当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次の通りであります。
当連結会計年度(令和3年6月1日~令和4年5月31日)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による厳しい状況が緩和される中で、持ち直しの動きがみられています。先行きについては、感染対策に万全を期し、経済社会活動の正常化が進む中で、景気が持ち直していくことが期待されていますが、新型コロナウイルス感染症の再拡大、ウクライナ情勢の行方及び円安進行・原材料価格の高止まり等による下振れリスクに十分注意する必要がある状況です。
調剤薬局業界におきましては、医療費抑制等の社会的要請を背景に、引き続き後発医薬品の使用拡大及びセルフメディケーションに対する取組み強化、並びに厚生労働省の発表した「患者のための薬局ビジョン」への対応が求められるとともに、令和元年12月4日には5年ぶりとなる「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(以下、「薬機法」といいます)の改正がありました。主な変更内容としては、薬剤師による継続的な薬剤使用状況の把握・服薬指導義務の法制化、テレビ電話等による服薬指導の導入、添付文書の電子的提供の原則化、地域連携薬局・専門医療機関連携薬局の導入等となります。
そして、周辺業種からの参入により競争が激化すると同時に、令和2年4月及び令和4年4月の診療報酬・薬価改定、令和3年4月の薬価改定の影響に加え、新型コロナウイルス感染症の影響もあり、更なる経営努力が求められる事業環境となっております。こうしたなか、当社グループは令和3年12月24日に「中期経営計画LSG(Leading to Sustainable Growth)2024」を公表し、平成30年11月8日に公表した「中期経営計画SFG(Steps for Future Growth)2021 ~ 成長を目指した経営基盤の構築」(以下、「前・中期経営計画」といいます)を基に、株主価値の更なる向上を目指し、競争力を強化し成長していくため、①投資家に選ばれる会社になるための取り組み強化、②調剤事業を核とした事業展開による収益獲得強化、③経営基盤の更なる強化による収益構造の改善を推進してまいります。
当社グループは、前・中期経営計画に基づき競争力の強化を行うための高齢者に対する健康寿命延伸プログラムとして「継続支援プログラム」「ヘルシーライフアドバイザー」を推進する等の他、従来からの地域医療(在宅医療及び施設調剤)、後発医薬品使用拡大及び電子お薬手帳の普及・推進、また、セルフメディケーションへの対応や健康保険制度外事業の拡大等についても継続的に推進してまいりました。
当連結会計年度における業績は、売上高51,608百万円(前年同期比1.4%減)、営業利益1,520百万円(前年同期比22.0%増)、経常利益1,517百万円(前年同期比17.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は447百万円(前年同期比5.0%増)となりました。
売上高につきましては、「収益認識に関する会計基準」(以下、「収益認識会計基準」といいます)適用、薬価改定及び物販事業の売上減少の影響等により、前年同期比1.4%の減収となりました。
利益面においては、新型コロナウイルス感染症の影響による受診抑制の緩和を背景とした処方せん枚数の回復の兆しや調剤技術料の獲得増、販管費のコントロールによる経費削減の効果等を主な要因として、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益ともに、前年同期比増益となりました。
セグメント毎の業績は次のとおりであります。
(調剤薬局事業)
当連結会計年度における調剤薬局店舗は9店舗増加、6店舗減少で、当連結会計年度末時点において当社グループが運営する店舗数は301店舗となりました。増加した店舗は、ファーマライズ株式会社の新規開局の北海道1店舗、新潟県1店舗、千葉県1店舗、東京都1店舗、愛知県1店舗、大阪府3店舗、及び、沖縄県1店舗であります。
薬局運営面につきましては、選ばれる「かかりつけ薬局」となるために、①地域医療(在宅医療及び施設調剤)の実施、②後発医薬品推進、③患者情報の一元管理や重複投与・飲み合わせ・残薬確認強化の観点から電子お薬手帳「ポケットファーマシー」の利用促進、④24時間対応に向けた取組みを継続しております。また、一般用医薬品や健康食品等のセルフメディケーション関連商品の販売及び継続支援プログラムの推進等を実施するセルフメディケーション・サポート店舗の展開に対する取組みも、継続的に推進しております。
また、薬機法改正の薬剤師による継続的な薬剤使用状況の把握・服薬指導義務の法制化、テレビ電話等による服薬指導の導入についても、当社グループで開発している電子お薬手帳に実装している服薬フォロー機能、オンライン服薬指導アプリのポケットミーティングで対応が可能となっており実績も増えてきております。更に、当社グループでも地域連携薬局は順調に増加しており、当連結会計年度末時点で96店舗となりました。専門医療機関連携薬局につきましても認定取得に向け準備を進めております。また、健康サポート薬局は当連結会計年度末には71店舗(前連結会計年度末比39店舗増)となりましたが、引き続き店舗数の増加に注力してまいります。
当連結会計年度における調剤薬局事業の業績は、「収益認識会計基準」や薬価改定の影響等により売上高は42,038百万円(前年同期比1.2%減)と減収になったものの、新型コロナウイルス感染症の影響による受診抑制の緩和を背景とした処方せん枚数の回復の兆しや調剤技術料の獲得増、販管費のコントロールによる経費削減の効果等を主な要因としてセグメント利益は1,745百万円(前年同期比20.9%増)と増益になりました。
(物販事業)
当連結会計年度における調剤を併設しない本セグメントの店舗数は2店舗増加、6店舗減少で、当連結会計年度末時点において当社グループが運営する店舗数は45店舗となりました。
物販事業の主な内容は、ファーマライズ株式会社によるドラッグストア等の運営事業及び化粧品等販売事業、並びにコンビニエンスストアの運営事業であります。
