当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
(1) 経営成績
当連結会計年度におけるわが国経済は、各種政策の効果により景気の持ち直しが期待されたものの、新型コロナウイルス感染症の影響による世界的なサプライチェーンの混乱に伴い経済活動が抑制され、また、ウクライナをめぐる国際情勢による、原油などのエネルギー資源価格の高騰に伴う原材料価格の上昇や為替相場の急激な変動など、依然として不透明かつ厳しい状況が続いております。
このような状況下、当社グループは、2020年度より取組んでいる「中期経営計画」において、2024年度の目標値を「連結売上高700億円、連結経常利益35億円、経常利益率5.0%」とし、従来の基本戦略に加え、「顧客戦略・地域戦略・グループ戦略」等の重点戦略を策定しました。目標の実現に向けて当社グループ一体で更なる成長戦略を推進してまいります。
グループ会社では、ヤシマコントロールシステムズ㈱を八洲制御システム㈱に商号を変更するとともに「新工場」を竣工し、これまで2つに分散していた生産拠点を1つに移転集約し、設計から製缶・塗装・組立までの一貫生産体制構築による品質及び生産効率の向上を図り、制御盤事業の拡大を推進してまいります。また、㈱三陽プラント建設は八洲プラント建設㈱へ商号を変更するとともに「新本社ビル」を竣工し、オフィス環境の整備を通じ業務の効率化を図り、事業の拡大と生産性の向上を推進してまいります。また、当社の連結子会社である八洲環境エンジニアリング㈱と八洲情報システム㈱は2022年3月に合併を決議いたしました。両社の保有する営業力・技術力・ソリューション力を統合し、体制の強化及び新しいビジネスの創出を行い、更なる事業規模拡大と収益力強化を図ってまいります。なお、両社は2022年4月1日に合併し、「八洲EIテクノロジー㈱」へ商号を変更いたしました。
当連結会計年度におきましては、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、顧客の投資抑制に伴う受注延伸や、部品の供給・物流の混乱などによる製品の納期や工事案件の工期が延期したことなどの影響を受け、 売上高は600億38百万円(前年比1.4%増)、営業利益は21億23百万円(前年比2.2%減)、経常利益は22億51百万円(前年比2.7%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は15億27百万円(前年比2.8%減)となり、概ね前年並みの業績となりました。
セグメントの業績は次のとおりであります。なお、当連結会計年度より、報告セグメントとして記載する事業セグメントの構成を変更しており、当連結会計年度の比較・分析は、変更後の区分に基づいております。
①プラント事業
鉄鋼・非鉄分野では、市況改善、設備集約等が進むものの、鉄鋼分野における老朽設備の更新や生産効率向上を目的とした大型投資案件の減少により、売上高は低調に推移しました。
石油・化学・ガス分野では、化学・ガス分野における設備の維持・管理を目的とした工事案件等が計画通り進捗しましたが、石油分野における国内需要の回復遅れや老朽設備改修工事の先送りなどもあり、売上高は低調に推移しました。
その結果、プラント事業の売上高は 157億92百万円 (前年比 13.5%減) 、営業 利益は10億64百万円 (前年比 19.4%減) となりました。
②産業・交通事業
産業機器分野では、半導体不足や原材料高騰の影響はあるものの、設備機械関連セットメーカーの生産量は増加し、国内製造業の設備投資も回復基調が続いており、売上高は好調に推移しました。
一般産業分野では、医療・化学・精密関連における顧客の成長投資に向けた設備増強を背景に、大型の工事案件が順調に進捗し、売上高は堅調に推移しました。
空調設備分野では、情報通信分野向け特殊空調機及び理化学分野向け特殊空調工事や新型コロナウイルス感染症対策用のクリーンエア製品が順調に進捗し、売上高は堅調に推移しました。
交通分野では、鉄道車両関連製品や信号関連設備の工事が順調に進捗し、売上高は好調に推移しました。
その結果、産業・交通事業の売上高は 442億46百万円 (前年比 8.1%増) 、営業 利益は29億52百万円 (前年比 5.0%増) となりました。
生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 上記の金額には、工事に伴う材料費等を含んでおります。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
(2) 財政状態
(資産)
当連結会計年度末における資産の残高は509億34百万円で、前連結会計年度末に比べ23億73百万円減少しております。主な要因は、現金及び預金(106億77百万円から114億50百万円へ7億73百万円増)、電子記録債権(39億13百万円から44億25百万円へ5億11百万円増)が増加した一方、受取手形、売掛金及び契約資産(203億円から186億62百万円へ16億37百万円減)、商品(21億64百万円から19億9百万円へ2億54百万円減)、その他の流動資産(21億57百万円から2億10百万円へ19億47百万円減)が減少したことによるものであります。
