(1)経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当事業年度のわが国経済は、持ち直しの動きがみられます。ただし、ウクライナ情勢の長期化等が懸念される中で、原材料価格の上昇や供給面での制約に加えて、金融市場の変動に伴う下振れリスクには警戒する必要があります。
個人消費は、持ち直しの動きがみられます。「家計調査」(4月)では、実質消費支出が前月比1.0%増となり、2ヵ月連続で前月水準を上回りました。また、「商業動態統計」でも小売業販売額(4月)が前月比1.0%増となり、2ヵ月連続で前月水準を上回っております。新型コロナウイルスの感染防止策が緩和されたことに伴い、人出が回復する中でサービス業を中心に消費活動が回復してきております。消費者マインドを示す消費者態度指数(5月)は、前月比1.1ポイント上昇し、2カ月連続で前月水準を上回る推移となっております。設備投資についても、持ち直しの動きがみられます。「法人企業統計季報」(含むソフトウェア)では1~3月期が前期比0.3%増加し、2四半期連続の増加となりました。輸出については概ね横ばいとなっています。米国及びEU向けの輸出は持ち直しの動きがみられます。一方で、その他の地域向けの輸出は弱含んでいます。
当社が属する不動産業界においては、底堅い動きとなっております。先行指標をなる新設住宅着工戸数は、2022年4月が季節調整済年率換算値で885,000戸となりました。4月は前月比4.6%減となりましたが、3月までは2ヶ月連続で前月を上回る水準が続く等、底堅い動きとなっております。また、首都圏マンションの初月契約率については、5月が70.2%となり、好不況の分かれ目とされる70%を4カ月連続で上回っております。
このような事業環境の下、当社は新規物件の取得や保有物件の売却を進めてまいりました。
この結果、当事業年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
当事業年度末の資産合計は、前事業年度末と比較して4,624百万円増加し、28,714百万円となりました。
当事業年度末の負債合計は、前事業年度末と比較して3,577百万円増加し、21,421百万円となりました。
当事業年度末の純資産合計は、前事業年度末と比較して1,047百万円増加し、7,292百万円となりました。
b.経営成績
当事業年度の経営成績は、売上高17,689百万円(前年同期比6.3%減)、営業利益2,127百万円(同24.1%増)、経常利益1,691百万円(同30.2%増)、当期純利益1,135百万円(同23.4%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
分譲開発事業は、売上高427百万円(同53.6%減)、セグメント利益17百万円(同58.1%減)となりました。
賃貸開発事業は、売上高11,533百万円(同16.2%減)、セグメント利益2,461百万円(同9.2%増)となりました。
バリューアップ事業は、売上高5,720百万円(同35.9%増)、セグメント利益699百万円(同48.4%増)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、営業活動により2,718百万円減少いたしました。一方、財務活動により3,376百万円増加すると共に、投資活動においても93百万円増加いたしました。この結果、資金は前事業年度末に比べて766百万円の増加となり、当事業年度末残高は4,432百万円(前事業年度末比20.9%増)となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.販売実績
当事業年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当事業年度 (自 2021年6月1日 至 2022年5月31日) |
前年同期比 |
金額(百万円) |
||
分譲開発事業 |
427 |
46.4 |
賃貸開発事業 |
11,533 |
83.8 |
バリューアップ事業 |
5,720 |
135.9 |
その他 |
8 |
- |
合 計 |
17,689 |
93.7 |
(注)最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先 |
前事業年度 (自 2020年6月1日 至 2021年5月31日) |
当事業年度 (自 2021年6月1日 至 2022年5月31日) |
||
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
シノケンリート投資法人 |
1,892 |
10.0 |
- |
- |
いちごオーナーズ㈱ |
- |
- |
1,836 |
10.4 |
b.契約実績
当事業年度の契約実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当事業年度 (自 2021年6月1日 至 2022年5月31日) |
前年同期比 |
金額(百万円) |
||
分譲開発事業 |
3,043 |
327.2 |
賃貸開発事業 |
17,802 |
151.8 |
バリューアップ事業 |
6,254 |
165.3 |
合 計 |
27,100 |
164.8 |
c.契約残高
当事業年度末における契約残高をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当事業年度末 (2022年5月31日) |
前年同期比 |
金額(百万円) |
