事業等のリスク

2【事業等のリスク】

 当社は、代表取締役会長兼社長及び全執行役員で構成される、グループリスク・コンプライアンス委員会を随時開催し、当社グループのコンプライアンスに係る重要事項の審議及び基本方針の決定を行っております。

 当委員会では、会社に関係する様々なリスクを一元的に洗い出し、その中でもグループとして事業に与える影響が大きなリスクを特定して対策を講じています。リスクの影響度合いは、様々な環境の変化に応じて常に変動しているため、毎年見直しを行っています。

 当社グループの事業内容、経営成績及び財政状態等に関する事項のうち、投資者の投資判断に重要な影響を及ぼす可能性のあるリスクは、主として以下のものがあります。

 なお、下記の文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。また、当該将来に関する事項については、その達成を保証するものではありません。

 下記事項は当社グループが事業を継続する上で、予想される主なリスクを具体的に例示したものであり、これらに限定されるものではありません。

 

(1)経済状況の変化

 当社グループは日本国内におけるレストラン事業を中心としているため、日本国内の景気の変動や、政府の経済政策の影響により、当社グループの事業、業績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。特に、新型コロナウイルス感染症の拡大による日本国内の景気の悪化、原材料価格・人件費・水道光熱費の上昇は、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 これらリスクに対して、当社グループは経済政策や市場環境の変化、消費動向を常に注視し、様々な営業政策、投資政策及び生産性向上策に反映することで、環境変化に対応できる安定的な収益体質の維持を図っています。

 

(2)国内市場環境の変化及び他社との競合

 当社グループは、外食市場において、レストラン・居酒屋チェーンを展開する企業やファストフードチェーンを展開する企業に加え、個人又は家族経営等の飲食店とも競合しており、更に中食・内食市場において惣菜や弁当等を販売するコンビニエンスストアやスーパーマーケットを展開する企業とも競合する可能性があります。これらの当社グループの競合他社は、食品の価格、味や品質、メニューの豊富さ、店舗の立地、施設の魅力、雰囲気や居心地のよさ、デリバリー・テイクアウトへの対応、スタッフの熟練度、レストランのブランドに対する社会的な評価、ポイントカード等の特典、軽減税率の適用等の税務上の取り扱い等において、当社グループより高い競争力を有する可能性があり、当社グループがこれらの競合他社に対して優位に立てない場合、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 また、日本では、現在のところ、レストランチェーンを展開する企業のレストラン店舗数が国内のレストラン店舗数全体に占める割合は、ファストフードやコーヒーショップのチェーンを展開する企業の店舗数が全体の店舗数に占める割合と比較して相対的に低く、当社グループを含むレストランチェーンが更に成長する余地があると認識しておりますが、国内においてレストランチェーンが今後も成長を続けるとの保証はありません。

 これらリスクに対して、当社グループでは店内でのお食事の提供にとどまることなく、デリバリー・テイクアウト需要への対応を強化しております。また、既存ブランドの店舗網活用として1つの店舗で他ブランドの商品をも販売する「複合業態」という新しい経営手法を導入する等、ブランド・ストアポートフォリオ及び店舗網の最適化を図るとともに、インターネットを通じた通販事業にも着手しております。

 特に新型コロナウイルス感染症の流行により、消費者の外食機会及び外食意欲が減少する一方で、デリバリー・テイクアウトの需要が増加する等の競争環境の変化が生じています。当社グループはこのような環境に対応してデリバリー・テイクアウトの更なる拡充等の施策を行っておりますが、今後、日本でのデリバリー市場が拡大しデリバリーサービス等がさらに普及する場合には、従前では競合とならなかったレストランによるデリバリー市場への参入が増加し、デリバリー市場での競争が激化する可能性や、当社グループにおいて第三者が提供するデリバリーサービス等への依存度が高まり、当該サービスの条件・品質等の影響を受けやすくなる等の影響が生じる可能性があります。

 

