業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

① 経営成績の状況

 当連結会計年度のわが国経済は、新型コロナウイルスワクチン接種の推進等により新規感染者数は大幅に減少しており、2021年9月末には緊急事態宣言が解除されるなど経済活動の改善に向けた動きがみられました。その一方で変異株の脅威など感染再拡大のリスクが残っており、未だ先行きが不透明な状況が続く可能性があります。

 そのような中、当社グループは、領域の異なる事業を複数展開するポートフォリオ経営を推進したことにより、新型コロナウイルス感染症の影響を最小限に抑え、売上・利益ともに過去最高を更新しました。

 人材アウトソーシングサービスでは、コールセンター業務が業績をけん引しました。同業務については、派遣サービスではスポット案件が好調だったほか、受託案件の受注も伸びました。障がい者雇用支援サービスにおいては、法定雇用率の引き上げ等の影響もあり、営業活動が非常に好調に推移しました。その結果、設備販売は、期初計画を大幅に上回るとともに、過去最高も大きく更新することができました。また、環境経営支援サービス、広域行政BPOサービスなどの新規事業も順調な立ち上がりを見せました。

 以上の結果、当連結会計年度の売上高は24,862百万円(前連結会計年度比18.3%増)、営業利益は2,668百万円(前連結会計年度比19.7%増)、経常利益は2,673百万円(前連結会計年度比19.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,881百万円(前連結会計年度比19.0%増)といずれも過去最高を更新いたしました。

 

 当連結会計年度のセグメント業績(セグメント間内部取引消去前)は以下のとおりであります。

 

(ビジネスソリューション事業)

[事業概要]

 ビジネスソリューション事業では、シニアや障がい者など潜在労働力の活用を支援するサービスや、企業の業務の一部を受託するアウトソーシングサービスを提供しています。前者においては、株式会社エスプールプラスが、障がい者の就労に適した農園を企業に貸し出し、主に知的障がい者の採用から定着化までをワンストップで支援するサービスを行っています。株式会社エスプールでは、様々な経験やノウハウを有するシニアを企業の経営課題や業務課題の解決に役立てるプロフェッショナル人材サービスを提供しています。

 後者のアウトソーシングサービスでは、株式会社エスプールロジスティクスが、通販商品の発送を代行する物流サービスを行っています。株式会社エスプールリンクでは、アルバイトやパートの求人応募の受付を代行する採用支援サービスを提供しており、株式会社エスプールセールスサポートでは、対面型の会員獲得業務や販売促進業務を行っています。ブルードットグリーン株式会社は、CO2の排出量算出やカーボンオフセット仲介など環境経営の支援に関するサービスを提供しており、2020年6月に子会社となりました。また、株式会社エスプールでは、隣接する複数の自治体の行政業務を一括で受託する広域行政のBPOサービスを2021年6月から開始しました。

[当連結会計年度の経営成績]

 主力事業である障がい者雇用支援サービスにおいては、2021年3月の法定雇用率の引き上げにより、企業の障がい者雇用に対する意識が一段と高まっており、営業活動が好調に推移しました。設備販売については、期初計画(1,035区画)を大幅に上回る1,188区画となり、前期に達成した過去最高の販売数(936区画)も大きく更新することができました。また、農園の開設も当初の予定から1増となる7施設となり、累計では30施設まで拡大しました。ロジスティクスアウトソーシングサービスについては、売上は堅調に推移したものの、品川センターの収益が一時的に悪化したことにより減益となりました。なお、同センターの収益改善は完了しており、現在は平時の水準まで回復が進んでおります。環境経営支援サービスにおいては、新たに開始した環境情報開示のコンサルティング業務が大きく伸びたことで、売上・利益ともに大幅増となりました。また、第3四半期より開始した広域行政BPOサービスは、3つの広域自治体の業務を受注し、順調な立ち上がりとなりました。

 その結果、当連結会計年度の売上高は7,696百万円(前連結会計年度比32.1%増)、営業利益は2,121百万円(前連結会計年度比31.0%増)となりました。

 

(人材ソリューション事業)