(負債)
当連結会計年度末における負債の残高は278億88百万円で、前連結会計年度末に比べ34億50百万円減少しております。主な要因は、短期借入金(7億95百万円から9億90百万円へ1億95百万円増)が増加した一方、支払手形及び買掛金(195億96百万円から191億63百万円へ4億32百万円減)、契約負債(45億77百万円から16億62百万円へ29億14百万円減))が減少したことによるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産の残高は230億46百万円で、前連結会計年度末に比べ10億77百万円増加しております。主な要因は、利益剰余金(196億32百万円から207億34百万円へ11億01百万円増)が増加したことによるものであります。
(3) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローについては、営業活動により17億21百万円増加、投資活動により7億59百万円減少、財務活動により2億98百万円減少しました。その結果、現金及び現金同等物は105億67百万円と前連結会計年度と比較して6億63百万円(前年比6.7%増)の増加となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローの収入は、17億21百万円(前年比223.3%増)となりました。
これは主に、税金等調整前当期純利益23億11百万円、仕入債務の増加額13億75百万円、棚卸資産の減少額3億74百万円がキャッシュ・フローのプラスとなった一方、売上債権の増加額18億98万円、法人税等の支払額5億16百万円がキャッシュ・フローのマイナスとなったためであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローの支出は、7億59百万円(前年度は3億42百万円の収入)となりました。
これは主に、投資有価証券の売却による収入1億42百万円がキャッシュ・フローのプラスとなった一方、有形固定資産の取得による支出8億34百万円がキャッシュ・フローのマイナスとなったためであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローの支出は、2億98百万円(前年度は12百万円の支出)となりました。
これは主に、短期借入金の純増減額1億95百万円がキャッシュ・フローのプラスとなった一方、長期借入金の返済による支出60百万円、配当金の支払額4億26百万円がキャッシュ・フローのマイナスとなったためであります。
(4) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループは、運転資金及び設備投資資金につきましては、内部資金または借入により資金調達することとしております。
このうち、借入による資金調達に関しましては、運転資金については期限が1年以内の短期借入金で、銀行等からの借入金によるものであります。
また、キャッシュマネジメントシステムを活用したグループファイナンスを行うことにより、グループ会社全体での資金の効率化に努め、資金管理体制の更なる強化を図っております。
当社グループは、引き続き財務の健全性を保ち、継続的に営業活動によるキャッシュ・フローを生み出すことによって、将来必要な運転資金及び設備投資資金を調達することが可能と考えております。
(5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表作成にあたって、必要と思われる見積りは、合理的と判断される前提に基づいて実施しておりますが、実際の結果がこれらの見積りと異なる場合があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
なお、新型コロナウイルス感染症は経済、企業活動全体に影響を与える事象であり、また、今後の感染拡大や収束時期等を予想することは困難なことから当社は外部の情報源に基づく情報等を踏まえて、2023年3月期の一定期間にわたり当該影響が継続するとの仮定により、期末時点で入手可能な情報に基づいて会計上の見積りを行っております。
(6) 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、重要な経営指標を連結経常利益としております。2022年3月期は22億51百万円(前年比2.7%減)となりましたが、2023年3月期は、中期経営計画の新たな三ヵ年のスタートと位置づけ、中期経営計画の最終目標値を達成するための成長戦略に基づいた施策を実施します。そのため、交通システムビジネスユニットを新設し、交通事業の強化を図るとともに、新たなニーズを迅速・的確に捉え、3つのビジネスユニットでの事業領域の拡大を推進します。
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