(3)消費者の嗜好の変化

 当社グループが展開するレストラン事業における売上は、飲食に関する消費者の嗜好や社会的な流行の影響を強く受けます。

 特に、新型コロナウイルス感染症の流行により、消費者の外食機会及び外食意欲が減少し、外食機会が従来よりも特別な機会となる中で、消費者の嗜好として、より満足度の高い食事機会を求め、専門店の需要や高品質・高単価のメニューの人気が高まる等の変化が見受けられます。

 当社グループが消費者の嗜好等を正確に把握又は予測できない場合、ブランド転換や出店予定地域の調査等の施策が功を奏さない場合等においては、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 特に、当社グループのレストラン事業における主力ブランドであるガストは、当社グループにおいて最大の店舗数を有しており、当社グループの売上及び利益でも大きな比率を占めているため、ガストのメニュー・価格帯・サービス等のコンセプトが顧客からの支持を得られない場合は、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 これらリスクに対して、当社グループでは常に消費者のニーズやお客様からのメニューに対するご意見の把握に努め、これらをブランド開発、出店政策及びメニュー開発に反映しています。また、お客様のPOSデータ、モバイルアプリのクーポンデータ等のビッグデータの分析により、ライフスタイルや嗜好の変化に迅速に対応するように努めています。

 

(4)食品事故の発生

 当社グループの中心事業であるレストラン事業においては、食品の安全性確保が極めて重要です。

 食品事故を防ぐために、食材の調達を担う購買部門、メニュー開発部門、内部監査部門、品質管理部門、すべての自社セントラルキッチンでISO22000を取得し、予見される食のリスクに対し検証を行い、安全・安心のための厳格な衛生管理ルールを策定し運用しています。例えば、セントラルキッチンで製造する製品は、加工条件が妥当であるかの検証を行い、製造中は重要管理点をモニタリングし、基準に逸脱がないことを確認できた商品のみを出荷しています。また、食材の調達においては厳格な取引基準を設け、購買管理規程に則り現地の工場及び工程の視察を実施した上で、基準に適合したお取引先からのみ仕入れています。

 店舗では「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理手法」を用いて、安定した品質を提供できる体制を整えております。一般衛生管理である手洗い、従業員の体調管理の徹底等を含むルール遵守の監視体制として、専管組織である品質管理グループが抜き打ちで、工場から店舗に至る工程を視察し、発見されたリスクについては関連部門と共同で改善を進めます。食材については、自社製造の製品以外の外注品も配送機能を持つ自社のセントラルキッチンに原則集約しているため、製品導入時だけでなく、定期的な抜き取り検査を行い基準を満たした製品が流通しているか確認しています。これらの細菌検査は自社の検査室で行うことにより、迅速に判断・対応できる体制を整えております。細菌検査以外にも残留農薬、アレルギー、ATPなどの検査を用いて常に検証を行っています。その検査数は年間で10万検体程度となります。食品事故の発生を防ぐためのこれらの施策にも関わらず、当社グループを原因とする集団食中毒等重大な食品事故が発生した場合は、お客様に多大なご迷惑をおかけするばかりか、行政処分はもとより、ブランドイメージや社会的信用の低下、売上の減少、対応費用の発生、民事訴訟の提起等が発生する可能性があります。

 特に、当社グループが新型コロナウイルス感染症の流行への対応として拡充を進めているデリバリー・テイクアウトについては、当社グループから消費者又は外部のデリバリー業者に食品を提供した後に、適時にデリバリーがなされない又は食事に供されない等、当社グループの管理が及ばない状況下で不適切な食品の扱いがなされることにより、店舗における飲食と比較して食品事故が生じるおそれが高まる可能性があります。

 さらに、通販・外販事業への参入により、食品表示法・食品衛生法に抵触する食品事故及び商品回収等が発生する可能性があります。

 また、仮に、競合他社において食品事故等が発生した場合であっても、レストラン業界全体に対する評判・信用の低下や消費者の外食意欲の低下、事故の原因となった食材の在庫廃棄、入手困難に伴う価格の高騰等により、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。

 

