(業績等の概要)
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当社は「感動するインナーライフっていいね!」という企業理念のもと、主にインナーウェアをメーカーから仕入れ、インターネット上のさまざまなチャネルを通じて、個人のお客様に販売するEコマース (インターネット通販)事業を展開しております。
当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大によって緊急事態宣言の発出や、まん延防止等重点措置の適用が繰り返され各種経済活動が停滞しました。一時は感染者が減少し落ち着きが見られましたが、後半は新たな変異株(オミクロン株)によって感染が急速に拡大し、依然として先行きは不透明な状況が続いております。
当社の所属するEコマース市場では、総務省が2022年2月に発表した家計消費状況調査(二人以上の世帯)によると、2021年の年間ネットショッピング利用世帯の割合は52.7%と前年の48.8%から3.9%上昇し、年平均で初めて50%を超えました。政府の新型コロナウイルス感染症の感染拡大を防ぐための人と人の接触を減らす施策の一つとしてEコマースが推奨されたことも利用者の増加につながりました。
このような経営環境のもと、当事業年度も競合他社との差別化を図るため、ブルーミングスタイル事業部、ラヴィアドゥ事業部によるPB(プライベートブランド)商品の開発を積極的に進めてまいりました。この結果、全体売上に対するPBコラボ商品の比率は26.5%まで拡大することができました。特にブルーミングスタイル事業部において取り扱いをしている「HIMICO」が好調に推移したこともあり、当事業部の売上は前事業年度比149.9%と大幅に伸長しました。国内販売においては新型コロナウイルス感染症の影響による海外生産国のロックダウンによって、NB(ナショナルブランド)メーカーの大幅な商品入荷遅延が発生したものの、SNSを利用した集客施策やクーポン、商品広告最適化によって、PayPayモールは前事業年度比125.4%、取扱商品拡充と商品広告最適化によってAmazonは前事業年度比131.8%と伸長しました。また、国内販売全体では前事業年度比109.3%と前事業年度を上回り、計画対比においても101.2%と年間計画を達成することができました。特に、PayPayモールにおいては、レディースファッション部門「年間ベストストア2021」第1位(昨年は2位)を受賞、au PAYマーケットにおいては、「ベストショップアワード2021」インナー・ルームウェアカテゴリ大賞を昨年に引き続き受賞し、多くのお客様からご支持をいただくことができました。
海外販売においてはモールのローカル店舗優先施策や新型コロナウイルス感染症による物流停滞、海外商品の買い控えによって苦戦を強いられているものの、セット割商材の拡充による客単価上昇や、販促広告を成果報酬型への移行、商品ページのリニューアル等の施策をおこないました。また、本店グローバルをはじめ不採算サイトを閉鎖し人件費や販促費のコスト削減をおこないました。
物流センターにおいては、物流業務最適化の一環と安定的に利益を計上できる体質に改革するために、販売見込みの低いと想定される商品132,194千円の廃棄処分をおこないました。また、2022年3月31日をもって撤退した託児所事業における当該固定資産の帳簿価格45,835千円を特別損失に計上いたしました。
なお、新型コロナウイルス感染症に伴う雇用調整助成金等の支給申請額は特別利益に計上しております。
この結果、当事業年度の売上高は6,231,324千円(前事業年度比9.4%増)、営業損失は38,796千円(前年同期は172,338千円の営業損失)、経常損失は67,827千円(前年同期は210,530千円の経常損失)、当期純損失は223,123千円(前年同期は287,299千円の当期純損失)となりました。
上記のような業績の状況や今後の財務状況などを総合的に勘案した結果、株主の皆様への期末配当につきましては、誠に遺憾ではありますが無配とさせていただきます。
株主の皆様には深くお詫び申し上げますとともに早期に復配できるよう努めてまいりますので、引き続きご支援賜りますようお願い申し上げます。
なお、当社は、WEBサイトでのインナーショップ事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載はしておりません。
当事業年度末における現金及び現金同等物は、前事業年度末に比べ40,374千円減少し、508,295千円(前事業年度比7.4%減)となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは 741,044千円の増加(前事業年度は462,093千円の減少)となりました。
その主な要因は、税引前当期純損失219,893千円、減損損失45,835千円を計上したこと、減価償却費252,399千円、売上債権の増加45,175千円、仕入債務の増加49,144千円、たな卸資産の減少265,004千円、及び還付消費税等が281,013千円が発生したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは 91,590千円の減少(前事業年度は1,202,241千円の減少)となりました。
