当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当事業年度の期首から適用しており、当該会計基準等を遡って適用した後の数値で前事業年度との比較・分析を行っております。
文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種の進展や活動制限の緩和等により、一時期に持ち直しの動きも見られましたが、新たな変異株による感染再拡大、原油や原材料価格が上昇するなど、先行き不透明な状況となりました。
食品業界におきましては、昨今の生活スタイルの変化や消費者の購買行動の変化を背景として、家庭内で消費される食品に対する底堅い需要に支えられている一方で、当社を取り巻く経営環境については原材料価格の高騰に加え、原油高や円安といった複合的な要因によって物流費などの各種コストが上昇基調にあることもあり、引き続き厳しい局面が続くものと予想しております。
このような状況のもと、当社は、2022年3月期までの中期経営計画の最終年度にあたり、「主力製品の集中販売」、「業務用製品のさらなる飛躍」、「新製品の開発」、「次世代の組織づくり」という4つの基本方針に沿い、その実現に向けた重点施策に取り組み、収益構造の改革と持続的成長を追求してまいりました。
製品群別の概況は、以下のとおりであります。
液体調味料群の小売用製品においては、新型コロナウイルス感染症拡大による家庭内での食事機会の高まりが継続するものの、前年の同時期に見られた需要急拡大の反動の影響を受けました。そのようななか、ロングセラー製品『焼肉一番』の復刻版『焼肉一番 CLASSIC』が積極的なプロモーションやWebCMの展開等により、売上を牽引いたしました。鍋スープでは、通年製品化に向け「春鍋」「夏鍋」をキーワードとし、季節に合わせたメニュー提案やSNSキャンペーンの展開を推進いたしました。また『博多もつ鍋スープ』が発売30周年を迎えたことから、さらなる拡販及びブランド認知度向上を目的に、有名タレントを起用したWebCM、テレビCM、SNSキャンペーンなどのプロモーションを積極的に展開いたしました。新製品では、人気ラーメン店の監修による「名店監修鍋スープ」、もつ鍋の本場・福岡の有名店の監修によるもつ鍋スープ、野菜ソムリエの資格を有する当社社員の監修による「野菜ソムリエ監修」の鍋スープなど、「監修」をキーワードとした創意に富んだアイテムを投入し、ラインアップを拡充いたしました。このなかでも、濃厚なとんこつと辛味噌の旨みで人気のラーメンを鍋スープで再現した『名店監修鍋スープ 一風堂博多とんこつ赤丸新味』などの「名店監修鍋スープ」が好調に推移し、大きく売上を牽引しました。業務用製品では、新規開拓への取り組みを継続するなか、家庭内の食事機会の高まりの継続と惣菜市場の回復の影響もあり、精肉向け・惣菜向けのソースやたれが伸長しました。この結果、売上高は164億20百万円(前期比105.8%)となりました。
粉体調味料群においては、惣菜向けの業務用製品が好調に売上を伸ばしましたが、『味・塩こしょう』を中心とした小売用製品は前年度の需要急拡大の反動の影響を受けました。この結果、売上高は38億58百万円(前期比98.2%)となりました。
その他調味料群においては、「スープはるさめ」シリーズの新製品『機能性表示食品 GABA配合スープはるさめ』に加え、栄養豊富なオートミールを用いた、お湯を注ぐだけで簡単に作れる「オートミールde」シリーズ2品を投入し、即食製品群は一層ラインアップが充実し、業務用製品も好調に推移しました。この結果、売上高は23億94百万円(前期比101.3%)となりました。
以上の結果、当事業年度における売上高は、226億73百万円(前期比103.9%)となりました。利益につきましては、営業利益は8億61百万円(前期比107.8%)、経常利益は8億70百万円(前期比105.2%)、当期純利益は5億61百万円(前期比105.3%)となりました。
生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
当事業年度における生産実績を品目群別に示すと、次のとおりであります。
当社は、受注見込による生産方式をとっております。
当事業年度における販売実績を品目群別に示すと、次のとおりであります。
(注) 販売実績に対する売上割合が10%以上の取引先はありません。
当事業年度末の総資産は、前事業年度末に比べ5億49百万円増加し、156億64百万円となりました。固定資産が総資産の53.7%を占め、流動資産は総資産の46.3%を占めております。資産の変動は、主に「売掛金」が2億3百万円、「現金及び預金」が1億85百万円、「機械及び装置」が1億49百万円、「構築物」が1億32百万円増加し、「建設仮勘定」が1億77百万円減少したことによるものです。
負債は、前事業年度末に比べ1億74百万円増加し、67億15百万円となりました。流動負債が負債合計の71.4%を占め、固定負債は負債合計の28.6%を占めております。負債の変動は、主に「未払金」が3億48百万円増加し、「1年内返済予定の長期借入金」が1億24百万円、「未払法人税等」が1億3百万円減少したことによるものです。
純資産は、前事業年度末に比べ3億74百万円増加し、89億49百万円となりました。純資産の変動は、主に剰余金の配当1億73百万円の支出と当期純利益5億61百万円の計上により「利益剰余金」が3億88百万円増加したことによるものです。自己資本比率は57.1%となり、前事業年度末に比べ0.4ポイント上昇しました。
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、28億31百万円となり、前事業年度末に比べ1億85百万円増加いたしました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前当期純利益8億60百万円、減価償却費6億50百万円、未払金の増加額1億4百万円等による資金の増加と、法人税等の支払額4億32百万円、売上債権の増加額1億97百万円等による資金の減少により、前期比で8億63百万円収入減の11億2百万円の純収入となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出3億41百万円等による資金の減少により、前期比で2億80百万円支出減の3億54百万円の純支出となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、リース債務の返済2億22百万円、配当金の支払1億73百万円、長期借入金の返済1億66百万円の支出により、前期比で1億8百万円支出減の5億62百万円の純支出となりました。
(4) 当社の資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社の主な資金需要は、製品製造のための原材料費、労務費、経費、販売費及び一般管理費等の営業費用並びに当社の生産設備の更新、改修等に係る投資であります。
これらの資金需要につきましては、営業活動によるキャッシュ・フロー及び自己資金のほか、金融機関からの借入等による資金調達にて対応していくこととしております。
(5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成しております。この財務諸表の作成にあたり、見積りが必要となる事項につきましては、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っております。これらの見積りには不確実性が伴うため、将来において、これらの見積り及び仮定とは異なる結果となる可能性があります。
当社の財務諸表で採用した重要な会計方針は、第5〔経理の状況〕1〔財務諸表等〕(1)〔財務諸表〕の〔注記事項〕(重要な会計方針)に記載しております。
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