当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種の進展により、2021年9月30日には緊急事態宣言及びまん延防止等重点措置が全国的に解除される等、経済活動と社会活動の再開に向けた動きがみられました。しかし、2021年末以降は新型コロナウイルス感染症の新たな変異株による感染者数が急拡大に転じております。また、ウクライナ情勢の悪化といった地政学的リスクも重なり、資源価格の上昇など、依然不透明な状況で推移することが懸念されます。
住宅業界におきましては、グリーン住宅ポイント制度の導入、住宅ローン控除及び住宅取得等資金に係る贈与税非課税措置の延長等の政府施策により、住宅投資を喚起する環境の中で、国土交通省発表による全国の新設住宅着工戸数(出典:国土交通省 建築着工統計調査 2021年 年次データ)が、前期比105.0%となりました。当社グループでは新築一戸建の建設を主な事業としており、これに関連する「持家」の新設住宅着工戸数につきましては前期比109.4%、「分譲住宅(一戸建)」の新設住宅着工戸数につきましては同107.9%となっており、巣ごもり生活やテレワークの浸透により戸建住宅取得の意欲が醸成され、「持家」の新設住宅着工戸数が前期比プラスに転じております。しかし、2021年春頃から「ウッドショック」と呼ばれる世界的な木材不足と価格の高騰が生じており、建築資材の高騰や供給不安など、先行きについては不確実性が継続しております。
当社グループの地盤である愛知県における新設住宅着工戸数(出典:国土交通省 建築着工統計調査 2021年 年次データ)は、「持家」につきましては前期比106.5%、「分譲住宅(一戸建)」につきましても同110.8%となっており、コロナ禍でも巣ごもり生活やテレワークに対応可能な環境を求める消費者が、戸建住宅を求める傾向がみられます。
このような状況のもとで、当社グループは、戸建住宅事業における「注文住宅」×「分譲住宅」×「不動産仲介」のビジネス展開(ワンストップ・プラットフォーム)を推進して、「注文住宅」及び「分譲住宅」で培ったノウハウを相互に利用することで、顧客ニーズに合った戸建住宅の提案を行い、「不動産仲介」においては、戸建住宅に最適な土地情報の収集を行ってまいりました。
また、2021年10月にリニューアルした「アールギャラリー」ホームページ等のテーマ性を持ったWebサイトやSNSを活用した当社独自のデジタルマーケティングを展開して関心の高い顧客層へ確実に当社グループの情報を到達させるとともに、住宅購入を検討中の潜在層へ幅広くアプローチする効率的な集客体制を強化し、デザイン・設計力、高性能、適正価格の全てにこだわりを持つコストパフォーマンスを重視した商品力により戸建住宅の需要を積極的に取り込みました。
さらに、デザイン・設計力、高性能、適正価格の全てにこだわりを持つコストパフォーマンスを重視した商品力が総合的に評価され、当社が『住む人の個性が際立つ空間「Fの家」プロジェクト』として展開している注文住宅ブランド「Fの家」が公益財団法人日本デザイン振興会が主催する2021年度グッドデザイン賞を受賞いたしました。
今後の首都圏エリアでの成長を加速させるため、新たな販売活動の拠点として武蔵野展示場(2022年1月)を開設し、将来の持続的成長実現に向けた設備投資を行いました。そして、東海エリアのさらなるシェアアップのため、愛知県に新たな販売活動の拠点として小牧展示場(2021年9月)を開設いたしました。
売上高につきましては、巣ごもり生活やテレワークなどの価値観や消費行動が変わる「ウィズコロナ」の時世の中、郊外を中心とした戸建住宅の需要の増加が続いており、過去最高を更新することができました。
以上の結果、当連結会計年度における売上高は28,057,223千円(前期比27.5%増)、営業利益は1,519,852千円(前期比142.9%増)、経常利益は1,383,335千円(前期比164.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は960,020千円(前期比174.7%増)となりました。
セグメントの業績は次のとおりであります。
(戸建住宅事業)
戸建住宅事業につきましては、愛知県及び首都圏エリアの中心である東京都における新設住宅着工戸数(出典:国土交通省 建築着工統計調査 2021年 年次データ)が前期比プラスに転じており、また郊外を中心に戸建住宅需要が増加しております。
こうした中、注文住宅につきましては、当社独自のデジタルマーケティングにより旺盛な戸建住宅への需要を積極的に取り込み、ブランド力の向上に伴う営業現場での徹底した適正価格提供により、注文住宅の売上高は、順調に推移いたしました。
なお、注文住宅の請負工事につきましては、契約の締結から着工・竣工までが通常長期間に及ぶため、住宅展示場の開設が売上実績に反映されるまでタイムラグが生じることになります。
分譲住宅につきましては、愛知県における「分譲住宅(一戸建)」の新設住宅着工戸数は前期比110.8%、また東京都における「分譲住宅(一戸建)」の新設住宅着工戸数は前期比99.5%となったものの、顧客ニーズを捉えた土地の仕入れを行うとともに、巣ごもり生活やテレワークなど価値観や消費行動が変わり、当社独自のデジタルマーケティングの活用によりコロナ禍で住宅環境における快適性を求める傾向を積極的に取り込んだ結果、分譲住宅の売上高は、好調に推移いたしました。
