業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況(以下、「経営成績等」という。)の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績

当連結会計年度におけるわが国経済は、前連結会計年度に引き続き、新型コロナウイルス感染症による経済影響が大きかったものの、下半期以降は、ワクチン接種率の向上等により、外食やレジャー等外出行動が段階的に回復し、個人消費の動向やニーズも徐々に変化しております。

一方、リモートワーク等ライフスタイルの不可逆的な変化傾向は継続しており、EC市場の拡大スピードの加速や、食品宅配に対する消費者の需要は引き続き堅調に推移しています。

このような環境の中、当社グループにおいては、食を支えるインフラ企業として、安定的な出荷キャパシティや商品サプライの確保に取り組むとともに、「健康・免疫意識の高まり」、「家庭での食事頻度・人数の増加」等のお客さまの変化から生じたニーズに対し、新しい商品・サービスをご提案する取組みを優先的に実施してまいりました。 また、経営戦略の柱である「国内宅配事業の成長・収益力強化」に向け、カスタマーエクスペリエンスの進化への取組み、ローコストオペレーションへの取組みの実行、並びに「サステナブルリテール戦略」に基づいたフードロスの削減、温室効果ガス削減への取組みを強化しております。

これらの結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

なお、第1四半期連結会計期間より報告セグメントとして記載する事業セグメントを変更しており、当連結会計年度の比較・分析は、変更後の区分に基づいております。

 

a.財政状態

当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ14,273百万円増加し、52,634百万円となりました。負債合計は、前連結会計年度末に比べ10,393百万円増加し、28,762百万円となりました。純資産合計は、前連結会計年度末に比べ3,880百万円増加し、23,872百万円となりました。

 

b.経営成績

当連結会計年度の経営成績は、売上高113,476百万円(前期比13.4%増)、営業利益4,171百万円(前期比44.1%減)、経常利益4,153百万円(前期比41.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益2,727百万円(前期比45.8%減)となりました。

 

セグメントごとの経営成績は以下のとおりであります。

宅配事業(Oisix)は、売上高58,546百万円(前期比17.4%増)、セグメント利益7,036百万円(前期比21.7%減)となりました。

宅配事業(大地を守る会)は、売上高13,240百万円(前期比5.3%減)、セグメント利益2,270百万円(前期比5.5%減)となりました。

宅配事業(らでぃっしゅぼーや)は、売上高17,432百万円(前期比1.5%減)、セグメント利益2,429百万円(前期比19.7%減)となりました。

宅配事業 (PurpleCarrot)は、売上高10,208百万円(前期比17.3%増)、セグメント利益387百万円(前期比53.4%増)となりました。

その他事業は、売上高14,578百万円(前期比42.6%増)、セグメント利益1,416百万円(前期比3.9%減)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度のキャッシュ・フローについては、営業活動による924百万円の増加、投資活動による4,110百万円の減少、財務活動による636百万円の増加等により、現金及び現金同等物(以下「資金」)は2,519百万円減少したことから、期末残高は13,033百万円となりました。

 

 

③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績

当社グループは生産活動を行っていますが、事業全体における重要性が低いため、記載を省略しております。

 

b.受注実績

当社グループの主な事業は、最終消費者へ直接販売する小売業であり、当該事業は商品を仕入れてから販売するまでの期間が極めて短期間のため、記載を省略しております。

 

c.販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりであります。

 

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前期比(%)

宅配事業(Oisix)(百万円)

58,546

+17.4

宅配事業(大地を守る会)(百万円)

13,240

△5.3

宅配事業(らでぃっしゅぼーや)(百万円)

17,432

△1.5

宅配事業(Purple Carrot)(百万円)

10,160

17.2

その他事業(百万円)

14,096

43.1

合計(百万円)

113,476

+13.4

 

(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.上記金額には消費税等は含まれておりません。

3.その他事業には商品売上のほか、業務受託売上・広告売上等が含まれております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する分析・検討内容

当社グループにおいては、前述の経営戦略に基づき、①国内宅配事業の事業成長及び収益力強化、②非連続な成長に向けた事業領域の拡大を行ってまいりました。

国内宅配事業の事業成長については、主要3ブランドを中心とし、各ブランドの事業フェーズに沿った戦略の実行、また、新型コロナウイルス感染症拡大に伴うお客さまニーズの変化に沿った商品・サービスを提供したことにより、定期会員数の拡大及び購買頻度・単価の向上を図りました。収益力強化については、商品加工工程の内製化やKit Oisixの製造効率化等の商品原価削減、また、らでぃっしゅぼーや集荷センターの集約等の物流費削減等収益力強化に向けた施策を複数実行しております。

非連続な成長に向けた事業ドメインの拡大については、2019年4月に米国でヴィーガンに特化したミールキットの販売を手掛けるThe Purple Carrotについて、国内で培ったサブスクリプションモデルのノウハウを横展開することによりサービスレベルの改善を図りました。また新型コロナウイルス感染症拡大の影響もあり、会員数は約2倍となり、事業規模は大きく伸長しております。