(5)食材・間接材の調達困難・価格高騰

 当社グループにおいては、国内外のインフレーションの進行、疫病(豚コレラ・鳥インフルエンザ等)の発生、天候不順・異常気象・自然災害・感染症の発生、エネルギーの不足、物流上の障害、政府による輸入制限処置の発動、国際的な漁獲制限、取引先の倒産又は事故・災害による供給停止、食品衛生上の問題又は放射能汚染等による出荷制限・風評被害、為替・原油価格の変動、増税等により、原材料等の調達不安や価格高騰が発生した場合には、原価率の上昇等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 これらリスクに対して、当社グループでは、各食材、間接材の原産地や生産地の分散や取引先との長期契約の活用、関係強化や新たな取引先の開拓や分散といった調達戦略による対策を実施しております。

 

(6)労務関連

 当社グループでは、正社員、嘱託社員、多くのパートタイム及びアルバイトの従業員が、店舗や工場、物流施設及びデリバリーでの業務に従事しております。働き方改革に関連して2019年4月に大企業について順次導入された時間外労働の上限規制、年次有給休暇の取得義務化及び36協定特別条項の見直し、2020年4月に導入された同一労働同一賃金における均等・均衡待遇に対する整備に加え、全国加重平均の最低賃金が1,000円となるよう最低賃金の引き上げを行っていくことが政府の目標として掲げられる等、有期・無期双方の従業員を取り巻く法規制や労働環境には重大な変化があります。こうした労働関連法規制への対応や労働環境の変化により、当社グループが優秀な従業員の雇用を維持することが極めて難しくなる可能性や当社グループの人件費が高騰する可能性があります。また、当社グループにおいて労働関連法規制の違反が発生した場合は、規制当局から当社グループの業務改善が命じられること又は従業員からの請求等により、当社グループの事業、業績、財政状態、ブランドイメージ及び社会的信用に影響を及ぼす可能性があります。

 これらリスクに対して、当社及び株式会社すかいらーくレストランツでは労働関連法規制への違反を未然に防げるよう週次単位で管理者に労務データを提供し対策を講じております。また、毎月取締役、人事担当執行役員、営業担当部門長が出席する労務改善会議にて、現状確認と対策を検討し即実行する体制を維持しています。さらに営業時間短縮による長時間労働の抑制、有給休暇の計画的な取得等具体的な対策を実施することで、雇用の継続を図っています。

 

(7)人材確保等

 当社グループでは、多くのパートタイム及びアルバイトの従業員が、店舗や工場、デリバリー等での業務に従事しております。2021年9月の緊急事態宣言解除後に一部の飲食店において人員不足により、営業することができないなどの報道がございましたが、当社グループではそのような事例は発生しておりません。しかしながら、賃金の上昇、求人費の増加、国内の労働力需要の増加に伴う従業員の確保困難等により採用環境が悪化した場合、当社グループが必要とする数の従業員を適切なコストで確保することができなくなり、必要な数の従業員を確保するための人件費の増加、出店計画等の見直し、一部店舗の一時営業停止等により、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります

 これらリスクに対して、当社グループでは「人財」を最も重要な経営資源と位置付け、深夜の営業時間短縮、年末年始の営業時間短縮、長時間労働の抑制、有給休暇の確実な取得、健康経営の推進、働きやすい職場の提供等、従業員の満足度向上に向けた各種の施策にあわせ、DX推進による業務の効率化、生産性の向上にも積極的に取り組んでいます。

 

(8)不動産の賃借

 当社グループの店舗の多くは、土地及び建物を第三者から賃借しており、敷金や保証金を賃貸人に対して差入れております。賃貸人に係る与信調査及び与信管理は行っておりますが、予期せぬ賃貸人の破産等が発生した場合は、当該敷金や保証金が回収不能となり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 また、既存店舗の賃貸借の更新時において交渉が不調となった場合に閉店となる可能性や不動産の賃借に係る費用が増加する可能性があり、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 これらリスクに対して、当社グループでは社内の専門部署が土地又は建物の賃貸人との連携を密に行うと同時に不動産関連取引先からも情報を入手することでリスクの低減を図っています。

 

