当事業年度におけるわが国経済は、前事業年度に引き続き新型コロナウイルスの全国的な感染拡大による消費活動の著しい停滞等を背景に極めて厳しい状況が継続し、依然として先行きが全く見通せない状況のまま推移いたしました。
当社におきましては、経営環境が大きく変化する中、あくまでも英国風PUB事業をぶれることなく推進するため、「CHANGE not to change(変わらないために変化する)」を年度方針とし、時代に合わせて変化しながら消費者ニーズを的確に捉え、新しいスタイルの英国風PUB事業の展開を模索してまいりました。
このような方針の下、当社はTech Growth Capital有限責任事業組合へ999百万円の第三者割当増資及び株式会社日本政策投資銀行と2,000百万円の資本性劣後ローン契約を締結実行し財政基盤を強化いたしました。更に10月の臨時株主総会において今後の資本政策の柔軟性・機動性確保と財務内容の健全性維持を目的として、資本金及び資本準備金をそれぞれ100百万円まで減少させる無償減資決議を行い、同月に効力が発生いたしました。
また、新たなアライアンスパートナーとして株式会社ミクシィを迎え、ライブビューイング等におけるミクシィグループのサービス・コンテンツと連携し、新たな時代に即した企画開発等を行うことで新規顧客層の取り込みを目指してまいりました。
店舗営業につきましては、新型コロナウイルス感染拡大に伴う日本政府・地方自治体からの休業要請及び営業時間短縮要請等に応じる形で、部分的かつ断続的な営業状況が続きました。そのような状況の中で、各要請解除後の営業再開に向けた採用・教育を継続し、「人的サービス」の磨き上げを行うと同時に、店舗設備の点検・補修を実施することで、全店舗が「新店クオリティ」でお客様をお迎えできるよう準備を進めておりました。
生活様式の変化や食事需要の増加に対応するため、「ハッピーアワーセット」や「PUB飯セット」等のフードを押し出した商品開発を行い、新メンバーズカードへの切替え及び入会促進キャンペーンと、オリジナル電子マネー決済の利用促進を図りました。これらの施策により従来のピークタイム以外の時間帯における需要喚起やお客様の再来店を促す取組みを進めてまいりました。また、HUBエールとは異なる新しい味わいを自宅でも楽しんでいただくため、オリジナル缶ビールである「HUB CRAFT」を開発・発売いたしました。
通信販売に加え、「HUBトラック」(キッチンカー)、各プロ野球チームのホームスタジアムでの売店施設は自治体・施設の要請範囲内で可能な限りの営業を行い、店舗外での収益手段を模索するとともに当社ブランドのさらなる認知度向上に寄与いたしました。更に、ミクシィグループとの提携事業として、スポーツコンテンツを活用した新たな施策を開始し、当社のコミュニケーションの「場」としての価値を高める取組みを推し進めてまいりました。
店舗につきましては、前事業年度に閉鎖を決定しておりました7店舗を閉鎖した結果、当事業年度末の店舗数は102店舗となりました。
以上の結果、当事業年度においては、様々な新しい取組みに着手した反面、断続的な営業と要請による営業時間短縮の影響により、依然として収益は限定的なものとなりました。しかしながら、全社的なコストカットを継続して実施するとともに、日本政府・地方自治体による雇用調整助成金及び営業時間短縮協力金等を活用することにより、売上高は2,386百万円(前年同期比37.7%減)、営業損失は1,185百万円(前年同期比380百万円の増益)、経常損失は1,214百万円(前年同期比357百万円の増益)、当期純利益は143百万円(前年同期比2,894百万円の増益)となりました。
当事業年度末における総資産は、前事業年度末と比較して、1,957百万円増加し7,661百万円となりました。これは主に資本性劣後ローンの長期借入金2,000百万円を借り入れたものによるものであります。負債は前事業年度末と比較して、814百万円増加し5,087百万円となりました。純資産は前事業年度末と比較して、1,143百万円増加し2,573百万円となりました。
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前事業年度末に比べて2,875百万円増加し、4,405百万円となりました。それぞれの詳細は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、315百万円(前年同期比2,139百万円の増加)となりました。
主な原因は、未払費用の減少額552百万円、法人税等の支払額186百万円及び未払金の減少額177百万円があったものの、助成金の受取額2,724百万円、雇用調整助成金の受取額1,076百万円及び法人税等の還付額173百万円があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果支出した資金は、131百万円(前年同期比12百万円の増加)となりました。
主な要因は有形固定資産の取得による支出が71百万円及び資産除去債務の履行による支出が44百万円あったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は、2,691百万円(前年同期比798百万円の増加)となりました。
主な要因は、短期借入金の返済による支出が1,400百万円及び長期借入金の返済による支出が138百万円あったものの、短期借入れによる収入が800百万円、長期借入れによる収入が2,500百万円及び株式の発行による収入が999百万円あったことによるものであります。
