(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症拡大の懸念により、断続的に緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が発出されておりましたが、ワクチン接種の進展や新規感染者数の減少等により緊急事態宣言が全国的に解除となり、経済活動の持ち直しの動きがみられました。しかしながら、新型コロナウイルスの新たな変異株の発生による感染再拡大の懸念が強まるとともに、原油価格の高騰や国際情勢に端を発した円安傾向等による個人消費へ影響が懸念されるなど、先行きは不透明な状況で推移いたしました。
このような環境のもと、当社グループは、新型コロナウイルス感染症に対しては、お客様と従業員の安全を第一に考え、感染拡大の防止に向けた対応を継続いたしました。安全衛生の徹底、在宅勤務、WEB会議の活用などの感染防止策を講じながら、お客様と従業員の安全の確保を前提とした営業を再開しておりますが、外国人旅行客の渡航禁止や集客施策の自粛等の影響を受け、法人販売による在庫コントロールと経費コントロールに努めました。
株式会社コメ兵においては、前連結会計年度から引続き新生活様式に対応したお客様とのコミュニケーションの強化やサービスのご提供に加え、店舗の安全を確保したうえでの限定的なイベントを行いました。また、個人買取の強化において「安心できる“いつもの”“近くの”場所での買取」をコンセプトに、商材確保のためのイベント買取や買取専門店の新規出店を積極的に行いました。
また、業務の効率化を推進するとともに、オンラインストアの利用促進や、当社グループ会社主催の法人向けオンラインオークションによる法人販売の強化に注力するなど非接触型営業の取り組みをすることにより、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により来店客数が戻らない状況が継続しても、売上を確保できる体制を整えてまいりました。
以上の結果、当連結会計年度の業績については、売上高は71,148百万円(前期は50,723百万円)、営業利益は3,714百万円(前期比529.1%増)、経常利益は3,772百万円(同774.6%増)、法人税等調整額は△215百万円
(△は利益)(前期は法人税等調整額△347百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益は2,259百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失595百万円)となりました。
なお、当連結会計年度の期首から「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。このため、前連結会計年度と収益の会計処理が異なることから、経営成績の説明において、売上高の増減額及び前年同期比(%)は記載せずに説明しております。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
<ブランド・ファッション事業>
ブランド・ファッション事業は、国内のグループ会社では、当連結会計年度で過去最多となる買取専門店を株式会社コメ兵で32店舗、株式会社K-ブランドオフで3店舗を出店しております。また、株式会社コメ兵では、スニーカー専門店「SNEAKER MARKET by KOMEHYO」も出店いたしました。海外のグループ会社では、BRAND OFF LIMITEDにおいて香港に買取・販売の店舗を1店舗出店いたしました。
中古品仕入高については、新型コロナウイルス感染症拡大防止のための店舗の営業時間短縮等の影響がある中、株式会社コメ兵ではイベント買取や新規出店を中心に個人のお客様からの買取を強化したほか、AIでの真贋判定を試験導入し、お客様とのコミュニケーションを重視した安心して利用できる買取サービスの促進に努めました。
販売については、前連結会計年度に行った株式会社コメ兵のコンタクトセンターの拡大やECのリプレイスによるお客様の利便性向上やお客様との関係性を深める施策による販売強化、個人買取が好調に推移したことにより、小売り向け商品を充実させたうえで法人販売を強化するとともに、株式会社KOMEHYOオークションと株式会社K-ブランドオフそれぞれが運営する法人向けオークションを強化いたしました。
営業利益については、個人買取が好調に推移したことで小売売上高が順調に推移し、さらに法人販売を強化したことにより大幅に売上高が増加し、売上総利益が増加したことに加え、経費コントロールによる販管費の抑制が奏功いたしました。
以上の結果、当連結会計年度の当セグメント売上高は66,688百万円(前期は46,608百万円)、営業利益は3,254百万円(前期比572.1%増)となりました。
<タイヤ・ホイール事業>
株式会社クラフト及び株式会社オートパーツジャパンにおいては、タイヤの販売が中古・新品ともに順調に推移いたしました。その中でも、在庫コントロールと降雪の影響等から、11月以降冬用タイヤの販売が好調に推移いたしました。また、前連結会計年度から行っております株式会社クラフトでのコールセンターによる接客強化、SNS等によるコミュニケーション強化と株式会社フォーバイフォーエンジニアリングサービスで開発した新作ホイールの販売に努めました。