[事業概要]

 人材ソリューション事業は、人材派遣サービスを主力とする株式会社エスプールヒューマンソリューションズが提供するサービスで、コールセンター等のオフィスサポート業務と、スマートフォンや家電製品等の店頭販売支援業務に関する人材サービスを展開しています。サービスの特徴は、フィールドコンサルタント(FC)と呼ばれる同社の従業員と派遣スタッフをチームで派遣する「グループ型派遣」の形態を採用している点になります。派遣先に配置されたFCが、現場で派遣スタッフを手厚くフォローすることで、未経験者を短期間で育成できるだけでなく定着率の向上にもつながり、顧客満足度の向上とシェア拡大に寄与しています。また、最近では、受託業務の受注にも注力しており、当連結会計年度に自社コールセンターを3施設開設しました。

[当連結会計年度の経営成績]

 主力のコールセンター業務については、主要顧客を中心にグループ型派遣が好調を維持しました。第2四半期以降、新型コロナウイルス感染症対策に関連したスポット案件が増えており、売上増に大きく寄与しました。また、自社コールセンターを東京と福岡に3施設開設したことで、受託案件の獲得も進みました。一方、販売支援業務については、新型コロナウイルス感染症の影響が大きく、緊急事態宣言解除後も人材需要の回復は鈍く苦戦が続きました。地域別では、コールセンターのスポット案件が集中した東京や大阪など大都市エリアが高い伸びを示しました。損益面では、派遣スタッフの継続率の向上により社会保険料などの売上原価が上昇しましたが、売上増による利益増に加え、効率的な支店運営に努めたことにより増益を達成しました。

 その結果、当連結会計年度の売上高は17,234百万円(前連結会計年度比13.0%増)、営業利益は1,910百万円(前連結会計年度比8.7%増)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度の現金及び現金同等物は1,423百万円増加し、3,938百万円となりました。各活動によるキャッシュ・フローの状況と要因は以下のとおりです。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度比38百万円減少の2,195百万円の収入(前連結会計年度は2,234百万円の収入)となりました。これは、税金等調整前当期純利益が前連結会計年度と比較し435百万円増加して2,640百万円であったのに加え、減価償却費が671百万円、未払費用の増加が146百万円、売上債権の増加が452百万円、並びに法人税等の支払額が741百万円あったことによるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度比459百万円増加の2,514百万円の支出(前連結会計年度は2,054百万円の支出)となりました。これは、主に株式会社エスプールプラスの新農園建設等による有形固定資産の取得による支出2,143百万円によるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度比1,527百万円増加の1,742百万円の収入(前連結会計年度は215百万円の収入)となりました。収入及び支出の内訳は、短期借入金の増加1,100百万円、長期借入金の借り増しによる収入1,000百万円、配当金の支払額259百万円です。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

(a)生産実績

 当社グループは、主に人材派遣・業務請負を中心とした人材関連アウトソーシング事業を行っており、提供するサービスの性格上、生産実績の記載に馴染まないため、記載しておりません。

 

(b)受注実績

 生産実績と同様の理由により、記載しておりません。

 

(c)販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりとなります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前連結会計年度比(%)

ビジネスソリューション事業

7,696

132.1

人材ソリューション事業

17,234

113.0

調整額

△67

合計

24,862

118.3

(注)1.金額には、消費税等は含まれておりません。

2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

相手先

前連結会計年度

(2019年12月1日から

2020年11月30日まで)

当連結会計年度

(2020年12月1日から

2021年11月30日まで)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

㈱ベルシステム24

4,488

21.4

3,213

12.9

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 本項の全ての財務情報は、本書に記載している連結財務諸表及び財務諸表に基づいております。また、本項に記載した将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針並びに重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりです。また、連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載のとおりであります。

 

② 財政状態

 当連結会計年度末の流動資産は、前連結会計年度末から1,981百万円増加し、7,717百万円となりました。業容拡大及び設備投資に備えた借り入れを実施したため、現金及び預金が1,423百万円増加しております。また、人材ソリューション事業を中心とした継続的な売上の増加に伴い、売上債権が452百万円増加しております。

