業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当社は、2022年2月14日付「2021年12月期決算発表の延期及び特別調査委員会設置に関するお知らせ」に記載のとおり、決算業務を進めるなかで、一部の取引において、不適切な売上処理が行われていた疑いがあることが判明したため、当社と利害関係を有しない外部の有識者によって構成する特別調査委員会を設置して調査を行いました。

 調査の結果につきましては、2022年4月25日付「特別調査委員会の調査報告書公表に関するお知らせ」にて調査報告書を公表しております。

 当社は、今回の本報告書で指摘された問題点及び再発防止策の提言を真摯に受け止め、今後の再発防止に全力で取り組む所存です。

 なお、調査報告書の提言を踏まえ、以下のとおり、再発防止策を実行し、内部統制の整備・運用を図ってまいります。

1. オフィスデザインの役務提供取引に対する管理体制の再構築

(1)リスクの洗出しと評価

(2)本件の不正の手口を踏まえた予防統制・発見統制の導入

2.内部監査部門も含めた管理部門によるモニタリング機能の強化

(1)内部監査部門やその補助者の増員、外部専門家導入などによる人員面の強化

(2)取締役会その他の重要な意思決定機関の議論の記録化を徹底

3.経営陣を含めた管理職及び部門担当者の業務及び会計知識の向上

(1)外部専門家による役員向け、従業員向けの研修を実施

4.業務分掌、職務権限における権限と責任の範囲の厳格化

(1)部門長による案件担当の禁止

(2)担当者の活動をブラックボックス化させないための人事ローテーションの実施

5.コンプライアンス意識の改革

(1)経営トップからのコンプライアンス最優先のメッセージ発信

(2)関与者に対する厳正な処分と、問題となった行為の内容を社内へ周知徹底

(3)教育・研修の継続的な実施によるコンプライアンス意識の醸成

(4)コンプライアンス窓口の充実化の検討

 株主の皆様をはじめ、関係者の皆様には多大なご迷惑とご心配をおかけすることになりましたことを心よりお詫び申し上げます。

 当社では速やかに再発防止策を実行し、信頼回復に努めてまいります。

 

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

①経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国の経済は、長引く新型コロナウイルス感染症の影響のもと、依然として厳しい状況にあるなか、企業の業績は持ち直しの動きがみられたものの、一部で弱さが増しております。変異株をはじめ感染症の影響による供給面での制約や原材料価格の動向による下振れリスク、また、内外経済や金融資本市場の変動等の影響など、先行きに不透明な要素が見られました。

 当社グループが属するコンピュータ販売業界におきましては、パソコンの買い替え需要の低迷や企業の設備投資減少による影響を強く受けております。また、ノートパソコンの需要を伸長させ、市場全体の下支えをしてきた小中学校向けのGIGAスクール構想による導入が終了、加えて在宅勤務等のテレワーク需要が一巡したことにより、市場全体が大幅な縮小傾向で推移いたしました。

 このような環境のもと、当社グループにおきましては、新規顧客の開拓、ニーズが高まるセキュリティ関連事業への継続的な取り組み、ニューノーマル時代の働き方に呼応した製品・サービスの販売に注力してまいりました。また、当社独自の在庫販売戦略を継続しつつ、ソリューション営業、ストックビジネスの強化、DX関連需要への対応や各メーカーとのアライアンス強化等を図ることにより、事業の収益力の継続的な向上に取り組んでまいりました。

 以上の結果、当連結会計年度の業績は、売上高は20,536,537千円(前連結会計年度比3.8%減)、経常利益36,056千円(前連結会計年度比86.8%減)、親会社株主に帰属する当期純損失は53,481千円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純利益182,350千円)となりました。

 各セグメント別の営業の概況は次のとおりであります。

 ITサービス事業

法人向けコンピュータ市場においては、新型コロナウイルス感染症の影響から企業活動の抑制など、市場における投資需要は先送り傾向が続いております。また、ノートパソコンの需要を大幅に押し上げてきた小中学校向けのGIGAスクール構想による導入が終了したことや、在宅勤務等のテレワーク需要が一巡したことにより、市場全体が大幅な縮小傾向で推移、加えて世界規模の半導体供給不足などの問題も継続しており、部材不足による顧客ニーズのあるパソコンが提供できない状況は解消されておらず、法人市場は大変厳しい状況が続いております。

当社グループにおきましては、状況に応じた在庫の調達を行いつつ、新規顧客の開拓、エンドユーザーへの販売強化、ニューノーマル時代の働き方に呼応した製品やサービスの販売、DX関連需要への取組みに注力するなど、感染拡大予防策を講じながら営業活動を行ってまいりました。しかしながら、緊急事態宣言の影響により大型案件の長期化、ペンディングなどでパソコン需要が低迷したことや半導体不足による顧客ニーズのあるパソコン本体等ハードウェアの供給不足が当初の想定以上に広範囲かつ長期間に及んでいることなどから売上が減少傾向で推移することとなりました。また、今後の持続的かつ安定的な成長並びに戦略的投資の視点から、今後需要の拡大が見込まれるネットワークインフラ、セキュリティ、DX分野のエンジニアを中心とした人員の増強・育成、デジタル化や自動化などに関連したシステムへの投資など経費の増加もあり営業利益が大きく減少いたしました。

