当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当連結会計年度の事業環境は、国内がウィズコロナへと移行を図ろうとする一方でオミクロン株による感染者が急増するなど、新型コロナウイルス感染症の影響により、依然として先が見通しにくい状態が続いています。また、ワクチン接種の進展で人出は戻りつつあるものの、コロナ禍において浸透したオンラインショッピングや外食産業のテイクアウト、デリバリーサービスなどが市民権を獲得し、消費行動の変化が顕著となりました。さらに、原油価格の高騰や原材料価格の上昇による食料品の値上げが連続し、それらに加えて国際情勢の変化や為替による影響も今後想定されることから家計支出の大きな変化が予想され、消費マインドはさらに低下すると懸念され、当社グループを取り巻く事業環境は厳しさを増していると判断しております。また、近年の地球環境は異常気象やそれに端を発する災害など気候変動リスクに対する注目が高まっており、企業にとってもサステナビリティへの取り組みは必須の課題となっております。
このような状況において、当社グループは、「デジタルを基盤とした構造改革を推進し、次代の礎を築くことを実現するために、『あらゆる人に食を届ける』をめざして、協働と創発をくりかえす」を基本方針とする第2次中期経営計画(2021年2月期~2023年2月期の3年間)を推進しております。
当連結会計年度においては、中期経営計画に掲げた「デジタル改革」を中心に「コスト改革」「フォーマット改革」「ワークスタイル改革」を推進し、新型コロナウイルス感染症の拡大により急速に多様化した消費者ニーズの変化に対応する取り組みを進めてまいりました。
デジタルの取り組みとしては、自社開発のスマートフォン決済サービス「Scan&Go Ignica」(スキャンアンドゴー イグニカ)にオンラインデリバリー(食品宅配サービス、インターネットショッピング)やその他の機能を追加し、様々なシーンでのお買物体験を実現するアプリによるマルチチャネルサービス化に注力いたしました。また、「Scan&Go Ignica」の利用店舗は、当連結会計年度において500店舗を超える規模にまで拡大し、マルエツ・カスミ・マックスバリュ関東で利用可能になったことに加え、グループ外企業への展開も開始いたしました。
商品の取り組みとしては、気候変動や自然災害に左右されない独自のサプライチェーン構築に向けて、植物工場に関する専門知見を有する㈱PLANTXとのパートナーシップにより、野菜の栽培から販売まで一貫した製造小売モデルを構築し、一部店舗での販売を開始いたしました。
当連結会計年度における当社グループの連結業績は、営業収益が7,164億7百万円(前期比2.4%減)、営業利益が121億55百万円(前期比36.4%減)、経常利益が124億74百万円(前期比35.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益が53億74百万円(前期比39.2%減)となりました。
① 客数・客単価
既存店前期比において客数は99.5%、客単価は98.1%となっております。
客数においては、デジタルの活用を含む様々な販売促進施策がお客さまに支持されたこともあり、前年程度の数値となりました。一方で、昨年度のまとめ買いの傾向が終息を見せ買上点数が減少したことにより客単価は低下傾向にあります。また、ネットスーパーや移動販売に対する需要は昨年に引き続き強まっており、来店することなくお買物を済ませる新たなスタイルが確立する状況に至っております。
② 部門別売上
部門別売上高は、新たなメニュー提案や販促活動との連動施策等によりデリカ(惣菜)部門が前期比4.8%増と前年に対し伸長いたしました。鮮魚部門においても、主要子会社㈱マルエツやマックスバリュ関東㈱において鮮魚寿司等の施策が功を奏し、前年と同水準を確保することができました。
③ 販売費及び一般管理費
販売費及び一般管理費では、フルセルフレジの導入や「Scan&Go Ignica」の展開による生産性向上の取り組みや、本部と店舗の人員配置の見直し等による人件費の効率化を推進しました。一方で、大規模な既存店の活性化等の投資を実行したことにより販売費及び一般管理費は前期比0.6%増となりました。
④ 店舗数
当連結会計年度において、㈱マルエツが4店舗、㈱カスミが4店舗、当社グループ計で8店舗を新設いたしました。一方、経営資源の効率化を図るため、㈱マルエツが2店舗、㈱カスミが1店舗、マックスバリュ関東㈱が2店舗を閉鎖し、当社グループの当連結会計年度末の店舗数は、521店舗となりました。
〔新型コロナウイルスの影響について〕
新型コロナウイルスにおいては、まだ収束の見通しが立たず、今後も当社の経営数値への影響は予断を許さない状況にあります。当社グループは、引き続き新型コロナ感染症の防疫対策を最優先に、お客さまのお買物スタイルの変化を的確にとらえ、お客さまのニーズに応えられる店舗づくりに注力してまいります。