 当連結会計年度末の固定資産は、前連結会計年度末から2,033百万円増加し、7,603百万円となりました。障がい者雇用支援サービス拡大のため、株式会社エスプールプラスにて、新規農園の建設や既存農園の増設をしており、有形固定資産が1,732百万円増加しました。また、ビジネスソリューション事業の拡大に対応するため、株式会社エスプール、株式会社エスプールプラス及び株式会社エスプールリンクの新拠点開設により敷金及び保証金が146百万円増加しました。更に、新たな事業戦略に基づく投資により投資有価証券が179百万円増加しました。

 当連結会計年度末の流動負債は、前連結会計年度末から1,294百万円増加し、6,968百万円となりました。新規事業を含む業容拡大に備え、短期借入金を1,100百万円借り増ししております。

 当連結会計年度末の固定負債は、前連結会計年度末から1,082百万円増加し、2,245百万円となりました。更なる設備投資のための借り増しにより長期借入金が759百万円、農園の新規建設等により資産除去債務が261百万円、繰延税金負債が66百万円、それぞれ増加しております。

 当連結会計年度末の純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益により1,881百万円増加し、一方、第21期期末配当により260百万円減少し、6,106百万円となりました。また、有利子負債自己資本比率は81.4%でありました。

 

前連結会計年度

当連結会計年度

自己資本比率

39.4%

39.7%

有利子負債自己資本比率

65.9%

81.4%

 

③ 経営成績

 当連結会計年度における売上高は24,862百万円(前連結会計年度比3,853百万円増)、売上総利益は7,530百万円(前連結会計年度比1,153百万円増)、販売費及び一般管理費は4,862百万円(前連結会計年度比713百万円増)、営業利益は2,668百万円(前連結会計年度比439百万円増)、経常利益は2,673百万円(前連結会計年度比443百万円増)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,881百万円(前連結会計年度比300百万円増)となっております。

 

イ 売上高

 事業別の外部顧客に対する売上高の増減は以下のとおりです。

 

前連結会計年度(百万円)

構成比(%)

当連結会計年度(百万円)

構成比(%)

増減

(百万円)

前連結会計年度比(%)

ビジネスソリューション事業

5,787

27.5

7,663

30.8

1,875

132.4

人材ソリューション事業

15,222

72.5

17,199

69.2

1,977

113.0

合計

21,009

100.0

24,862

100.0

3,853

118.3

 事業別でみると、ビジネスソリューション事業が9期連続で前連結会計年度比二桁成長を達成しました。人材ソリューション事業は、前連結会計年度比13.0%増加となり、過年度と比べるとやや成長率は鈍化しておりますが、7期連続で増収増益を達成しました。

 ビジネスソリューション事業では、主力の障がい者雇用支援サービスは、新農園の建設が順調に進み、増収に大きく貢献しました。ロジスティクスアウトソーシングにおいては、売上は堅調に推移したものの、品川センターの収益が一時的に悪化した影響で減益となりました。なお、同センターの収益改善は完了しており、平時の水準まで回復しております。その結果、ビジネスソリューション事業全体では32.4%の増収となりました。障がい者雇用支援サービスでは、既存農園の増設の他に新たに7農園を開設して1,188区画の設備を販売し、参画企業は95社増加して416社となりました。当連結会計年度末での稼働農園数は30農園、管理区画数は4,945区画、農園で働く障がい者の人数は2,400名を超え、事業開始以来の雇用定着率は92%を維持しております。

 一方、人材ソリューション事業は、コロナ禍においても主力のコールセンター向けの派遣が順調に拡大しました。コロナ禍で有効求人倍率は低下しているものの、企業の人材ニーズは高水準で推移し、特にコールセンターにおいて、当社グループの社員を現場配置し教育や定着化支援を行うグループ型派遣が拡大しました。このグループ型派遣を行っている案件では、現場配置している社員数が300名を超えています。エリア別では、東京、神奈川の首都圏エリア及び沖縄での売上増加が顕著でありました。また、第2四半期以降、新型コロナウイルス感染症対策に関連したスポット案件が増えており、増収に大きく寄与しました。