(9)気候変動

 世界的規模でエネルギー使用の合理化や地球温暖化対策のための法規制等、気候変動抑制のための動きが強まっております。当社グループにおいても、気候変動の重要性を認識しており、気候変動の移行リスク(地球温暖化対策の環境規制等によって調達やエネルギーコストが上昇するリスク、当社が環境に配慮していないとみなされて来店客が減少するリスク等)と物理的リスク(台風による工場や物流の稼働停止、店舗休業等の急性的リスクや、平均気温の上昇や気象パターンの変化による食材の品質低下や価格高騰等の慢性的リスク)は当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 これらリスクに対して、当社グループはサステナビリティ方針を策定し、グループサステナビリティ委員会を中心とした推進体制に基づき、その対策について審議・レビューしております。また、その内容は、必要に応じて取締役会に報告しております。

 

(10)感染症等

 外食市場における需要は、感染症等の発生等による消費者の外食機会及び外食意欲の減少等に伴って変動する場合があります。また、感染症等の発生等に伴い、行政からの要請により店舗営業が制限される可能性があります。

 これらリスクに対して、当社グループは、自社レストランを「地域社会におけるライフラインの一環」と認識し、感染症に対する無秩序な対応による混乱を避けつつ、感染防止及び感染拡大防止対策を徹底しながら営業を継続することで、社会機能の維持に貢献するとの方針のもと、お客様と従業員の安全を最優先に営業を継続するための体制と事業継続計画を策定しております。

 

(11)新型コロナウイルス感染症

 新型コロナウイルス感染症の拡大及び政府等によるその対応策に伴う消費者の外食機会及び外食意欲の減少等により、当社グループの店舗の営業時間の短縮や閉店、来店客数の減少の影響があり、当該影響の長期化が当社グループの事業、業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 これらリスクに対して、グループ横断の対策本部を立ち上げるとともに、政府及び業界のガイドラインに従って、お客様、従業員の安全を第一に考え、接触感染・飛沫感染防止対策の徹底を図っております。また、政府による外食産業支援としての営業時間短縮協力金も活用しつつ、ライフスタイルの変化に対応した商品・サービスの提供、デリバリー・テイクアウトの更なる拡充、マルチブランドの強みを活かした時代に見合ったストアポートフォリオの実現、複合業態の展開をはじめとする既存の経営資源の活用、DX推進による生産性向上等の経営施策を着実に実行してまいります。第2四半期には、かかる経営施策の実行に必要となる資金の調達のため、公募増資を実行しております。また、新型コロナウイルス感染症の事業への影響が短期的に収束しない場合においても安定的な資金調達が行えるよう、コミットメントライン契約の締結等の対応を行っております。しかしながら、変異種を含む新型コロナウイルス感染症の流行の長期化・拡大や、ワクチンの普及及び効果の程度、今後講じられる営業時間の短縮措置とこれに伴う事業者への財政的支援及び経済対策等の政府等による対応策の内容によっては、当社グループの店舗の来店客数の減少等の影響が継続又は拡大すること、当社グループが必要な水準の手元流動性を確保できなくなること、営業時間短縮協力金その他の財政的支援の受領に想定以上の時間を要したり、かかる財政的支援が終了し又は当社グループにとって不利益に変更されること等を通じ、上記の経営施策の実行にかかわらず、当社グループの事業、業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 また、新型コロナウイルス感染症が流行する中で、当社グループの店舗における感染の可能性等に関し当社グループに否定的な風評が生じた場合、当社グループのブランドイメージや社会的信用が毀損され、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(12)経営陣への依存

 当社グループの経営は、代表取締役会長兼社長の能力と貢献に相当程度依存しております。当該役員のキャリアプラン、健康状態、家庭事情その他の何らかの理由により当該役員が辞任しその代替を確保できない場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 これらリスクに対して、当社グループでは取締役会の諮問機関である指名コミッティにおいて、代表取締役会長兼社長の後継者計画に関する議論を行っており、取締役会はその監督を行っています。

 