以上の結果、当連結会計年度の当セグメント売上高は4,382百万円(前期は4,046百万円)、営業利益は147百万円(同276.3%増)となりました。
<不動産賃貸事業>
不動産賃貸事業では、店舗、会議室等の賃貸管理の他、グループ会社の主要な店舗をグループ会社に賃貸しております。
当連結会計年度の当セグメント売上高は334百万円(前期は204百万円)、営業利益は101百万円(前期比121.5%増)となりました
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ、1,155百万円減少し、10,738百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、獲得した資金は1,134百万円となりました(前期は4,379百万円の獲得)。
これは主に、税金等調整前当期純利益3,326百万円、減価償却費941百万円、減損損失327百万円、賞与引当金の増加額251百万円及び契約負債の増加額539百万円が、棚卸資産の増加額2,619百万円、その他(その他の資産の増加額及びその他の負債の減少額)869百万円及び法人税等の支払額684百万円を超過したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、使用した資金は529百万円となりました(前期は1,222百万円の使用)。
これは主に、店舗出店等に伴う有形及び無形固定資産の取得による支出628百万円並びに差入保証金の差入による支出257百万円が、差入保証金の回収による収入255百万円を超過したことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、使用した資金は1,895百万円となりました(前期は1,353百万円の獲得)。
これは主に、短期借入金の減少額500百万円、長期借入金の返済による支出883百万円、リース債務の返済による支出274百万円及び配当金の支払額219百万円によるものであります。
③ 仕入及び販売の実績
a. 仕入実績
当連結会計年度の仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
前年同期比(%) |
ブランド・ファッション事業(千円) |
53,262,643 |
- |
タイヤ・ホイール事業(千円) |
4,137,829 |
- |
不動産賃貸事業(千円) |
- |
- |
合計(千円) |
57,400,472 |
- |
b. 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
前年同期比(%) |
ブランド・ファッション事業(千円) |
66,688,237 |
- |
タイヤ・ホイール事業(千円) |
4,382,757 |
- |
不動産賃貸事業(千円) |
334,313 |
- |
合計(千円) |
71,405,308 |
- |
(注)1.セグメント間の取引については、相殺消去前の数値によっております。
2.当連結会計年度の期首から「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。このため、前連結会計年度と収益及び費用の計上基準が異なることから、仕入実績及び販売実績の前年同期比(%)は「-」と記載しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。 文中における将来に関する事項は有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析
当連結会計年度において、当社グループは組織力の強化、販売力の強化、販促活動の拡充、オンラインストアの強化、内部統制の推進、教育制度の充実等、様々な経営施策に取り組み、企業価値の向上に努めてまいりました。設備投資計画に基づき、当社事務所の改装、及び個人買取仕入の強化を目的として買取専門店を株式会社コメ兵では32店舗、株式会社K-ブランドオフでは3店舗をそれぞれ新規出店いたしました。また、相場システム等のソフトウエアを開発いたしました。
a.経営成績等
1)経営成績
①売上高
当連結会計年度の売上高は、新型コロナウイルス感染症拡大防止策を講じながら、オンラインストアの利用促進やオンラインオークションによる法人販売の強化に注力したことから、71,148百万円(前期は50,723百万円)となりました。
②売上総利益、売上高総利益率
適正な買取及び販売価格の設定に注力するとともに、売上総利益が確保しやすい中古品の売上高構成比向上に引き続き注力し、在庫コントロールの強化を行いました。個人買取の強化により、小売に必要な商品量は確保し、他の商品を法人販売に向け回転率を高めたことで、当連結会計年度の売上総利益は18,415百万円(前期は13,836百万円)、売上高総利益率は25.9%(前期は27.3%)となりました。
③営業利益、売上高営業利益率
広告宣伝費及び人件費等の販管費増加により、販売費及び一般管理費は14,700百万円(前期比11.0%増)となりました。この結果、当連結会計年度の営業利益は3,714百万円(同529.1%増)、売上高営業利益率は5.2%(前期比4.0ポイント増)となりました。
④経常利益、売上高経常利益率
為替差益66百万円の計上等の影響により、当連結会計年度の経常利益は3,772百万円(前期比774.6%増)、売上高経常利益率は5.3%(前期比4.4ポイント増)となりました。
