(1)経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当事業年度(2021年4月1日~2022年3月31日)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う緊急事態宣言やまん延防止等重点措置などの発出や外出の自粛要請により、国内の個人消費は落ち込み、経済活動が停滞するなど、経営環境の悪化に伴い非常に厳しい状況で推移しました。新型コロナウイルス感染症の拡大に関しては、未だに収束時期の見通しが立たないことから、依然として厳しい経営環境が続き、今後の経済活動も不透明な状況で推移しております。
当社が属する国内の外食業界におきましても、会食の自粛やリモートワークの普及による生活様式の変化、インバウンド需要の減少、営業の自粛要請などによって、店内飲食需要の減少や、デリバリー・テイクアウトの普及など、急激な変化への対応が必要になりました。
このような状況の中、当社におきましては、店舗の臨時休業や営業時間の短縮、アルコールの提供自粛など行ってまいりました。また、店舗の運営に関しましては、設備における清掃の強化、消毒、マスクの着用や手洗い消毒の徹底など、感染拡大防止に努めてまいりました。店内飲食需要の減少により、デリバリーやテイクアウト、ランチメニューの導入など、新たな生活様式に対応するための事業改善を進めておりましたが、度重なる緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の発出により、依然として厳しい環境が続いております。
このような状況に対応すべく、経営資源の選択と集中を推し進め、収支の改善を企図した取り組みとして、業態と立地の見直しを行い、コロナ禍での早急な業績改善が厳しいと思われる店舗や不採算店舗の退店などを鋭意進めてまいりました。また、2021年5月14日開示の「フランチャイズ契約の締結に関するお知らせ」のとおり、株式会社ファッズの「新時代」業態にFC加盟を行い、業態転換を進め、2022年3月末時点において11店舗の業態変更を行いました。その結果、2022年3月末現在の店舗数は、直営店27(内FC加盟13)店舗(前事業年度末は34(内FC加盟2)店舗)、フランチャイズ店9(前事業年度末は9)店舗となりました。
業態 |
前事業年度末 |
新規出店 |
閉店 |
当事業年度末 |
新規出店のうち 業態変更 |
なつかし処昭和食堂 |
19 |
- |
13 |
6 |
- |
えびすや |
3 |
- |
- |
3 |
- |
上方御馳走屋うるる |
1 |
- |
- |
1 |
- |
Baby Fane Planet's |
1 |
- |
- |
1 |
- |
餃子・ハイボール酒場熱々屋 |
6 |
- |
3 |
3 |
- |
立喰い焼肉治郎丸 |
5 |
- |
2 |
3 |
- |
海鮮個室居酒屋葵屋 |
1 |
- |
- |
1 |
- |
炭火焼干物定食しんぱち食堂 |
1 |
- |
- |
1 |
- |
新時代 |
- |
11 |
- |
11 |
11 |
その他 |
6 |
- |
- |
6 |
- |
合計 |
43 |
11 |
18 |
36 |
11 |
これらの結果、当事業年度の業績は、売上高776,660千円(前事業年度末比9.8%減)、営業損失703,109千円(前事業年度は営業損失933,790千円)、経常損失348,963千円(前事業年度は経常損失791,540千円)、当期純損失453,753千円(前事業年度は当期純損失1,066,398千円)となりました。当事業年度においては、不採算店の退店と業態変更による採算改善に取り組みましたが、全社的な採算の改善には至らず、また、今後の業績回復が合理的に見込めない店舗に関して、特別損失として減損損失57,190千円を計上しております。
当社におきましては、先述の新型コロナウイルスの影響により、休業や営業時間の短縮を余儀なくされ、また、外食需要の急激な減退により、かつてない危機的な経営環境下にあります。このような状況下においても、ピンチをチャンスに変えるべく事業構造の転換を企図し、事業の再生による経営回復に全力で取り組んでまいります。
(注)当社は飲食事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
財政状態につきましては、当事業年度末における総資産は、2,124,365千円(前事業年度末比1,400,035千円増加)、負債は1,674,581千円(同303,788千円増加)、純資産は449,783千円(同1,096,246千円増加)となりました。
流動資産につきましては、前事業年度末に比べ1,391,193千円増加し1,706,106千円となりました。これは、現金及び預金が1,462,135千円増加したこと等によります。
固定資産につきましては、前事業年度末に比べ8,842千円増加し418,259千円となりました。これは、減損処理により有形固定資産が57,190千円減少した一方で、リース資産が222,001千円増加したこと等によります。
流動負債につきましては、前事業年度末に比べ201,734千円増加し1,017,390千円となりました。これは、短期借入金が77,950千円増加、1年内返済予定の長期借入金が63,814千円増加、未払金が57,710千円増加したこと等によります。
固定負債につきましては、前事業年度末に比べ102,054千円増加し657,191千円となりました。これは、長期借入金が68,165千円減少した一方で、リース債務が207,902千円増加したこと等によります。
純資産につきましては、前事業年度末に比べ1,096,246千円増加し449,783千円となりました。これは、第三者割当増資及び新株予約権の行使により資本金及び資本剰余金がそれぞれ769,700千円ずつ増加したこと等によります。
この結果、自己資本比率は18.3%(前事業年度末は△90.8%)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、1,506,932千円となっております。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、使用した資金は179,120千円となりました。これは主に、税引前当期純損失433,158千円を計上したこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、得られた資金は41,284千円となりました。これは主に、有形固定資産の売却による収入が45,778千円あったこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、得られた資金は1,599,971千円となりました。これは主に、株式の発行による収入が1,000,000千円、新株予約権の行使による株式の発行による収入が480,000千円あったこと等によるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
