業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

(ア)経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、依然として新型コロナウイルス感染症の影響を受けるなか、国内外でのワクチン接種の普及や行動制限の緩和により、経済活動の正常化の動きがみられるものの、ロシアのウクライナ軍事侵攻による対露経済制裁の影響等から世界的な資源価格上昇等が懸念され、先行きの景気動向は不透明な状況が続いております。

当社グループにおける事業環境は、繊維事業においては、コロナ禍の影響から衣料向け生地の需要が落ち込んだものの、法人向けユニフォームやキャンプ関連商品の需要が拡大し、同事業の業績改善が進みました

不動産活用事業は、大型商業施設「イオンモール川口」の新築工事が完了し、2021年5月にイオンモール㈱に賃貸を開始しております。また、既存の賃貸物件である「イオンモール川口前川」や病院施設等からの安定した賃貸収入を維持しており、営業収益の安定化が図られております

この結果、当連結会計年度の売上高は8,958百万円(前期比33.1%増)となりました。営業利益は大型商業施設「イオンモール川口」の不動産取得税及び登記費用を計上したこと等から645百万円(前期比11.5%減)となり、経常利益は740百万円(前期比15.3%減)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は499百万円(前期比15.0%減)となりました。なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しております。当会計基準等の適用が財政状態及び経営成績に与える影響の詳細については、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 注記事項(会計方針の変更)及び(セグメント情報等)セグメント情報 2 報告セグメントごとの売上高、利益又は損失、資産、その他の項目の金額の算定方法」をご参照ください

事業別セグメントの概況は次のとおりであります。なお、事業別セグメントの売上高及び営業利益又は損失は、セグメント間の内部取引消去前の金額であります。

① 繊維事業

マテリアル部は、原糸販売が資材向けを中心に産地市況が回復基調であることから増収となりましたが、生地販売において厳しい市場環境が続いていることから、一部取扱い商品の見直しによる在庫処分を行ったため損失が増加しました

アパレル部は、原材料価格の上昇及び輸送コストの増加があったものの、百貨店からの新規受注に加え既存取引先のユニフォームや空調服等の受注があり、増収増益となりました

アウトドア部は、コロナ禍において三密を避けたレジャーとしてキャンプ関連商品の需要が高まり、また取引先の直営店舗が増えたこと等により、増収増益となりました

刺繍レースを扱うフロリア㈱は、新規取引先への販売を伸ばし増収となりました

この結果、繊維事業の売上高は4,343百万円(前期比25.8%増)となり、営業利益は79百万円(前期は12百万円の営業損失)となりました

② 不動産活用事業

不動産活用事業は、「イオンモール川口前川」が近隣の大型商業施設に比べ回遊型ショッピングができるという、お客様の利便性と近隣住民の生活環境にあった専門店選びが評価されております。また「イオンモール川口」は、34年間営業した同一場所にてスケールアップした「新生イオンモール川口」として新築・建替えを行い、ニューノーマルな社会環境に合わせた最新型の商業施設として、2021年5月よりイオンモール㈱に賃貸を開始し、増収に寄与しました。

一方で「イオンモール川口前川」は現在リニューアル工事を行っており、また「イオンモール川口」は同施設に係る不動産取得税、登記費用の一時費用を計上したこと等から、売上原価が大幅に増加し減益となりました

なお、埼玉県南エリアの医療体制の充実を目的とした病院施設等を賃貸することにより、不動産活用事業は安定した収益基盤を維持しております

この結果、不動産活用事業の売上高は3,499百万円(前期比49.2%増)、営業利益は385百万円(前期比44.2%減)となりました

 

③ ゴルフ練習場事業

埼玉興業㈱が営む川口・黒浜・騎西の各グリーンゴルフ練習場は、前期においては新型コロナウイルス感染防止の観点から一時休業等を行いましたが、当期は屋外で感染リスクの少ないスポーツとして広く認知され、またSNSでの情報発信やキャッシュレス化を導入したことで、若年来場者の増加傾向がみられ、増収増益となりました

