当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が続く中、ワクチン接種率の上昇に伴い、経済活動が正常化に向かう動きも見受けられました。しかし、足元ではオミクロン株の感染急拡大によるまん延防止等重点措置の適用や原材料価格の高騰など、依然として先行き不透明な状況が続いております。
世界情勢においては2022年2月にロシアがウクライナへの軍事侵攻を開始し、長期化する対立により幅広い業界へのマイナス影響が広がりつつあります。
このような状況の下、アスモトレーディング事業ではインバウンド需要の低迷や国内外食産業への営業自粛による影響に対して、独自の仕入ルートを活かしたメキシコ産商材の優位性を実現することで売上、利益を確保することができました。
アスモフードサービス事業では、材料費の高騰、現場における高度な衛生環境の維持など取り巻く環境が厳しい中において、生活に欠くことのできない食の供給会社として、食の安全性を確保するとともに、長年の経験と新しい素材を追求することでお客様にご満足をいただけるよう徹底したサービスの提供を心掛けてまいりました。
アスモ介護サービス事業では、新型コロナウイルス感染症の長期化に伴い、ご利用者様の減少が続きましたが、雇用を確保し、安定的にサービスを提供できる態勢を維持してまいりました。
ASMO CATERING (HK) 事業では、香港における経済活動の正常化が一旦はみられたものの、ゼロコロナ政策を進める中国での国内における新型コロナウイルス感染症の再拡大の影響により、再びブレーキがかかる状況となりましたが、店舗営業以外に加工食材の販売先を開拓することで販路の拡大に努めてまいりました。
その他、基幹事業分野への経営資源の集中を目的として、当社が保有するアスモ少額短期保険株式会社(その他セグメント内)の全株式を2022年3月30日付で譲渡したことに伴い、当連結会計年度末において当該会社を連結の範囲から除外しております。
このように、当社グループは、各事業のストロングポイントを的確に見極めたうえで、厳しい状況の中においても積極的に可能性を追求し、取り巻く環境にフレキシブルに対応してまいりました。
以上の結果、当連結会計年度の業績は、売上高18,841百万円(前年同期比0.0%減)、営業利益536百万円(前年同期比18.9%減)、経常利益603百万円(前年同期比20.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は、347百万円(前年同期比15.7%減)となりました。
売上高の減少は、アスモ介護サービス事業およびアスモフードサービス事業においてサービスご利用者様数が減少したことに伴う減収分が、アスモトレーディング事業の好調による増収分を上回ったことによるものであります。経常利益の減少は、新型コロナウイルス感染症に対する衛生維持費の増加、アフターコロナを見据え人材を継続確保することで人件費を削減しなかったことに加え、ASMO CATERING (HK) 事業において、ゼロコロナ政策を進める中国政府の影響の下で2022年1月上旬から香港当局による厳しい営業規制が再開され、業績が急速に悪化したことによります。
今後におきましても、売上高の増加、利益率の改善に加え、グループの目標どおり事業を成長させることに邁進してまいります。
主な事業別の状況は次のとおりであります。
(注) 少額短期保険商品の販売を主要な事業とするアスモ少額短期保険株式会社は、当連結会計年度末において
連結の範囲から除外しております。
アスモトレーディング事業におきましては、国内では2021年10月以降、同年9月末の緊急事態宣言解除に伴う外食産業での需要増加により売上は堅調に推移しましたが、食肉生産国における人手不足と、国際的な需要の高止まりによる価格の上昇傾向に加え、為替が円安傾向に推移したことによるコスト高を原因として利益率が低下しました。また、2021年の年末には新型コロナウイルス感染症のオミクロン株の感染懸念により再び外食需要が冷え込むなど、期待されたマーケットの回復は一進一退の状況にありました。また、原油価格の高騰やサプライチェーンの分断、それに伴う原材料の高騰の影響を受け輸入牛肉の価格は高騰しました。そのような状況下で、当社の強みであるメキシコ産商材は安定的な購買ができたため従来のマーケットに加え同業者への販売が好調に推移し、また通信販売事業においても消費者の巣ごもり需要の定着により順調な業績を維持しました。支出に関しては運賃・保管料・人件費等を軽減させることで利益を追求してまいりました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は、3,248百万円(前年同期比23.5%増)、セグメント利益(営業利益)は90百万円(前年同期比12.8%増)となりました。