(13)IT(情報システム)への依存

 当社グループは、食材の仕入れ、配送、食品加工、店舗オペレーション、店舗内外からの受注等のレストランの運営及び業務を、情報システムに依存しております。プログラムの不具合等やコンピュータ・ウイルス、外部からのサイバー攻撃等により、当社グループの情報システムに様々な障害が生じた場合には、レストランの効率的な運営や消費者に対する食品の適時の提供が阻害され、重要なデータを喪失し、又は対応費用が発生すること等により、当社グループの事業、業績、財政状態、ブランドイメージ及び社会的信用に影響を及ぼす可能性があります

 これらリスクに対して、当社グループでは各種システムが安定的に稼働できるように、システムに冗長性を持たせるとともに、セキュリティ対策を行っております。また、社内に専門部門を設置して、外部からの攻撃の防止及び様々な障害に対して迅速に対応するための体制を構築し、リスク低減を図っています。

 

(14)財務報告に係る内部統制

 当社グループでは、財務報告の信頼性に係る内部統制の構築及び運用を重要な経営課題の一つとして位置付け、グループを挙げて管理体制等の点検・改善等に継続的に取り組んでおりますが、当社グループの財務報告に重大な欠陥が発見される可能性は否定できず、また、将来にわたって常に有効な内部統制を構築及び運用できる保証はありません。更に、内部統制に本質的に内在する固有の限界があるため、今後、当社グループの財務報告に係る内部統制が有効に機能しなかった場合や、財務報告に係る内部統制に重要な不備が発生した場合には、当社グループの財務報告の信頼性に影響が及ぶ可能性があります。

 

(15)多額の借入金及び財務制限条項への抵触

 当社グループは、金融機関より多額の借入れを行っております。当社グループは、既存の借入れがあることから新たな借入れや投資が制約されたり、景気の下降に脆弱であったり、自己資本比率が当社グループよりも高い競合他社と比較して競争力が劣ったりする可能性があります。

 また、当社グループの借入金のうち、シンジケートローン形式による融資契約及び同形式によるコミットメントライン契約に基づく借入金については、財務制限条項が付されております。これに抵触した場合、貸付人の請求があれば本契約上の期限の利益を失うため、ただちに債務の弁済をするための資金の確保が必要となり、当社グループの財政状態及び資金繰りに影響を及ぼす可能性があるとともに、かかる資金の確保ができない場合は、当社グループの他の借入れについても期限の利益を喪失することが予測され、当社グループの存続に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(16)減損会計の適用

 新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大は、当社グループの業績にも大きな影響を与えており、前期に続き多額の店舗資産の減損損失を計上しました。当社グループは現時点で合理的と考えられる業績回復の想定に基づき店舗資産の評価を実施しておりますが、新型コロナウイルス感染症の再拡大等、想定に大きな影響を与える事象が発生した場合には、追加の店舗資産の減損損失が発生し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社グループは、2021年12月31日現在、1,460億1百万円ののれんを、非償却資産として連結財政状態計算書に計上しております。主要な資金生成単位グループ(主要なブランド)別の内訳はガスト(767億17百万円)、ジョナサン(150億34百万円)、バーミヤン(162億78百万円)となっております。店舗資産と同様に、当社グループの想定する業績回復に大きな影響を与える事象が発生した場合には、のれんの減損損失が発生し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 なお、のれんは個別財務諸表上においては20年の償却期間で償却されており、2021年12月31日現在の残高は738億65百万円となっております。

 

(17)外国為替相場の変動

 当社グループは、食材の仕入先が世界各地にわたっており、現時点で外貨建で取引されている食材は全体の一部に留まっておりますが、かかる食材等のコスト及び価格は、直接的又は間接的に、為替の影響を受けます。当社グループは、現時点では為替リスクを軽減するためのヘッジは行っていないため、為替相場の変動により当社グループの事業、業績及び財政状態が悪化する可能性があります。

 これらリスクに対して、当社グループでは取引先との連携を密にしながら、原産地や生産地を分散させる等によりリスクの低減を図っています。

 