この結果、ゴルフ練習場事業の売上高は1,006百万円(前期比20.7%増)、営業利益は135百万円(前期比330.2%増)となりました

④ その他の事業

神根サイボー㈱のインテリア施工事業は、一般住宅施工が堅調で、大口物件の受注もあり増収増益となりました

なお、ディアグリーン課の緑化事業は、2021年3月末日をもって終了いたしました

この結果、その他の事業の売上高は742百万円(前期比20.7%増)、営業利益は59百万円(前期比72.3%増)となりました

 
(イ)財政状態の状況

総資産は、前連結会計年度末に比べ3,762百万円増加して42,895百万円となりました。これは主に現金及び預金や流動資産のその他に含まれる未収消費税等並びに投資有価証券が増加し、また、イオンモール川口の引渡しを受け、有形固定資産が増加したこと等によるものであります。

負債は、前連結会計年度末に比べ2,889百万円増加して25,411百万円となりました。これは主に短期借入金や長期借入金が増加したこと等によるものであります。

純資産は、前連結会計年度末に比べ872百万円増加して17,484百万円となりました。これは主に配当金の支払等があったものの、親会社株主に帰属する当期純利益の計上や収益認識に関する会計基準の適用により累積的影響額を加算したこと等によるものであります。

 

(ウ)キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は前連結会計年度末に比べ805百万円増加して2,426百万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果、得られた資金は前連結会計年度末に比べ95百万円減少して2,039百万円となりました。これは主に棚卸資産の増加や未払又は未収消費税等増減額の影響等があったものの、減価償却費や仕入債務の増加、イオンモール川口に係る不動産取得税の予定計上によりその他に含まれるその他負債が増加したこと等によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果、支出した資金は前連結会計年度末に比べ9,162百万円減少して2,977百万円となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出が減少したこと等によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果、得られた資金は前連結会計年度末に比べ8,324百万円減少して1,744百万円となりました。これは主に短期借入れによる収入が増加したものの、長期借入れによる収入が減少したこと等によるものであります。

 

(エ)生産、受注及び販売の状況

当連結会計年度の「生産、受注及び販売の実績」をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

「生産実績」の金額は、当期製造費用、「商品仕入実績」の金額は、仕入価格で記載しており、それ以外のものは、販売価格によっております。また、セグメント間の取引については、相殺消去しております。

① 生産実績

セグメントの名称

生産高(千円)

前期比(%)

繊維事業

401,678

24.9

その他の事業

合計

401,678

24.9

 

 

② 商品仕入実績

セグメントの名称

仕入高(千円)

前期比(%)

繊維事業

3,406,328

45.2

その他の事業

△100.0

合計

3,406,328

44.4

 

 

③ 受注実績

セグメントの名称

受注高(千円)

前期比(%)

受注残高(千円)

前期比(%)

繊維事業

4,577,970

34.2

641,866

61.0

その他の事業

412,986

7.8

44,540

57.9

合計

4,990,956

31.6

686,407

60.8

 

 

④ 販売実績

セグメントの名称

販売高(千円)

前期比(%)

繊維事業

4,334,746

25.9

不動産活用事業

3,220,003

55.2

ゴルフ練習場事業

1,006,866

20.7

その他の事業

396,657

5.4

合計

8,958,273

33.1

 

 

(注) 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

イオンモール㈱

1,706,512

25.4

2,843,633

31.7

キャンパルジャパン㈱

868,196

12.9

1,269,737

14.2

 

 

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当連結会計年度の売上高は、前期に比べ33.1%増加して8,958百万円となりました。繊維事業では、キャンプ関連商品が前期に引き続き活発なアウトドア市況により増収となり、また、法人ユニフォームでは、足許ではコロナ禍による企業の購入意欲の低下等の影響から新規案件が減少傾向にあるものの、前期までの案件受注が寄与し増収となりました。原糸は国内産地にて産業用資材向け等非衣料分野において受注が増加しましたが、生地は衣料品需要が前期のコロナ禍の大幅な落ち込みから回復には至らず、減収となりました。なお、サステナビリティへの取り組みの一環として提案、販売を強化している環境配慮型商材は引き合いが着実に増加しており、今後も販路拡大を図ってまいります。以上の結果、繊維事業の売上高は前期比25.8%増加しました。不動産活用事業は、当初2021年3月竣工予定であった「イオンモール川口」が、コロナ禍の影響から完成・引き渡しが延期となったものの、同年5月に無事に賃貸を開始できたことから、売上高は前期比49.2%増加しました。ゴルフ練習場事業は、コロナ禍において屋外で密を避けたスポーツであることが若年層を含め評価され、また、SNSによる情報発信、キャッシュレス化を進めた効果もあり、入場者が増加し、売上高は前期比20.7%増加しました。その他の事業は、インテリア施工事業が大口工事の受注を獲得したことから、売上高は前期比20.7%増加しました。

