当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況
当社グループは「持続可能な社会を実現する最適化商社」をビジョンに掲げ、多様化する消費行動や様々な消費スタイルに対し、個々人そして一部の商品・サービスにおいては事業者や法人にまでその枠を広げ、インターネットを通じて最適な消費の選択肢を提供するべく事業を推進しております。また、当社グループは2021年8月13日に2024年6月期を最終年度とした中期経営計画を公表しております。当該計画最終年度の業績目標(売上高200億円、営業利益12億円)達成に向け、その初年度となる当期は、中期的な収益基盤の構築に向けた投資期として、ネット型リユース事業を中心に様々な施策を実行してまいりました。加えて、安定的な収益体制(ストック収益基盤)を確立すべく、モバイル通信事業においては契約回線がもたらす月次収益の長期化を行いました。
なお、各事業(報告セグメント)における取組の内容は以下のとおりであります。
これらの取組の結果、当連結会計年度における売上高は11,986,761千円(前期比10.2%増)、営業損失は319,357千円(前期は54,273千円の利益)、経常損失は328,082千円(前期は32,688千円の利益)、親会社株主に帰属する当期純損失は404,185千円(前期は40,118千円の損失)となりました。
当セグメントでは、販売店舗を有せずインターネットに特化したリユース品の買取及び販売に関するサービスを展開しており、当社グループの基幹事業であります。
買取においては「高く売れるドットコム」を総合買取サイトの基軸とし、商品カテゴリー別に分類された複数の買取サイトを自社で運営しております。販売において「ヤフオク!」はじめ、「楽天市場」、「Amazon」、自社ECサイト「ReRe(リリ)」など複数サイトへ同時出品し、インターネットを通じて商品を販売しております。主に「大型」「高額」「大量」といった、CtoC(個人間取引)では梱包や発送が難しい商品を取扱い、CtoBtoCというプロセスで当社が取引に介入することで、品質担保をはじめ、リユース品の売買に対して顧客に安心感を提供しております。近年ではこれらで培ったナレッジ・ノウハウを元に農機具分野へ参入し、農機具輸出事業の収益基盤拡充に向けた先行投資を行う等、既存事業とのシナジーを活かして事業の多角化に努めております。また、リユースプラットフォーム「おいくら」(全国のリサイクルショップが加盟し、売り手である一般消費者と買い手であるリサイクルショップをマッチングするインターネットプラットフォーム)の基盤拡充に向けた施策を行っております。
当連結会計年度におきましては、中期経営計画の達成に向けて様々な先行投資を実施いたしました。具体的には、個人向けリユース分野につきましては、買取依頼数増加のためのマーケティング投資の積極化、商品買取に関する潜在ニーズの掘り起こしに向けた出張買取バイヤーや車両等の増強が挙げられます。農機具分野につきましては、取扱量の増加に向けた新拠点の開設(茨城県結城市)、「DMM農機」のブランド名で展開していた株式会社ファーマリーの中古農機具買取・販売事業の事業譲受、システム投資等が挙げられます。「おいくら」については、リユースプラットフォームとしての中長期的な収益基盤拡充に向けたシステム投資や官民協働でのSDGsの実現(粗大ゴミの削減及び環境負荷軽減)に向けた地方自治体との連携が挙げられます。
これらの先行投資の結果、売上高は6,631,381千円(前期比0.8%増)、セグメント利益111,364千円(前期比79.2%減)となりました。
当セグメントでは、「賢い消費」を求める消費者に対して、その消費行動に資する有益な情報をインターネットメディアで提供するサービスを展開しており、下記の8つのメディアを運営しております。
・モバイル通信に関するメディア :「iPhone格安SIM通信」「SIMCHANGE」
・モノの売却や処分に関するメディア :「高く売れるドットコムMAGAZINE」「おいくらMAGAZINE」
・モノの購入に関するメディア :「ビギナーズ」「OUTLET JAPAN」
・モノの修理に関するメディア :「最安修理ドットコム」
・中古農機具の買取・販売プラットフォーム:「中古農機市場UMM」
当連結会計年度におきましては、検索エンジンアルゴリズムのアップデートに対応した既存掲載記事のメンテナンスや送客対象となる商品・サービスの領域拡大を行ったこと等により、収益性の高いキーワードにおける検索ランキングが回復基調で推移いたしました。そのため、主力分野であるモバイル通信に関するメディアの送客収入も同様に回復基調にあります。また、それ以外の分野のメディアにおきましてもページビュー数、送客収入は堅調に推移しております。
これらの施策が奏功し、売上高599,475千円(前期比15.5%増)、セグメント利益345,552千円(前期比49.2%増)となりました。
当セグメントでは、連結子会社の株式会社MEモバイルが、通信費の削減に資する低価格かつシンプルで分かりやすい通信サービスを展開しており、主力サービスとして、「カシモ(=“賢いモバイル”の略称)」というブランド名のもと、主にモバイルデータ通信のサービスを提供しております。
当連結会計年度におきましては、前期下期に低調に推移した自社通信メディアからの送客が回復基調となっていることから、新商材であるWiMAX 5Gを中心に新規回線獲得数が増加いたしました。一方、中期的なストック収益基盤を構築すべく新たな料金プラン(新規契約回線獲得時に計上される一時的な収益が低下し、契約期間中の月次収益が増加)を設定したことで1契約回線あたりの収益期間が長期化したことに加え、積極的な新規回線獲得に向けた積極的な広告宣伝活動を行ったことから、獲得コストが一時的に増加し、当期間における収益性は低下いたしました。
これらの結果、売上高4,861,418千円(前期比25.7%増)、セグメント利益134,829千円(前期比2.0%減)となりました。
(資産の部)
当連結会計年度末の総資産については、前連結会計年度末に比べて69,480千円増加し、3,531,382千円となりました。
流動資産については、前連結会計年度に比べて10,414千円増加し、2,541,074千円となりました。これは主に、売掛金の増加389,897千円や商品の増加153,710千円があった一方で、現金及び預金の減少527,528千円があったことによるものであります。
固定資産については、前連結会計年度に比べて59,066千円増加し、990,307千円となりました。これは主に、新規拠点開設に伴う敷金及び保証金の増加57,265千円や繰延税金資産の増加23,283千円があった一方で、のれんの減少40,000千円があったことによるものであります。
(負債の部)
当連結会計年度末の負債については、前連結会計年度末に比べて426,537千円増加し、2,235,290千円となりました。
