業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの経営成績、財政状態およびキャッシュフローの状況の概要は次のとおりであります。

① 経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が続く中、ワクチン接種率の上昇に伴い、経済活動が正常化に向かう動きも見受けられました。しかしながら、年明け以降はオミクロン株の感染症拡大によるまん延防止等重点措置の適用や、原材料価格ならびに海上運賃の高騰に起因する物流コストの上昇等により、景気の先行きは依然として不透明な状況が続いております。

このような状況の下、当社グループにおきましては、当期は第三次中期経営計画初年度に当たり、「顧客ニーズへのあくなき探求~新たな「売り物×売り方×売る場所」を創る~」を年度経営方針として、「他にはない 他ではできない それがヒラキです。」をスローガンに、ユーザーインの視点でお客様に支持され、社会に貢献し、世の中に必要とされる会社であり続けるべく、商品力と販売力の強化を推し進めてまいりました。

この結果、当連結会計年度における連結売上高は、151億99百万円(前期比4.8%減)、営業利益は6億89百万円(前期比25.2%減)、経常利益は6億95百万円(前期比23.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は4億66百万円(前期比16.8%減)となりました。

当社グループの報告セグメントの当連結会計年度における業績は、以下のとおりであります。

 

(通信販売事業)

通信販売事業におきましては、2021年2月から7月にわたり実施した創業60周年記念キャンペーンの他、インフルエンサーを活用した販売促進商品のPR投稿等のSNS施策の拡充ならびに年6か月のテレビCM放映、アプリ35万件ダウンロード突破記念やスクール応援キャンペーン等の販売促進策を推し進めてまいりました。結果、WEB訪問者数は前期比二桁増を示し、オリジナル商品の認知度向上・購買動機向上につなげることができました。商品面では、新入学シーズンを中心にスクール関連の靴・衣料は堅調に推移しました。また、ジュニアガールズブランドとして立ち上げた「MiLK FRAPPE®」は、キッズ・ジュニア分類の受注の牽引役を果たしました。一方、材料費の高騰および中国国内での新型コロナウイルス感染症の拡大がタイムリーな商品調達の妨げとなり、とりわけ第4四半期連結会計期間にその影響を受け、お客様の購買喚起に苦戦いたしました。

この結果、売上高は87億24百万円(前期比1.0%減)となりました。利益面は、円安基調下、仕入原価の上昇を値下げ販売の抑制により粗利益率は前年並みを確保しましたが、減収の影響が大きく、セグメント利益は10億80百万円(前期比6.0%減)となりました。

(店舗販売事業)

店舗販売事業におきましては、ブランドスニーカーの品揃えで集客しオリジナル商品の拡販を図ることを軸とした靴の販売強化、衣料・日用雑貨・食品等の特価商材の仕入れを強化し、集客・売上拡大に取り組んでまいりました。また、靴専門店は、パート社員主体のローコスト運営で10か店を京阪神地区にドミナント展開し、オリジナル商品の販売拡大および通信販売事業との相乗効果を図ってまいりました。新型コロナウイルス感染症拡大に伴うまん延防止等重点措置の適用などが続く中、集客に苦戦いたしましたが、靴専門店が寄与し靴売上高は前年を上回りました。一方、食品・日用雑貨部門については、新型コロナウイルス感染症の影響に伴う来店客数の減少、競合店の出店および前年の巣篭り需要の一巡により前年を下回りました。

この結果、売上高は62億13百万円(前期比9.6%減)となりました。利益面は、靴専門店による売上増を主因に粗利益率の高いオリジナル商品の売上構成比がアップしたことにより売上総利益率は改善しましたが、減収およびパート社員増加による人件費増により、セグメント損失は25百万円(前期は利益1億24百万円)となりました。

 

 

(卸販売事業)

卸販売事業におきましては、主要取引先への売上増加および新規取引先の開拓に努めてまいりました。新規取引先への販売は徐々に拡大しつつある一方、主要取引先への販売および「大卸し」は、消費者の需要が依然として高まらなかった結果、売上高は、2億61百万円(前期比5.7%減)、セグメント損失は7百万円(前期は損失1百万円)となりました。

 

② 財政状態の状況

(資産)

流動資産は、前連結会計年度末に比べ、2億15百万円減少し、110億8百万円となりました。これは、現金及び預金が2億68百万円増加し、商品が2億72百万円、受取手形及び売掛金が1億38百万円減少したこと等によるものであります。

固定資産は、前連結会計年度末に比べ、1億63百万円減少し、57億27百万円となりました。これは、建物及び構築物が1億76百万円減少したこと等によるものであります。

この結果、総資産は、前連結会計年度末に比べ、3億78百万円減少し、167億35百万円となりました。

(負債)

流動負債は、前連結会計年度末に比べ、4億63百万円減少し、39億25百万円となりました。これは、未払法人税等が1億95百万円、買掛金が95百万円減少したこと等によるものであります。

固定負債は、前連結会計年度末に比べ、2億36百万円減少し、53億90百万円となりました。これは、長期借入金が2億31百万円減少したこと等によるものであります。

この結果、負債合計は、前連結会計年度末に比べ、6億99百万円減少し、93億15百万円となりました。

(純資産)