 以上の結果、当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度比3,853百万円増の24,862百万円と増収を達成することができました。

 

ロ 売上総利益

 売上総利益率は、前連結会計年度から0.1ポイント減少して30.3%となりました。ビジネスソリューション事業においては、相対的に利益率の高い障がい者雇用支援サービスの売上高が前連結会計年度比37.2%増加したものの、農園の新規建設に伴い売上原価が増加したため、売上高総利益率が1.0ポイント減少しております。一方、人材ソリューション事業においては、売上高の成長に合わせ積極的にスタッフの稼働を増やしたため、売上原価が前連結会計年度比13.2%増加し、売上高総利益率が前連結会計年度から0.2ポイント減少しております。

 

ハ 販売費及び一般管理費

 当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、前連結会計年度から713百万円増加し、4,862百万円となりました。主な費目別の内訳は以下のとおりです。

 

前連結会計年度

(百万円)

売上に対する比率(%)

当連結会計年度

(百万円)

売上に対する比率(%)

前連結会計年度比

(%)

人件費

2,430

11.6

2,786

11.2

114.6

地代家賃

316

1.5

436

1.8

138.0

減価償却費

60

0.3

75

0.3

125.6

登録スタッフ募集費

280

1.3

300

1.2

107.1

その他

1,060

5.0

1,262

5.1

119.1

合計

4,148

19.7

4,862

19.6

117.2

 前連結会計年度と比較して、販売費及び一般管理費は713百万円増加しておりますが、その主な要因は、事業拡大に向けた人員の積極的な採用であります。人件費の増加だけで355百万円と増加額のほぼ半分を占めます。その他、事業の拡大に伴った拠点の拡大移転・新設により地代家賃及び賃借料が増加しております。事業別の販売費及び一般管理費の内訳は以下のとおりです。

 

前連結会計年度

(百万円)

当連結会計年度

(百万円)

前連結会計年度比

(%)

ビジネスソリューション事業

1,493

1,912

128.1

人材ソリューション事業

1,420

1,652

116.4

調整額

1,234

1,296

105.0

合計

4,148

4,862

117.2

 以上の結果、営業利益は前連結会計年度比439百万円増の2,668百万円となりました。

 

ニ 営業外損益等

 営業外損益項目では、宮崎県に設置している採用支援サービスのコールセンターに係る助成金28百万円を営業外収益に計上しており、経常利益は前連結会計年度比443百万円増の2,673百万円となりました。また、固定資産除却損13百万円及び投資有価証券評価損20百万円を特別損失に計上しており、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度比300百万円増の1,881百万円となりました。

 

ホ 次期の見通し

 今後のわが国経済の見通しについては、ワクチン接種の普及等に伴う経済活動の再開が期待されるものの、依然として変異株の広がり等を原因とする感染再拡大リスクが懸念され、先行き不透明な状況が続く可能性があります。

 このような環境の中で、当社グループは中長期的な視点のもと、①「環境変化に合わせた既存事業の継続的な発展」、②「次の10年を見据えた新たな成長機会の獲得」、③「ESGを軸とした経営基盤の強化」に取り組み、持続的な成長を実現してまいります。

 ① 環境変化に合わせた既存事業の継続的な発展

 人材アウトソーシングサービスにおいては、コールセンター業務のサービス拡充に取り組んでまいります。従来のグループ型による派遣サービスに加え、顧客ニーズの高い受託案件の獲得にも注力してまいります。障がい者雇用支援サービスについては、知的障がい者の就労に適した企業向け貸し農園サービスが、引き続き事業の中心となりますが、中長期的な成長を視野に精神障がい者向けの新サービスの開発にも取り組んでまいります。

 ② 次の10年を見据えた新たな成長機会の獲得

 市場成長が見込まれる環境ビジネス及びBPOビジネスの領域を重点注力分野に据え、新事業の開発に取り組んでまいります。環境経営支援サービスについては、企業のCO2削減を支援する脱炭素化技術や環境技術のシェアリングプログラムの開発を進めてまいります。広域行政のBPOサービスでは、全国30拠点体制の早期実現を目指して、翌連結会計年度末までに10拠点体制の構築を推進いたします。

