文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
《ミッション(使命・存在意義)》
くらしを見つめ、人々に心の満足を提供する
《ビジョン(目指す姿)》
私たちは地球の恵みを活かしたものづくりと、
卓越した物流サービスを通じて、
豊かな食生活と健康を支えつづけます。
《ニチレイが大切にする価値観~日々の行動や意思決定の規準~》
① お客様第一、安全第一、品質第一を貫く
お客様本位に徹するとはお客様との長期的な信頼の構築に努めることであり、その実現過程では安全第一、品質第一を貫かなくてはならない。この価値観は、ニチレイグループにおけるすべての事業活動の根幹である。
② 健全な利益を追求する
不公正・不当な利益は一切評価しない。コンプライアンスに違反する行為は、いとも簡単に事業継続を困難にし、企業の存続そのものを危うくする。ひとたび信頼を失えば、回復には途方もない時間がかかることを胸に深く刻み、フェアな競争に徹しなければならない。
③ 透明性の高い経営を推進する
すべてのステークホルダーから信頼されるため、誠実かつ公平な情報開示により説明責任を十分に果たして透明性の高い経営を推進し、企業価値を継続的に高めていく。
④ 持続可能な社会の実現に取り組む
食と健康を支える企業として、常に人々のくらしと未来を見据えて社会課題の解決に貢献するとともに、経済的・社会的・環境的側面に配慮しながら事業活動に取り組み、持続可能な社会の実現を目指していく。
⑤ 変革と創造に挑戦する
自由闊達な組織風土の中で失敗を恐れることなく、自己変革と新たな価値の創造に挑戦していく。
ニチレイグループ サステナビリティ基本方針「ニチレイの約束」~持続可能な社会の実現に向けて~
ニチレイグループは、地球環境・地域社会に及ぼす影響に配慮し、人権を尊重しながら、食の「調達」「生産」「物流」「販売」などの事業活動を通じて新たな価値を創造し、社会課題の解決に取り組みます。そして、これらの活動をステークホルダーの皆様に広く公表し、対話を深めながら、持続可能な社会の実現に向けて、豊かな食生活と健康を支える企業としての責任を果たしていきます。
新たな価値の創造 |
新たな商品やサービスを創り出し、事業を通じてお客様および社会の課題を解決します |
安全で高品質な商品 とサービスの提供 |
多様なニーズにこたえ、高い品質と安全性、安定した供給を実現し、お客様と社会からの信頼を獲得します |
持続可能なサプライチェーンと循環型社会の実現 |
継続的で良好なパートナーシップの構築を通じ、環境や人権・労働環境に配慮した、倫理的で持続可能なサプライチェーンと循環型社会の実現を目指します |
気候変動への取り組みと 生物多様性の保全 |
温室効果ガス排出削減、食資源や水資源の適切な管理などを通じ、地球環境と生物多様性の保全に努めます |
社会との共生 |
社会の一員として、ステークホルダーと広く対話し、共に考え、行動することで、地域の発展や社会課題の解決に貢献します |
人財の多様性の尊重と 働きがいの向上 |
働く人の多様性を尊重するとともに、労働安全衛生の確保、公正な処遇、能力開発機会の提供に努め、個々の能力を最大限に発揮できる環境を実現します |
コーポレートガバナンス の充実 |
適切な資源配分や意思決定の迅速化に努め、対話と情報開示を通じて、公正で透明性の高い経営を推進します |
コンプライアンスの徹底 |
事業を展開する各国の法令の遵守、国際的な規範の尊重および企業倫理の徹底により、誠実な企業活動を実践します |
(2) 中期的な経営戦略、目標とする経営指標、経営環境及び対処すべき課題
2022年度から2024年度の3年間を対象とするグループ中期経営計画「Compass Rose 2024」を策定しました。本計画では、これまでのCSR基本方針を刷新したサステナビリティ基本方針に基づく事業活動を通じて、社会課題の解決と資本効率の追求に取り組むことでニチレイグループの持続的な企業価値の向上を目指してまいります。
① 前中期経営計画(2019年度~2021年度)の振り返り
前中期経営計画「WeWill 2021」では、加工食品事業と低温物流事業を中心とした設備投資の実施により成長に向けた基盤強化を図るとともに「グループ全体での持続的な利益成長」「資本効率の向上と株主還元の充実」「豊かな食生活と健康を支える新たな価値創造」に取り組みました。加工食品事業においては主力カテゴリーへの集中投資等による売上高の拡大を実現し、また低温物流事業においては事業環境変化に即応した基盤強化によって安定した事業成長と収益力向上を実現しました。しかしながら、計画最終年度の2021年度において、新型コロナウイルス感染症の影響による生産拠点の稼働低下や、原材料価格高騰等のコスト上昇により連結目標数値を下回る結果となりました。
(前中期経営計画最終年度(2021年度)のグループ連結業績)
|
実績(2021年度) |
増減(対2018年度) |