一方で、費用面につきましては、さらなる事業拡大に向けた積極的な投資を行った結果、住宅展示場新設等の拠点に関わる費用や積極的な採用の継続により人件費が増加いたしました。また、販売棟数増加に伴い住宅顧客紹介に関する支払手数料が増加しております。
この結果、売上高は27,378,163千円(前期比26.6%増)、セグメント利益は2,349,488千円(前期比64.2%増)となりました。
(中古再生・収益不動産事業)
中古再生・収益不動産事業につきましては、中古住宅・収益不動産物件の売却及び賃料であり、収益不動産物件の売却収入の増加により、売上高は648,250千円(前期比80.8%増)、セグメント利益は75,018千円(前期比177.6%増)となりました。
(その他)
その他につきましては、主に顧客紹介手数料及び火災保険の代理店手数料であり、売上高は30,808千円(前期比17.5%増)、セグメント利益は29,182千円(前期比31.5%増)となりました。
なお、第2四半期連結累計期間より報告セグメントの名称を「その他不動産事業」より「中古再生・収益不動産事業」に変更しております。また、この変更はセグメント名称の変更であり、セグメント情報に与える影響はありません。
(資産)
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べて6,533,136千円増加し、22,555,812千円となりました。これは、流動資産が6,228,249千円増加し、20,830,322千円となったこと及び固定資産が304,887千円増加し、1,725,489千円となったことによるものであります。
流動資産の主な増加は、販売用不動産が1,334,295千円、仕掛販売用不動産が3,810,021千円増加したこと等によるものであります。
固定資産の主な増加は、住宅展示場等の新設や来期の拠点開設のための設備投資として建設仮勘定が増加したため有形固定資産が139,431千円増加し、住宅展示場及びショールームの開設に伴う差入保証金等の増加により投資その他の資産が158,020千円増加したこと等によるものであります。
(負債)
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べて4,902,428千円増加し、18,629,201千円となりました。これは流動負債が4,446,931千円増加し、13,766,949千円となったこと及び固定負債が455,496千円増加し、4,862,251千円となったことによるものであります。
流動負債の主な増加は、支払手形及び買掛金が842,733千円及び1年内返済予定の長期借入金が1,891,367千円、並びに顧客等から受領した前受金が703,982千円増加したこと等によるものであります。
固定負債の主な増加は、たな卸資産の購入のための長期借入金が532,891千円増加したこと等によるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べて1,630,707千円増加し、3,926,610千円となりました。これは、当社普通株式の東京証券取引所マザーズ市場(グロース市場 提出日現在)への上場に伴う公募増資により274,482千円及び第三者割当増資(オーバーアロットメントによる売出しに関連した第三者割当増資)により60,996千円、資本金及び資本剰余金がそれぞれ増加したこと、並びに親会社株主に帰属する当期純利益960,020千円の計上により利益剰余金が960,020千円増加したこと等によるものであります。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べて782,880千円増加し、3,226,729千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による資金の減少は、2,456,776千円(前連結会計年度は162,145千円の増加)となりました。これは主として、たな卸資産の増加額5,144,317千円等による資金の減少が、税金等調整前当期純利益1,368,453千円の計上、仕入債務の増加802,753千円及び前受金の増加703,982千円等による資金の増加を上回ったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金の減少は、379,377千円(前連結会計年度は290,866千円の減少)となりました。これは主として、有形固定資産の取得による支出266,823千円及び差入保証金の差入による支出81,833千円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による資金の増加は、3,619,034千円(前連結会計年度は444,015千円の増加)となりました。これは主として、短期借入金の純増加額653,580千円及び長期借入れによる収入6,130,350千円、並びに株式の発行による収入661,574千円等による資金の増加が、長期借入金の返済による支出3,706,091千円等の資金の減少を上回ったことによるものであります。
当社グループが展開している事業領域においては、「生産」を定義することが困難であるため、生産実績は記載しておりません。
第19期連結会計年度における受注実績は、以下のとおりであります。
(注) 1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.戸建住宅事業のうち、注文住宅の該当金額を記載しております。