⑤親会社株主に帰属する当期純利益
のれんや不採算店舗の固定資産の減損損失327百万円を計上したこと等により、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は2,259百万円(前期は595百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
2)財政状態
①資産合計
資産合計は39,667百万円(前期比6.1%増)となり、前連結会計年度末に比べ2,265百万円増加いたしました。これは主に、商品2,627百万円、預け金214百万円、流動資産のその他(短期貸付金等)751万円及び無形固定資産のリース資産222百万円の増加が、現金及び預金1,458百万円の減少を上回ったことによるものであります。
②負債合計
負債合計は18,966百万円(同0.1%増)となり、前連結会計年度末に比べ10百万円増加いたしました。これは主に1年内返済予定の長期借入金139百万円、未払金477百万円、未払法人税等585百万円、流動負債の契約負債507百万円、賞与引当金251百万円及びリース債務229百万円の増加が、短期借入金500百万円、流動負債のその他616百万円(未払消費税等)、社債72百万円、及び長期借入金1,023百万円の減少を上回ったことによるものであります。
③純資産
純資産は20,700百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,254百万円増加いたしました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益2,259百万円の計上及び為替換算調整勘定142百万円の増加が、剰余金の配当219百万円を上回ったことによるものであります。
b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況に記載のとおりであります。
c.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
(3) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
① 資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品買取・仕入費用のほか、外注修理費、荷造運賃、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、新規出店、ソフトウエア開発等によるものであります。
短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達については、主に金融機関からの長期借入を基本としております。
なお、当連結会計年度末における有利子負債の残高は13,519百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は10,738百万円となっております。
② キャッシュ・フロー
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の状況
当社グループは、中期経営計画を作成し事業に取り組んでおります。中期経営計画は、消費者動向や他の小売動向などの社会情勢、業績や各部門別課題の整備状況などの会社情勢を踏まえ、今後の3年間の基本的経営目標として策定しております。また、この中期経営計画は、毎年見直しを行うローリング方式をとっております。
なお、詳細につきましては、WEBサイトに掲載いたしました「第44期(2022年3月期)決算説明会資料」をご覧ください。
2022年3月期の達成・進捗状況は以下のとおりであります。
売上高は計画比11,148百万円増(18.6%増)となりました。これは、オンラインストアの利用促進や、当社グループ会社主催の法人向けオンラインオークションによる法人販売の強化に注力するなど非接触型営業の取り組みが奏功したことによるものであります。営業利益は広告宣伝費及び人件費等の販管費増加に比較して、売上高の増加による増益が寄与したこと等により、計画比2,164百万円増(139.7%増)となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益はこれらの増益要因等により計画比1,259百万円増(125.9%増)となりました。
(単位:百万円)
連結指標 |
2022年3月期(計画) |
2022年3月期(実績) |
2022年3月期(計画比) |
売上高 |
60,000 |
71,148 |
11,148百万円増 ( 18.6%増) |
営業利益 |
1,550 |
3,714 |
2,164百万円増(139.7%増) |
経常利益 |
1,450 |
3,772 |
2,322百万円増(160.1%増) |
親会社株主に帰属する 当期純利益 |
1,000 |
2,259 |
1,259百万円増(125.9%増) |
(5) 経営成績に重要な影響を与える要因について
「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
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