当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の度重なる蔓延により経済活動が制限されるなど引き続き不透明な状況が続きました。また、先進国ではワクチン接種の広がりに伴い経済活動における正常化の兆しも見られましたが、中国・東南アジアを中心とした生産活動の制限によるサプライチェーンの混乱、原材料や資源価格の高騰、加えてウクライナ情勢に伴い世界経済への影響がみられました。
このような状況下、当社グループにおいては事業間シナジーをより一層高め、多様化する顧客ニーズに応える事業基盤の強化と事業拡大を図る施策を実行してまいりました。2021年5月には半導体及び電子部品事業の更なる事業拡大を目的として、株式会社パルテック(定款上の商号 株式会社PALTEK、以下「パルテック」)の株式公開買付けを行い、同年9月に完全子会社化いたしました。また、システム機器事業においては2022年2月に海外製決済端末を国内で拡販しトップシェアを誇るカードサービス株式会社を子会社化するなど事業基盤のより一層の強化を図りました。
持続可能な社会への貢献がますます求められる中で多様な領域にビジネス展開している当社グループは、再生可能エネルギーの発電拡大をはじめ社会的な課題の解決に向けた取り組みに努めております。「世界・社会貢献・共創と革新」のキーワードのもと、グループの融合と各事業の最適化、積極的な共創ビジネスの展開や新規事業の拡大を進めてまいります。
「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等を当連結会計年度の期首から適用しております。収益認識会計基準等の適用が財政状態及び経営成績に与える影響の詳細については、「第5 経理の状況 1「連結財務諸表等」「注記事項」(会計方針の変更)及び(セグメント情報等)「セグメント情報」 2.報告セグメントごとの売上高、利益又は損失、資産、その他の項目の金額の算定方法」をご参照ください。
a.財政状態
資産及び負債の状況は、第1四半期連結会計期間において株式会社PALTEK他1社を新たに連結子会社としたことによる影響で大幅に増加しております。
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末と比較して51,572百万円増加し、241,958百万円となりました。これは主に、現金及び預金の減少6,764百万円、受取手形、売掛金及び契約資産の増加18,858百万円、棚卸資産の増加24,096百万円によるものであります。
負債は、前連結会計年度末と比較して46,173百万円増加し、160,301百万円となりました。これは主に、支払手形及び買掛金の増加6,702百万円、短期借入金の増加38,703百万円によるものであります。
純資産は前連結会計年度末と比較して5,398百万円増加し、81,657百万円となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益5,957百万円、利益剰余金からの配当2,856百万円によるものであります。
当連結会計年度は半導体など需給逼迫する中で、半導体及び電子部品事業や調達事業において民生機器や車載機器など旺盛な客先需要を取り込み、全体の売上は増収となりました。一方、様々な製品向けの半導体不足により一部の製品や部品が調達困難な状況にあったことから、電子機器事業の売上は影響を受けました。利益面では、増収による売上総利益の増加、並びに販売管理費の抑制により営業利益、及び経常利益は増益となりました。また、パルテック及びその関連会社を完全子会社化したことに伴い、負ののれん発生益として1,936百万円を特別利益に計上したこともあり親会社株主に帰属する当期純利益も増益となりました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は399,590百万円(前年同期比23.4%増)、営業利益は7,588百万円(前年同期比21.6%増)、経常利益は6,711百万円(前年同期比18.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は5,957百万円(前年同期比46.9%増)となりました。
このような動向を含めて、各報告セグメントにおける業績概況は次のとおりであります。
当社グループの報告セグメントは、経営資源の配分や業績評価を行うため「半導体及び電子部品事業」、「調達事業」、「電子機器事業」及び「環境エネルギー事業」の4つを報告セグメントとしております。
セグメント別の業績は次のとおりであります。
・業績の概況
デバイス事業は民生、車載、産業機器、更にはサーバー向けなど、好調な需要の継続により増収となりました。EMS事業はスマートフォンやタブレット向けなどの受注増加並びに該当製品の高機能化による部品搭載数の拡大により増収となりました。セグメント利益は、デバイス事業の増収等により増益となりました。
以上の結果、売上高は290,725百万円(前年同期比29.0%増)、セグメント利益は7,883百万円(前年同期比17.3%増)となりました。
ロ.調達事業
・業績の概況
