業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(経営成績等の状況の概要)

(1)財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度における日本経済は、新型コロナウイルス感染症による影響を大きく受けましたが、ワクチン接種率の上昇や、感染防止対策を取った上での事業活動が定着したことにより、当社グループが行っている事業への影響は軽微に留まりました。

 国内の雇用情勢に目を向けますと、厚生労働省が発表した有効求人倍率(季節調整値)は、2021年4月~2022年3月の平均が1.16倍となり、前年度に比べ0.06ポイント上昇いたしました。また、総務省が発表した完全失業率(季節調整値)は、2021年4月~2022年3月の平均が2.8%となり、前年度と比べ0.1ポイント低下いたしました。雇用情勢は、前連結会計年度と比較して改善し、当社グループの主要顧客である、医薬・化学・食品などの製造業における研究所・品質管理部門及び、大学研究室・公的研究機関での、人材派遣サービスに対する需要も、回復いたしました。

 人材サービス事業では、営業活動及び求職者の募集活動を積極的に行った結果、新規派遣依頼数及び受注数は、コロナ前の水準に回復いたしました。また、WDB株式会社においては、2021年4月にリリースした、派遣サービス提供のためのプラットフォーム「doconico(ドコニコ)」の普及活動に努め、顧客及び派遣スタッフの利用率は順調に高まりました。

 CRO事業については、国内ではWDBココ株式会社の経営成績が堅調に推移し、全体の経営成績を牽引いたしました。また、海外においては、フィンランドの経営成績が堅調に推移いたしました。一方、インドにおける合成実験代行事業からは、撤退いたしました。

 

 以上のような活動の結果、当連結会計年度の売上高は46,875百万円(前期比6.2%増)となりました。事業別の構成比は、人材サービス事業が85.9%、CRO事業が13.5%、その他事業が0.6%であります。営業利益は6,314百万円(前期比23.6%増)、経常利益は6,393百万円(前期比21.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は4,171百万円(前期比22.5%増)となりました。なお、当社が重視している経営指標である売上高営業利益率は13.5%(前期比1.9ポイント増)、売上高経常利益率は13.6%(前期比1.7ポイント増)、ROEは17.8%(前期比1.2ポイント増)となりました。
 

 セグメント別の経営成績は、次のとおりであります。

なお、セグメント利益は、セグメント間取引消去前の金額であります。

 

①人材サービス事業

 当セグメントの売上高は、40,247百万円(前期比3.1%増)、セグメント利益は、5,634百万円(前期比13.1%増)となりました。新型コロナウイルス感染症の影響が弱まり、正社員型派遣部門における稼働率が改善したことと、業務を効率化し、販管費を抑制したことが、増益の要因であります。

 

②CRO事業

 当セグメントの売上高は、6,330百万円(前期比30.8%増)、セグメント利益は、1,043百万円(前期比108.8%増)となりました。WDBココ株式会社およびフィンランドのメドファイルズ社の業績が堅調に推移したことにより、増収増益となりました。

 

③その他

 当セグメントの売上高は、298百万円(前年同期比14.0%増)、セグメント利益は、31百万円(前期は5百万円の損失)となりました。

 

 

(2)キャッシュ・フローの状況

①資金需要

 当社グループの資金需要のうち主なものは、運転資金(派遣社員および従業員給与等の人件費、家賃)、法人税の支払いならびに配当金の支払いであります。

 

②財務政策

 当社グループの資金需要は、営業活動の結果得たキャッシュ・フロー等の自己資金で賄っております。

 

③キャッシュ・フローの状況と主な増減要因

  当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末と比べ2,934百万円減少し、16,426百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況と主な増減要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果得られた資金は、税金等調整前当期純利益6,417百万円を計上しましたが、法人税等の支払額が2,220百万円となったこと等により、4,025百万円の収入(前期は4,202百万円の収入)となりました。
 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は、主に有形固定資産の取得による支出6,240百万円があったことにより、6,104百万円の支出(前期は122百万円の支出)となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は、主に配当金の支払額828百万円があったことにより、870百万円の支出(前期は901百万円の支出)となりました。
 

④資金の振り分け方針

 営業活動により得られた資金を元に、企業買収、システムの改築、人材採用などに投資を行います。また、株主還元については、配当性向30%を目安とし、2017年3月期以降、増配を続けております。

 

