文中の将来に関する事項は、当期末現在において当社が判断したものであります。
(1)経営成績等の状況の概要
① 財政状態及び経営成績の状況
a.経営成績の状況
当期(2021年3月1日~2022年2月28日)における国内経済は、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種の進展や活動制限の緩和等により、一時期持ち直しの動きも見られましたが、新たな変異株による感染再拡大、原油や原材料価格の上昇等、先行き不透明な状況となりました。
このような状況のもと、当社は、お客様及び従業員の安全を第一に「イオン防疫プロトコル」に基づき、地域のライフラインとして安全・安心を守る感染症対策を継続するとともに、2021年度をスタート年度とする中期経営計画に掲げた「食の強化」「非食品分野の専門化」「DX推進」の取り組みを推進しました。
当期における経営成績に関して、収益面においては、主力となるSM・GMS業態を一体化した事業部を県単位で配置、地域に密着した事業運営を推進するとともに、当社が持つ多様な業態を活かし、お客さまの新しい生活様式への対応に努めた結果、売上構成比の高い食品が堅調に推移し、売上高は4,609億25百万円(前期比139.6%)となりました。経費面では、新規出店や既存店の活性化、DXへの投資を計画的に実行するとともに、本社のスリム化、店舗後方業務の見直し、レジのスマート化等、生産性改善の取り組みを継続しました。
この結果、当期の経営成績は、営業収益 4,811億99百万円(前期比138.2%)、営業利益 56億63百万円(同180.4%)、経常利益 59億94百万円(同177.7%)、当期純利益 27億70百万円(同139.5%)といずれも過去最高となりました。
(参考情報)
前期は、期中(2020年9月1日付)にマックスバリュ九州株式会社及びイオンストア九州株式会社との経営統合を実施しております。経営統合前(2020年3月1日~2020年8月31日)の2社の業績を含めた前期との比較では、営業収益は前期比100.6%、営業利益は同114.0%となります。
セグメントの状況
当期におけるDXの取り組み及びセグメント別の主な取り組みは、次のとおりです。
(GMS…総合スーパー、SM…食品スーパー、DS…ディスカウントストア、HC…ホームセンター)
<DXの取り組み>
当社のECサイト「イオン九州オンライン」をリニューアルし、スマートフォンユーザー向けサイト環境の最適化、九州各地の「じもの」を全国にお届けする「九州のいいもの うまいもの」のメニュー拡充、プロユース商品を3万点以上取り揃えた「ホームワイドプロ」を新たにオープンした結果、同サイトにおける売上は前期比142.2%と伸長しました。
ネットスーパーでは、新たに「オンラインデリバリー」をSM6店舗に導入しました。また、「好きな時間に受け取りたい」「できるだけ人と接触せずに買物がしたい」というお客さまのニーズにお応えして「ロッカー受け取り」や「ドライブ受け取り」に加えて、12月には新たに店舗の最寄り駅(2箇所)にも受け取り専用ロッカーを設置するなど、非接触型サービスの拡大に努めました。
お客さまのレジ待ち時間の短縮、また店舗における生産性の改善に向けて、「キャッシュレスセルフレジ」や「お支払いセルフレジ」の導入を進めた結果、当期末時点の「セルフレジ」導入店舗数は、187店舗となりました。また、スマートフォン端末を利用して、お客さまにレジ待ちなしでお会計をしていただける「どこでもレジ レジゴー」を17店舗に導入し、レジのスマート化を推進しました。
その他、デジタルの活用として当社従業員が制作した商品説明や実演販売の動画をSNSにて配信し、お客さまのご来店・ご購入を促進する収益面の取り組み、また、電子棚札の導入やオンライン会議の活用等、生産性改善の取り組みを推進しました。
「イオン九州公式アプリ」は、7月にリニューアルして利用店舗を拡大、クーポン企画等の拡充に取り組んだ結果、当期末時点における累計ダウンロード数は78万件を超える規模となりました。今後、イオングループ共通のタッチポイントとなるイオンのトータルアプリ「iAEON」との連携を進め、更なる利便性向上に努めてまいります。
<SM・DS、GMS>
店舗面では、新たにSM業態4店舗、DS業態1店舗を出店したほか、既存店の活性化を推進し、GMS業態5店舗、SM業態18店舗、DS業態2店舗をリニューアル、また、SM業態からDS業態への業態変更を3店舗で実施し、店舗の魅力度向上に取り組みました。
食品では、総菜部門において「素材にこだわった逸品」企画として、鹿児島県産黒豚や熊本県産赤なす、長崎県産あじ等、各県自慢の素材を使った商品を発売するなど、九州の生産者、お取引先さまと協力して地産地消・地産域消の取り組みを推進しました。また、お客さまの毎日のくらしを価格で応援する「本気の価格1000品目」「50周年月間おすすめ価格」、「価格据え置き宣言」を実施したトップバリュの展開を強化した結果、既存店における食品部門の売上は前期比100.8%と伸長しました。
