資源を集中する等、法人営業を強化していく方針であります。具体的には、顧客企業の人事教育制度そのものに当社グループが提供するマネジメント教育のプログラムが採用されるよう各種各様のニーズに対して、コンテンツと遠隔教育システムのバリエーションの拡充と品質の更なる向上・維持によって応え、当社グループの遠隔型マネジメント教育事業の一層の普及を図り、収益拡大に努めております。
③ 法的規制について
ⅰキャリア教育推進特区と構造改革特別区域法
当社は、東京都千代田区が、構造改革特別区域法に基づいて2003年10月24日に内閣総理大臣から認定を受けた構造改革特別区域計画「キャリア教育推進特区」を利用して、ビジネス・ブレークスルー大学を設置し、当大学の経営を行っております。このキャリア教育推進特区では、東京都千代田区が同区全域を範囲として、株式会社が大学や専門職大学院の設置主体となることを認め、従来の学校教育と実社会を結び付け、高い専門性を持った人材の輩出、地元企業との連携の充実、雇用や消費の拡大等、地域社会・経済の活性化を図ることを目的としており、学校設置会社による学校設置の特例措置が設けられております。今後、これらの法制度の変更等が行われた場合には、当社の事業展開が、何らかの法的規制や制約等を新たに受ける可能性があり、その結果、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
ⅱ大学設置基準について
当社は、学校教育法に定める大学として、大学設置基準に基づき文部科学省より大学の設置の認可を取得し、ビジネス・ブレークスルー大学を経営しております。設置基準は、大学設置基準の他に、大学院設置基準、専門職大学院設置基準及び大学通信教育設置基準が定められております。各設置基準は、設置基準より低下した状態にならないようにすることはもとより、その水準の向上を図ることに努めることとされております。今後、当社が何らかの理由により上記設置基準の水準を満たすことができなくなり大学の認可を取り消された場合、又は、当該法制度等の変更によっては、当社の事業展開に何らかの法的規制等を受けた場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
ⅲ個人情報保護法
当社グループは、個人情報を含む多数の顧客情報を保有及び管理しております。外部からの不正アクセス、システム運用における人的過失、従業員の故意等による顧客情報の漏洩、消失、改竄又は不正利用等が発生し、当社グループがそのような事態に適切に対応できず信用失墜又は損害賠償による損失が生じた場合には、当社グループの業績に重大な影響を与える可能性があります。当社グループはこれらの情報資産の適切な管理に最大限の注意を払っており、また、2005年4月に完全施行された個人情報の保護に関する法律やこれに関連する総務省及び経済産業省制定のガイドラインの要求事項遵守に努めております。
ⅳインターネットに関する規制等について
当社グループは、インターネットを利用した遠隔教育事業を展開しており、インターネットの普及に伴う弊害の発生、利用者や事業者を対象とする新たな規制の導入、その他予期せぬ要因によって、インターネット利用の制限、制約を受けた場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(2)当社グループの事業について
① 技術、システム面のリスクについて
ⅰシステム障害について
当社グループのサービス内容は、コンピューター及びインターネット技術に密接に関連し、通信事業者が運営する通信ネットワークに依存しており、電力供給不足、災害や事故等によって通信ネットワークやサーバーが利用できなくなった場合、コンピューターウイルスによる被害にあった場合、あるいは自社開発のサーバー、ソフトウェアに不具合が生じた場合等によって、当社グループのサービスの提供が不可能となる可能性があります。このような事態が発生した場合には、ユーザー等から損害賠償の請求や当社の社会的信用を失う可能性等があり、当社グループの事業に重大な影響を与える可能性があります。そのため、障害の兆候が見受けられる時や障害が発生した時には、携帯電話のメール等により当社の監視要員に通知する体制を整えております。
ⅱセキュリティについて
当社グループはハッカーやコンピューターウイルス等に備えるため、ネットワーク監視システム及びセキュリティシステムを構築しておりますが、外部からの不正な手段によるサーバー内の侵入などの犯罪や従業員の過誤等により顧客の個人情報等重要なデータが消去又は不正に入手される可能性は否定できません。このような事態が発生した場合には損害賠償の請求を受ける可能性があり、また当社グループの社会的な信用を失うことになり、当社グループの事業及び経営成績に重大な影響を与える可能性があります。当社では、情報セキュリティ対策として、ハード面での対策ではサーバーをISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)に準拠したデータセンターにて運用管理しており、ネットワーク管理については365日24時間体制で有人監視し、不正な動きがあった場合は瞬時に外部アクセスを遮断できる体制を整えております。
ⅲ技術の進展等について
当社グループのサービス内容は、コンピューター及びインターネット技術に密接に関連しております。コンピューター及びインターネットの分野での技術革新のスピードは著しいものがあり、当社グループの想定していない新しい技術の普及等により技術環境が急激に変化した場合、当社の技術等が対応できず、当社グループの事業展開に影響を与える可能性があります。また、変化に対応するための費用が生じ、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。当社グループでは、適宜新しいシステム技術やセキュリティ関連技術等を取り入れながらシステムの構築、運営を行い、サービス水準を維持、向上させております。
