当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。
なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、当該会計基準等を遡って適用した後の数値で前連結会計年度との比較・分析を行っております。
当連結会計年度における日本国内の経済環境は、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の発令等、経済活動に制限がかかる状況が続きましたが、ワクチン接種の進展とともに緩やかな回復基調で推移しました。ただし、ウクライナ情勢の緊迫化による資源価格高騰等の影響により、景気回復を抑制する動きも見られました。また、変異株による感染拡大が断続的に発生しており、ウクライナ情勢をめぐる影響の長期化も懸念されることから、依然として先行きが不透明な状況となっております。
医療業界におきましては、補助金給付等の政策もあり、医療提供を維持できる体制構築のための設備投資が引き続き行われたことやワクチン接種の拡がりに伴い、新型コロナウイルス感染症の影響は軽減されつつあるものの、首都圏を中心に、患者の受診抑制、緊急性の低い手術の延期等が続いており、依然として医療機関の経営状況に影響を及ぼしております。
医療機器販売業界におきましては、診療報酬改定による医療材料の販売価格下落の影響が強まる中で、医療機関の経営改善や効率化に貢献しうる複合的なサービスの提供が求められる状況となっており、こうした背景からM&Aや業務提携等による事業領域の拡大や営業体制の強化を目指す動きが活発化しております。
このような経営環境の下、当社グループは医療機関の医療体制維持のため、全社員で感染拡大防止に努めながら、製品の安定供給及び顧客の課題解決に取り組むことを方針として事業活動を行ってまいりました。医療機関における感染対策の進展により、一定程度の手術症例の回復が見られ、新型コロナウイルス感染者数の増加時にも症例数の大きな落ち込みは見られず、低侵襲領域への注力や整形外科領域における販売拡大が進んだこともあり、手術関連製品等の消耗品の販売も前期に比して増加いたしました。他方、新型コロナウイルス感染症の検査に係る試薬等やPPE(個人用防護具)等の感染対策に関わる製品の販売もピークアウトはしているものの、感染拡大前に比して高い水準の販売量が継続いたしました。また、医療環境、経営改善に資するソリューションの提案も積極的に推進し、SPDの新規受託があったこと等も医療機器販売事業の増収に貢献しております。備品につきましては、新型コロナウイルス感染症対策に係る案件獲得が寄与し、当社グループの販売実績は好調に推移しました。加えて、10月に実施した佐野器械㈱との経営統合も増収に寄与しております。販売費及び一般管理費については、主要子会社における事業規模拡大に伴う人員採用や営業拠点の開設、移転があったことに加え、㈱栗原医療器械店における新物流センターに係る設備投資関連費用や移設費用が発生したことで前期と比較して増加しております。なお、特別損失において197百万円を計上しておりますが、主たる要因は主要子会社における営業拠点の移転に際し発生した関連固定資産の減損損失であります。
この結果、当連結会計年度における売上高は221,694百万円(前期比6.7%増)、営業利益は2,267百万円(同14.6%減)、経常利益は2,757百万円(同13.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,867百万円(同9.6%減)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
(医療機器販売事業)
医療機器販売事業における消耗品につきましては、新型コロナウイルス感染症拡大による手術症例の減少の影響があったものの、SPDや新規顧客の獲得、感染対策に係る製品の販売増加及び、佐野器械㈱との経営統合により、売上高及び売上総利益は前期と比較して増加しました。備品につきましては、前期比では減少しているものの、新型コロナウイルス感染症対策に係る補助金関連の案件の他、移転新築に係る案件の獲得により好調に推移しました。その一方、㈱栗原医療器械店において物流センター新設に関連する費用が発生したことで販売費及び一般管理費が増加しました。
この結果、売上高は216,384百万円(前期比7.0%増)、売上総利益は25,322百万円(同9.8%増)、セグメント利益(営業利益)は9,250百万円(同14.5%増)となりました。
(介護・福祉事業)
介護・福祉事業につきましては、新型コロナウイルス感染症流行による営業活動自粛の影響があり、介護機器のレンタル事業及び介護施設向けの消耗品販売が低調に推移したことで減収減益となりました。
この結果、売上高は5,309百万円(前期比4.6%減)、売上総利益は2,098百万円(同1.5%減)、セグメント利益(営業利益)は495百万円(同28.4%減)となりました。
(注)当社グループのセグメントは、次のとおりであります。
医療機器販売事業……(医療機器販売事業)
国内の医療機器メーカー・代理店・商社等より仕入れた医療機器(備品・消耗品)を、国内の病院等医療施設に販売しており、当社グループの基幹となる事業であります。
(医療機器の修理及びメンテナンス事業)
当社グループが病院等医療施設に販売した医療機器の修理及びアフターサービス、病院等医療施設との保守契約に基づく医療機器全般のメンテナンスを行っております。
介護・福祉事業……… 国内外の介護福祉機器メーカー・代理店・商社等より仕入れた介護福祉機器(備品・消耗品)を、国内の病院等医療施設及び介護施設並びに医療機器販売業者、一般個人に販売しております。また、介護福祉機器の一般個人へのレンタルを行っております。
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末から8,473百万円増加し92,953百万円となりました。
流動資産は、前連結会計年度末から3,359百万円増加し71,553百万円となりました。これは主に現金及び預金が3,517百万円減少した一方で、受取手形及び売掛金が3,590百万円、商品及び製品が2,124百万円、その他の流動資産が1,162百万円それぞれ増加したことによるものであります。
固定資産は、前連結会計年度末から5,113百万円増加し21,399百万円となりました。これは主に有形固定資産が3,742百万円、投資その他の資産が1,466百万円それぞれ増加したことによるものであります。