その主な要因は、本社物流センター取得に対する支出56,679千円及び保険積立金(役員保険)の積立による支出28,765千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは 689,828千円の減少(前事業年度は1,921,840千円の増加)となりました。
その主な要因は、短期借入金の減少614,828千円及び長期借入金の返済による支出75,000千円によるものであります。
③ (生産、受注及び販売の状況)
当社は、WEBサイトでのインナーショップ事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
当社は生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
当事業年度における商品仕入実績については、単一セグメントのため品種別に記載しております。
(注) 1 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2 その他の金額には、アバンティ店の仕入金額、歩引金額等も含まれております。
当社の行う事業、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
当事業年度における販売実績については、単一セグメントのため品種別に記載しております。
(注) 1 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2 その他の金額には、アバンティ店の販売金額、受取運賃、ポイント利用金額,不動産賃貸収入等が含まれております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。この財務諸表の作成に当たりましては、一定の会計基準の範囲内において、資産・負債及び収益・費用の金額に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りにつきましては、経営者が過去の実績や現在の取引状況並びに入手可能な情報を総合的に勘案し、その時点で最も合理的と考えられる見積りや仮定を継続的に使用しておりますが、見積り及び仮定には不確実性が伴うため、実際の結果と異なる可能性があります。また、財務諸表の作成のための重要な会計方針等は「第5 経理の状況 1 財務諸表等(1)財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載されているとおりであります。
当社は、固定資産をインナーショップ事業と不動産賃貸事業について、資産のグルーピングを行っておりその回収可能価額について将来キャッシュ・フロー、正味売却価額等の前提条件に基づき見積っております。従って、当初見込んでいた収益が得られなかった場合や、将来キャッシュ・フローなどの前提条件に変更があった場合、固定資産の減損損失が発生する可能性があります。
なお、新型コロナウイルス感染症が当社に与える影響につきましては、感染拡大により接触機会を減らす新しい生活様式における購買手段として当社の属するEコマース市場が定着してきており、事業全体への大きな影響はなく、財政状態及び経営成績に与える影響は軽微であるとの仮定をもとに、会計上の見積りを行っております。
(資産)
当事業年度末の資産合計は、6,484,050千円(前事業年度末は7,234,533千円)となり、750,482千円の減少となりました。
流動資産は1,850,692千円(前事業年度末は2,387,879千円)となり、537,187千円の減少となりました。その主な要因は、現金及び預金の減少(前事業年度末より40,374千円の減少)、在庫の適正化や商品廃棄による商品の減少(前事業年度末より254,908千円の減少)及び前事業年度に本社物流センター完成に伴い還付予定としていた消費税等が還付されたこと等によるその他の流動資産の減少(前事業年度より282,120千円の減少)によるものであります。
固定資産は4,633,358千円(前事業年度末は4,846,653千円)となり、213,295千円の減少となりました。その主な要因は、建物(純額)の減少(前事業年度より102,649千円減少)及び機械及び装置(純額)の減少(前事業年度末より110,792千円減少)であり、両者とも2020年8月に完成した本社物流センターの減価償却処理に伴う減少であります。
(負債)
当事業年度末の負債合計は、4,348,035千円(前事業年度末は4,875,395千円)となり、527,359千円の減少となりました。
流動負債は2,868,524千円(前事業年度末は3,290,039千円)となり、421,514千円の減少となりました。その主な要因は、シーズン商品の仕入れに伴う買掛金の増加(前事業年度末より98,108千円増加)、未払消費税等の増加(前事業年度末より113,746千円増加)、受注損失引当金の増加(前事業年度末より17,547千円増加)、電子記録債務の減少(前事業年度末より32,499千円減少)、及び短期借入金の減少(前事業年度末より614,828千円減少)によるものであります。