衣料品・住居余暇商品では、専門店化の取り組みとして、「インナー&カジュアル」のSM併設型モデルを2店舗に導入したほか、新しい生活様式への対応として、アウトドア、ウォーキングやおうちフィットネス関連商品、ウェルネスフード等の展開を強化しました。また、環境保全に配慮したブランド「SELF+SERVICE(セルフサービス)」、お客さまに長く愛用していただける天然素材を軸にしたブランド「LaboSpec(ラボスペック)」等、おしゃれを楽しむうちにサステナブルの取り組みにも参画できる商品の拡大に努めました。
当期における売上高は4,392億51百万円(前期比143.5%)、当期末時点の店舗数は249店舗となりました。
<HC>
店舗面では、新業態プロショップの2号店として、10月にホームワイドプロ福岡空港店(福岡市博多区)を新たにオープンしました。また、ホームワイド新下関店(山口県下関市)をリニューアル、専門店商材の苗や多肉植物、ガーデンエクステリア商品等の品揃えを拡充したほか、ホームワイドプラス賀来店(大分県大分市)では、九州初公認となる「キャプテンスタッグスタンド(アウトドア・レジャー関連用品売場)」を開設する等、既存店の活性化を推進しました。
商品面では、前期における感染対策関連商品を中心とした需要の反動影響があったものの、当社が強化してきたペット・園芸用品の売上は前期を上回り、好調な推移となりました。
ホームワイドの暮らしサポートサービス「WIDE便」は、当期に宮崎県に拡大した結果、当期末時点における同サービスの実施店舗は、大分県及び宮崎県内のホームワイド21店舗となりました。
当期における売上高は182億7百万円(前期比91.8%)、当期末時点の店舗数は31店舗となりました。
<その他>
サイクル事業では、GMS店舗内への「イオンバイク」出店を継続し、当期において新たに6店舗をオープンしました。商品面では、お子さまから大人まで楽しんでいただける当社オリジナルブランド「hygge(ヒュッゲ)」や、電池のいらないアシストギア「フリーパワー」の販売に注力しました。
フランチャイズ事業では、当期において新たにシュークリーム専門店「ビアードパパの作り立て工房」を5店舗、「FOOD BOAT Cafe(フードボートカフェ)」を2店舗、GMS店内に出店しました。これら2つのブランドを隣接して展開することで、店舗の魅力度向上、事業としての生産性改善にも取り組みました。
当期における売上高は34億50百万円(前期比81.6%)、当期末時点の店舗数は41店舗となりました。
b.財政状態の状況
<資産>
当事業年度末における総資産は前事業年度末に比べ103億31百万円減少し、1,578億96百万円となりました。
流動資産は前事業年度末より41億80百万円減少し、462億21百万円となりました。主な要因は、前事業年度末が金融機関休業日であったことにより現金及び預金が46億44百万円減少したことによるものです。
固定資産は前事業年度末より61億51百万円減少し、1,116億75百万円となりました。主な要因は、有形固定資産が減価償却及び減損損失の計上等により56億36百万円減少したことによるものです。
<負債>
当事業年度末における負債は前事業年度末に比べ125億66百万円減少し、1,158億53百万円となりました。
流動負債は前事業年度末より85億98百万円減少し、818億32百万円となりました。主な要因は、前事業年度末が金融機関休業日であったことにより預り金が63億61百万円、買掛金が40億68百万円減少したことによるものです。
固定負債は前事業年度末より39億67百万円減少し、340億20百万円となりました。主な要因は、長期借入金が32億37百万円減少したことによるものです。
<純資産>
当事業年度末における純資産は前事業年度末に比べ22億34百万円増加し、420億43百万円となりました。主な要因は、利益剰余金が22億51百万円増加したこと等によるものです。
c.環境保全・社会貢献活動等の取り組み
当社は、新型コロナウイルス感染症の早期収束を目指し、福岡市近郊の当社従業員とそのご家族、当社ショッピングセンターに出店していただいている専門店の皆さま、お取引先さまを対象に職域ワクチン接種を実施しました。また、地域の要請に全面的に協力し、イオンモール香椎浜(福岡市東区)、イオン戸畑ショッピングセンター(北九州市戸畑区)、イオン隼人国分ショッピングセンター(鹿児島県霧島市)をワクチン接種会場として使用していただきました。
当社とイオンアグリ創造株式会社が株式会社環境整備産業(大分市)と共に取り組んでいる「イオン完結型食品リサイクルループ」が、5月に農林水産大臣・環境大臣・経済産業大臣より、大分県では第一号となる食品循環資源の再生利用事業計画の認定を取得しました。
2019年より実施しているフードドライブ活動(食品の寄付活動)では、当期において14店舗、さらに2022年3月から20店舗を加え、九州7県で合計38店舗に規模を拡大し、取り組みを推進しました。
当社は、買い物袋持参運動によるレジ袋の削減、事業活動で使用する使い捨てプラスチックの削減に努めてまいりました。これらの取り組みに加えて、2022年4月より順次、「イオン」「イオンスタイル」「マックスバリュ」「ザ・ビッグ」全店で、お客さまが惣菜や弁当等を購入される際にお渡しする割りばしやスプーン、ストロー等の使い捨てカトラリー類をプラスチック素材から、木製や紙製の環境配慮型素材に変更し、脱炭素社会の実現に向けた取り組みを推進してまいります。