本事業における当連結会計年度の業績は、売上高は7,602百万円(前年同期比4.5%減)、セグメント損失は146百万円(前年同期はセグメント損失42百万円)となりました。これは、ドラッグストアにおいては前期の新型コロナウイルス感染症による特需の一段落や感冒薬・花粉症関連薬の低迷、コンビニエンスストアにおいてはビジネス街等都心部での需要回復の遅れが見られたことが主な要因であります。
(医学資料保管・管理事業)
医学資料保管・管理事業は、調剤薬局事業の周辺業務として、株式会社寿データバンクが手掛ける紙カルテやレントゲンフィルム等の保管・管理事業であります。現時点では医学資料の保管・管理に対する需要は継続的に発生しておりますが、保管年数の短縮化等、経費削減の動きが徐々に発生してきており、新規顧客や周辺需要の獲得に向け積極的な営業活動を展開しております。
このような環境下、当連結会計年度における業績は、売上高は699百万円(前年同期比12.5%増)、セグメント利益は107百万円(前年同期比67.0%増)となりました。
(医療モール経営事業)
医療モール経営事業は、ファーマライズ株式会社がJR札幌駅内の「JRタワーオフィスプラザさっぽろ」で運営している医療モールに係る事業です。
医療モール経営事業における当連結会計年度の業績は、売上高は503百万円(前年同期比2.4%増)、セグメント利益は67百万円(前年同期比11.9%増)となりました。
(その他)
その他の事業の主な内容は、①株式会社ミュートスで行っている製薬企業等向けのシステムインテグレーション事業等、②株式会社メディカルフロントで行っている医療関連ITソリューション事業等、③株式会社レイケアセンターによる人材派遣事業、④株式会社ウィークによる有料職業紹介事業であります。
その他の事業における当連結会計年度の業績は、売上高は764百万円(前年同期比6.8%増)、セグメント利益は41百万円(前年同期比1.0%増)となりました。
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産の残高は10,878百万円となり、前連結会計年度末残高10,546百万円に対し、332百万円増加しました。この主な要因は、売上債権等(「売掛金」と「未収入金」の合計額)が前連結会計年度末残高3,096百万円に対し1,174百万円増加の4,270百万円となった一方で、現金及び預金が前連結会計年度末残高4,604百万円に対し613百万円減少の3,991百万円となったことによるものであります。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産の残高は12,866百万円となり、前連結会計年度末残高14,175百万円に対し、1,309百万円減少しました。この主な要因は、のれんが前連結会計年度末残高4,025百万円に対し804百万円減少の3,220百万円となり、また、無形固定資産のリース資産が前連結会計年度末残高293百万円に対し78百万円減少の215百万円となったことによるものであります。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債の残高は8,477百万円となり、前連結会計年度末残高9,392百万円に対し、915百万円減少しました。この主な要因は、買掛金が前連結会計年度末残高4,609百万円に対し500百万円減少の4,109百万円となり、また、1年内償還予定の社債及び1年内返済予定の長期借入金の合計額が前連結会計年度末残高2,565百万円に対し288百万円減少の2,276百万円となり、また、未払法人税等が前連結会計年度末残高573百万円に対し143百万円減少の429百万円となったことによるものであります。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債の残高は8,570百万円となり、前連結会計年度末残高9,000百万円に対し、429百万円減少しました。この主な要因は、リース債務が前連結会計年度末残高446百万円に対し108百万円減少の337百万円となったことと、長期借入金が前連結会計年度末残高5,950百万円に対し347百万円減少の5,603百万円となったことによるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産の残高は6,699百万円となり、前連結会計年度末残高6,331百万円に対し、367百万円増加しました。この主な要因は、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益により利益剰余金が増加したことによるものであります。
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、3,991百万円(前年同期比613百万円の減少)となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次の通りであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果増加した資金は、713百万円(前年同期比1,232百万円減少)となりました。この主な要因は、売上債権が1,319百万円増加し、仕入債務が500百万円減少し、法人税等の支払額が870百万円となった一方で、税金等調整前当期純利益を1,322百万円、減価償却費を608百万円、減損損失を200百万円、のれん償却額を700百万円計上し、棚卸資産が286百万円減少したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、292百万円(前年同期比784百万円減少)となりました。この主な要因は、保険積立金の解約による収入が383百万円となった一方で、新規開局等に伴う有形固定資産の取得による支出が379百万円、差入保証金の差入による支出が145百万円、長期前払費用の取得による支出が152百万円あったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果減少した資金は、1,034百万円(前年同期比306百万円増加)となりました。この主な要因は、長期借入れによる収入が2,000百万円あった一方で、長期借入金の返済による支出が2,609百万円、リース債務の返済による支出が263百万円、配当金の支払額が131百万円となったことによるものであります。