固定負債は1,479,511千円(前事業年度末は1,585,355千円)となり、105,844千円の減少となりました。その主な要因は、シンジケートローンの約定返済に伴う長期借入金の減少(前事業年度末より75,000千円減少)及び2021年5月開催の株主総会にて退任した取締役及び監査役に対する役員退職慰労引当金の取崩し等による減少(前事業年度末より30,845千円減少)によるものであります。
(純資産)
当事業年度末の純資産合計は、2,136,014千円(前事業年度末は2,359,138千円)となり、223,123千円の減少となりました。その主な要因は、当期純損失の計上により利益剰余金が減少(前事業年度末より223,123千円の減少)したことによるものであります。
(売上高)
当事業年度における売上高は6,231,324千円(前事業年度比9.4%増)となりました。これはSNSを利用した集客施策、PBコラボ商品の積極的な開発、及び新型コロナウイルス感染症の拡大防止の施策の一つとしてEコマースが推奨され利用者の増加が主な要因となっております。
(営業損益)
当事業年度における販売費及び一般管理費は2,442,158千円(前事業年度比4.3%増)となりました。その主な要因は、本社物流センターの取得に伴い増加した固定資産税と減価償却費等によるものであります。その結果、当事業年度の営業損失は38,796千円(前事業年度は172,338千円の営業損失)となりました。
(経常損益)
当事業年度における営業外収益は41,734千円(前事業年度比222.8%増)となりました。その主な要因は、役員退職慰労引当金戻入額19,156千円、及び保育園運営収益18,753千円等を計上したことによるものであります。
当事業年度における営業外費用は70,765千円(前事業年度比38.4%増)となりました。その主な要因は、資金の借換えに伴い増加した支払利息30,756千円、及び保育園運営費用38,597千円等を計上したことによるものであります。その結果、当事業年度の経常損失は67,827千円(前年同期は210,530千円の経常損失)となりました。
(当期純損益)
当事業年度の法人税、住民税及び事業税は3,240千円、法人税等調整額は△9千円となりました。また、託児所閉鎖に伴い発生した固定資産除却損1,665千円、減損損失45,835千円を計上しております。
特別利益としては、新型コロナウイルス感染症に伴う雇用調整助成金29,911千円を計上しましたが、結果として当事業年度の当期純損失は223,123千円(前年同期は287,299千円の当期純損失)となりました。
④ キャッシュ・フローの状況
キャッシュ・フローの状況につきましては、「第2.事業の状況 3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
なお、現時点において、特記すべき重要な資本的支出の予定はありません。
⑤ 経営者の問題認識
当社の経営陣は、現在の事業環境並びに入手可能な情報に基づき、迅速かつ最善の経営戦略の立案及び施策に努めております。
他社との差別化を図りながら、事業規模を拡大していく上で、取扱いブランドの開拓・品揃えの強化、海外事業戦略の強化、顧客が直接商品に触れることができないというインナーウェアEコマースに対する障壁排除、自社ロジスティックの更なる精緻化、Eコマース市場におけるリスクヘッジ等に柔軟に対応できる組織体制の整備が重要であると考えております。これらを実現するため、経営体制を人的側面から強化してまいります。
当社の資金需要の主なものは、設備投資資金のほか、商品仕入資金や人件費等の販売費及び一般管理費であり、このような資金需要に安定的に対応するため、主に内部資金の活用、小田急電鉄極度貸付及び市中銀行4行によるシンジケートローンにより資金調達を行っております。
また、資金の流動性に関しては、小田急極度貸付以外にも複数の金融機関に十分な借入枠を有しており、当社は流動性ニーズや将来の債務履行のための手段を十分に確保しているものと考えております。
当社は、2023年2月期の売上高6,635百万円、営業利益90百万円、経常利益63百万円、当期純利益43百万円の達成のため、当社経営陣は、現在の事業環境並びに入手可能な情報を入念に分析し、最善の経営戦略の立案及び施策に努めております。
当社は、「第2 事業の状況 2.事業等のリスク (8) 継続企業の前提に関する重要事象等」に記載のとおり、当社が全ての該当金融機関と締結しているシンジケートローン契約(当事業年度末残高1,387,500千円)に付された財務制限条項に抵触しております。
よって、当社は当該状況を解消すべく各金融機関と協議を行い、財務制限条項への抵触に関して、期限の利益喪失請求を行わないことに同意を得ております。
以上により、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないものと判断しております。
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