(3)生産、受注及び販売の状況

①生産実績

 当社グループは、主として人材サービス事業を営んでおり、提供するサービスの性格上、生産実績の記載に馴染まないため、記載しておりません。

 

②受注状況

 生産実績と同様の理由により、記載しておりません。

 

 

③販売実績

 当社グループは、主として人材サービス事業を営んでおり、当連結会計年度における売上実績の内訳は、以下のとおりであります。

 

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

金額(千円)

構成比

人材サービス事業

40,247,155

85.9%

(理学系研究職)

31,523,937

67.2%

(工学系技術職)

2,601,893

5.6%

(一般事務職)

4,920,047

10.5%

(その他派遣)

554,055

1.2%

(人材紹介他)

647,221

1.4%

CRO事業

6,330,145

13.5%

その他

298,662

0.6%

合計

46,875,964

100.0%

(注)セグメント間の取引については、相殺消去しております。

 

 当連結会計年度における売上実績を地域別に示すと、以下のとおりであります。

地域別

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

金額(千円)

構成比

北海道・東北

1,375,751

2.9%

関東・甲信越

25,801,599

55.0%

東海・北陸

3,764,854

8.0%

近畿

8,743,924

18.7%

中国・四国・九州

4,932,379

10.5%

海外

2,257,454

4.8%

合計

46,875,964

100.0%

(注)支店・営業部・子会社の所在する地域によって区分しております。

 

(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、原則として連結財務諸表に基づいて分析した内容であり、将来に関する事項にはリスクと不確実性を内在しており、将来生じる実際の結果と異なる可能性もありますので、ご留意ください。また、当社グループの用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定に重要なものはなく、新型コロナウイルスの影響は軽微であると考えております。なお、以下の記載のうち将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1)経営成績の分析

(連結経営成績)

 

2021年3月期(千円)

2022年3月期(千円)

増減

(千円)

増減率

(%)

 

 

売上比(%)

 

売上比(%)

売上高

44,126,189

100.0

46,875,964

100.0

2,749,775

6.2

売上原価

32,593,156

73.9

34,383,720

73.4

1,790,563

5.5

売上総利益

11,533,032

26.1

12,492,243

26.6

959,211

8.3

販売費及び一般管理費

6,423,644

14.6

6,178,005

13.2

△245,639

△3.8

営業利益

5,109,387

11.6

6,314,238

13.5

1,204,850

23.6

営業外収益

138,886

0.3

83,561

0.2

△55,325

△39.8

営業外費用

4,352

0.0

4,340

0.0

△11

△0.3

経常利益

5,243,922

11.9

6,393,458

13.6

1,149,536

21.9

特別利益

18,405

0.0

35,629

0.1

17,223

93.6

特別損失

36,972

0.1

12,061

0.0

△24,911

△67.4

税金等調整前当期純利益

5,225,355

11.8

6,417,026

13.7

1,191,670

22.8

親会社株主に帰属する

当期純利益

3,405,323

7.7

4,171,272

8.9

765,949

22.5

 

(売上高の内訳)

 

2021年3月期

2022年3月期

増減

(千円)

増減率

(%)

売上高(千円)

構成比(%)

売上高(千円)

構成比(%)

人材サービス事業

理学系研究職

30,487,445

69.1

31,523,937

67.2

1,036,491

3.4

工学系技術職

2,553,655

5.8

2,601,893

5.6

48,237

1.9

一般事務職

4,844,181

11.0

4,920,047

10.5

75,866

1.6

その他派遣

535,924

1.2

554,055

1.2

18,131

3.4

人材紹介他

603,557

1.4

647,221

1.4

43,664

7.2

39,024,764

88.4

40,247,155

85.9

1,222,391

3.1

CRO事業

4,839,476

11.0

6,330,145

13.5

1,490,668

30.8

その他

261,947

0.6

298,662

0.6

36,714

14.0

総合計

44,126,189

100.0

46,875,964

100.0

2,749,775

6.2

① 売上高

 当連結会計年度の売上高は、46,875百万円(前期比6.2%増)となりました。事業別の構成比は、人材サービス事業が85.9%、CRO事業が13.5%、その他事業が0.6%であります。