純資産合計は、前連結会計年度末に比べ、3億20百万円増加し、74億19百万円となりました。これは、利益剰余金が3億69百万円増加したこと等によるものであります。自己資本比率は、前連結会計年度末に比べ2.8ポイント上昇し44.3%となりました。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)の残高は、「営業活動によるキャッシュ・フロー」で得られた資金を、「投資活動によるキャッシュ・フロー」および「財務活動によるキャッシュ・フロー」で使用した結果、前連結会計年度末に比べ、3億6百万円増加し、30億56百万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は、7億41百万円(前連結会計年度は12億97百万円の獲得)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益6億95百万円の計上、減価償却費2億77百万円の計上、棚卸資産の減少額2億51百万円、法人税等の支払額4億3百万円によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は、36百万円(前連結会計年度は7億14百万円の使用)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出67百万円によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は、4億1百万円(前連結会計年度は4億72百万円の使用)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出22億69百万円、長期借入れによる収入20億円によるものであります。

 

 

④ 生産、受注および販売の実績

当社グループは、自社で企画・開発し、主に海外に生産委託しておりますので、生産および受注の状況に替えて仕入実績を記載しております。

(仕入実績)

当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

仕入実績(千円)

前年同期比(%)

 通信販売事業

3,182,775

92.6

 店舗販売事業

4,224,458

87.9

 卸販売事業

124,378

87.5

合計

7,531,611

89.8

 

 

(販売実績)

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売実績(千円)

前年同期比(%)

 通信販売事業

8,724,471

99.0

 店舗販売事業

6,213,386

90.4

 卸販売事業

261,459

94.3

合計

15,199,317

95.2

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析、検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析、検討内容は次のとおりであります。なお、記載内容における将来に関する事項については、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 

 

① 財政状態および経営成績の状況に関する認識および分析・検討内容

当社グループは、『2023中期経営計画(2021~2023年度)』において、安全性の視点から自己資本比率45%以上、資本の効率性の視点から自己資本利益率(ROE)9%以上を目標に掲げております。現在の厳しい経営環境下において、当社グループが次なる成長に向けた投資を行う上でバランスシートの改善は必要不可欠なものであり、着実に利益を積み上げることに集中し、有利子負債の削減に取り組む計画としております。当連結会計年度末における自己資本比率は44.3%となり、2017年3月期以来6期連続で改善を図ることができました。引き続き、有利子負債の削減に注力し、ネット有利子負債ゼロを目指してまいります。一方、当連結会計年度のROEは6.4%で前期に比べ1.8ポイント減少しました。目標達成に向けて、連結営業利益率6%以上の安定的確保と資産の有効活用に取り組んでまいります。

当連結会計年度における連結売上高は151億99百万円(前期比4.8%減)、全ての事業セグメントにおいて減収となりました。その主な要因は、外的要因として前期では追い風となった通信販売事業や店舗販売事業食品部門における巣篭り需要が一巡したこと、オリジナル商品において中国他海外でのロックダウン等の影響により入荷が遅延し機会損失を招いたこと、店舗において緊急事態宣言およびまん延防止等重点措置の適用期間を中心に集客が図れなかったことが挙げられます。内的要因としては、販売を牽引する話題性のある商品やコロナ禍においても新たな需要を喚起する商品の開発が足りなかったと認識しております。なお、集客面では、SNS等を活用しオリジナル商品の認知度向上に努めた結果、当社ECサイトへの訪問者数は前期比二桁増となりました。しかしながら、それが受注に繋がらなかった点を踏まえると、商品の品揃えや販売促進商品の訴求力が不足していたことは否めません。今後は、お客様のニーズを踏まえた商品開発および生産管理の見える化に取り組み、全ての事業の柱であるオリジナル商品の強化を図ってまいります。

利益面につきましては、営業利益6億89百万円(前期比25.2%減)、経常利益6億95百万円(前期比23.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益4億66百万円(前期比16.8%減)となりました。減益の主な要因は減収によるものであり、営業利益率4.5%(前期比1.3ポイント減)を分解すると、売上総利益率が48.6%(前期比1.7ポイント増)、販管費率が44.1%(前期比3.0ポイント増)となります。なお、当連結会計年度の期首より収益認識会計基準等を適用しており、その影響を除いて前期と比較した場合、収益構造は改善しており、オリジナル商品の売上構成比がアップしたことなどにより売上総利益率は0.3ポイント上昇、効率的な通販カタログの運用等により販管費は46百万円減少しております。今後は、原材料等の価格高騰、円安トレンド等により粗利益率の低下が見込まれますが、「ムリ・ムダ・ムラ」をなくし業務の効率化を図るとともに、ECの積極的展開、靴専門店の出店等を通してオリジナル商品の販売を拡大することにより、利益を確保していく所存です。
 なお、報告セグメントごとの経営成績等の詳細につきましては、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」をご参照ください。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容ならびに資本の財源および資金の流動性に係る情報

資金の流動性については利益の確保および債権ならびに商品在庫を適正水準に維持することにより、必要運転資金の増加を抑えることで、キャッシュ・フローの安定的な確保に努めております。

また、資金調達は長期安定資金の導入を積極的に行いながら、短期的には当座借越枠を確保することにより、手許流動性資金は一定の水準を確保しております。

当社グループの資金需要の主なものは、商品の仕入、販売費及び一般管理費等の営業費用によるもの、およびシステム関連や建物設備への投資等によるものであります。これらの資金需要に対しては、営業活動から獲得する自己資金および金融機関からの長期借入金等による調達を基本としております。

 

③ 重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。重要な会計方針については、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりであります。連結財務諸表の作成にあたっては、会計上の見積りを行う必要があり、特に以下の事項は、経営者の会計上の見積りの判断が財政状態および経営成績に重要な影響を及ぼすと考えております。

なお、新型コロナウイルス感染症の影響等不確実性が大きく将来事業計画等の見込数値に反映させることが難しい要素もありますが、当連結会計年度末時点で入手可能な情報を基に検証等を行っております。

(繰延税金資産)

当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保でき、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。

 

(固定資産の減損処理)

当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額の回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識および測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。

 

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