増減(対計画) |
売上高 |
6,027億円 |
226億円 |
△543億円 |
内 海外売上高 |
976億円 |
184億円 |
△47億円 |
営業利益 |
314億円 |
19億円 |
△36億円 |
親会社株主に帰属する当期純利益 |
234億円 |
34億円 |
14億円 |
EBITDA* |
525億円 |
55億円 |
△51億円 |
*EBITDA=営業利益+減価償却費(リースを含み、のれんを除く)
**表示単位未満を四捨五入しております。
地政学リスクなどの影響で今後ますます調達環境が厳しくなることが予測される中、適正な価格改定やローコスト化などの収益構造改革の推進、また持続可能なサプライチェーンの確立が大きな課題と捉えております。
② 2022年度-2024年度中期経営計画「Compass Rose 2024」の概要
(イ)新中期経営計画基本方針
ニチレイグループは、「サステナビリティ基本方針~ニチレイの約束~」に基づく事業活動を通じて、豊かな食生活と健康を支える企業としての社会的責任を果たしつつ、資本効率を追求した経営に取り組み、社会的価値と経済的価値の向上を目指してまいります。
その実現のため、投下資本利益率(ROIC)に基づく事業ポートフォリオマネジメントを導入するとともに、成長分野への設備投資、海外事業拡大、新規事業、デジタル活用による業務革新などに経営資源を優先的に配分していきます。また、社会課題を解決する新たな価値の創造や持続可能な調達、気候変動への取組みなどのグループ重要事項(マテリアリティ)の目標達成に注力しつつ、ESGへの取組みを強化してまいります。
(ロ)新中期経営計画のグループ連結目標数値
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目標(2024年度) (2024年度) |
増減(対2021年度) (対2021年度) |
売上高 |
6,600億円 |
573億円 |
内 海外売上高 |
1,300億円 |
324億円 |
営業利益 |
370億円 |
56億円 |
親会社株主に帰属する当期純利益 |
245億円 |
11億円 |
EBITDA |
650億円 |
125億円 |
設備投資額(3カ年累計) |
1,200億円 |
270億円 |
ROIC |
7%以上 |
- |
(ハ)財務戦略
営業キャッシュ・フローと資産流動化により創出された資金は、企業価値の維持向上のための投資と配当や自己株式の取得を通じた株主還元に振り向けます。
株主還元については、連結自己資本配当率(DOE)を基準として安定的な配当を継続するとともに、資本効率や市場環境などを考慮のうえ自己株式の取得を機動的に実施することを基本方針とします。
・連結自己資本当期純利益率(ROE)は10%以上を維持します。
・連結自己資本配当率(DOE)3.0%を目安に配当を実施します。
(ニ)セグメント別の事業戦略
<2024年度 セグメント別目標数値>
セグメント |
売上高 |
営業利益 |
加工食品 |
2,750億円 |
184億円 |
水産 |
440億円 |
10億円 |
畜産 |
950億円 |
20億円 |
低温物流 |
2,600億円 |
162億円 |
不動産 |
48億円 |
22億円 |
その他 |
67億円 |
5億円 |
全社・消去 |
△255億円 |
△33億円 |
合計 |
6,600億円 |
370億円 |
<セグメント別の事業計画>
加工食品事業
・高騰が続くコストに対して適正な価格改定の実施、独自の装置開発によるコストの削減と品質の差別化、高い付加価値に適した価格帯の形成による収益基盤の再構築を図ります。
・パーソナルユース需要や健康意識の高まりに応える新たな価値の創造に取り組みます。
・生産体制の強化及び原材料調達のリスク分散による持続可能なサプライチェーンの構築を図ります。
・北米における生産・供給体制の確立によるアジアンフーズカテゴリー需要の取り込みを強化します。
水産・畜産事業
・カテゴリーの選択と集中による資本効率と収益性の向上を図ります。
・独自性の高いこだわり素材の販売を拡大します。
・環境認証素材の水産品の取扱い拡大及び循環型農畜産サイクルの取組みを強化します。
低温物流事業
・2024年の労働法規制対応を含む幹線輸送機能と冷凍食品物流プラットフォームを拡大します。
・保管運送一体運営の高度化により全国及び地域輸配送網を拡大します。
・業務革新、先端技術を活用した現場作業の高度化と効率化を推進します。
・将来の資本効率向上につながる設備投資を実現します。
・港湾拠点の活用や組織横断的な機能連携により欧州事業を拡大します。
その他(バイオサイエンス事業)
・成長分野である分子診断薬事業への資源集中により経営基盤を強化します。
・免疫染色装置と検査試薬を一体とした分子診断薬の販売を拡大します。
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