当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
当連結会計年度(2021年4月1日~2022年3月31日)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響が長期化する中、ワクチン接種の普及や各種政策の効果などにより新規感染者が減少に転じ、景気は緩やかな回復傾向にありました。しかしながら、2022年初頭より新たな変異ウイルスの発生により感染が急拡大し経済活動が停滞したことに加え、資源価格及び原材料価格の高騰による物価上昇や、ロシアのウクライナ侵攻をめぐる国際情勢不安など、先行きは依然として不透明な状況が続いております。
コーヒー業界においては、家庭用市場の消費量は生活様式の変化による巣ごもり需要の継続によって底堅く推移しました。一方、業務用市場の消費量は昨年10月の行動制限緩和により回復傾向にありましたが、年明け以降は新型コロナウイルス感染症の急拡大により自粛傾向が強まり低調に推移しました。
業績に大きな影響を及ぼすコーヒー生豆相場は、ブラジルの生産地域での降雨不足の長期化や7月下旬に発生した大規模な降霜による本年度の生産量減少懸念により高騰しました。その後もコンテナ不足による海上輸送網の停滞やコーヒー先物市場の認証在庫減少などの影響により上昇が続き、年度を通じては前年同期に対し約170%の高い水準で推移しました。
このような状況の下、当社グループは業務の合理化、効率化を進めコスト低減に努めるとともに、新たな需要の創出や生活者のニーズにお応えする魅力ある商品開発、お取引先の業績に寄与する企画提案型の営業活動を推進してまいりました。
また、コーヒー生豆原料調達コストの上昇が企業内努力で吸収できる限界を超える水準に至るとの見通しから、お取引先へのレギュラーコーヒー商品の納入価格及びメーカー出荷価格の改定を実施しました。
業績につきましてはコーヒー関連事業の主力の業務用市場において、前年の厳しい環境による大幅な減収に対して売上が前々年には及ばないものの回復したことに加え、前年度末に行った事業構造改革の効果もあり、前年同期に比べ増益となりました。
この結果、当社グループの当連結会計年度の売上高は、 売上高は、556億80百万円 ( 前連結会計年度比5.9%増 )、 営業利益は4億5百万円 ( 前連結会計年度は24億70百万円の営業損失 )、 経常利益は10億22百万円 ( 前連結会計年度は31億59百万円の経常損失 )となりました。また、 親会社株主に帰属する当期純利益は、7億42百万円 ( 前連結会計年度は40億84百万円の親会社株主に帰属する当期純損失 )となりました。
<連結経営成績>
(単位:百万円)
セグメントの営業概況は次のとおりであります。
(単位:百万円)
(注)調整額は主に、セグメント間取引消去、棚卸資産の調整額、報告セグメントに帰属しない一般管理費であります。
(コーヒー関連事業)
業務用市場では営業利益の確保に向け、全国の営業網を維持しながら合理的かつ効率的な組織体制の構築を図り、営業拠点の再配置とスリム化した人員体制のもと事業活動を開始いたしました。
営業活動では外出自粛などの行動制限やお取引先の休業及び営業時間短縮要請などの影響が長期化する状況の下、厳選した生豆で作り上げたグルメコーヒーブランド「クレドール」シリーズをはじめ、トアルコ トラジャ、氷温熟成珈琲や認証系コーヒーなど差別性の高いコーヒーの拡販活動を推進しました。お取引先の活性化策としては、新感覚アイスコーヒー「コールド クレマ」の導入推進や、昭和レトロな“喫茶店”をテーマとして懐かしメニューであるクリームソーダやナポリタンなどのアレンジレシピの紹介、シーズン販促として「レトロカレーフェア」を企画提案いたしました。また、市場の回復を見込み、新商品としてプロジーヌ「5種の野菜のペンネボロネーゼ」やシュクランジュ「3層チョコの濃厚ドームケーキ」などを発売して拡販に努めました。
カフェ開業支援の施策として、様々な立地環境に出店可能なパッケージカフェ「KEY'S CAFÉ」は5店新規出店となりましたが、同数の閉店があり導入店舗数は前年度末と同じ73店舗となりました。
また、コーヒー生豆原料調達コスト上昇の見通しをふまえ、適正利益の確保に向けてお取引先へのレギュラーコーヒー商品の納入価格の改定を実施するとともに、取り扱い業務用食材及び消耗品の仕入価格上昇に伴い、同じく納入価格の改定交渉を推進しました。
以上により、業務用市場における売上につきましては、前々年同期の実績には届かないものの、前年同期に比べ増収となりました。
