(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度(2021年3月1日~2022年2月28日)におけるわが国経済は、一昨年来続く新型コロナウイルスによるまん延防止等重点措置や緊急事態宣言が断続的に発令され、無観客での東京オリンピックの開催など、外出の自粛が常態化しました。そのような状況でも、10月の緊急事態宣言解除以降徐々に経営数値は改善、秋口から年末にむけて回復傾向が見られましたが、年明けからまん延防止等重点措置が再度発令され、消費低迷が長引くことは避けられない見通しとなっております。
外食業界におきましては、新型コロナウイルスがもたらした経営環境の変化は、常識をすべて覆し、過去と比較できないほど大きな影響を受けることとなりました。店舗においては、政府の緊急事態宣言に伴い、お客様や店舗スタッフの安全を第一に、営業自粛や営業時間の短縮など多くの店舗が通常の営業活動を控えることとなりました。また営業を開始した店舗においては、感染拡大防止策を実施し、営業を再開したものの、在宅勤務の増加や消費者の不要不急の外出自粛は継続し、外食から内食への急激なシフトも見受けられ、経営環境はより一層厳しくなり、予断を許さない状況が継続しております。
このような状況のもとで、当社グループは、「外食業界におけるエクセレント・リーディングカンパニー」の地位確立を目指し、立地を厳選してグループ全体で82店舗(直営店58店舗、加盟店20店舗、海外4店舗)を新規出店しました。
既存事業においては、ブランド価値向上を目指した店舗改装を推進したほか、店舗におけるテイクアウトメニューや売店商品の拡充、また量販店などを中心とした卸売事業の拡大など、消費の変化にあわせた取組みを優先実施しました。また、物流や購買の見直しを図り、業務の効率化を推進するとともに、徹底した管理コストの削減など、事業基盤の安定強化に努めました。
昨年は多くの店舗を臨時休業した期間があり売上高は昨年比で大きく改善、また時短協力金など政府・自治体からの助成金収入を特別利益に計上し、一部の店舗においては減損損失を計上しましたが親会社株主に帰属する当期純利益は大きく改善したものの、コロナ禍において根本的な改善には至っていない状況となっております。
以上の結果、当連結会計年度における業績は、売上高1,093億63百万円(前期比13.8%増)、営業損失17億83百万円(前期営業損失43億19百万円)、経常損失14億78百万円(前期経常損失41億77百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益12億21百万円(前期親会社株主に帰属する当期純損失109億79百万円)となりました。
各セグメントの概況は次のとおりであります。
(日本レストランシステムグループ)
日本レストランシステムグループでは、前期に引き続き新型コロナウイルス感染拡大防止に伴う、ショッピングセンター等の休館、営業時間の短縮などにより、営業活動を控えた状況でありました。
新規出店につきましては、「星乃珈琲店」や「サロン卵と私」、健康志向の高まりや巣ごもり需要などのニーズを捉えた「自然食品 F&F」、また地方圏のロードサイドへの出店など10ブランド合計44店舗を積極的に出店し、店舗網の拡大に努めました。その結果、「星乃珈琲店」の店舗数は、2022年2月末時点で国内においては282店舗となり、うち加盟店は39店舗となりました。
商品戦略につきましては、引き続き、季節に合わせたメニューの導入を始めとしたマーケティング力の強化に努め、既存ブランド、新規ブランドともに商品力を高めることでお客様にご満足頂ける商品を提供すると同時に、多ブランド展開における効率化を考慮した商品開発を実施し、原価管理を徹底しております。
しかしながら、売上高は昨年比で改善したものの、コロナ禍において原価等の上昇も加わり、根本的な改善には至っていない状況となっております。
以上の結果、日本レストランシステムグループにおける売上高は375億21百万円(前年同期比13.9%増)、セグメント損失は15億63百万円(前年同期セグメント損失18億98百万円)となりました。
(ドトールコーヒーグループ)
ドトールコーヒーグループの小売事業及びフランチャイズ事業においては、一部店舗が休業や営業時間の短縮となり、通常の営業活動を控える結果となりました。
当期においては、引続き感染防止策を講じつつ、改装をはじめとした魅力ある店舗作りに努め、テイクアウトメニューの拡充や売店商品の拡大策などに取組みました。
ドトールコーヒーショップでは、新規顧客の獲得やランチ需要の対応を図るため、ビジネス立地や商業施設などにプレートメニューをテスト導入し、エクセルシオール カフェでも、全店でライスメニューを導入致しました。お客様から大変ご好評を頂いたことから、ドトールコーヒーショップでは導入店舗も拡大し、新たな人気メニューのひとつとして継続して販売を行ってまいります。また、各種キャッシュレスでのキャンペーンを継続して実施することで、お客様へのお得感や利便性を高めるとともに、お近くに店舗のないお客様にも、ドトールの美味しいコーヒーをいつでもどこでもお楽しみ頂けるように「ドトール オンラインショップ」を開設し、大きな反響を頂きました。
卸売事業においては、ドリップコーヒーやインスタントコーヒーなど、通信販売や量販店での販売を拡大、巣ごもり消費に合わせた新商品の投入に注力し、新たな商品の開発・販売を展開したほか、新たなチャネルとして、自動販売機における缶コーヒーの販売を開始するなど、引き続き業容拡大に努めました。
しかしながら、売上高は昨年比で改善したものの、コロナ禍において原価の上昇も加わり、根本的な改善には至っていない状況となっております。
以上の結果、ドトールコーヒーグループにおける売上高は661億46百万円(前年同期比13.8%増)、セグメント損失は7億65百万円(前年同期セグメント損失27億63百万円)となりました。
(その他)
その他の事業は、主に国内および海外における外食事業に係る小売および卸売りに関する事業で、洋菓子製造卸のD&Nコンフェクショナリーおよびベーカリーのサンメリーならびに海外子会社の店舗・卸売事業となります。
売上高は56億95百万円(前年同期比12.2%増)、セグメント利益は5億46百万円(前年同期比59.0%増)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ82億36百万円増加し、345億46百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益34億28百万円、減価償却費41億84百万円、法人税等の支払額14億60百万円等により、146億37百万円の収入となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、新規出店等の有形固定資産の取得による支出42億8百万円、敷金及び保証金の差入による支出8億8百万円等により、49億33百万円の支出となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払額10億72百万円等により、15億3百万円の支出となりました。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年3月1日 至 2022年2月28日) |
前年同期比(%) |
日本レストランシステムグループ(百万円) |
4,628 |
185.0 |
ドトールコーヒーグループ(百万円) |
3,669 |
152.3 |