〔主要子会社〕
㈱マルエツは、「デジタルとの融合による顧客接点の創造」を基本テーマとし、「お客さまに寄り添う店舗への進化」、「持続可能な経営体質への転換」、「環境変化に対応する為の戦略的投資の推進」に取り組みました。具体的な取り組みとして「Scan&Go Ignica」の利用促進やフルセルフレジの導入拡大等により、お客さまの利便性向上を図りました。さらに、オンラインデリバリーの利用可能店舗の拡大や法人向け無人店舗サービスの開始等、新たな顧客接点の創出に取り組んでまいりました。また、鮮魚寿司「魚悦」や「窯焼ピッツァ」といった新規商品の展開や冷凍商品の売場拡大に加え、サービスエリアの見直しを図る等、お客さまのニーズに応える既存店舗の活性化を積極的に行ってまいりました。
㈱カスミでは、新たなスーパーマーケットのカタチとして新業態「BLANDE」を茨城県つくば市内に2店舗オープンいたしました。BLANDEつくば並木店はドラッグストアのウエルシア薬局㈱との融合による食と健康美をテーマとし、BLANDE研究学園店は食に特化したフードスペシャリティストアとして、「人」「食」「生活」「文化」が商品・サービスを通して交じり合うお店をめざしております。また、両店では新たに㈱カスミならではの開発商品としてMiiL KASUMIを豊富に展開し、地元の有名店とコラボした焼き立てピザの提供やワインの試飲、Scan&Go Ignicaアプリを利用した会員制プログラム「BLANDE Prime」、居心地の良い「Cafe&Dine」など、滞在型の魅力あるお買物体験を提供してまいりました。
マックスバリュ関東㈱では、「中期経営計画2年目施策の確実な実行の年」と位置付け、①買物体験型スーパーマーケットの水平展開と進化、②商品開発・仕入能力の強化、③デジタル化の推進に取り組みました。マックスバリュ業態における大型活性化を契機とした買物体験型の進化に加え、小型店のエクスプレス業態においても買物体験型の要素を取り入れた活性化を実施いたしました。エクスプレス業態では、近隣店舗で製造した商品をサテライト配送することで、インストアベーカリーや水産寿司といった新しいカテゴリーの取り扱いを増やし、お客さまへの提供価値向上に取り組みました。また、コロナ禍において高まる非接触ニーズへの対応やレジでの混雑緩和への取り組みとして、「Scan&Go Ignica」や「キャッシュレス専用フルセルフレジ」の導入を推進し、より便利で、お客さまに選んでいただける店舗をめざして取り組んでまいりました。
〔環境・社会貢献〕
当社は、脱炭素社会の実現に向けて電気使用量の削減、廃棄物排出量の削減、脱プラスチックとして環境配慮型資材(植物由来のバイオマス配合カトラリー・レジ袋)の全店導入等に取り組みました。また、持続可能な社会の実現をめざし、当社オリジナルブランド「グリーングロワーズ」は、水資源や土壌等への環境負荷を軽減したサステナブルかつ高鮮度を実現した野菜を栽培しており、商品開発から生産・流通・販売まで一貫した製造小売モデルを構築することで、環境配慮型商品として販売の拡大に取り組んでおります。
2021年10月には、株式会社カスミの店舗で排出した食品残さを飼料化し、その飼料で生産した鶏卵を店舗で販売するという取り組みが、地域完結循環モデル「食品リサイクル・ループ」として農林水産大臣並びに環境大臣による食品リサイクル法に基づく「再生利用事業計画」の認定を取得しました。今後は参加店舗を拡大し、当社グループ全体で食品リサイクルを推進してまいります。
なお、当社グループの事業会社では、地域社会の課題解決に向けて特性に合わせた社会貢献活動を実施しております。お客さまとともに取り組む食品支援活動や募金活動をはじめ、子ども食堂、盲導犬育成の支援活動、さらに行政と包括連携協定を締結し買物困難地域へ移動スーパーを運行するなど、地域のニーズに合わせた活動を通じて今後も地域との連携強化に努めてまいります。
(参考情報)
主要連結子会社では、当連結会計年度における㈱マルエツ単体の営業収益は3,858億8百万円(前期比2.4%減)、㈱カスミ単体の営業収益は2,820億24百万円(前期比2.1%減)、マックスバリュ関東㈱単体の営業収益は445億52百万円(前期比4.6%減)の結果となりました。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 上記の金額には消費税等は含まれておりません。
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 上記の金額には消費税等は含まれておりません。
(資産の部)
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ 43億48百万円 減少し、 2,807億41百万円 となりました。
流動資産は、77億39百万円減少し、786億45百万円となりました。これは主に、たな卸資産が12億24百万円増加した一方で、現金及び預金56億19百万円、未収入金33億10百万円がそれぞれ減少したことによるものであります。