当社は英国風PUB事業の単一セグメントであるため、セグメント別の仕入及び販売の状況は記載しておりません。
当社は生産活動を行っていないため、該当事項はありません。
当事業年度(自 2021年3月1日 至 2022年2月28日)における食材等の仕入実績を品目別に示すと、次のとおりであります。
(注) 1 上記の金額は、仕入価格によっております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
当社は一般顧客に直接販売する飲食業を営んでおりますので、受注状況は記載しておりません。
当事業年度(自 2021年3月1日 至 2022年2月28日)における販売実績を地域別に示すと、次のとおりであります。
なお、当社は一般顧客に直接販売する飲食業を営んでおりますので、特定の販売先はありません。
(注) 1 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2 上記の店舗数は2022年2月28日現在の102店舗及び当事業年度に退店した3店舗を含んでおります。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたって、経営者は資産、負債及び損益の計上に関連した見積りと仮定を置いております。これらの見積りと仮定につきましては過去の実績や状況を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、これらの見積りと異なる状況があります。当社が採用する重要な会計方針及び会計上の見積りにおける新型コロナウイルス感染拡大の影響は「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しておりますが、特に次の事項が財務諸表作成における重要な見積りに大きな影響を及ぼすものと考えております。
① 固定資産の減損処理
当社は、「固定資産の減損に係る会計基準」において対象とされる固定資産について、主に店舗の営業活動から生ずる損益が継続してマイナスとなる場合には、減損の兆候があると判断し、減損の認識が必要な固定資産については減損処理をしております。そのため、今後の店舗の収益性の悪化等により減損損失が発生する可能性があります。
② 繰延税金資産の計上基準
繰延税金資産は、入手可能な情報や資料に基づき将来の課税所得の見積り等を踏まえ、回収可能性に問題がないと判断した金額を計上しております。今後、将来の経営成績等が著しく変化し、繰延税金資産の全部または一部に回収可能性がないと判断した場合には、繰延税金資産の計上額が変動する可能性があります。
③ 資産除去債務の計上基準
店舗の賃貸借物件については、店舗閉鎖時の原状回復費用等の支出に備えるため、将来に発生すると見込まれる原状回復費用の支出見込み額を過去の実績を基礎として算定し、これを現在価値に割り引いた金額を資産除去債務として負債計上しております。過去の実績と実際の原状回復費用等が異なる場合には、退去時に追加の費用負担が必要となる可能性があります。また、原状回復費用の支出見込み額に重要な見積りの変更が生じた場合には、有形固定資産の帳簿価額が増減し、将来の減価償却費に影響を与えることになります。
(2) 当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
① 経営成績の分析
当事業年度におきましては、 前事業年度に引き続き新型コロナウイルスの全国的な感染拡大による消費活動の著しい停滞等を背景に極めて厳しい状況が継続し、依然として先行きが全く見通せない状況のまま推移いたしました。
このような状況のもと、当社は 新たなアライアンスパートナーとして株式会社ミクシィを迎え、ライブビューイング等におけるミクシィグループのサービス・コンテンツと連携し、新たな時代に即した企画開発等を行うことで新規顧客層の取り込みを目指してまいりました。店舗営業につきましては、新型コロナウイルス感染拡大に伴う日本政府・地方自治体からの休業要請及び営業時間短縮要請等に応じる形で、部分的かつ断続的な営業状況が続きました。そのような状況の中で、各要請解除後の営業再開に向けた採用・教育を継続し、「人的サービス」の磨き上げを行うと同時に、店舗設備の点検・補修を実施することで、全店舗が「新店クオリティ」でお客様をお迎えできるよう準備を進めておりました。今後の生活様式の変化や食事需要の増加に対応するため、「ハッピーアワーセット」や「PUB飯セット」等のフードを押し出した商品開発を行い、新メンバーズカードへの切替え及び入会促進キャンペーンと、オリジナル電子マネー決済の利用促進を図りました。これらの施策により従来のピークタイム以外の時間帯における需要喚起やお客様の再来店を促す取組みを進めてまいりました。
また、HUBエールとは異なる新しい味わいを自宅でも楽しんでいただくため、オリジナル缶ビールである「HUB CRAFT」を開発・発売いたしました。
通信販売に加え、「HUBトラック」(キッチンカー)、各プロ野球チームのホームスタジアムでの売店施設は自治体・施設の要請範囲内で可能な限りの営業を行い、店舗外での収益手段を模索するとともに当社ブランドのさらなる認知度向上に寄与いたしました。更に、ミクシィグループとの提携事業として、スポーツコンテンツを活用した新たな施策を開始し、当社のコミュニケーションの「場」としての価値を高める取組みを推し進めてまいりました。