 ③ ESGを軸とした経営基盤の強化

 環境面においては、事業活動を通じた環境課題の解決に貢献するだけでなく、自らの環境負荷の軽減にも取り組んでまいります。社会面については、企業理念の実現に向けて、社会変化や課題を敏感に察知し主体的に解決に取り組むことのできる人材の採用・育成に特に注力してまいります。ガバナンス面では、高い経営の透明性と適切な情報開示を継続してまいります。

 

④ キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度は、営業活動によるキャッシュ・フローは2,195百万円の収入(前連結会計年度は2,234百万円の収入)となりました。税金等調整前当期純利益が前連結会計年度に比べて435百万円増加して2,640百万円になりましたが、減価償却費が171百万円、法人税等の支払額が153百万円それぞれ増加した結果、営業キャッシュ・フローの収入は前連結会計年度に比べて38百万円減少することとなりました。

 投資活動によるキャッシュ・フローは2,514百万円の支出(前連結会計年度は2,054百万円の支出)となりました。これは、拡大が続く障がい者雇用支援サービスを中心に、積極的に実施した設備投資等に伴う有形固定資産の取得による支出2,143百万円によるものです。

 財務活動によるキャッシュ・フローは1,742百万円の収入(前連結会計年度は215百万円の収入)となりました。障がい者雇用支援サービスへの継続的な投資を行い、事業をより拡大させるために短期借入金及び長期借入金による借入を実施しました。そのため、有利子負債残高は前連結会計年度末比で2,005百万円増加し、4,945百万円となりました。

 当連結会計年度末時点での現金及び現金同等物の残高は3,938百万円であります。今後も、障がい者雇用支援サービスを中心として当連結会計年度以上の投資を予定しております。中期的には現状の利益率が維持できれば、営業キャッシュ・フローの収入によって投資活動によるキャッシュ・フローによる支出を賄えるものと考えておりますが、短期的には営業活動によるキャッシュ・フローの収入が投資活動によるキャッシュ・フローの支出を下回ることもあるものと思われます。しかし、コミットメントライン契約の借入未実行残高も含め、本報告書提出日現在ではこの投資活動を含めた事業遂行に必要な流動性が確保されていると考えております。

 

⑤ 資本の財源及び資金の流動性

 当社グループの資金需要の主なものは、事業投資資金と経常運転資金の2つであります。事業投資資金には、障がい者雇用支援サービスのための農園建設資金、事業買収に係る資金、拠点開設や移転・増床のための資金及びサーバーやソフトウエア等のIT関連投資資金があります。これらのうち、前者の事業投資資金については、営業活動によるキャッシュ・フローである自己資金及び長期借入金による調達を基本とし、状況に応じて銀行からの短期借入金にて対応する等柔軟な調達を行っております。一方、後者の経常運転資金については、自己資金を基本としつつ必要に応じて銀行からの短期借入金により調達しております。

 なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は4,945百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は3,938百万円となっております。

 株主還元につきましては、事業投資資金(成長投資)及び経常運転資金(手許現金)を優先させた上で、2025年11月期までに連結配当性向を30%以上とすることを目標に、安定的な株主還元に努めてまいります。

 

⑥ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、持続的な成長と中長期的な企業価値向上を実現するために収益性を重視しております。その指標としましては、連結売上高営業利益率10%以上の継続的な維持を目指しています。

 当連結会計年度における売上高営業利益率は、前連結会計年度から0.1ポイント改善して10.7%であり、引き続き当該指標の維持・改善に邁進していく所存でございます。

 また、中期経営計画(2020年12月~2025年11月)においては、2025年11月期に売上高41,000百万円、営業利益5,000百万円を計上することを数値計画として掲げております。2年目にあたる2022年11月期の目標値は、売上高28,770百万円、営業利益3,200百万円であります。

 

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