その結果、売上高は11,212,595千円(前連結会計年度比9.5%減)、営業損失は59,068千円(前連結会計年度の営業利益は186,321千円)となりました。

 アスクルエージェント事業

新型コロナウイルス感染症の影響により、既存取引先の稼働促進や新規取引先の拡大などの営業活動を、訪問主体からITを活用したWeb商談等に置き換えることにより生産性の向上に努めるとともに、継続して先行投資を行ってまいりました。

企業の在宅勤務の増加などによりオフィス関連商材などの一部に影響を受けたものの、マスクや消毒液をはじめとする衛生用品および生活用品等の売上が好調に推移いたしました。

その結果、売上高は9,232,238千円(前連結会計年度比4.2%増)、営業利益は108,715千円(前連結会計年度比58.9%増)となりました。

 その他

当社グループは、就労移行支援事業及び放課後等デイサービス事業を3施設運営しており、職業訓練・就労支援に関するサービス及び児童・生徒の発達支援に関するサービスの提供を行っております。

啓発活動などの利用者促進策に注力してまいりましたが、一部事業においては利用者数に持ち直しの傾向がみられたものの、緊急事態宣言の影響などで、新規の利用者の契約数に鈍化傾向が続きました。

その結果、売上高は91,703千円(前連結会計年度比10.7%減)、営業損失は1,038千円(前連結会計年度の営業利益は17,457千円)となりました。

 

②財政状態の状況

(流動資産)

 当連結会計年度末における流動資産の残高は、6,422,714千円(前連結会計年度末は6,316,832千円)となり、105,881千円増加いたしました。「売掛金」及び「電子記録債権」が増加したことが大きな要因であります。

(固定資産)

 当連結会計年度末における固定資産の残高は、410,352千円(前連結会計年度末は483,165千円)となり、72,812千円減少いたしました。「有形固定資産」が増加したものの「無形固定資産」及び「その他(投資その他の資産)」が減少したことが大きな要因であります。

(流動負債)

 当連結会計年度末における流動負債の残高は、2,959,773千円(前連結会計年度末は3,023,582千円)となり、63,809千円減少いたしました。「買掛金」が増加したものの「短期借入金」及び「1年内返済予定の長期借入金」が減少したことが大きな要因であります。

(固定負債)

 当連結会計年度末における固定負債の残高は、510,268千円(前連結会計年度末は624,608千円)となり、114,340千円減少いたしました。「リース債務」が増加したものの「長期借入金」が減少したことが大きな要因であります。

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べ211,218千円増加し、3,363,025千円となりました。自己資本比率は45.2%から48.3%に増加しました。

 

③キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べて38,092千円減少し、3,027,270千円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動により得られた資金は76,607千円(前連結会計年度比183,276千円の資金減)となりました。これは主に、「仕入債務の増減額」が増加したものの、「売上債権の増減額」が増加したこと並びに「税金等調整前当期純利益」が減少したことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動により使用した資金は83,322千円(前連結会計年度比51,700千円の資金減)となりました。これは主に、「敷金及び保証金の差入による支出」が減少したものの、「有形固定資産の取得による支出」が増加したことによるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動により使用した資金は31,377千円(前連結会計年度比628,825千円の資金減)となりました。これは主に、「株式の発行による収入」が増加したものの、「短期借入金の増減額」及び「長期借入れによる収入」が減少したことによるものです。

④生産、受注及び販売の実績

 当社グループは、法人向けの販売を中心に事業を営んでおり、生産実績及び受注実績は記載しておりません。

a.商品仕入実績

当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年1月1日

至 2021年12月31日)

前年同期比(%)

ITサービス事業(千円)

9,390,017

86.0

アスクルエージェント事業(千円)

8,258,250

104.1

その他(千円)

78,636

99.8

合計(千円)

17,726,903

93.8

(注) 上記の金額には消費税等は含まれておりません。

 

b.販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年1月1日

至 2021年12月31日)

前年同期比(%)

ITサービス事業(千円)

11,212,595

90.5

アスクルエージェント事業(千円)

9,232,238

104.2

その他(千円)

91,703

89.3

合計(千円)

20,536,537

96.2

(注) 上記の金額には消費税等は含まれておりません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、必要と思われる見積りについては、合理的な基準に基づいて実施しております。詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

イ 財政状態

当連結会計年度末の財政状態につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要②財政状態の状況」に記載のとおりであります。

 

ロ 経営成績

(売上高)