家庭用市場では内食需要の高まりが継続し、大容量のレギュラーコーヒー粉商品「グランドテイスト」や簡易抽出コーヒー「ドリップ オン」及びドリップバッグ商品などの販売が堅調に推移しました。春夏新商品では、カフェイン摂取を気にされる生活者の増加を受けて「カフェインレス 深いコクのブレンド」をVP(真空パック)粉商品とドリップ オンの2形態で発売しました。秋冬新商品では長年業務用として提供してきたコーヒーの味わいを再現したLP(豆)商品「珈琲専門店の香り」シリーズ2アイテムを発売するとともに、ドリップ オン10Pシリーズに良質な酸味とコクが特徴のキリマンジャロブレンドを新たに投入しました。また、京都の老舗喫茶店「イノダコーヒ」とライセンス契約を締結し、粉商品「京都イノダコーヒオリジナルブレンド/モカブレンド」の2アイテムを発売しました。
なお、適正利益の確保に向けてお取引先へのレギュラーコーヒー商品のメーカー出荷価格の改定を実施するとともに、収益を考慮した販促活動を展開いたしました。
以上により家庭用市場の売上につきましては、好調であった前年同期実績を上回る結果となりました。
原料用市場ではお取引先への販売数量が回復し、前年同期に比べ増収となりました。
コーヒー関連事業の営業利益につきましては、主力の業務用市場における売上増加に加え、新たな組織体制により人件費や固定費などのコストの抑制効果が現れ、前年同期に比べ増益となりました。
この結果、当連結会計年度におけるコーヒー関連事業の売上高は 484億74百万円 ( 前連結会計年度比5.9%増 )、営業損失は 10億24百万円 ( 前連結会計年度は8億34百万円の営業損失 )となりました。
(飲食関連事業)
株式会社イタリアントマトでは、売上は前年同期実績を上回ったものの、全国各地で緊急事態宣言の発出やまん延防止等重点措置の適用が繰り返し行われ、行動制限や店舗の営業時間短縮要請などの長期化により来店客数が伸び悩み厳しい経営環境が続きました。
このような状況の下、店舗運営におきましてはお客様が安心してご来店いただける、また従業員が安心して働ける環境づくりに努め、ホームページ上にて新型コロナウイルス感染症防止策を掲載し、来店促進を図りました。また、モーニング、ランチなど時間帯メニューの商品力強化を図るとともに、季節食材を使用したドリンクやフードの限定メニューの投入を毎月行い、集客力向上に努めました。
テイクアウト需要の増加に対しては、提供メニューの拡充を図るとともに、宅配代行業によるデリバリーサービスを実施しました。また、駅ナカで展開するスイーツ専門店「SWEETS BOX」での期間限定店舗の出店や、ケーキ専門通販サイトを活用した冷凍ケーキのネット販売などに取り組みました。
管理面におきましては、売上状況の変化に応じた人員配置や食材の発注、管理を行い、生産性の向上と廃棄ロスの低減に取り組み、人件費、原材料費の適正化を推進しました。また、雇用調整助成金等の各種支援策を活用しました。
店舗展開におきましては、既存の「イタリアン・トマト カフェジュニア」5店を新ブランド店舗「カッフェ イタリアン・トマト」としてリニューアルオープンするとともに、ケーキショップの新ブランド店舗「イタリアン・トマト ドルチェリア スマーク伊勢崎店」を出店しました。また海外(香港)にFC店4店を出店する一方、収益回復が見込めない不採算店の整理を進め、店舗数は157店(直営店52店、FC店105店)となりました。
この結果、当連結会計年度における飲食関連事業の売上高は 35億22百万円 ( 前連結会計年度比4.7%増 )、営業損失は 3億26百万円 ( 前連結会計年度は8億63百万円の営業損失 )となりました。なお、営業外収益として各自治体からの営業時間短縮に係る助成金収入3億69百万円を計上しました。
(その他)
通販事業を営むhonu加藤珈琲店株式会社では、商品ラインアップの充実及び贈答需要の取り込み強化、受注から出荷までの時間の短縮による利便性の向上などがトライアル及びロイヤルユーザーの増加に繋がり、売上高では好調であった前年同期並みの実績を維持しましたが、利益面では原材料費の上昇が主な要因となり減益となりました。
ニック食品株式会社は、継続するコロナ禍の環境下で業務市場向け飲料受注量の拡大ができず売上高では前年同期並みにとどまりましたが、利益面では原価低減と販管費抑制に注力した結果、営業損失になったものの大幅な改善となりました
この結果、当連結会計年度におけるその他事業の売上高は 36億83百万円 ( 前連結会計年度比6.3%増 )、営業利益は 1億88百万円 ( 同510.3%増 )となりました。
(コーヒー相場:ニューヨークコーヒー先物相場)
当連結会計年度の生産及び仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 生産数量には外注支給を含んでおります。
(注) 金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