当社の事業は、飲食事業の単一セグメントであり、セグメントごとの業績は、記載を省略しております。
当事業年度における生産、販売の実績を示すと次のとおりです。
a.生産実績
当社で行う事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
b.仕入実績
当社は飲食事業の単一セグメントであるため、仕入実績を部門別に示すと、次のとおりであります。
部門の名称 |
当事業年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
|
仕入高(千円) |
前年同期比(%) |
|
新時代部門 |
195,463 |
- |
なつかし処昭和食堂部門 |
23,705 |
20.7 |
その他の部門 |
51,608 |
43.5 |
合計 |
270,775 |
116.3 |
(注)当事業年度において、仕入実績に著しい変動がありました。これは、新たに新時代部門を立ち上げたことによ
るものであります。
c.販売実績
当社は飲食事業の単一セグメントであるため、販売実績を部門別に示すと、次のとおりであります。
部門の名称 |
当事業年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
|
販売高(千円) |
前年同期比(%) |
|
新時代部門 |
467,530 |
- |
なつかし処昭和食堂部門 |
92,347 |
25.1 |
その他の部門 |
216,783 |
43.8 |
合計 |
776,660 |
90.1 |
(注)当事業年度において、販売実績に著しい変動がありました。これは、新たに新時代部門を立ち上げたことによ
るものであります。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析
イ.財政状態
(流動資産)
当事業年度末の流動資産は、前事業年度末に比べ1,391,193千円増加し1,706,106千円となりました。これは、現金及び預金が1,462,135千円増加したこと等によります。
(固定資産)
当事業年度末の固定資産は、前事業年度末に比べ8,842千円増加し418,259千円となりました。これは、減損処理により有形固定資産が57,190千円減少した一方で、リース資産が222,001千円増加したこと等によります。
(流動負債)
当事業年度末の流動負債は、前事業年度末に比べ201,734千円増加し1,017,390千円となりました。これは、短期借入金が77,950千円増加、1年内返済予定の長期借入金が63,814千円増加、未払金が57,710千円増加したこと等によります。
(固定負債)
当事業年度末の固定負債は、前事業年度末に比べ102,054千円増加し657,191千円となりました。これは、長期借入金が68,165千円減少した一方で、リース債務が207,902千円増加したこと等によります。
(純資産)
当事業年度末の純資産合計は、前事業年度末に比べ1,096,246千円増加し449,783千円となりました。これは、第三者割当増資及び新株予約権の行使により資本金及び資本剰余金がそれぞれ769,700千円ずつ増加したこと等によります。
ロ.経営成績
(売上高)
当事業年度における売上高は前事業年度に比較して84,487千円減少し、776,660千円(前期比9.8%減)となりました。その主な要因は、不採算店舗の閉店に伴う売上減少並びに新型コロナウイルス感染症に伴う営業時間短縮等による売上減少によるものです。
(売上総利益)
当事業年度における売上総利益は前事業年度に比較して102,199千円減少し、501,326千円(前期比16.9%減)となりました。その主な要因は、閉店による売上減少に伴うものであります。また、売上総利益率は前事業年度を5.6ポイント下回る64.5%となりました。その主な要因は、新業態への転換による利益率の変動によるものです。
(販売費及び一般管理費)
当事業年度における販売費及び一般管理費は前事業年度に比較して332,880千円減少し1,204,435千円(前期比21.7%減)となりました。その主な要因は、閉店による売上減少に伴う全般的な費用低減によるものであります。
(営業損失及び経常損失)
当事業年度における営業損失は703,109千円(前事業年度は営業損失933,790千円)となりました。また、経常損失は348,963千円(前事業年度は経常損失791,540千円)となりました。
(当期純損失)
当事業年度においては、不採算店の退店と業態変更による採算改善に取り組んだ結果、赤字幅は減少しました。また、今後の業績回復が合理的に見込めない店舗に関して、特別損失として減損損失57,190千円を計上するに至りました。これらの結果、当事業年度における当期純損失は453,753千円(前事業年度は当期純損失1,066,398千円)となりました。
当社の経営成績に重要な影響を与える要因は、当社の中で多くを占める居酒屋業界において、若年層のアルコール離れや少子高齢化等により市場全体が縮小しているといわれる中、他社との競合状態が激化し、当社グループの出店条件に合致する出店店舗の契約が締結できない等の理由で、新規出店が計画通りに遂行できない事態等が挙げられます。
当社におきましては、出店候補地情報を幅広く収集し、早期の出店検討を図り、その地域のお客様ニーズに合った店舗開発を行う方針であります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社の当事業年度のキャッシュ・フローは、「第2 事業の状況 3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社は運転資金につきましては、営業キャッシュ・フローで獲得した資金で賄い、設備資金につきましては、出店計画に応じた資金を長期借入金により調達すること及び不測の事態を想定してある程度の資金的な余裕を保持することを基本方針としております。
当事業年度において、新型コロナウイルス感染症の影響による今後の不確実な経営環境に備え、債務超過の解消等財務基盤の安全性を確保するため、エクイティファイナンスを実施し、債務超過の解消と事業拡大に備えた資金確保を行っております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に準拠して作成されております。財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。
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