② 知的財産権について
当社が各種サービスを展開するにあたっては、講師その他第三者に帰属する著作権等の知的財産権、肖像権等を侵害しないよう、楽曲・写真・映像等を利用する際には、事前に権利関係を調査するなど細心の注意を払っております。しかしながら、万が一、講師その他第三者の知的財産権、肖像権等を侵害した場合には、多額の損害賠償責任を負う可能性があります。他者からの侵害を把握しきれない、もしくは適切な対応ができない場合には、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。当社が各種サービスを展開するにあたっては、当社の持つ知的財産権等を侵害されないよう、映像コンテンツにはDRM(※)を実装し、不正コピー等が行われないよう対策を講じており、また、各種オークションサイトに当社製品が出展されていないか定期的に確認するなど、細心の注意を払っております。
※ DRM(Digital Rights Management、デジタル著作権管理)
音声・映像ファイルにかけられる複製の制限技術や画像ファイルの電子透かし等のデジタルデータの著作権を保護する技術
③ 講師の確保について
当社のコンテンツ制作にあたっては、最新の経済・経営の諸問題等をテーマとして取り上げると共に、適確な見識をもって講義を行うことができる講師が必要となります。現時点において当社では、これらの講師を確保し、継続してコンテンツを企画・制作して提供できているものと認識しております。
当社は、引き続きこれらの講師の確保に努めていく方針でありますが、今後将来において、当社が求める適確な見識をもって講義を行うことができる講師を適切な契約条件によって確保できなくなった場合、当社のコンテンツ制作に重大な支障が生じ、当社の業績に影響を与える可能性があります。
④ ビジネス・ブレークスルー大学について
当社は、東京都千代田区が構造改革特別区域法に基づき、キャリア教育推進特区として内閣総理大臣から認定を受け、同区において株式会社による大学・専門職大学院の設置が可能になったことから、文部科学省にビジネス・ブレークスルー大学院大学(専門職大学院、現ビジネス・ブレークスルー大学大学院)の設置申請を行い、2004年11月30日に認可を取得し、2005年4月1日に開学いたしました。また、2010年4月1日には、ビジネス・ブレークスルー大学経営学部を開学しております。(以下あわせて「当大学」という。)
当社は、当大学設置にあたって千代田区のキャリア教育推進特区を利用していることから、①在学生の修学を維持するため、優先的に経営資源を投入するなどの最大限の経営努力を行うこと、②大学の経営に現に著しい支障が生じ、又は生ずる恐れがあると認められるときは、以降の在学を希望しない学生に対して、残余の期間分の授業料を返還すること、③大学の経営が不安定となり、継続が危ぶまれるときに、受講生が他の大学で就学することを保証するため、授業料等返還のため預金等の措置を講ずるべき義務があること等を定めた協定書を千代田区と締結しております。
しかしながら、これら当社の経営努力がうまくいかず、結果として当社グループの営む他のサービスに影響が及び、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。また本協定書に違反したと判断された場合や、大学設置基準、大学院設置基準及び専門職大学院設置基準並びに大学通信教育設置基準に規定される設置基準を満たさなくなった場合、協定書の更新を拒絶された場合は、キャリア教育推進特区における規制の特例措置を受けることができなくなり、文部科学省より当大学の設置許可を取り消される可能性や学校の閉鎖命令・勧告を受ける可能性があり、その結果、当社の業績に影響を与える可能性があります。この協定書を遵守するため当社では、当大学の経営のために優先的に経営資源を投入するなどの経営努力を行っていく方針でありますが、一方、当社はこの方針によって当社の営む他のサービスに悪影響を及ぼさないよう万全の留意を払い、経営努力を行っていく方針であります。
なお、当大学では教授会を設置し、①教育研究の計画、立案に関する事項、②教育課程及び授業科目に関する事項等、当大学の教育研究に関することについては全て教授会で審議を経た上で学長あるいは大学経営陣が決定することになっております。但し、大学の校地、校舎及び設備等に関わる投資など当社の経営全般に関わる重要な事項については、当社の取締役会で意思決定することになっております。
⑤ 認証評価について
当社が運営するビジネス・ブレークスルー大学及び同大学大学院は、学校教育法により文部科学大臣の認証を受けた認証評価機関から定期的に評価を受けるよう定められております。国公私立の全ての大学が7年以内毎に1度(専門職大学院は5年以内毎)の認証評価を受けることになっており、その結果の内容は①適合、②期限付き適合、③不適合があります。いずれの評価結果においても、教育関連法令による大学の設置認可や学位授与機関としてライセンスの失効を意味するものではありません。しかしながら、当大学の評価結果内容により、何らかの風説、風評及び報道等が為された場合等には、適切に対応することが必要となります。当該評価結果に対し、当社が適切に対応できなかった場合、対応の如何に関わらず、当社にとって悪影響のある形で当該評価結果が投資家、マスコミ報道、インターネット、その他社会一般に広まった場合等には、当大学のブランドイメージ等が損なわれ、当社グループの業績等に影響を与える可能性があります。