さらに、店舗事業、保育園卸事業においても、リアルの場においても当社ブランドとのタッチポイントを増加し、ECサービスとの親和性を高めることを目的とし、提携小売店の店舗内に販売コーナーを作り商品を販売する「Shop in Shop」モデルや、保育園向けの食材卸サービス「すくすくOisix」といったリアルの小売領域での規模拡大も順調に進捗しております。

引き続き、新型コロナウイルス感染症の拡大を経て生活が大きく変化する中で、お客さまの潜在的ニーズをいち早く捉え、当社サービスでしか出会うことの出来ない独自性のある商品や食体験等、食に関する新しい価値提案をより強化してまいります

 

a.財政状態及び経営成績

1) 財政状態

(資産合計)

当連結会計年度末における資産合計は52,634百万円となり、前連結会計年度末残高38,360百万円と比較して14,273百万円増加しました。

流動資産は28,514百万円となり、前連結会計年度末残高29,301百万円と比較して786百万円減少しました。この主な要因は、現金及び預金2,509百万円の減少、売掛金478百万円の増加、商品及び製品219百万円の増加、未収入金137百万円の増加、その他流動資産805百万円の増加等によるものです。

固定資産は24,119百万円となり、前連結会計年度末残高9,059百万円と比較して15,059百万円増加しました。有形固定資産14,248百万円の増加、無形固定資産230百万円の減少、投資その他の資産1,041百万円の増加によるものです。有形固定資産の増加の主な要因は、Oisix海老名ステーション(物流センター)の建物に係るリース資産の増加12,774百万円であります。

 

(負債合計)

当連結会計年度末における負債合計は28,762百万円となり、前連結会計年度末残高18,369百万円と比較して10,393百万円増加しました。

流動負債は15,914百万円となり、前連結会計年度末残高17,540百万円と比較して1,626百万円減少しました。この主な要因は、買掛金14百万円の増加、未払金323百万円の減少、未払法人税等2,065百万円の減少、リース債務(流動)667百万円の増加、ポイント引当金128百万円の減少、その他流動負債40百万円の減少によるものです。なお、ポイント引当金の減少の主な要因は、収益認識に関する会計基準等の適用によるものであります。

固定負債は12,847百万円となり、前連結会計年度末残高828百万円と比較して12,019百万円増加しました。この主な要因は、長期借入金143百万円の減少、リース債務(固定)11,925百万円の増加、資産除去債務(固定)236百万円の増加、その他固定負債15百万円の減少によるものです。

負債及び固定負債のリース債務の増加の主な要因は、前述のリース資産の増加の主な要因と同一であります。

 

(純資産合計)

当連結会計年度末における純資産合計は23,872百万円となり、前連結会計年度末残高19,991百万円と比較して3,880百万円増加しました。この主な要因は、為替換算調整勘定319百万円の増加、非支配株主持分838百万円の増加、親会社株主に帰属する当期純利益2,727百万円の計上によるものです。

 

2) 経営成績

(売上高)

当連結会計年度における売上高は、前連結会計年度と比較して13.4%増113,476百万円となりました。

 

(売上原価)

当連結会計年度における売上原価は、売上拡大に伴い商品仕入が増加したこと等により、前連結会計年度と比較して19.2%増58,921百万円となりました。

 

(販売費及び一般管理費)

当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、売上拡大に伴う変動費の増加等により、前連結会計年度と比較して16.7%増50,383百万円となりました。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は、2022年1月に稼働したORD海老名ステーションの賃料や償却費によるコスト増及び移転時に発生したトラブルによる売上高の逸失・コスト増等により前連結会計年度と比較して45.8%減2,727百万円となりました。

 

b.セグメントごとの経営成績

宅配事業(Oisix)は、共働きの子育て世代をターゲットとし、プレミアムな時短を実現する商品・サービスを提供しております。売上高・セグメント利益ともに、当初計画の想定時に比べ会員数・ARPUは第3四半期連結累計期間までは順調に進捗していたものの、当第4四半期連結会計期間に発生したORD海老名ステーション(物流センター)への移転トラブルにより、売上高の逸失影響と費用の増加が発生し、セグメント利益に対して約13億円ほどの影響が出ました。また、会員数についても、一時的に新規会員獲得を停止した影響もあり、前連結会計年度末(2021年3月末)の308,889人から、当連結会計年度末(2022年3月末)には346,083人と約37,000人の増加になりました。この結果、売上高は58,546百万円(前期比17.4%増)と増加しております。また、セグメント利益については、7,036百万円(前期比21.7%減)となりました。

 