 人材サービス事業の売上高は、40,247百万円(前期比3.1%増)となりました。分野別では、当社グループの主力分野である理学系研究職の派遣が、31,523百万円(前期比3.4%増)、工学系技術職の派遣が、2,601百万円(前期比1.9%増)、一般事務職が4,920百万円(前期比1.6%増)となりました。新型コロナウイルス感染症の影響が軽減され、新規受注が回復したことと、会計基準の変更に伴い、顧客から受け取っている派遣スタッフの交通費(約4.8億円)を、売上として計上したことが、売上増の要因であります。

 CRO事業の売上高は、6,330百万円(前期比30.8%増)となりました。売上伸びの要因は、WDBココ株式会社およびメドファイルズ社の売上が堅調に推移したためです。

 その他の売上高は、298百万円(前期比14.0%増)となりました。

 

② 売上原価および売上総利益

 売上高の増加に伴い、売上原価は34,383百万円(前期比5.5%増)となりました。この結果、売上総利益は12,492百万円(前期比8.3%増)となり、売上総利益率は、26.6%(前連結会計年度は26.1%)となりました。

 

③ 販売費及び一般管理費、営業利益

 販売費及び一般管理費は、6,178百万円(前期比3.8%減)となり、売上高に対する割合は13.2%(前連結会計年度は14.6%)となりました。営業活動の効率化が進んだことに加え、前連結会計年度に比べ、システム開発費用が縮小したことが、減少の要因であります。

 この結果、営業利益は6,314百万円(前期比23.6%増)となり、営業利益率は13.5%(前連結会計年度は11.6%)となりました。

 

④ 営業外損益、経常利益

 営業外収益は、83百万円(前期比39.8%減)となりました。前連結会計年度に比べ、新型コロナウイルスに関する助成金が減少したことが要因であります。

 営業外費用は、4百万円(前期比0.3%減)となりました。

 この結果、経常利益は6,393百万円(前期比21.9%増)となり、経常利益率は13.6%(前連結会計年度は11.9%)となりました。

 

⑤ 特別損益

 特別利益は、35百万円(前期比93.6%増)となりました。大幅に金額が増えた理由は、株式会社カケンジェネックスの全株式を株式会社カケン商事に譲渡したことにより、売却益が発生したためであります。

 特別損失は、12百万円(前期比67.4%減)となりました。

 

⑥ 親会社株主に帰属する当期純利益

 税金等調整前当期純利益は、6,417百万円(前期比22.8%増)となりました。

 親会社株主に帰属する当期純利益は、4,171百万円(前期比22.5%増)となりました。

 

⑦ 当連結会計年度の計画達成状況

 売上高の計画達成率は、100.6%となりました。新型コロナウイルス感染症の影響は受けたものの、既存の派遣契約は維持できたことに加え、CRO事業が堅調に推移したため、計画達成となりました。

 経常利益の計画達成率は、121.5%となりました。計画を大きく上回った理由は、派遣依頼が減少したことに合わせ、スタッフ募集費を抑制したこと、営業活動などのオンライン化が進み、交通費が大きく削減されたことに加え、CRO事業において、大幅な増益となったためであります。

 上記の結果、親会社株主に帰属する当期純利益の計画達成率は、127.4%となりました。

 

(2)財政状態の分析

① 流動資産

 当連結会計年度末における流動資産の残高は23,094百万円となり、前連結会計年度末と比べ2,948百万円減少いたしました。主な要因は、現金及び預金の減少2,980百万円によるものであります。

 

② 固定資産

 当連結会計年度末における固定資産の残高は10,733百万円となり、前連結会計年度末に比べ6,157百万円増加いたしました。主な要因は、土地の増加6,050百万円によるものであります。

 

③ 流動負債

 当連結会計年度末における流動負債の残高は6,560百万円となり、前連結会計年度末に比べ505百万円減少いたしました。主な要因は、未払消費税等の減少225百万円および未払金の減少192百万円によるものであります。

 

④ 固定負債

 当連結会計年度末における固定負債の残高は1,471百万円となり、前連結会計年度末に比べ220百万円増加いたしました。主な要因は、退職給付に係る負債の増加161百万円によるものであります。

 

⑤ 純資産

 当連結会計年度末における純資産合計は25,796百万円と前連結会計年度末に比べ3,493百万円増加いたしました。主な要因は、利益剰余金の増加3,342百万円によるものであります。

 

(3)キャッシュ・フローの状況

 キャッシュ・フローの分析については、「経営成績等の状況の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

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