(18)自然災害等

 当社グループは、全国に店舗やマーチャンダイジングセンター等を配置しているため、大規模な地震・風水害・津波・大雪・感染症の大流行等が発生した場合、当社グループの本社や店舗・マーチャンダイジングセンター等の建物・機械設備等が被災し、又は店舗の営業、マーチャンダイジングセンター等の稼動、原材料の物流又は従業員の出勤に支障が生じ、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 また、そうした自然災害等により、ライフライン(水道、電気、ガス)の供給制限や供給停止、物流網の遮断、ガソリン等の調達難による配送・デリバリー業務の停止、取引先工場・倉庫等の被害、エネルギーや物資の不足、従業員の大規模な欠員等や公共交通機関の障害が発生した場合も、当社グループのレストランやマーチャンダイジングセンター等の稼動に支障をきたし又は顧客が当社グループの店舗に来店できないことにより、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 特に、当社グループのレストラン及びマーチャンダイジングセンター等は、首都圏に集中しているため、首都圏において大規模な災害が発生した場合は、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 これらリスクに対して、当社グループではグループ緊急事態対応規程に基づき、災害対策本部を立ち上げ、同対策本部を中心に、BCP(事業継続計画)に基づく速やかな対応を行う体制を整えております。

 また、自然災害等には至らないものであっても、天候不順が発生した場合には、当社グループを含む外食市場における需要は、消費者の外食機会及び外食意欲の減少等の影響を受ける可能性があります。

 

(19)知的財産権

 当社グループは、「ガスト」、「バーミヤン」、「しゃぶ葉」、「ジョナサン」等、当社グループが展開するレストランに係るロゴや、「ガスト チーズINハンバーグ」等のメニューに関する商標権について、ブランドイメージやマーケティング上、非常に重要性が高いものと考えております。当社グループは、当該商標を保護するため、適切な国や地域での商標権取得に努めていますが、一部の国・地域によっては十分な商標権の取得がされていない可能性があります。

 また、当社グループは、自らの知的財産権を保全するため、当社グループの商標を不正に使用する第三者等に対し訴訟等を提起しなければならない事態が生じる可能性がありますが、当社グループの商標を不正に使用する第三者等を適時に発見できない可能性や、当社が提起した訴訟等において当社の主張が十分に認められない可能性があり、これらの場合には、当社グループの事業、ブランドイメージ及び社会的信用に影響を与える可能性があります。

 これらリスクに対して、当社グループは社内の専門部署において適切な商標の管理、運営を図っています。

 

(20)風評被害等による社会的信用の毀損

 インターネット上等における当社グループ及びその関係者に関連し不適切な書き込みや画像等の公開等、当社グループのブランドイメージ及び社会的信用に否定的な評判や評価が発生した場合、その内容の真偽にかかわらず、当社グループのブランドイメージ及び社会的信用が毀損され、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社グループの競合他社等に関する否定的な評判や評価であっても、外食市場全体の社会的評価や評判が下落するものであれば、当社グループの事業、業績、ブランドイメージ及び社会的信用にも影響を及ぼす可能性があります。

 これらリスクに対して、当社グループは外部の専門コンサルティング会社と連携して危険な兆候の早期発見に努めると同時に不適切な投稿が確認された場合は、迅速かつ適切な対応を図っています。

 

(21)個人情報の漏洩

 当社グループでは、モバイルアプリの運営、デリバリー事業、テイクアウト事業、代金の決済等において、多くの顧客の個人情報を保持しております。当社グループは、利用者のプライバシー及び個人情報の保護に最大限の注意を払い、関連法令の遵守に努め、適切な情報管理を行っていますが、不正アクセス等による情報の外部への漏洩や悪用、意図しない法規制への違反等の可能性を完全に排除することは困難であり、これらの個人情報が外部へ流出した場合や法規制の違反が生じた場合、当社グループのブランドイメージ及び社会的信用に影響を及ぼす可能性や、対応費用の発生、当局からの処分、顧客からの訴訟の提起等により当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 これらリスクに対して、当社グループは外部からのシステム攻撃に備え、24時間365日システムの運用・監視を行う最先端のセキュリティ監視センター(SOC)を設置、ファイアウォール・IDS/IPS・WAFの設置、アンチウイルスソフトウェアのインストール等のセキュリティ対策を実施しております。また、社内の専門部署における防止対策によりリスクの低減を図っている他、情報セキュリティ委員会を中心に、情報セキュリティに関する管理体制を整え、また各種情報セキュリティ関連規程においてセキュリティインシデント発生時の各種対応を細かく定めることで、インシデント発生時の影響を抑えるための対策を講じています。