(注) 金額は、仕入価格によっております。
(注) 数量には外注製造委託分の生豆が含まれております。
当社グループは販売計画に基づく見込生産を行っているため、受注生産はありません。
当連結会計年度の販売実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去致しております。
2.主な相手先別の販売実績金額及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
当連結会計年度末の資産の部は前連結会計年度末に比べ3億64百万円減少し、434億29百万円となりました。負債の部は9億19百万円減少し、129億48百万円となりました。純資産の部は5億54百万円増加し、304億81百万円となりました。
これらの主な要因は次のとおりです。
当連結会計年度末における流動資産の残高は263億93百万円となり、前連結会計年度末より1億14百万円減少となりました。これは主に、現金及び預金の減少(3億13百万円減)などによるものであります。
当連結会計年度末における固定資産の残高は170億36百万円となり、前連結会計年度末より2億49百万円減少となりました。有形固定資産は主に減価償却が進んだことによる建物及び構築物の減少(1億27百万円減)、機械装置及び運搬具の減少(1億98百万円減)などにより4億64百万円減少しました。無形固定資産はその他の無形固定資産の増加(3億82百万円増)などにより3億72百万円増加しました。投資その他の資産は差入保証金の減少(1億22百万円減)などにより1億56百万円減少しました。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債の残高は109億66百万円となり、前連結会計年度末より5億46百万円減少となりました。これは主に、支払手形及び買掛金の増加(3億60百万円増)、未払金の減少(7億5百万円減)などによるものであります。
当連結会計年度末における固定負債の残高は19億81百万円となり、前連結会計年度末より3億72百万円減少となりました。これは主に、退職給付に係る負債の減少(2億14百万円減)などによるものであります。
当連結会計年度末における純資産の残高は304億81百万円となり、前連結会計年度末より5億54百万円増加となりました。これは主に、利益剰余金の増加(4億48百万円増)などによるものであります。
(3) キャッシュ・フローの状況
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益10億33百万円、減価償却費9億65百万円、売上債権の増加5億44百万円、未払金の減少6億36百万円などにより、8億61百万円の収入となりました。(前連結会計年度は11億93百万円の支出)
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出4億60百万円、無形固定資産の取得による支出4億69百万円などにより、7億27百万円の支出となりました。(前連結会計年度は3億96百万円の支出)
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払い2億16百万円、リース債務の返済による支出1億55百万円などにより、4億66百万円の支出となりました。(前連結会計年度は9億8百万円の支出)
以上の結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は54億43百万円となり、前連結会計年度末より3億13百万円の減少となりました。
当社グループの主要な運転資金需要は、原材料費、労務費、商品仕入、販売費及び一般管理費等であり、設備投資資金需要は、機械設備新設及び改修、店舗出店等に係る投資資金であります。
また今後、当社グループの新たな収益の源泉となり、企業価値向上に貢献する新規事業や業務提携等への投資の検討を行ってまいります。
これらの資金需要につきましては、営業活動によるキャッシュ・フロー及び自己資金のほか、必要に応じて金融機関からの借入等による資金調達にて対応していきます。
資金の流動性については、当連結会計年度末現在において当社グループの現金及び預金残高は、5,443百万円であり、今後の営業活動によって確保されるキャッシュ・フローに加え、金融機関の当座貸越契約による融資枠を設けており、十分な流動性を確保しているものと考えております。
(5) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。
詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
お知らせ