宅配事業(大地を守る会)は、シニアの二人暮らし世帯を主要ターゲットとし、"ちゃんとした食生活"のコンセプトのもと、ターゲットニーズに沿った新サービスの開発、磨き上げに注力しております。当連結会計年度はシニア層が手軽に健康実感できる食材・レシピのセットをお届けするコースである「まるごはん」を活用した新規獲得のチャレンジを行ってまいりました。会員数は、前連結会計年度末(2021年3月末)の45,307人から、当連結会計年度末(2022年3月末)には45,534人へ微増しております。また、売上高・セグメント利益については、手軽に健康実感をできる商品・サービスの開発強化等の施策により、当初計画の想定時に比べARPUが順調に進捗しているものの、コロナウイルス感染症拡大の影響によりイレギュラーに増加した前連結会計年度の売上高・セグメント利益と比べ、減少しております。これらの結果、売上高は13,240百万円(前期比5.3%減)となり、セグメント利益についても、2,270百万円(前期比5.5%減)となっております。

 

宅配事業(らでぃっしゅぼーや)は、料理を通じて社会貢献をしたい世帯を主要ターゲットとし、「ふぞろいRadish」等の商品・サービス開発を進めております。会員数については、上半期を中心に新規会員獲得が好調に推移し、前連結会計年度末(2021年3月末)の62,751人から、当連結会計年度末(2022年3月末)には65,093人へと増加しております。売上高・セグメント利益については、当初計画の想定時に比べARPUが順調に進捗しているものの、コロナウイルス感染症拡大の影響によりイレギュラーに増加した前連結会計年度の売上高・セグメント利益と比べ、減少しております。これらの結果、売上高17,432百万円(前期比1.5%減)となっており、セグメント利益についても、2,429百万円(前期比19.7%減)となっております。

 

宅配事業(Purple Carrot)は、米国で、ヴィーガンに特化したミールキットの宅配事業を展開しております。米国の行動制限の解除、及び経済活動の再開により、消費者の購買動向が実小売店舗に戻っている影響を受け、会員数は前連結会計年度末と比べ減少しておりますが、当初計画の想定時と比べ会員数の減少幅は限定的であり、売上高・セグメント利益ともに前連結会計年度から増加いたしました。

これらの結果、売上高は10,208百万円(前期比17.3%増)となっており、セグメント利益についても、387百万円(前期比53.4%増)となっております。

 

その他事業は、ソリューション事業、店舗事業、海外事業(Purple Carrotを除く)、卸事業等から構成されております。

他社EC支援(ISETANDOOR、dミールキット)等のソリューション事業が順調に推移したことや、前連結会計年度に新型コロナウイルス感染症のマイナス影響を受けた店舗・保育園等の卸事業の業績が回復、伸長したことにより、全体では売上高・セグメント利益ともに大幅に増加いたしました。

これらの結果、売上高は14,578百万円(前期比42.6%増)と大きく増加しております。また、セグメント利益も1,416百万円(前期比3.9%減)となっております。

 

 

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a.キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度に比べ2,519百万円減少13,033百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は、924百万円(前期比89.5%減)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益4,358百万円、減価償却費1,465百万円、のれん償却額577百万円、契約負債の増加額250百万円、支払利息93百万円等による収入と、債務消滅益223百万円、売上債権の増加額461百万円、未収消費税等の増加額367百万円、未収入金の増加額137百万円、棚卸資産の増加額299百万円、仕入債務の減少額38百万円、未払金の減少額396百万円、法人税等の支払額3,501百万円、その他の増加451百万円等の支出によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は、4,110百万円(前期比47.8%増)となりました。これは主に、有形固定資産の取得2,199百万円、無形固定資産の取得673百万円、投資有価証券の取得648百万円、敷金及び保証金の差入575百万円等の支出によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果得られた資金は、636百万円(前期比66.4%減)となりました。これは主に、短期借入金純増減額による収入10百万円、非支配株主からの払込による収入900百万円、長期借入金の返済による支出61百万円、ファイナンス・リース債務の返済による支出213百万円等によるものであります。

 

b.資本の財源及び資金の流動性

1) 財務政策

当社グループは現在、運転資金については、原則として手持資金(利益等の内部留保資金)を充当しております。また、設備資金については、設備投資計画に基づき、手元資金で不足が生じる場合は、長期借入金での調達を検討いたします。また、設備投資の案件が継続して発生する、あるいは大型の案件が発生する場合については、長期的な財務体質の強化を意識し、公募増資も視野に入れた資金調達を検討いたします。

 

2) 資金需要

当社グループの事業活動における運転資金需要の主なものは、商品の仕入、お客様へ商品を配送するための荷造運賃発送費、新規顧客獲得を中心としたマーケティング費用等の営業費用であります。また、設備資金需要としては、物流センター等の設備の新設・増強による投資、販売管理システムの改修等のソフトウエア開発による投資等があります。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表はわが国において一般に公正妥当と認められる企業会計基準に基づいて作成しております。その作成は、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告数値に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案して合理的に見積りを行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は、これらの見積りと異なる場合があります。

当社及び連結子会社の重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。また、重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

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