 

(22)法規制

 当社グループの事業は、食品衛生法、労働基準法、食品表示法、景品表示法をはじめとする様々な法規制による制約を受けております。今後の社会情勢の変化等により、諸法令等の改正や新たな法令等の制定、法令解釈の変更や規制範囲が拡大することで事業活動が制限される可能性があります。その結果、当社グループの事業、業績、財政状態、ブランドイメージ及び社会的信用に影響を及ぼす可能性があります。

 これらリスクに対して、当社グループは各種業界団体に参加し情報入手に努めている他、各種法令の改定に対して各主管部門が連携して関連諸法令改定等の周知徹底とその遵守のための態勢を整えています。

 

(23)事業の継続性に重要な疑義を生じさせる事象又は状況について

 当社グループは、前連結会計年度末において借入金の財務制限条項に抵触した状況により、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しておりましたが、当連結会計年度において以下の対応を実施したことから、第1四半期連結会計期間末以降は継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせる事象又は状況は存在していないと考えております。

 

① 事業について

 当連結会計年度においては、引き続きコロナ禍におけるお客様と従業員の感染防止対策を徹底するとともに、既存店舗の経営資源を最大限活用し、デリバリー・テイクアウトの強化を始めとする売上拡大戦略を進めております。新型コロナウイルス感染症の感染者数の増加により、売上収益の回復は緩やかなものとなっておりますが、生産性向上の取り組みやコスト削減などの自助努力の徹底に加え、政府による営業時間短縮の要請に応じながら、外食産業支援としての営業時間短縮協力金も活用し、一定の損益の改善を見込める状況となっております。生産性向上の取り組みとしては、デジタルメニューブックの導入、すかいらーくアプリにテイクアウトの「モバイルオーダー・決済機能」を搭載するなどDXの活用を中心に推進しております。コスト削減は、引き続き深夜営業廃止による固定人件費や水道光熱費の低減、プロモーション費用の低減、オーナー様のご協力による店舗賃料の減額や売上歩率への契約変更、本部経費の削減、その他不要不急のコストの執行停止といった販売費及び一般管理費の低減に取り組んでおります。原価低減の打ち手として、食材や商品のモジュール化で1品当たりのボリュームを出すことによる仕入単価の引き下げや自社工場の製造ライン生産性の向上、配送ルート及び頻度の変更などのコスト構造の改革の実行を継続しております。このような事業基盤を強固なものとするため損益分岐点の引き下げにより、前第3四半期連結会計期間以降、連続して直前四半期連結会計期間対比で営業損益も改善しております。

 

② 資金調達について

 当社は2021年2月12日に、株式会社みずほ銀行を含む5金融機関からなるシンジケート団との間で2024年2月12日を期限とする極度額700億円の長期コミットメントライン契約を締結しました(増資後の2021年12月30日に350億円に変更)。また、当社は2021年6月7日に公募による新株式発行を、2021年6月28日に第三者割当による新株式発行を行い、合わせて430億円の資金を調達しております。これらの対応により新型コロナウイルス感染症の事業への影響が長期化した場合においても必要な投資を継続しつつ円滑な事業運営が可能になるものと考えております。

 

③ 財務制限条項について

 当社は既存借入金に関して借入先金融機関と新型コロナウイルス感染症の事業への影響を踏まえた事業計画に基づき協議を行い当該借入金の財務制限条項の見直しについて合意し2021年2月12日付で変更契約を締結いたしました。本見直し並びに上記資本増強により、財務制限条項の各条項に対する抵触のリスクは相当程度低下したものと考えております。

 

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