上述の様々な新しい取組みに着手した反面、断続的な営業と要請による営業時間短縮の影響により、依然として収益は限定的なものとなりました。
しかしながら、全社的なコストカットを継続して実施するとともに、日本政府・地方自治体による雇用調整助成金及び営業時間短縮協力金等を最大限に活用いたしました。
以上の結果、売上高は前年同期比37.7%減の2,386,097千円、営業損失は前年同期比380,738千円増益の1,185,445千円、経常損失は前年同期比357,956千円増益の1,214,976千円、当期純利益は前年同期比2,894,851千円増益の143,327千円となりました。
a 営業損失
断続的な営業と要請による営業時間短縮の影響により、依然として収益は限定的なものとなりました。しかしながら人件費、地代家賃等を中心とする全社的なコストカットを継続して実施したこと及び臨時休業による固定費(人件費、地代家賃等)の振替を行っていることから営業損失は前事業年度に比べ380,738千円増益の1,185,445千円となりました。
b 経常損失
営業外収益については、雑収入が増加したものの助成金収入が減少したことにより、前事業年度に比べ2,751千円減少いたしました。
営業外費用については、売上減少及び不確実な社会環境に対応するため新規借入及びコミットメントライン契約を再締結したことにより支払利息及び支払手数料が増加したことにより、前事業年度に比べ20,030千円増加いたしました。
しかしながら上述の営業損失縮小の影響もあり、経常損失は前事業年度に比べ357,956千円増益の1,214,976千円となりました。
c 当期純利益
特別利益については、緊急事態宣言期間等に対応する臨時休業期間等の雇用調整助成金及び助成金収入を計上したことにより、前事業年度に比べ2,603,749千円増加いたしました。
特別損失については、主に減損損失及び臨時休業期間等の固定費(人件費、地代家賃等)を臨時休業による損失として計上したことにより、前事業年度に比べ472,966千円増加いたしました。
また、法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額の税金費用は、法人税、住民税及び事業税が前事業年度に比べ22,423千円増加し、法人税等還付税額を173,550千円計上したこと及び法人税等調整額が254,984千円減少したことにより、前事業年度より406,112千円減少し△127,041千円となりました。
この結果、当期純利益は前事業年度に比べ2,894,851千円増益の143,327千円となりました。
なお、当社の最近5事業年度における売上高、損益額及び利益率等の推移は、以下のとおりであります。
売上高、損益額及び利益率等の推移(最近5事業年度)
② 財政状態の分析
当事業年度末における総資産は、前事業年度末に比べて1,957,367千円増加し、7,661,095千円となりました。
流動資産は前事業年度末に比べて2,728,079千円増加し、5,061,332千円となりました。これは主に現金及び預金が増加したことによるものであります。
固定資産は前事業年度末に比べて770,711千円減少し、2,599,763千円となりました。これは主に減損損失等により有形固定資産が減少したことによるものであります。
負債は前事業年度末に比べて814,068千円増加し、5,087,410千円となりました。これは主に短期借入金が減少したものの長期借入金が増加したことによるものであります。
純資産は前事業年度末に比べて1,143,299千円増加し、2,573,684千円となりました。これは第三者割当増資及び当期純利益143,327千円を計上したことによるものであります。
また、当事業年度におけるキャッシュ・フローは、営業活動により315,367千円増加(前事業年度は1,824,402千円減少)、投資活動により131,577千円減少(前事業年度は119,341千円減少)、財務活動により2,691,671千円増加(前事業年度は1,892,912千円増加)した結果、現金及び現金同等物の期末残高は前事業年度末に比べて2,875,462千円増加し、4,405,317千円となりました。
なお、当社の最近2事業年度におけるキャッシュ・フローの推移並びに最近5事業年度の有利子負債の推移は以下のとおりであります。
a キャッシュ・フローの推移(最近2事業年度)
b 有利子負債の推移(最近5事業年度)
③ 資本の財源及び資金の流動性
当社の資本の財源及び資金の流動性については、主に自己資金により充当し、必要に応じて外部から資金調達を行っております。
当事業年度におきましては、前事業年度に引き続き新型コロナウイルス感染症拡大による消費活動の著しい停滞等を背景に極めて厳しい状況が継続したため、当社の手元流動性及び自己資本確保のため2021年4月にTech Growth Capital有限責任事業組合へ999百万円の第三者割当増資及び2021年7月に株式会社日本政策投資銀行と2,000百万円の資本性劣後ローン契約を締結実行いたしました。
今後につきましては、手元流動性の確保を第一に掲げつつ健全な財政状態の維持も図ってまいります。
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