今後においては新型コロナウイルス感染症の収束に向け、外食産業の回復やインバウンド需要の再来に期待がもたれるものの、ロシアのウクライナ侵攻によるエネルギー、穀物価格の上昇により先物高・物流費の上昇に加え、第4四半期連結会計期間からの円安傾向などにより先が見通せない状況ですが、消費動向や需給バランスに注視して機敏に対応し、メキシコ産商材を中心に価格を含めた商品の優位性を実現することで販路を拡大し、通信販売事業の安定販売により業績の向上に専念してまいります。
アスモフードサービス事業におきましては、主な給食提供先である有料老人ホームや介護施設でのコロナ禍対応に起因したご利用者様数(給食提供人数)の減少により厳しい状況で売上高が推移しました。また、国内での食品を中心とした生活に身近な品目における物価上昇の影響を受け、特に価格変動の大きい生鮮野菜の仕入が課題となり、原価を抑えるために食材の切り替えを行い、効率的な人員配置を行うことで販管費を抑え利益の確保に努めてまいりました。一方で、コロナ禍でも楽しめるよう内容を工夫した数々のイベントを行うことで顧客満足度の向上を図ってまいりました。また、2021年9月末の緊急事態宣言の全面解除に伴い、少しずつ再開しておりました従業員の研修や料理コンテスト等は、新型コロナウイルス感染症のオミクロン株の感染懸念により再び断念せざるを得ない状況となりましたが、試行錯誤しながら従業員の知識向上に励んでまいりました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は、7,556百万円(前年同期比0.5%減)、セグメント利益(営業利益)は356百万円(前年同期比4.8%増)となりました。今後も様々な工夫を行い、従業員個々の知識・技術を高め、様々なニーズに対応できる人材育成を行うことでお客様に、安心・安全でおいしい食事を提供し続けていくことを心掛けてまいります。
アスモ介護サービス事業におきましては、訪問介護事業所、居宅介護支援事業所、有料老人ホーム運営事業、および介護タクシー事業を営んでおります。介護業界全体として、恒常的な人手不足と、それに伴う人件費の上昇に加え、長期化する新型コロナウイルス感染症の影響によるご利用者様の減少で、足元・先行きとも厳しい状況にあります。そのような状況の中、感染対策の徹底を行ってまいりましたが、当連結会計年度中においては非常に感染力の強い新たなオミクロン株の影響により、サービス提供先でも複数の施設において施設内クラスターが発生したことから一時的にサービスの提供が減少しました。また、高齢者の介護現場における新型コロナウイルス感染症への警戒感による総体的なご利用者様の減少の影響を受け、当連結会計年度は売上、利益ともに厳しい結果となりました。当連結会計年度末現在、訪問介護事業所35事業所(前年同期末は37事業所)、居宅介護支援事業所12事業所(前年同期末は12事業所)となり、支援させていただいておりますご利用者様(※)は1,865名(前年同期末は2,019名)となりました。また、有料老人ホーム6施設(前年同期末は6施設)のご入居者様は301名(前年同期末は322名)となりました。(※)介護タクシーでの介護保険利用者を除く
以上の結果、当連結会計年度の売上高は5,747百万円(前年同期比14.9%減)、セグメント利益(営業利益)は333百万円(前年同期比28.9%減)となりました。(※前年同期比については、当連結会計年度より収益認識会計基準を適用したことによる影響額を除外すると、売上高が1.7%減、セグメント利益が32.3%減となります。影響額については連結財務諸表「注記事項(会計方針の変更)」をご参照ください。)
今後におきましては、新型コロナウイルス感染症の感染状況が落ち着き、回復が見込まれる介護需要を取り込むことに注力してまいります。また、職員の定着率向上に向けた取り組みと積極的な新規採用により十分な職員数を確保していることを強みとして、介護サービスの更なる質の向上を図ってまいります。
ASMO CATERING (HK) 事業におきましては、香港内でのオミクロン株拡大による急速な感染者増加を受け、2022年1月上旬よりレストランでの夜6時以降のイートイン営業を禁止するというこれまでで最も強い規制が敷かれましたが、それ以降も感染者の増加は止まらなかったため、同年2月上旬には中国政府の指導によりロックダウンの実施が検討されて街中で買占め騒動が起こるなど、これまでとは次元の異なる社会的な混乱が起こりました。第3四半期会計期間まではコロナ禍前の業績に向けて徐々に回復してまいりましたが、第4四半期会計期間において急ブレーキがかかった状況となりました。そのような状況下で、食品加工販売部門の加工工場では2021年の12月にISO22000(食品安全)を認証取得し、HACCPを導入したことで大手日系レストラン各社からの受注を獲得するなど、積極的に業績を伸ばしてまいりました。店舗展開では、コロナ禍を機に外食一辺倒であった香港人の食生活に「和の総菜文化」という提案を行うことで新たなマーケットを創出するため、中国大陸に隣接する大埔地区の日系食品スーパー「一田」百貨店内に『Japanese Delicatessen 彩』と『匠工房 秀吉』の2店舗を同時オープンいたしました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は1,828百万円(前年同期比33.3%増)、セグメント損失(営業損失)は58百万円(前年同期はセグメント損失53百万円)となりました。