3.中古再生・収益不動産事業及びその他については、事業の性質上記載を省略しております。
4.当連結会計年度より、受注高の算定方法を一部変更し、前年同期比について遡及後の金額に基づいて算定しています。
第19期連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりであります。
(注) 1.セグメント間取引については相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(売上高)
当社グループは、「売上高」及び「営業利益」をグループ全体の成長を示す経営指標として位置づけており、注文住宅と分譲住宅の「販売棟数」をより具体的な重要な指標として考えております。経営者が社員と経営方針を共有する場として、社員総会等社員が集う会議体を設け、目指すべき目標を掲げ、社内の経営指標に対する意識の共有に努めております。
グループ全体の当連結会計年度における売上高は、28,057,223千円(前期比27.5%増)となりました。内訳としては、戸建住宅事業が27,378,163千円(前期比26.6%増)、中古再生・収益不動産事業が648,250千円(前期比80.8%増)、その他が30,808千円(前期比17.5%増)となっております。
戸建住宅事業につきましては、愛知県及び首都圏エリアの中心である東京都における新設住宅着工戸数(出典:国土交通省 建設着工統計調査 2021年 年次データ)が前期比プラスに転じており、また郊外を中心に戸建住宅需要が増加しております。
注文住宅につきましては、販売棟数が329棟となり前期比で55棟増加いたしました。前連結会計年度において2020年6月に首都圏エリア初の住宅展示場となった立川展示場、2020年8月に東海エリアに中川展示場を開設し、住宅展示場数(当時の天白展示場を除く。)が従来の8拠点から10拠点に増加したことにより、これらの住宅展示場における前連結会計年度の契約実績が売上の増加に寄与いたしました。
分譲住宅につきましては、販売棟数が423棟となり前期比で98棟増加いたしました。顧客ニーズを捉えた土地の仕入れを行うとともに、巣ごもり生活やテレワークなど価値観や消費行動が変わり、当社独自のデジタルマーケティングの活用によりコロナ禍で住宅環境における快適性を求める傾向を積極的に取り込んだ結果、販売棟数が増加したと分析しております。
(売上原価、売上総利益)
売上原価は、22,945,244千円(前期比26.2%増)となりました。これは、東海エリアや首都圏エリアでの大幅な販売棟数増加により、住宅建築及び土地仕入の費用等が増加したためです。売上総利益は、売上の増加により住宅建築及び土地仕入の費用等が増加したものの、分譲用土地の仕入効率強化により粗利率が好転し、5,111,978千円(前期比33.5%増)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
販売費及び一般管理費は、3,592,126千円(前期比12.1%増)となりました。これは、今後の持続的な成長による企業価値向上の実現のため、新規出店、人財採用等の積極的な先行投資として、住宅展示場等拠点の増加に関わる費用、人員の拡充に伴う給与手当等の人件費及び住宅顧客紹介に関する支払手数料等が増加したことによるものであります。この結果、営業利益は1,519,852千円(前期比142.9%増)となりました。
(営業外収益、営業外費用、経常利益)
営業外収益は17,272千円(前期比24.2%増)、営業外費用は支払利息123,334千円等により153,788千円(前期比32.2%増)となり、この結果、経常利益は1,383,335千円(前期比164.3%増)となりました。
(特別利益、特別損失、親会社株主に帰属する当期純利益)
特別利益は車両売却益により3,418千円(前年同期は91千円)、特別損失はショールーム移転に伴う減損損失17,875千円等により、18,300千円(前期比19.2%増)となり、税金等調整前当期純利益は1,368,453千円(前期比169.3%増)となりました。
また、法人税等を408,433千円計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は960,020千円(前期比174.7%増)となりました。
② 財政状態の状況に関する分析・検討内容
財政状態の状況の分析については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の状況」に含めて記載しております。
当社グループの主な資金需要は、事業規模拡大に伴い必要となる運転資金、事業用地・物件の取得及び住宅展示場・不動産営業所等の開設を行うための設備投資であります。これらの資金需要は自己資金及び金融機関から調達した有利子負債等を充当しております。資金調達については、資金使途に応じて最適な資金調達手法を検討し、適切なコストで安定して資金を確保することを基本方針としております。
キャッシュ・フローの状況の分析については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に含めて記載しております。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
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