当連結会計年度末における負債は、前連結会計年度末から7,009百万円増加し75,646百万円となりました。
流動負債は、前連結会計年度末から6,828百万円増加し67,522百万円となりました。これは主に短期借入金が6,135百万円、未払法人税等が986百万円それぞれ増加したことによるものであります。
固定負債は、前連結会計年度末から180百万円増加し8,123百万円となりました。これは主に長期借入金が56百万円、資産除去債務が70百万円それぞれ増加したことによるものであります。
当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末から1,464百万円増加し17,307百万円となりました。これは主に利益剰余金が1,410百万円増加したことによるものであります。
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末と比べ3,517百万円減少し、9,067百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
a 営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローは、3,899百万円の支出(前期は6,848百万円の収入)となりました。
これらの要因は主に、税金等調整前当期純利益2,567百万円、減価償却費971百万円、のれん償却額194百万円、売上債権の増加額2,979百万円、棚卸資産の増加額1,991百万円、その他流動資産の増加額863百万円、仕入債務の減少額805百万円、法人税等の支払額1,379百万円等の支出要因を下回ったことによるものであります。
b 投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動によるキャッシュ・フローは、4,823百万円の支出(前期は4,616百万円の支出)となりました。
これらの要因は主に、敷金及び保証金の回収による収入196百万円等の収入要因が、有形固定資産の取得による支出4,270百万円、無形固定資産の取得による支出318百万円、長期前払費用の取得による支出390百万円等の支出要因を下回ったことによるものであります。
c 財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動によるキャッシュ・フローは、5,205百万円の収入(前期は1,901百万円の収入)となりました。
これらの要因は主に、短期借入金の純増額6,184百万円、長期借入による収入1,000百万円等の収入要因が、長期借入金の返済による支出1,558百万円、配当金の支払額457百万円等の支出要因を上回ったことによるものであります。
該当事項はありません。
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
該当事項はありません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当連結会計年度の売上高は221,694百万円(前期比6.7%増)となりました。これは主に、主要子会社における増収に加え、2021年10月に実施した佐野器械㈱の経営統合によるものであります。
販売費及び一般管理費については、㈱栗原医療器械店における物流センター新設に関する費用の発生や事業規模拡大に伴う新規採用により増加しております。売上高の増加に伴う売上総利益の増加に加え、メーカーからのリベートの増加も収益に寄与しているもの、販売費及び一般管理費の増加を吸収するには至らず、営業利益は2,267百万円(前期比14.6%減)、経常利益は2,757百万円(前期比13.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,867百万円(前期比9.6%減)となりました。
ⅰ キャッシュ・フロー
キャッシュ・フローにつきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
ⅱ 資金の需要
当社グループの運転資金需要の主なものは、医療機器及び医療材料の仕入のほか、全社に係る販売費及び一般管理費によるものであります。投資を目的とした資金需要は、物流センターの新設やM&A等によるものであります。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
短期運転資金につきましては、内部資金又は金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資やM&A等による投資資金は金融機関からの長期借入を基本としております。
当社グループは長期にわたる安定的な成長を目指しており、そのためには、収益性、効率性向上による利益拡大が重要であると考えております。このような認識のもと自己資本当期純利益率(ROE)を経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標とし、指標の最大化に向けて邁進してまいります。新型コロナウイルス感染症拡大に伴う感染対策に関わる製品の売上増加や新型コロナウイルス感染症対策に係る補助金関連の備品案件の獲得等の影響により、当連結会計年度においては11.3%となりました。中長期的には8.0%以上を維持してくことを目標としております。
当社グループの属する医療機器販売業界は、政府の医療費抑制政策を受けて、地域における効率的な医療供給体制の構築に向けた病院の再編及び高額医療機器や材料価格の見直しが行われております。このような環境の下、既存エリアにおける業容拡大のみならず、M&Aによる事業基盤の拡大により更なるマーケットシェアの向上を図っております。また、販売単価が下落傾向にある中、利益を確保するために、販売価格と仕入価格の継続的な交渉、スケールメリットを活かした購買力の強化、物流体制の改善、適正な在庫管理体制、プライベートブランドの販売推進に取り組んでまいります。また「SURGELANE®」や「MORISS®」等の様々なソリューションビジネスの更なる推進により、医療機関の効率的な運営体制の支援を図っていくことで、地域医療の課題解決へ貢献し、当社グループの社会的価値の向上を図ってまいります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者はこれらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
お知らせ