(1) 経営成績等の状況の概要
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症拡大防止のための緊急事態宣言やまん延防止等重点措置により、経済活動が大きく停滞いたしました。依然として新型コロナウイルス感染症の収束は見通せず、さらには、ロシアによるウクライナ侵攻による地政学的リスク、原油・原材料の高騰、為替相場の動向など、先行き不透明な状況が続いております。
このような情勢の中、当社グループの主たる事業領域である医療・健康産業においては、団塊ジュニア世代が全員65歳以上に達することで高齢者数がピークを迎え、医療費等の負担の増加が拡大する2040年問題を抱えております。一方で、政府によれば、2040年における医療従事者数は今後も横ばいを継続する見通しとなっており、医療産業においては慢性的な人材不足の解消が課題となっております。また、新型コロナウイルス感染症の再流行により、医療資源の拡充や柔軟な医療体制の整備の必要性が改めて認識されました。
このような背景のもと、令和4年度診療報酬改定によりオンラインでの初診料の引き上げやオンライン服薬指導の実施要件が緩和されるなど、医療体制のオンライン化の推進が図られ、医療現場の効率化・生産性向上に向けた取り組みが加速しております。
以上の事業環境の中、当社は、未病・予防→疾病→未病・予防という「ヘルスケアサイクル」において、「疾病期間」の短縮化・「未病・予防期間」の長期化を通じて、国民の健康寿命の伸長を実現するとともに、拡大する社会保障費の削減に貢献すべく、「ヘルスケアサイクル」の全てをカバーする商品・サービスの拡充・提供に取り組んでまいりました。
「疾病期間」の短縮化に向けては、オンライン診療・オンライン服薬指導・処方箋医薬品の宅配までをワンストップで提供する医療プラットフォーム「SOKUYAKU」の運営を通じ、医療機関のデジタル・トランスフォーメーション(DX)化の推進、患者の利便性向上に努めてまいりました。また、株式会社大賀薬局、株式会社杏林堂薬局、株式会社クスリのアオキホールディングス、総合メディカル株式会社をはじめとする医療機関・薬局への「SOKUYAKU」導入が進み、主要経営指標(KPI)である提携病院数・薬局数・アプリ会員数は計画を大幅に上回り、提携医療機関数は1年間で7倍に、アプリ会員数は1年間で171倍に増加いたしました。さらに、法人顧客向けオンライン診療システム提供サービス「SOKUYAKU ASP」やドラッグストア等を対象にした「ついで買いサービス」、薬局の効果的な集客を支援する「SOKUYAKUオンライン薬局」、医療人材の紹介事業、自由診療クリニックの集客支援事業など、当社の収益獲得手段の多角化も推進いたしました。
また、「未病・予防期間」の長期化に向けては、消費者の健康増進・生活の質向上につながるような自社オリジナル医薬品・健康食品等のD2C事業(EC・通販事業)、さらにはクライアント企業のヘルスケア商品の販促支援の推進に注力してまいりました。特に、医薬品分野に対する集中的な広告投下を実施した結果、第1類医薬品や生漢煎®防風通聖散等の第2類医薬品を含む医薬品の販売が堅調に推移いたしました。
以上の結果、当事業年度の売上高は11,876,681千円、営業利益は732,239千円、経常利益は712,818千円、親会社株主に帰属する当期純利益は400,519千円となりました。
セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。
(メディカルケアセールス事業)
メディカルケアセールス事業におきましては、新規顧客の獲得効率やLTV(Life Time Value:顧客生涯価値)が高い第1類医薬品や生漢煎®防風通聖散等の第2類医薬品に対して、戦略的に広告費を集中投下したことにより、医薬品の販売が好調に推移いたしました。
また、医療プラットフォームサービス「SOKUYAKU」については、新型コロナウイルス感染症の収束がいまだ見通せない中、遠隔医療サービスに対する消費者ニーズは依然強く、アプリ会員数は好調に増加、併せて「SOKUYAKU」提携病院数・薬局数も計画を上回るスピードで増加いたしました。
さらに、自社の福利厚生目的や顧客・会員の囲い込みのニーズがある事業法人・医療法人等に対する新サービス「SOKUYAKU ASP」や、ドラッグストア等の併設調剤薬局において、オンライン服薬指導とともに、日用品や食料品等の店舗商品を注文し、処方薬との一括配送を行う「ついで買いサービス」、効果的にオンライン服薬指導患者の集客を支援する「SOKUYAKUオンライン薬局」、医療人材の紹介事業、自由診療クリニックの集客支援事業など、当社の収益獲得手段の多角化も推進いたしました。
その結果、セグメント売上高は4,988,568千円、セグメント利益は339,874千円となりました。
(ヘルスケアセールス事業)
ヘルスケアセールス事業におきましては、既存顧客の満足度向上、消費者の健康増進・生活の質向上につながるような新商品開発に注力いたしました。戦略的にメディカルケアセールス事業における医薬品のD2C事業や「SOKUYAKU」に対して広告投下を集中したことから、ヘルスケアセールス事業における広告出稿額が減少いたしました。
その結果、セグメント売上高は3,043,248千円、セグメント利益は779,434千円となりました。
(ヘルスケアマーケティング事業)
ヘルスケアマーケティング事業におきましては、ブランディングに関するコンサルティング案件の新規獲得に加えて、ダイレクトメール(DM)マーケティング、コールセンターなどのBPO(Business Process Outsourcing)サービスの展開を開始し、受注が好調に推移いたしました。
その結果、セグメント売上高は3,844,864千円、セグメント利益は37,454千円となりました。