売上原価は前期に比べ48.8%増加して7,094百万円、販売費及び一般管理費は1.3%減少して1,217百万円となりました。売上原価の増加要因は主に繊維事業が増収になったこと、「イオンモール川口」に係る不動産取得税や登記費用の計上、「イオンモール川口前川」のリニューアル工事のうち部分引渡しによる修繕費の計上、及び当期に大型商業施設の耐用年数の見積りを変更したことによる減価償却費の増加等であります。販売費及び一般管理費の減少要因は主に出荷・輸送コストが増加したものの、人件費が減少したこと等によるものであります。

営業利益は前期に比べ11.5%減少して645百万円となりました。繊維事業は増収となったことで前期の営業損失12百万円から営業利益79百万円となり、黒字化を達成しました。不動産活用事業は大幅増収となったものの、上記売上原価の増加要因のとおり費用が増加し、営業利益は前期比44.2%減少しました。ゴルフ練習場事業は年間の総入場者数が増加し、営業利益は前期比330.2%増加しました。その他の事業はインテリア施工事業の受注増加により営業利益は前期比72.3%増加しました。

経常利益は前期に比べ15.3%減少して740百万円となりました。営業利益に比べ増加した要因は主に、持分法による投資利益の減少や、長期借入金の増加に伴い支払利息が増加したものの、受取配当金の増加、デリバティブ評価益の計上等によるものであります。

特別損益は、主に当期に発生した地震等の災害により当社が所有する大型商業施設2棟に損害が発生し、修繕が必要となったことから特別損失に「災害による損失」を計上し、当該物件に付保した保険金収入を特別利益の「受取保険金」として計上しています。なお、災害による損失は受取保険金で賄われる見込みであり、また人的被害はありませんでした。

以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前期に比べ15.0%減少して499百万円となりました。

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

営業活動により得られた資金は前期に比べ95百万円減少して2,039百万円となりました。この主な減少要因は、非支出項目である減価償却費が「イオンモール川口」の賃貸開始により増加し、また、同建物に係る不動産取得税の予定計上によりその他に含まれる負債が増加したものの、棚卸資産の増加や当期に発生した消費税等の納付額が増加したこと等によるものであります。

投資活動により支出した資金は前期に比べ9,162百万円減少して2,977百万円となりました。この主な減少要因は、主に「イオンモール川口」の建設に係る支出が減少したこと等によるものであります。

財務活動により得られた資金は前期に比べ8,324百万円減少して1,744百万円となりました。この主な減少要因は、「イオンモール川口」の建設費に充当するための長期借入れによる収入が減少したこと等によるものであります。

当社グループの資本の財源及び資金の流動性について、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。運転資金需要のうち主なものは、繊維製品の購入や賃貸等設備の維持管理に係る費用及び販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は主に設備投資等によるものであります。短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入れを基本としており、賃貸等設備への設備投資に係る資金調達につきましては、賃借人からの保証金のほか、金融機関からの長期借入れを基本としております。

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表作成に当たって、必要と思われる見積りは合理的な基準に基づいて行っております。詳細につきましては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項) 4会計方針に関する事項及び(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

④ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループが目標とする経営指標は、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2) 目標とする経営指標」に記載のとおりであります。当連結会計年度の「1株当たり当期純利益」は前期6円72銭減少し37円81銭となりました。「総資産経常利益率」は前期比0.8ポイント減少して1.8%となり、「売上高経常利益率」は前期比4.7ポイント減少して8.3%となりました。各指標の増減理由につきましては、前述しております「①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容」をご参照ください。

 

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