当連結会計年度の業績は、売上高は20,536,537千円(前連結会計年度比3.8%減)となりました。ITサービス事業は、Windows7のサポート終了に伴うWindows10搭載機への入れ替え需要の反動減により当初の見込み通り販売台数が減少、加えて、新型コロナウイルス感染症の影響などから企業の設備投資も縮小傾向で推移しました。また、主要部品の不足を起因としたパソコンの供給不足などの不安定要素も一部あり、市場におけるパソコンの調達が難しい状況等もあり、売上高は11,212,595千円(前連結会計年度比9.5%減)となりました。アスクルエージェント事業は、新型コロナウイルス感染症の影響により、既存取引先の稼働促進や新規取引先の拡大などの営業活動を、訪問主体からITを活用したWeb商談等に置き換えることにより生産性の向上に努めるとともに、継続して先行投資を行ったことにより、売上高は9,232,238千円(前連結会計年度比4.2%増)となりました。

(売上総利益)

当連結会計年度の売上総利益は、2,852,265千円(前連結会計年度比3.1%減)となりました。売上原価は、17,684,272千円(前連結会計年度比3.9%減)となりました。また、売上高に対する売上原価の比率は前連結会計年度に比べ0.1ポイント減少し、売上総利益率は上昇いたしました。

(販売費及び一般管理費)

 当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、2,803,657千円(前連結会計年度比5.0%増)となりました。また、売上高に対する販売費及び一般管理費の比率は、前連結会計年度に比べ1.1ポイント増加し、13.7%となりました。

(営業利益)

 当連結会計年度の営業利益は、48,607千円(前連結会計年度比82.1%減)となりました。

(営業外損益及び経常利益)

 当連結会計年度の営業外収益は助成金収入や広告料収入等で10,751千円(前連結会計年度比19.1%減)、営業外費用は株式交付費等で23,302千円(前連結会計年度比80.0%増)となりました。また、経常利益は36,056千円(前連結会計年度比86.8%減)となりました。

(税金等調整前当期純利益)

 税金等調整前当期純利益は、37,778千円(前連結会計年度比86.2%減)となりました。

(法人税等)

 税金等調整前当期純利益に対する法人税等は、91,259千円(前連結会計年度比0.8%増)となりました。

(親会社株主に帰属する当期純損失)

 当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純損失は53,481千円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純利益182,350千円)となりました。

 

ハ キャッシュ・フロー

当連結会計年度末のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

③経営成績に重要な影響を与える要因について

経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

 

④資本の財源及び資金の流動性についての分析

当社グループの所要資金は、大きく分けて設備投資資金及び運転資金の2つとなっております。基本的には、営業活動によるキャッシュ・フローの増加を中心としながらも、事業拡大に伴う多額のシステム設備投資資金については長期借入などによって調達を行ってまいりました。今後事業の拡大をしていくにあたり、その所要資金については、これまで同様に、営業キャッシュ・フローの枠を基本としつつ、財務安全性や調達コストを勘案の上、資金調達を行ってまいります。

 また、運転資金については、営業活動により得られるキャッシュ・フローのほか、金融機関からの借入による資金調達を基本としております。なお、当社グループは、運転資金の効率的かつ安定的な調達を行うため、複数の取引銀行と当座貸越契約を締結し、急な資金需要の不測の事態にも備えております。また、長期借入については、将来の金利上昇リスクをヘッジするため、主に固定金利での調達を行っております。

 

⑤経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の達成・進捗状況について

2021年度の達成・進捗状況は以下のとおりです。

売上高は計画比3,463百万円減(14.4%減)となりました。これは主に、Windows7のサポート終了に伴うWindows10搭載機への入れ替え需要の反動減より販売台数が減少、加えて、新型コロナウイルス感染症の影響などから企業の設備投資も縮小傾向で推移したため販売台数が当初の見込みより伸び悩んだことによるものです。テレワーク関連などによってIT需要の底上げが見られたものの、全般的には企業活動の抑制などから市場における投資需要は先送り傾向が続きました。また、主要部品の不足を起因としたパソコンの供給不足などの不安定要素も一部あり、市場におけるパソコンの調達が難しい状況で、法人市場には大変厳しい状況となりました。

営業利益は既存のビジネスモデルのブラッシュアップや全社的な業務スタイルの改革等に取り組むことで販売効率を改善、また、SFAやマーケティングを利用した営業活動による稼働顧客数の増加を目指してまいりましたが、371百万円減(88.4%減)となりました。また、経常利益は388百万円減(91.5%減)となりました。

 

指標

2021年度(当初計画)

2021年度(実績)

2021年度(計画比)

売上高

24,000百万円

20,536百万円

△3,463百万円 (14.4%減)

営業利益

420百万円

48百万円

△371百万円 (88.4%減)

経常利益

425百万円

36百万円

△388百万円 (91.5%減)

 

 

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