固定資産は、33億90百万円増加し、2,020億96百万円となりました。これは主に、有形固定資産45億27百万円、無形固定資産2億26百万円がそれぞれ増加した一方で、投資その他の資産が13億63百万円減少したことによるものであります。
(負債の部)
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ77億90百万円減少し、1,285億2百万円となりました。
流動負債は、10億5百万円増加し、923億59百万円となりました。これは主に、短期借入金40億円、1年内返済予定の長期借入金90億円がそれぞれ増加した一方で、支払手形及び買掛金8億82百万円、未払法人税等39億6百万円がそれぞれ減少したことによるものであります。
固定負債は、87億96百万円減少し、361億43百万円となりました。これは主に、長期借入金81億75百万円が減少したことによるものであります。
(純資産の部)
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ34億41百万円増加し、1,522億38百万円となりました。これは主に、利益剰余金が30億65百万円増加したことによるものであります。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物残高は、前連結会計年度末に比べ56億19百万円減少し、324億98百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益97億19百万円、減価償却費129億71百万円、減損損失26億49百万円、未収入金の減少32億55百万円、たな卸資産の増加11億97百万円などにより、160億16百万円の収入(前年同期比139億3百万円の収入の減少)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出211億97百万円、無形固定資産の取得による支出32億91百万円などにより、243億24百万円の支出(前年同期比83億89百万円の支出の増加)となりました。(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入れによる収入40億円、長期借入れによる収入58億円、長期借入金の返済による支出49億75百万円、配当金の支払23億9百万円などにより、23億91百万円の収入(前年同期比17億46百万円の収入の減少)となりました。
当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。当社グループの資金の源泉は、主に営業活動によるキャッシュ・フロー及び金融機関からの借入金となります。
設備投資等の長期資金需要は、自己資金又は金融機関からの長期借入金等により賄い、運転資金等の短期資金需要は、主に自己資金又は短期借入金により賄っております。
なお、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は324億98百万円、有利子負債の残高は405億64百万円となっております。
(4) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に際し、決算日における資産・負債の報告数値、報告期間における費用の報告数値に影響を与える見積りは、過去実績や状況に応じて合理的と考えられる要因等に基づき行っておりますが、見積り特有の不確実性があるために実際の結果は異なる場合があります。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しておりますが、連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
(固定資産の減損)
当社グループは、営業活動から生じる損益が継続してマイナスである物件及び環境の著しい悪化がみられる店舗において、資産グループから得られる将来キャッシュ・フローが帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。
減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定にあたっては、決算時点で入手可能な情報に基づき判断しておりますが、事業計画や店舗を取り巻く環境の変化等により、前提とした条件や仮定に変更が生じ回収可能価額が減少した場合、減損処理が発生する可能性があります。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響につきましては、現時点でいまだ収束時期は不透明であり、現段階での推定の業績で、固定資産の減損に関する会計上の見積りを行っております。
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