産業向けやPC向け部品、及び車載関連を主力としたパナソニックグループ向けの販売増に加えて、パナソニックグループ向け以外のビジネスも新規顧客の獲得により好調に推移し増収となりました。セグメント利益は、増収と半導体不足に伴う特需、加えて円安による売上総利益の改善等により増益となりました。
以上の結果、売上高は84,446百万円(前年同期比17.2%増)、セグメント利益は798百万円となりました。
・業績の概況
電子機器事業は放送・映像制作の大型案件の納入、会議システムの需要増等により増収となりました。システム機器事業は新たな商品としてマイナンバー個人認証機器の販売を開始したものの、主にオフィス向け自動販売機等の需要低下に伴う決済用キャッシュレス端末の需要減、及びサプライチェーンの混乱による出荷影響もあり減収になりました。セグメント利益は、電子機器事業の売上拡大に向けた投資等による費用増、システム機器事業の減収により減益となりました。
以上の結果、売上高は21,000百万円(前年同期比4.6%増)、セグメント利益は426百万円となりました。
・業績の概況
エネルギー事業は国内の太陽光や風力の発電、及び台湾の太陽光増設による発電量の増加により増収となりました。新電力事業はオフィス向けを中心とした民間需要が減少したことなどから減収となりました。
植物工場事業はコンビニエンスストア向けの需要低下や2021年8月に火災事故があった鹿角工場の出荷量減少等もあり減収となりました。セグメント利益は、エネルギー事業の増益並びに植物工場事業の損益改善により黒字転換しております。
以上の結果、売上高は9,437百万円(前年同期比0.7%増)、セグメント利益は236百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、26,625百万円(前年度は20,133百万円の獲得)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益8,536百万円、売上債権の-百万円及び棚卸資産の増加22,651百万円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、16,167百万円(前年度は13,542百万円の獲得)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出8,568百万円、連結範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出5,753百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果獲得した資金は、34,488百万円(前年度は15,337百万円の使用)となりました。これは主に、短期借入金の純増加38,084百万円、長期借入れによる収入4,878百万円、長期借入金の返済による支出4,517百万円、配当金の支払額2,856百万円及びリース債務の返済による支出1,105百万円によるものであります。
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.金額は製造原価により表示しております。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.金額は販売価格により表示しております。
当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.金額は仕入価格により表示しております。
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
なお、文中の記載事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
イ.資産の部の分析
流動資産については、現金及び預金の減少6,764百万円、受取手形及び売掛金並びに契約資産の増加18,858百万円、棚卸資産の増加24,096百万円により、185,525百万円となりました。
固定資産については、機械装置及び運搬具の増加4,243百万円、建設仮勘定の増加3,944百万円より56,432百万円となりました。
ロ.負債の部の分析
流動負債については、支払手形及び買掛金の増加6,702百万円、短期借入金の増加38,703百万円により、139,346百万円となりました。
固定負債については、長期借入金の増加2,203百万円、リース債務の減少938百万円により、20,954百万円となりました。
ハ.純資産の部の分析
親会社株主に帰属する当期純利益5,957百万円、利益剰余金からの配当2,856百万円により株主資本の部は4,297百万円増加し、74,773百万円となりました。
また、その他有価証券評価差額金が307百万円減少し、繰延ヘッジ損益が248百万円増加した結果、その他の包括利益累計額は113百万円減少しました。
以上により、純資産の部合計は前連結会計年度末より5,398百万円増加し、81,657百万円となりました。
当連結会計年度における売上高は399,590百万円(前年同期比23.4%増)となり、前連結会計年度に比べて75,775百万円増加しました。これは半導体及び電子部品事業や調達事業の増収が主な要因となっております。セグメント別の売上高・主要因については「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