その他(百万円) |
3,550 |
123.3 |
合計(百万円) |
11,848 |
152.1 |
(注)1.金額は製造原価によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.セグメント間取引については、相殺消去しております。
b.仕入実績
当連結会計年度の仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年3月1日 至 2022年2月28日) |
前年同期比(%) |
日本レストランシステムグループ(百万円) |
5,331 |
123.4 |
ドトールコーヒーグループ(百万円) |
28,826 |
102.2 |
その他(百万円) |
422 |
108.7 |
合計(百万円) |
34,580 |
105.1 |
(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.セグメント間取引については、相殺消去しております。
c.受注実績
当社グループは、見込み生産を行なっておりますので、受注実績については記載すべき事項はありません。
d.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年3月1日 至 2022年2月28日) |
前年同期比(%) |
日本レストランシステムグループ(百万円) |
37,521 |
113.9 |
ドトールコーヒーグループ(百万円) |
66,146 |
113.8 |
その他(百万円) |
5,695 |
112.2 |
合計(百万円) |
109,363 |
113.8 |
(注)1.金額は外部顧客に対する売上高を示しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.主な相手先別の販売実績及びその割合については、いずれも売上高の100分の10未満のため、記載を省略
しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容、資本の財源及び資金の流動性に関する状況は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
② 当連結会計年度の経営成績の分析
「第2[事業の状況]3[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析]業績等の概要(1)業績」に記載のとおりであります。
③当連結会計年度末の財政状態の分析
当連結会計年度末における総資産は、助成金収入による現金及び預金の増加や新規出店による敷金及び保証金の増加等により1,182億27百万円と前連結会計年度末と比べ29億80百万円の増加となりました。負債は、未払法人税等の増加等により241億17百万円と前連結会計年度末と比べ28億71百万円の増加となりました。純資産は、剰余金の増加等により941億9百万円と前連結会計年度末と比べ1億9百万円の増加となりました。
④キャッシュ・フローの分析
当社グループの資金状況は、営業活動によるキャッシュ・フローが146億37百万円の収入、投資活動によるキャッシュ・フローが49億33百万円の支出、財務活動によるキャッシュ・フローが15億3百万円の支出となりました。
当連結会計年度の詳細につきましては、「第2[事業の状況]3[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析]「(1)経営成績等の状況の概要②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
なお、キャッシュ・フロー指標のトレンドは下記のとおりであります。
|
2020年2月期 |
2021年2月期 |
2022年2月期 |
自己資本比率(%) |
80.9 |
81.4 |
79.4 |
時価ベースの自己資本比率 (%) |
61.1 |
62.0 |
60.6 |
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年) |
0.0 |
△0.2 |
0.1 |
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍) |
638.7 |
△189.7 |
1,055.3 |
(注)1.自己資本比率:自己資本/総資産
2.時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
3.キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
4.インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
5.株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。
6.いずれも連結ベースの財務諸表により計算しております。
7.キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。
8.有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としており
ます。
9.利払いは、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
(資本の財源及び資金の流動性)
当連結会計年度の運転資金及び資本的支出は、基本的に自己資金により賄いました。当社グループの重要な資本的支出は、主に店舗事業における出店コスト及び改装コストに係る設備投資であります。資金の調達源につきましては、主に自己資金により賄えるものと判断しておりますが、必要に応じ金融機関からの借入金等により対応してまいります。
⑤経営方針、経営戦略等又は経営上の目標の達成状況
当社グループは、企業価値を持続的に高めていくことが経営上の重要課題であると認識しています。
当連結会計年度における、目標の達成状況は以下のとおりになります。
|
目標 |
2022年2月期 |
|
2021年2月期 |
2022年2月期 |
||
(実績) |
(計画) |
(実績) |
|
売上高(百万円) |
96,141 |
122,180 |
109,363 |
経常利益(百万円) |
△4,177 |
3,190 |
△1,478 |
経常利益率(%) |
△4.3 |
2.6 |
△1.4 |
⑥経営陣の問題意識と今後の方針
当社は、日本レストランシステム㈱と㈱ドトールコーヒーの両社の共同株式移転により設立された共同持株会社であります。
当社グループの経営陣は、近年の外食産業を取り巻く環境は一段と厳しくなっており、企業間の格差も鮮明になることが予想されると認識しております。
このような状況下、統合により、両社の持つ経営資源とノウハウの有効活用により、㈱ドトールコーヒーの強みである「飲」と、日本レストランシステム㈱の強みである「食」を更に強化・発展させていくとともに、㈱ドトールコーヒーの店舗展開力及び日本レストランシステム㈱の業態開発力の融合による新たな価値創造を最大限発揮できる体制を確立することで、グループ価値の最大化を推進していきます。
また、多様化したお客様の心の奥底にある期待感に応えることのできる「外食産業における日本一のエクセレント・リーディングカンパニー」の地位確立を目指してまいります。
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