文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、社是である「和を以て尊しと為す」を創業以来大切に想い、経営理念に「快適な住環境を提供し、豊かな暮らしづくりに貢献する」を掲げています。
暮らしや産業、公共の社会基盤を支えることを使命と考え、管工機材と住宅設備資材を販売することを通して、安全かつ快適な暮らしができる社会づくりに貢献することを経営の基本方針としています。
この基本方針のもと、持続的な企業価値の向上を図り、全てのステークホルダーの「信頼と期待」に応えていく企業活動を実践してまいります 。
(2)目標とする経営指標
主な経営指標としては、売上高の安定的な拡大及び収益力を示す営業利益、経常利益の向上を目標としており、一方で収益性だけでなく資本コストを意識し、特に加重平均資本コスト(WACC)に着目して、投下資本(株主資本+有利子負債)に対して、効率的に税引後営業利益を獲得しているかの指標であるROIC(投下資本利益率)を重視しております。これら経営指標の向上に、継続して取り組んでまいります。
(3)経営環境および中長期的な経営戦略
1)経営環境
国内経済は、新型コロナウイルス感染症の終息が引き続き見通せず、産業によっては一部持ち直しの動きが見られるものの、本格的な回復が見えない状態が続いています。また、ウクライナ情勢からの欧州経済の減速やゼロコロナ政策の中国経済の失速で、世界的に経済が鈍化しており、資源、燃料、食料の値上げからのインフレ圧力、原材料価格や製造コストの上昇、米国の利上げによる円安進行等の影響で、国内景気の下振れリスクには注視が必要です。
当社グループの取り巻く環境である住宅市場は、新設住宅着工戸数は堅調な推移が予想されています。消費者が在宅勤務増で住環境に高い関心を持ち、郊外の戸建て需要が高まっていることや都市部の駅近マンションも注目が高まっており、需要は旺盛です。
建設市場における民間投資は、設備投資の持ち直しがみられ、東京都心のビル供給やその他都市の再開発、EC市場拡大に伴う物流倉庫投資など堅調な動きが予想されます。一方で資材価格の高騰や供給不足、サプライチェーンの混乱による完工の遅延が危惧されます。 公共投資は、防災・減災のための強靭化計画が2年目となり、インフラの老朽化対策などの経済対策は一定の水準は維持されると思われます。中長期の大型プロジェクトでは、大阪・関西万博や統合型リゾート(IR)、リニア新幹線などが期待されます。
2)中長期的な経営戦略
上記のような経営環境の中、新設住宅着工戸数などの市場動向や外部要因に左右されにくい安定的な事業を持続的に拡大させるため、「3つのトランスフォーメーション(変革)を実現する」をグループの全社的な経営目標として、以下のとおり中長期の戦略を進めていきます。
① 製品・市場のポートフォリオの変革
グループの事業ポートフォリオについて、コア事業を見極めた強化と整理、収益力の向上、グループシナジーの発揮、新規事業の展開などの観点で見直し、製品ごと市場ごと「誰に何を提供するのか」を明確にして、経営資源を集中させて事業の最適化を進めます。
② 業務プロセスの変革
地域戦略に基づいた営業所の拡張移転や再編、東西の物流センターや倉庫の物流業務に本社管理業務も加え、デジタル・トランスフォーメーション=DX(以下、DXという)を活用してシステム化・省力化・効率化を進め、生産性を高める取り組みを推進します。特に物流センターについては、DXの活用により営業・倉庫・受発注・配送一体のネットワークサービスを提供することで、顧客満足度を高めてまいります。また、初心者でも扱えるよう操作を簡便化したシステムを導入するほか、顧客との受発注をオンライン化するEDIシステムの導入も進めていきます。
③ 組織・人材の変革
「企業の成長の源は人的資本にあると考え、多様な考え、能力、経験、価値観を保有する人材を受け入れ、活躍できる環境を創り、社員ひとりひとりが能力を最大限に発揮することによって企業価値を向上させる」を基本方針としたダイバーシティ&インクルージョンを推進します。
また、変革を起こす人材づくりの育成面は、社員各階層の知識・スキルの向上を目指した人材開発に加え、モチベーション向上の取り組みを行うことで、業務を遂行するために必要な組織能力や良好な職場環境を構築していきます。