今後におきましては、強みとなりつつある食品加工販売部門の拡大と、アフターコロナにおける新たなマーケットをいち早くグリップすることで今後の事業展開に備えてまいります。
その他セグメントに含めておりますサーバントラスト信託株式会社は管理型信託事業を展開しており、入居一時金保全信託、法人・個人向けの金銭管理信託、および不動産管理信託を主力とした信託商品の販売を行っております。同じくその他セグメントに含めておりますアスモ少額短期保険株式会社は、少額短期保険事業を展開しており、企業の従業員への福利厚生制度としての生命保険商品、および高齢者施設入居者のケガや家財の補償、および介護サポートを目的とした損害保険商品を販売しております。いずれの事業においても、コロナ禍によって対面販売営業を行う機会の確保が難しく、新規受注が伸び悩んだことで減収減益となりました。
なお、アスモ少額短期保険株式会社につきましては、基幹事業分野への経営資源の集中を図ることを目的として当社が保有する全株式を2022年3月30日付で譲渡したことに伴い、当連結会計年度末において連結の範囲から除外しております。このため、当連結会計年度のその他の事業の経営成績には、連結除外日までの同社の実績を含めております。
以上の結果、その他セグメントにおける当連結会計年度の売上高は455百万円(前年同期比6.5%減)、セグメント利益(営業利益)は、6百万円(前年同期比51.1%減)となりました。
当連結会計年度末における総資産は8,645百万円となり、前連結会計年度末に比べ420百万円減少いたしました。これは主に未収入金が227百万円増加し、現金及び預金が160百万円、受取手形及び売掛金が129百万円、差入保証金が101百万円、流動資産のその他に含まれる預け金が267百万円減少したことによるものであります。
当連結会計年度末における負債合計は2,419百万円となり、前連結会計年度末に比べ342百万円減少いたしました。これは主に流動負債のその他に含まれる預り金が79百万円増加し、未払法人税等が33百万円、流動負債のその他に含まれる未払費用が210百万円、未払消費税が100百万円、責任準備金が49百万円、前受収益が39百万円減少したことによるものであります。
当連結会計年度末における純資産合計は6,226百万円となり、前連結会計年度末に比べ78百万円減少いたしました。これは主に利益剰余金が174百万円増加し、自己株式が265百万円減少したことによるものであります。
この結果、自己資本比率は71.6%(前連結会計年度末は69.0%)となりました。
セグメントごとの資産の状況は以下のとおりであります。
当連結会計年度末におけるセグメント資産は764百万円となり、前連結会計年度末に比べ73百万円増加いたしました。これは主に売掛金が85百万円、商品が18百万円増加し、現金及び預金が23百万円、リース資産が7百万円減少したことによるものであります。
当連結会計年度末におけるセグメント資産は1,622百万円となり、前連結会計年度末に比べ56百万円減少いたしました。これは主に現金及び預金が29百万円増加し、売掛金が56百万円減少し、貸倒引当金が20百万円増加したことによるものであります。
当連結会計年度末におけるセグメント資産は2,431百万円となり、前連結会計年度末に比べ513百万円減少いたしました。これは主に前払費用が23百万円、未収入金が4百万円増加し、現金及び預金が213百万円、売掛金が174百万円、繰延税金資産が77百万円、差入保証金が52百万円、リース資産が46百万円減少したことによるものであります。
当連結会計年度末におけるセグメント資産は394百万円となり、前連結会計年度末に比べ0百万円増加いたしました。これは主に売掛金が16百万円、商品が11百万円増加し、現金及び預金が18百万円、有形固定資産が7百万円減少したことによるものであります。
当連結会計年度末におけるセグメント資産は3,178百万円となり、前連結会計年度末に比べ421百万円増加いたしました。これは主に未収入金が345百万円、現金及び預金が340百万円増加し、預け金が267百万円減少したことによるものであります。
当連結会計年度末におけるセグメント資産は252百万円となり、前連結会計年度末に比べ345百万円減少いたしました。これは主に、当連結会計年度末においてアスモ少額短期保険株式会社を連結の範囲から除外したことに伴い、現金及び預金が274百万円、差入保証金が26百万円減少したことによるものであります。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は4,547百万円となり、前連結会計年度末に比べて160百万円の減少となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりです。