流動負債については、前連結会計年度に比べて902,722千円増加し、2,058,458千円となりました。これは主に、短期借入金の増加800,000千円や未払金の増加77,777千円及び買掛金の増加58,003千円があった一方で、1年内返済予定の長期借入金の減少173,783千円があったことによるものであります。
固定負債については、前連結会計年度に比べて476,185千円減少し、176,832千円となりました。これは主に、長期借入金の減少457,836千円があったことによるものであります。
(純資産の部)
当連結会計年度末の純資産については、前連結会計年度末に比べて357,056千円減少し、1,296,091千円となりました。これは主に親会社株主に帰属する当期純損失の計上に伴う利益剰余金の減少404,185千円があったことによるものであります。
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)については、前連結会計年度末に比べて527,528千円減少し、941,696千円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、394,601千円の資金の減少(前連結会計年度は595,387千円の資金の増加)となりました。これは主に税金等調整前当期純損失342,479千円や売上債権の増加399,100千円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、274,802千円の資金の減少(前連結会計年度は76,555千円の資金の減少)となりました。これは主に新規拠点開設に伴う有形固定資産の取得による支出55,651千円や敷金及び保証金の差入れによる支出62,533千円及び事業譲受による支出125,299千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、129,867千円の資金の増加(前連結会計年度は306,158千円の資金の減少)となりました。これは主に短期借入れによる収入1,700,000千円があった一方で、短期借入金の返済による支出900,000千円や長期借入金の返済による支出631,619千円があったことによるものであります。
(生産実績)
該当事項はありません。
(仕入実績)
当連結会計年度における仕入実績を示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は、仕入価格によっております。
(受注実績)
該当事項はありません。
(販売実績)
当連結会計年度における販売実績を示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合
経営者の視点による、当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者はこれらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項 会計方針に関する事項」に記載しております。
(売上高)
当連結会計年度における売上高は11,986,761千円(前期比:10.2%増)となりました。これは主に、メディア事業の送客数、モバイル通信事業の新規回線契約数が好調に推移したことによるものであります。
(売上原価、売上総利益)
当連結会計年度における売上原価は7,717,840千円(前期比:10.3%増)、売上原価率は64.4%(前期比:0.1ポイント増)となりました。これは主に、ネット型リユース事業においては農機具をはじめとした高価格帯商品の取扱シェアが高まり原価率が上昇した一方、原価率が低いメディア事業の伸長があったことによるものであります。これらのことにより、売上総利益は4,268,920千円(前期比:10.0%増)となりました。
当連結会計年度における販売費及び一般管理費は4,588,278千円(前期比:19.9%増)となりました。これは主に、ネット型リユース事業における買取依頼数増加に向けた広告宣伝費の増加、買取能力の増強に向けた人材採用積極化に伴う人件費の増加、新規拠点開設に伴う地代家賃の増加があったことによるものであります。この結果、営業損失は319,357千円(前期は54,273千円の利益)となりました。
当連結会計年度における営業外損益は、営業外収益が20,409千円、営業外費用が29,134千円となりました。営業外収益の主な内訳は2016年に開設した徳島コンタクトセンターに係る助成金収入であり、営業外費用の主な内訳はコミットメントラインの新規設定に伴う費用であります。この結果、経常損失は328,082千円(前期は32,688千円の利益)となりました。
当連結会計年度における特別損益は、特別損失が14,396千円となりました。特別損失の主な内訳は設備の老朽化に伴う固定資産の除却損及び、投資有価証券の評価損であります。また、当連結会計年度における法人税等合計は31,155千円となりました。
この結果、当期純損失は373,634千円(前期は9,581千円の損失)となり、親会社株主に帰属する当期純損失は404,185千円(前期は40,118千円の損失)となりました。
(資金需要)
当社グループの事業活動における運転資金需要の主なものは、各事業におけるWebマーケティング費用や人件費、ネット型リユース事業、モバイル通信事業における商品の仕入費用、仕入及び販売のための物流費用(梱包資材及び配送関連費用)などの営業費用であります。
設備資金需要としては、新規拠点開設に伴う車両、建物附属設備、備品等の調達、また既存施設の設備更新、保守への投資やシステムの改修などソフトウエア開発による投資などがあります。
その他、事業買収関連の資金需要が挙げられます。
(財務政策)
当社グループの運転資金については、主に自己資金により充当しております。当連結会計年度末の現金及び現金同等物は941,696千円となり、現段階におきましては、将来資金に対して十分な財源及び流動性を確保しているものと判断いたしております。
また、設備資金についても同様に自己資金により充当することを基本方針としておりますが、大型の設備投資案件や買収案件等が発生する場合におきましては、金融機関からの借入による資金調達を検討・実行いたします。
キャッシュ・フローの分析については、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」をご参照ください。
経営戦略の現状と見通しについては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
経営者の問題認識と今後の方針については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
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