九州7県の「ご当地WAON」22券種、「サッカー大好きWAON」7券種の当期における寄付金額は約49百万円、取り組み開始からの累計では約3億80百万円となりました。「イオン幸せの黄色いレシートキャンペーン」では、当期においてお客さまに投函していただいたレシート金額が約40億9百万円となりましたので、その1%に当たる物品を地域のボランティア団体等に寄贈いたします。
② キャッシュ・フローの状況
当事業年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前事業年度末に比べ46億44百万円減少し、当事業年度末には58億66百万円となりました。
<営業活動によるキャッシュ・フロー>
当事業年度における営業活動による資金の減少は7億77百万円となりました(前年同期は89億73百万円の増加)。これは主に、税引前当期純利益24億26百万円と非資金的費用である減価償却費66億78百万円及び減損損失35億5百万円による増加があったものの、前事業年度末が金融機関休業日であったことにより仕入債務の減少額が43億63百万円、預り金の減少額が63億61百万円あったこと等によるものです。
<投資活動によるキャッシュ・フロー>
当事業年度における投資活動による資金の減少は40億39百万円となりました(前年同期は148億83百万円の減少)。これは主に、新規出店及び既存店の活性化等に係る有形固定資産の取得による支出が63億38百万円あったこと等によるものです。
<財務活動によるキャッシュ・フロー>
当事業年度における財務活動による資金の増加は1億72百万円となりました(前年同期は23億2百万円の増加)。これは主に、長期借入金の返済による支出108億66百万円があったものの、短期借入金の増加額56億円と長期借入れによる収入60億円があったこと等によるものです。
③ 販売の実績
セグメント別の売上高の実績は以下のとおりであります。
セグメントの名称 |
売上高(百万円) |
構成比(%) |
前期比(%) |
|
|
衣料品 |
43,223 |
9.4 |
110.5 |
|
食品 |
351,272 |
76.2 |
154.3 |
|
住居余暇商品 |
44,723 |
9.7 |
114.1 |
|
その他 |
32 |
0.0 |
91.6 |
|
SM・DS、GMS |
439,251 |
95.3 |
143.5 |
HC |
18,207 |
4.0 |
91.8 |
|
その他 |
3,450 |
0.7 |
81.6 |
|
調整額 |
16 |
0.0 |
37.1 |
|
合計 |
460,925 |
100.0 |
139.6 |
(注)1 SM…スーパーマーケット、DS…ディスカウントストア、GMS…総合スーパー、HC…ホームセンターの略語です。
(注)2 各セグメント別の取扱商品群は以下のとおりであります。
SM・DS、GMS |
|
衣料品・・・・・・ |
衣料品、靴、鞄、服飾雑貨等 |
食品・・・・・・・ |
食料品 |
住居余暇商品・・・ |
情報通信機器、化粧品、医薬品、日用雑貨、寝具、バス用品等のホームファッション、消耗品等 |
HC・・・・・・・・ |
建材・木材、補修材、家庭用品、ペット用品、園芸用品、食品等 |
その他・・・・・・・ |
自転車関連商品、食品、飲食 |
(注)3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたり、資産、負債、収益及び費用の報告額に不確実性がある場合、作成時に入手可能な情報に基づいて、その合理的な金額を算出するために見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
当社の財務諸表作成のための会計方針については、「第5 経理の状況 1財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (重要な会計方針)」に記載しております。
② 財政状態及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社の当事業年度の経営成績等につきましては「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
③キャッシュ・フローの状況の分析
当社の当事業年度のキャッシュ・フロー分析につきましては「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
④ 資本の財源及び資金の流動性
当事業年度の資金需要は、運転資金(その主なものは商品の仕入、広告宣伝費、人件費及び設備関連費用等)及び資本的支出であり、その資金源泉は営業活動によって得られた資金及び金融機関からの借入による資金調達により賄いました。詳細につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
また翌事業年度の資金需要については、店舗の新設及び活性化による設備投資を予定しており、これらに必要な資金は自己資金および借入金で賄う予定です。
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