営業利益は7,588百万円(前年同期比21.6%増)となり、前連結会計年度に比べて1,349百万円増加しました。主に増収の要因等で売上総利益が増加し、販売管理費の抑制にも努めた結果、営業利益率は前年度と同等の1.9%となっております。
経常利益は6,711百万円(前年同期比18.0%増)、負ののれん発生益として1,936百万円を特別利益に計上し、親会社株主に帰属する当期純利益は5,957百万円(前年同期比46.9%増)となりました。
また、自己資本当期純利益率が前連結会計年度の5.6%から当連結会計年度は7.9%、総資産経常利益率が前連結会計年度2.9%から当連結会計年度3.1%となり資本効率は向上しております。自己資本比率は前連結会計年度の38.6%から当連結会計年度は32.1%となっております。今後も資本効率の改善と企業価値向上に向けてより一層努めてまいります。
なお、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
イ.キャッシュ・フローの分析
「(1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
ロ.資金需要及び財務政策について
当社グループの事業活動における資金需要の主なものは、売上の回収と支払のサイト差及び商品在庫の保有の他、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。また、投資に係る主な資金需要としては、エネルギー事業、植物工場事業の設備投資の他、IoT/AIといった成長市場の深耕に向けた開発投資や戦略的なM&A・資本提携のための投資等があります。
当社グループでは、運転資金については、売上債権の流動化及び金融機関からの借入により調達することとしております。また、より効率的な資金調達を行うため、取引金融機関とコミットメントライン契約を締結しております。
今後につきましては、健全な財政状態の維持を図っていくとともに資本効率を高めてまいります。
② 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは次のとおりであります。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響について、今後の拡大または収束を予測することは困難な状況でありますが、当社グループへの影響は限定的であるとの仮定に基づき、当連結会計年度における会計上の見積りを行っております。今後の新型コロナウイルス感染症の感染拡大による経済環境の変化により判断を見直した結果、翌連結会計年度以降の当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
a.繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産について定期的に回収可能性を検討し、当該資産の回収が不確実と考えられる部分に対して評価性引当額を計上しております。回収可能性の判断においては、将来の課税所得見込額と実行可能なタックス・プランニングを考慮して、将来の税金負担額を軽減する効果を有すると考えられる範囲で繰延税金資産を計上しております。
将来の課税所得見込額はその時の業績等により変動するため、課税所得の見積りに影響を与える要因が発生した場合は、回収懸念額の見直しを行い繰延税金資産の修正を行うため、当期純損益が変動する可能性があります。
当社グループは、固定資産の減損に係る回収可能性の評価にあたり、原則として、事業用資産については会社毎の資産を基本単位としてキャッシュ・フローを生み出す最小単位、のれんについては継続的に損益を把握している管理会計に準じた事業単位をもとに資産のグルーピングを行い、収益性が著しく低下した資産グループについて、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減損し、当該減少額を減損損失として計上することとしております。
固定資産の回収可能価額について、将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額等の前提条件に基づき算出しているため、当初見込んでいた収益が得られなかった場合や、将来キャッシュ・フロー等の前提条件に変更があった場合、固定資産の減損を実施し、当社グループの業績を悪化させる可能性があります。
当社グループは、時価のある有価証券と時価のない有価証券を所有しております。
時価のある有価証券は、決算日の市場価格等に基づき時価評価を行い、税効果調整後の評価差額を純資産の部のその他有価証券評価差額金に計上しております。
また、期末における時価等が取得原価に比べ50%以上下落した場合には原則減損処理を行い、30~50%未満下落した場合には、当該金額の重要性、回復可能性等を考慮して必要と認められた額について減損処理を行うこととしております。一方、時価のない有価証券は、実質価額が取得原価に比べ50%程度以上下落した場合には、回復可能性等を考慮して減損処理を行うこととしております。
なお、将来の市場悪化または投資先の業績不振等により、現在の帳簿価額に反映されていない損失が生じ、減損処理を行う可能性があります。
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