⑥ インターナショナルスクールの運営について
当社グループは、2013年10月、「アオバジャパン・インターナショナルスクール」を運営する㈱アオバインターナショナルエデュケイショナルシステムズを子会社化し、インターナショナルスクールの運営を開始いたしました。当該事業においては、特有の経営要素に関して一定の水準を維持できない場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。具体的には、英語で経営ができる教学経営陣、世界標準を満たすカリキュラムと認証取得、教員組織、教育の質を保証する仕組み、多様な国籍で構成される保護者や関係者との良好なコミュニティの醸成などの整備が必要であり、これらの経営要素の維持、向上に努めております。
⑦ 企業買収、事業提携について
当社グループは、事業拡大の手段の一つとして企業買収や戦略的提携を行う可能性があります。企業買収や戦略的提携等において当初期待した成果が実現されない場合、買収後に偶発債務の発生や未認識債務が判明した場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。企業買収や提携の実施に際しては、適切なデューデリジェンス、リスク評価を実施したうえで実行可否を判断するなどリスク回避に努めております。
⑧ 減損会計について
当社グループでは、連結貸借対照表に保有する土地、建物、のれん等を計上しております。各資産の時価が著しく下落した場合や各事業の収益性が著しく低下した場合、これらの資産について減損会計の適用に伴う損失処理が発生し、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
⑨ 災害・感染症に関するリスクについて
当社グループでは、地震、台風等の自然災害及び治療法が確立していない感染症やその他の感染力の強い病気が社会的に流行した場合、当社グループの事業が円滑に運営できない事態が想定されます。予想を超える規模の被災により建物や設備の倒壊・破損や感染症などによるサービスの継続、運営の中断等が発生し、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。当社グループでは、遠隔教育サービスの拡充など更なるデジタル化を推進するとともに、リスク分散を実施し従業員の安全確保、災害及び感染症の未然防止等を実施しております。
(3)組織体制について
① 人材の確保と育成について
今後の業容の拡大及び業務内容の多様化に対応して、人材の確保が思うように進まない場合や、社外流出等何らかの事由により既存の人材が業務に就くことが困難になった場合には、当社グループの事業活動に支障が生じ、業績に影響を与える可能性があります。当社グループでは、育成を含め優秀な人材を適切な時期に確保できるよう人事部門の強化に取組んでおります。
② 小規模組織における管理体制について
当社は、2022年3月31日現在、取締役9名(内6名は非常勤)、従業員139名と小規模組織にて運営しておりますので、内部管理体制もこの規模に応じたものとなっております。しかしながら、業容の拡大に応じた組織整備や内部管理体制の拡充が順調に進まなかった場合には、当社グループの業務に支障が生じ、業績及び今後の事業展開に影響を与える可能性があります。当社では今後、業容の拡大に応じた組織整備や内部管理体制の拡充を図る予定であります。
(4)その他
① 当社役員の個人的活動について
当社代表取締役会長である大前研一は、当社を設立する以前から執筆活動あるいは講演活動等を行っており、今後も当社の業務に支障が無い範囲で執筆活動あるいは講演活動等の個人的な活動を行う場合があります。また当社が社外から招聘した役員についても、同じように執筆活動あるいは講演活動等の個人的な活動を行う場合があります。同氏や当社が社外から招聘した役員の個人的活動によって得た収入は、各々の個人に帰属することになっております。これら同氏や当社が社外から招聘した役員の個人的な活動による評判やイメージが当社のブランドイメージや風評に影響する可能性があります。
② 当社代表取締役の役員兼任について
当社の代表取締役会長である大前研一は、当社の業務に支障が無い範囲で他の会社の非常勤取締役等を兼任しております。これまで同氏の他の会社の非常勤取締役等の兼任が、当社の業務において支障となったことはありませんが、今後、将来において当該他の会社で事故、事件、不祥事、経営資産の状態等の著しい悪化等が発生した場合には、同氏の兼任する非常勤取締役等の責任の範囲に限り対応が必要となり、当社グループの事業、経営成績及び財政状態等に重大な影響を与える可能性があります。
③ コンテンツ出演者の不祥事・風評等について
当社は、講師やキャスター等といった当社コンテンツの出演者が、事故、事件、不祥事等を起こした場合、又は巻き込まれた場合、風説、風評及び報道等が為された場合等には、適切に対応することが必要となります。その結果、これまで蓄積してきたコンテンツにおいて、該当する出演者が出演するコンテンツは使用できなくなったり、今後、新たなコンテンツの制作に支障が生じたりした場合には、当社グループの業績等に影響を与える可能性があります。また、これらの発生事象に対し、当社が適切に対応できなかった場合、当社対応の如何に関わらず、当社にとって悪影響のある形で当該発生事象が投資家、マスコミ報道、インターネット、その他社会一般に広まった場合等には、当社のブランドイメージ等が損なわれ、当社グループの業績等に影響を与える可能性があります。
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