当連結会計年度の仕入実績をセグメントごとに記載しますと、次の通りであります。
当連結会計年度における処方せん応需実績は、次の通りであります。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、当連結会計年度における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような見積り、予測を必要としております。当社グループは、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り、予測を行っております。そのため実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
この連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績の状況の概要」に記載の通りであります。
当社グループの主な活動領域である調剤薬局事業におきましては、隔年で実施される調剤報酬改定、毎年実施される薬価改定が経営成績に重要な影響を与える要因となっております。国民医療費抑制の方針から、調剤報酬・薬価自体は今後も全体としては実質引き下げ方向での改定が予想されます。
近年の改定は、「在宅医療の充実」や「後発医薬品の使用促進」、「かかりつけ薬剤師・薬局化」を今まで以上に明確に反映しており、「地域包括ケアシステムの構築」や「国民医療費抑制」といった国の方針により沿った内容となっております。調剤報酬改定の影響は大変厳しいものとなっておりますが、これらの改定への対応如何では収益力の低下を抑え、競争力の強化につなげることも可能であると考えております。
また、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおり、新型コロナウイルス感染症が収束せず長期化したことにより、調剤薬局事業においては、医療機関の受診抑制及び患者による医療機関の受診回避による処方日数の長期化が生じ、処方せん枚数が減少する状況が継続しており、物販事業においては、在宅勤務の広がりや企業活動の自粛等の影響により、都心部店舗等において利用者の減少が続くなど、当社グループの業績に影響を与えております。
当社グループは、薬局内の喚起、従業員の手洗い・マスク着用の徹底、ソーシャルディスタンスの確保など、来局される患者の感染防止対策を徹底するとともに、電子お薬手帳を活用した処方せんの事前送信、オンラインでの服薬指導、令和2年4月10日に厚生労働省からの事務連絡で示された「新型コロナウイルス感染症の拡大に際しての電話や情報通信機器を用いた診療等の時限的・特例的な取扱いについて」への対応(0410対応)等、患者の薬局での滞在時間短縮による感染対策にも努めております。
当社グループは、平成30年11月8日に「中期経営計画SFG(Steps for Future Growth)2021~成長を目指した経営基盤の構築」を公表しており、この計画の最終年度となる当連結会計年度において目標としていた経営指標、営業利益15億円を達成することができました。
また、当社グループは、令和3年12月24日付で経営理念を改定し、「中期経営計画LSG(Leading to Sustainable Growth)2024」を公表しました。
当社の主たる事業である調剤薬局におけるプロとしての指針は、「パーフェクト(完璧)」であります。このことから当社の社是は「パーフェクト(完璧)」とし、基本方針として参りました。一方、世界的な環境・社会意識の高まりを背景とした社会の要請、期待に応え、社員を始め多様なステークホルダーの皆様とともに持続可能な社会を実現するためにも、昨年、プライム市場を選択し、更なる企業価値の向上を目指すべく、次に掲げる経営理念に改定いたしました。
・社会的責任
医療に携わる企業として、社会的責任を強く認識し、「Perfect」を目指して積極的に活動していきます。
・サステナブルな未来へ
SDGsの取り組みを重要視し、全社員、ステークホルダーと対話を深めながら、サステナブルな未来へ向かっていきます。
・心を込めたホスピタリティー
一人ひとりが、信頼と安心を感じられるよう、知識、専門性、経験とノウハウを生かし対応していきます。
当社グループは以前より、地域に密着した「かかりつけ薬局」の理想形を追求し、地域医療に貢献するという考え方のもと、選ばれる「かかりつけ薬局」となることを目指し、地域医療及び後発医薬品の推進並びに電子お薬手帳の普及や24時間対応に向けた取組み等を実施してまいりました。同時に、地域のセルフメディケーション・健康支援ニーズに対応したサービスを提供する体制づくりや健康保険制度外事業の拡大にも取り組んでまいりました。
そして、本中期経営計画のもと、グループ全体として、①投資家に選ばれる会社になるための取り組み強化、②調剤事業を核とした事業展開による収益獲得強化、③経営基盤の更なる強化による収益構造の改善、を推進してまいります。
特に調剤薬局事業におきましては、①スキルに合わせた研修の充実や当社独自の認定資格ヘルシーライフアドバイザーの育成、②利用者のこころとからだの健康保持・増進活動の支援、③業務のDX化の推進、に注力してまいります。また物販事業では、①顧客情報の活用強化、②スクラップ&ビルドによる採算性の改善、に取り組んでまいります。
当連結会計年度における状況については、「第2事業の状況 3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
当社の運転資金需要の主なものは、調剤のための医療用医薬品仕入、物販のための商品仕入のほか、店舗運営の製造経費、全社に係る販売費及び一般管理費によるものであります。
なお、運転資金及び設備投資資金につきましては、内部資金又は借入金により資金調達することとしております。
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