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは196百万円の収入となりました。これは主に税金等調整前当期純利益635百万円、その他の負債の減少による支出145百万円、法人税等の支払額289百万円などによるものであります。
また、前連結会計年度に比べてキャッシュ・フローが31百万円減少している主な要因として、税金等調整前当期純利益の減少(前年同期比△84百万円)、未払消費税等の増減額の減少(前年同期比△173百万円)、法人税等の支払額減少によるキャッシュ・フローの増加(前年同期比+278百万円)などが挙げられます。
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フロー55百万円の収入となりました。これは主に差入保証金の差入・回収差による収入77百万円、有形固定資産の取得による支出44百万円、連結範囲の変更を伴う子会社株式の売却による収入33百万円などによるものであります。
また、前連結会計年度に比べてキャッシュ・フローが56百万円増加している主な要因として、差入保証金の差入・回収差による収入の増加(前年同期比+47百万円)などが挙げられます。
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは428百万円の支出となりました。これは主にリース債務の返済による支出50百万円、自己株式の取得による支出265百万円、配当金の支払額119百万円などによるものであります。
また、前連結会計年度に比べてキャッシュ・フローが229百万円減少している主な要因として、自己株式の取得による支出の増加(前年同期比△232百万円)などが挙げられます。
以上のとおり、当社グループの当連結会計年度の資金状況としては、営業活動によるキャッシュ・フロー収入と投資活動によるキャッシュ・フロー収入を合わせた、いわゆるフリー・キャッシュ・フローが252百万円の収入となり、財務活動によるキャッシュ・フロー支出428百万円がフリー・キャッシュ・フローを上回ったことにより現金及び現金同等物が160百万円減少しておりますが、主な要因は自己株式の取得による支出であり、当社の資本政策上必要かつ有効な支出であったと認識しております。
資本の財源につきまして、当社グループの運転資金・設備投資は一部の子会社の借入やリース債務を除き、自己資金により充当しております。当連結会計年度末の有利子負債残高は短期借入金16百万円およびリース債務171百万円の合計188百万円でありますが、リース債務の順調な返済により、前連結会計年度末と比較して38百万円減少しております。
資金の流動性につきましても、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高が4,547百万円であることから、十分な資金を確保できており、小規模なM&Aや隣接事業への拡大についても対応できる水準であります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。連結財務諸表の作成にあたりまして、資産・負債及び収益・費用の測定並びに開示に与える影響のうち、将来事象の結果に依存するため確定できない金額については見積りを必要とします。これらの見積りについては、過去の実績や適切な仮定に基づいて合理的な判断を行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果と異なる可能性があります。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響継続が、当連結会計年度における当社グループの一部の事業に影響を与えております。しかしながら、このような状況は長期的には回復に向かうと見込まれるため、当社グループ全体の業績に与える影響は限定的なものと仮定し、固定資産の減損会計や繰延税金資産の回収可能性等の会計上の見積りを行っております。
当連結会計年度の仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先の仕入実績及び当該仕入実績の総仕入実績に対する割合は次のとおりであります。
該当事項はありません。
該当事項はありません。
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
※株式会社ベストライフは、2020年9月1日を効力発生日とする会社分割(吸収分割)により、有料老人ホーム運営事業などを当該会社の子会社である上記6社に承継いたしました。これに伴い、同日よりアスモフードサービス事業の販売先が当該6社に変更されております。
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