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産の残高は、4,921,394千円となりました。主な内訳は、現金及び預金2,956,408千円、売掛金1,334,228千円、商品及び製品407,803千円であります。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産の残高は、1,139,143千円となりました。主な内訳は、有形固定資産47,995千円、無形固定資産886,534千円(うち、のれん876,666千円)、投資その他の資産204,614千円であります。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債の残高は、1,443,695千円となりました。主な内訳は、買掛金524,591千円、未払金357,143千円、未払法人税等188,959千円であります。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債の残高は、460,058千円となりました。主な内訳は、長期借入金446,069千円であります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産の残高は、4,156,784千円となりました。主な内訳は、資本金が1,486,978千円、資本剰余金が1,469,978千円、利益剰余金が1,630,954千円、自己株式が452,200千円であります。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は2,968,654千円となりました。
各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、使用した資金は366,943千円となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益701,517千円、仕入債務の増加額151,633千円等により資金が増加した一方で、売上債権の増加額476,488千円、未払金の減少額486,670千円、法人税等の支払額401,457千円等により資金が減少したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、使用した資金は860,094千円となりました。これは主に、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出855,275千円、事業譲受による支出85,000千円、貸付けによる支出55,000千円等により資金が減少したことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、獲得した資金は2,564,597千円となりました。これは主に、自己株式の取得による支出453,194千円等により資金が減少した一方で、株式の発行による収入2,865,321千円、長期借入れによる収入200,000千円等により資金が増加したことによるものであります。
a.仕入実績
当連結会計年度の仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.金額は、仕入価格によっております。
2.当連結会計年度より連結財務諸表を作成しているため、前年同期比は記載しておりません。
b.生産実績
当社グループは、OEM製造により外部へ製造を委託しており、生産活動を行っていないことから、該当事項はありません。
c.受注実績
当社グループは、OEM製造による見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
d.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.当連結会計年度より連結財務諸表を作成しているため、前年同期比は記載しておりません。
3.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについては、過去の実績や状況に応じ合理的と考えられる様々な要因に基づき行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は報告数値と異なる可能性があります。
当連結会計年度における連結財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
また、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、特に重要なものは次のとおりであります。
(棚卸資産の評価)
棚卸資産は、期末における正味売却価額が取得原価よりも下落している場合には、当該正味売却価額まで帳簿価額を切り下げていますが、営業循環過程から外れた滞留品については、過去の販売実績や賞味期限等に基づき規則的に帳簿価額を切り下げる方法により、収益性の低下の事実を適切に反映するよう処理しています。その際、当連結会計年度の販売数量に関する趨勢を踏まえた各在庫品目の将来の販売予測数量を重要な仮定として用いております。当該仮定として用いた販売数量に関する趨勢が変動した場合には、翌連結会計年度以降の売上原価に追加の評価損を計上する可能性があります。
(繰延税金資産の回収可能性)
将来の課税所得を合理的に見積り、回収可能性があると判断した将来減算一時差異については、繰延税金資産を計上することとしております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、繰延税金資産の計上額に影響する可能性があります。
(のれんの減損処理)
のれんについては、投資効果が及ぶ期間にわたり、均等償却しております。のれんの対象事業の収益性が低下し、減損の必要性を認識した場合、のれんの減損処理が必要となる可能性があります。
(売上高)
当連結会計年度の売上高につきましては、11,876,681千円となりました。売上高の概況につきましては、「第2 事業の状況 3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」に記載のとおりであります。
(売上原価及び売上総利益)
当連結会計年度の売上原価は6,477,461千円となりました。
この結果、売上総利益は5,399,220千円となりました。
(販売費及び一般管理費及び営業利益)
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は4,666,980千円となりました。これは主に、広告宣伝費2,410,545千円、荷造運賃480,081千円の計上によるものであります。その結果、営業利益は732,239千円となりました。