3) 優先的に対処すべき業務上及び財務上の課題
① 営業拠点、物流拠点の拡充と再構築
全国展開している数少ない管材商社として、より地域特性に応じた顧客密着型営業を強固にするために、成長性ある地域への展開や配送の効率性、事業の採算性向上を目指した営業所の拡張移転及び統廃合などの物流拠点の拡充を、一段と促進します。
物流は、東西の物流センター機能を強化することに加え、DXを活用した再構築で営業・倉庫・受発注・配送のネットワークサービスを提供することで、顧客満足度を高めてまいります。また、運送会社との戦略的協働で物流ネットワークの競争力を更に向上させます。
② 既存事業の持続的成長及び新規事業分野への進出
管工機材は、住まいと産業、公共の基盤である様々な建築物の給排水・衛生・空調設備で、なくてはならない商材となっています。生活や産業、都市機能が変化する時代のなか、役割、機能、材質も大きく変化しており、環境も含めた未来を視野においた貢献が求められています。
既存事業は、子会社ダイドレの主力商品MD継手の販売強化、鋳物から樹脂へニーズが高まる高機能商材の対応、取扱いメーカーを拡大しての住設販売、施工・加工を付加価値とした機能を付与した施策などを強化し、各分野で幅広く拡販していきます。
新規事業は、製品・サービスの市場拡大を狙い、子会社の新規事業Toskの協業、防災・減災商材に土木・建材商材も加えた取り組みで、ビジネスモデルと収益構造の変革を目指します。
また、グループ子会社では、組立・加工部門での施工の省力化商材販売、施工部門での工事と商材の一体受注などグループ機能でシナジーを発揮して、付加価値の創造を目指してまいります。
③ 財務体質の強化、資本効率の向上
持続的な成長のための新たなチャレンジには、激しい環境変化に対応できる強固な財務基盤が必要となります。
そのために売上総利益額の向上並びにコスト適正化による利益体質強化、在庫管理などの資産の健全化により有利子負債を圧縮させ、自己資本比率の向上、キャッシュ・フローの増強に努めてまいります。
さらに、上場企業の責務として株主から託された資本を有効に活用するため、資本の効率性も高めてまいります。ROIC(投下資本利益率:税引後営業利益÷[株主資本+有利子負債])の指標を全社的に展開して、主管する各部門がKPIを設定して資本効率の向上を目指します。
④ 人材確保、人材育成の充実
重要な経営資源である人材の確保と育成は、最大の経営課題との認識のもと、人事制度や人材開発・教育を充実させるとともに、DXを活用して生産性を向上させていきます。
また、重要な人事戦略であるダイバーシティ&インクルージョンの実現と合わせ「働きがい・モチベーション」が高まり、人材定着に繋がるワークライフバランスの促進に取り組んでいきます。
⑤ サステナビリティ経営の推進
CSR(企業の社会的責任)とESG(投資家視点での環境・社会・ガバナンス)をSDGs(国連が決めた持続可能な開発目標)の取り組みを通じて果たすことで、サステナビリティ(社会の持続可能な発展)に貢献してまいります。
SDGsの取り組みとしては、主要仕入先との協業活動や防災・減災商材を販売・施工することで「住み続けられる街づくり」に、新規事業Toskのステンレス製透水化粧蓋の展開・販売で「産業と技術革新」に、安全・安心で、働きがいのある働きやすい健康的な職場づくりで「健康と働きがい」に貢献しております。
⑥ 新型コロナウイルス感染症への対応
当社グループは、全国の拠点と本部関係各部署間の連携を強化しながら、新型コロナウイルス感染症に関する情報収集及び感染拡大に伴う影響を最小限にするための対応に当たっております。「緊急事態宣言」「まん延防止等重点措置」の行動制限解除時においても、感染再拡大を阻止しながら社会・経済活動を取り戻していくため、基本的な感染防止対策は、継続して実施していきます。
独自の対応としては、社員の時差出勤、テレワークの奨励、WEB会議システムの活用を推奨するなどの対策を講じております。
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