文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社片倉工業㈱は、1873年の創業以来、国内最大手のシルクメーカーとして「カタクラシルク」のブランドを世界に広めると同時に、わが国近代産業の発展に寄与してまいりました。また、長い歴史の中で培われてきた信頼と有形無形の財産の有効活用により事業の多角化を推進し、カタクラグループとして広く社会に貢献してまいりました。創業から140年以上の長きにわたり培われた社風である「親和協力」のもと、ステークホルダーの皆様の満足を得ることに努め、社会と共に持続的な発展を目指すために、以下の経営理念を掲げております。
≪経営理念≫
≪経営ビジョン≫
(2) 対処すべき課題
今後のわが国経済は、世界的なインフレや金融緩和縮小による景気減速懸念に加え、新型コロナウイルス感染症の収束が見通せないこと等により、先行き不透明な状況が続くものと思われます。
また、新型コロナウイルス感染症の拡大は、人々の価値観や消費行動、社会構造にも変化をもたらしており、当社グループにおいてもこれらの変化を注視して対応していく必要があると考えております。
当社は、2017年以降不採算事業の大幅な縮小・撤退や固定費削減などの一連の構造改革により、収益体質は大幅に改善いたしました。
ポスト構造改革の取り組みとして、グループの資金効率化をより一層追求し、成長事業において新たな収益源の獲得に必要な体制の整備や、成熟事業においても持続可能性を高め、社会的責任を果たすために必要な投資を行うことで企業価値の向上を目指してまいります。
また、子会社案件を含む重要議案の適時適切かつ機動的な審議を実施すること等を通じ、更なる取締役会の実効性向上を図るとともに、リスク統括委員会の機能強化によりグループ全体のリスクマネジメント(コンプライアンス教育含む)の充実をはかることで、ガバナンス体制の一層の強化に努めてまいります。
さらに、働く人の成果により報いることができるよう、人事制度を見直し社内外から積極的に人材登用を行ってまいります。加えて、柔軟な働き方に対応し一人ひとりが安心して働き続けられ、十分に能力を発揮できる職場環境を整えることで持続的な成長を目指してまいります。
主要な事業の対処すべき課題は次のとおりです。
(不動産事業)
中核事業であるコクーンシティ(さいたま新都心駅前社有地)については、ウィズコロナ、アフターコロナの施設運営において安全安心の徹底に努めます。
また、テナント入替や環境整備の推進による集客魅力、施設鮮度の維持向上を図るとともに、持続的な街の成長に向けて、エリアマネジメント活動等、地域、社会のニーズに応える街機能の充実を目指してまいります。
その他物件については、それぞれのマーケット動向を把握し、事業サイクルと将来の事業性を見極めながら収益物件としての価値を持続させるとともに、新たな活用が見込める不動産については、具体的な開発検討に着手し、早期収益化に努めてまいります。
(医薬品事業)
製薬業界は、2021年4月から薬価の毎年改定の影響を受けるなど、厳しい事業環境に置かれております。
2022年4月の自社販売体制への移行による販売チャネルの切り替えに伴い、一時的に業績が悪化するものの、強みである循環器領域において更なる独自性ある製品ラインナップの強化を図るほか、幅広く他の製薬会社や研究機関とも業務提携を進める体制を整えてまいります。
また、販売・生産・研究にかかるコスト構造の更なる見直しと、効率的な事業運営により安定した収益基盤の確立に努めてまいります。
(機械関連事業)
消防自動車事業については、新型コロナウイルス感染症拡大の影響による地方公共団体からの受注減に加えて、トラック業界における車載用半導体不足により、車両の調達に深刻な影響が出ております。
今後は、車載用半導体の供給状況を注視し、車両の確保に努めるとともに引き続き仕様の集約や生産性向上に取り組むことで更なる採算性の改善を図ってまいります。
(繊維事業)
実用衣料については、既存商材の拡販やコスト構造の見直し等による事業基盤の強化に加え、介護商品など高付加価値商品の拡充による収益力強化を進めてまいります。
機能性繊維については、生産能力の増強に加え、新たな高機能素材の開発と耐熱性繊維の用途開発・販路拡大を進めてまいります。
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