(営業外損益及び経常利益)
当連結会計年度の営業外収益は10,893千円となりました。これは主に、保険解約返戻金5,696千円の計上によるものであります。
当連結会計年度の営業外費用は30,315千円となりました。これは主に、支払利息1,449千円、貸倒引当金繰入額1,088千円、株式交付費25,778千円の計上によるものであります。
この結果、経常利益は712,818千円となりました。
(特別損益及び法人税等合計及び当期純利益)
当連結会計年度の特別利益は2千円となりました。これは新株予約権戻入益2千円の計上によるものであります。
当連結会計年度の特別損失は11,302千円となりました。これは固定資産除却損1,448千円、投資有価証券売却損9,854千円の計上によるものであります。
法人税、事業税及び事業税(法人税等調整額を含む)は301,059千円となりました。
この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は400,519千円となりました。
③ 財政状態の分析
財政状態の分析については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フ ローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の状況」をご参照下さい。
④ キャッシュ・フローの分析
キャッシュ・フローの分析については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」をご参照下さい。
経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
当社グループの資金需要につきましては、更なる事業拡大に向けて、SOKUYAKU事業やD2C事業(EC・通販事業)における広告宣伝費や人材の確保といった集客体制の強化や商品開発のための投資を行っていく想定であります。これらの資金需要は内部留保で賄うことを原則としながら、中長期における資金需要並びに金利動向等を注視したうえで必要に応じて機動的に資金調達を行い、財務の健全性を維持する方針であります。
「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、当社グループが今後更なる成長を遂げるには様々な課題に対応していくことが必要であると認識しております。そのため、経営者は常に外部環境やその変化に関する情報の入手及び分析を通じ、最適な解決策を実施していく方針であります。
当社グループでは、事業を継続的に発展させていくためには、将来成長のための広告投資を継続して収益力を高めつつ、適正な利益の確保を図ることが重要と認識し、客観的な指標として、売上高、広告宣伝費、及び営業利益を重視しており、これらの指標のバランスと適正化を図る経営に努めてまいります。
2022年5月期においては、売上高11,876,681千円、広告宣伝費2,410,545千円、営業利益732,239千円となりました。
今後も事業の成長のためには新規顧客獲得のための広告費投下が必要不可欠であることから、広告媒体ごとの広告市況や顧客の反応、CPO(注1)を随時モニタリングしながら、効果的かつ効率的な広告費投下を実施するとともに、営業利益水準にも着目することで収益性の確保も図ってまいります。
また、当社事業モデルを勘案したうえでの重要な経営指標は、メディカルケアセールス事業のSOKUYAKU事業では、SOKUYAKUプラットフォームの拡大を重視し「会員数(SOKUYAKUアプリダウンロード数)」、「提携医療機関数」及び「提携薬局数」の3点を、ヘルスケアセールス事業及びメディカルケアセールス事業の医薬品通販事業では、今後の収益の源泉となる「一年間に新規獲得した定期顧客数(注2)」を、ヘルスケアマーケティング事業では「取引先社数」を、それぞれ重要な指標としております。
2022年5月期においては、メディカルケアセールス事業のSOKUYAKU事業におきましては、ウェブ広告や動画配信広告を積極的に展開することで「会員数」の新規獲得を推進し、特に、顧客からの問い合わせの多い診療科や症状に特化したウェブ広告等を複数発信することで、顧客ニーズにマッチした効果的な広告展開を推進してまいりました。また、ヘルスケアマーケティング事業で培ったインサイドセールス体制をSOKUYAKU事業にも導入することで、効果的かつ効率的に営業活動を展開し大幅に「提携医療機関数」及び「提携薬局数」が増加しております。
メディカルケアセールス事業のSOKUYAKU事業は、2022年5月末では、会員数292,048人(前年同期比16,988.8%増加)、提携病院数2,271件(前年同期比445.9%増加)、提携薬局数3,233件(前年同期比891.7%増加)となりました。
また、ヘルスケアセールス事業及びメディカルケアセールス事業の医薬品通販事業における一年間に新規獲得した定期顧客数は356,909人(前年同期比18.5%増加)となり、効果的な広告投資により新規定期会員獲得数の大幅な増加となりました。また、ヘルスケアマーケティング事業における取引先社数は、ウェブセミナー参加者やセミナー資料ダウンロード先へのフォローアップに基づくインサイドセールスの体制が整い、効率的な営業活動が可能となったことから、2022年5月期で184社(前年同期比40.5%増加)となりました。
なお、ヘルスケアセールス事業及びメディカルケアセールス事業の医薬品通販事業における「一年間に新規獲得した定期顧客数」につきましては、上記の通り広告媒体ごとの広告市況や顧客の反応、CPOを随時モニタリングしながら、効果的かつ効率的な広告費投下を実施することで、今後も堅調な定期顧客獲得を推進してまいります。
さらに、ヘルスケアマーケティング事業における「取引先社数」につきましては、営業人員の増員確保に加えまして、今後もインサイドセールスによる効率的な営業活動により、取引先社数の伸長を図ってまいります。
(注1)「CPO」とは、Cost Per Orderの略であり、新規の定期顧客一人あたり広告費用のことをいいます。
(注2)「定期顧客数」とは、「当社全商品の定期コース会員の延べ人数」となります。
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