||
分譲開発事業 |
2,668 |
5,156.3 |
賃貸開発事業 |
11,387 |
243.4 |
バリューアップ事業 |
2,210 |
- |
合 計 |
16,265 |
343.8 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成に当たりまして、決算日における資産・負債の報告数値及び報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える見積りを行っております。当該見積りにつきましては、過去の実績や状況に応じて合理的と考えられる様々な要因に関して適切な仮定の設定、情報収集を行い、見積り金額を計算しておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果とは異なる場合があります。
なお、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響に関する会計上の見積り及び判断については、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載のとおりであります。
② 当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等
1)財政状態
(流動資産)
当事業年度末における流動資産は、前事業年度末と比較して4,652百万円増加し、28,299百万円(前年同期比19.7%増)となりました。これは主に、保有物件の売却を積極的に進めた一方で業績の原資となる仕入れを推進したことから、販売用不動産と仕掛販売用不動産が合わせて2,927百万円増加したことによるものであります。また、物件売却を推進したことにより、現金及び預金が666百万円増加したことも寄与しております。
(固定資産)
当事業年度末における固定資産は、前事業年度末と比較して27百万円減少し、414百万円(前年同期比6.3%減)となりました。これは主に、繰延税金資産が36百万円減少したことによるものであります。
(流動負債)
当事業年度末における流動負債は、前事業年度末と比較して1,604百万円増加し、13,207百万円(前年同期比13.8%増)となりました。これは主に、新規物件の取得を推進したことにより、短期借入金が1,524百万円増加したことによるものであります。
(固定負債)
当事業年度末における固定負債は、前事業年度末と比較して1,972百万円増加し、8,213百万円(前年同期比31.6%増)となりました。これは主に、物件売却を進める一方で物件仕入を推進したことにより、長期借入金が1,978百万円増加したことによるものであります。
(純資産)
当事業年度末における純資産は、前事業年度末と比較して1,047百万円増加し、7,292百万円(前年同期比16.8%増)となりました。これは主に、当期純利益の計上等により繰越利益剰余金が1,064百万円増加したことによるものであります。
2)経営成績
(売上高、売上原価、売上総利益)
当事業年度の売上高は、前事業年度と比較して1,196百万円減少し、17,689百万円(前年同期比6.3%減)となりました。
分譲開発事業の売上高は、前事業年度と比較して494百万円減少し、427百万円(同53.6%減)となりました。
賃貸開発事業の売上高は、前事業年度と比較して2,221百万円減少し、11,533百万円(同16.2%減)となりました。
バリューアップ事業の売上高は、前事業年度と比較して1,511百万円増加し、5,720百万円(同35.9%増)となりました。
売上原価については、売上高の減少の影響から、前事業年度と比較して1,540百万円減少し、14,108百万円(同9.8%減)となりました。
売上総利益については、想定以上の金額で売却することができたプロジェクトが存在したため、前事業年度と比較して343百万円増加し、3,581百万円(同10.6%増)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
販売費及び一般管理費は、前事業年度と比較して69百万円減少し、1,453百万円(前年同期比4.5%減)となりました。主な要因は、分譲開発物件の減少に伴い、広告宣伝費が減少したことによるものであります。
この結果、営業利益は、前事業年度と比較して412百万円増加し、2,127百万円(同24.1%増)となりました。
(営業外損益、経常利益)
営業外収益は、前事業年度と比較して45百万円増加し、53百万円(前年同期比567.2%増)となりました。主な要因としては、受取補償金が27百万円増加したことに加えて、受取配当金が9百万円増加したこと及び為替差益が8百万円増加したことによるものであります。営業外費用は、前事業年度と比較して65百万円増加し、488百万円(前年同期比15.5%増)となりました。主な要因としては、新規物件の取得を推進したことにより、支払利息が67百万円増加したことによるものであります。
この結果、経常利益は、前事業年度と比較して392百万円増加し、1,691百万円(同30.2%増)となりました。
(特別損益、当期純利益)
特別利益は、前事業年度と比較して14百万円減少し、1百万円(前年同期比92.5%減)となりました。主な要因としては、新株予約権戻入益が14百万円減少したことによるものであります。
当期純利益は、税引前当期純利益が前事業年度と比較して377百万円増加したものの、法人税等合計が162百万円増加したため、前事業年度と比較して215百万円の増加となり、1,135百万円(同23.4%増)となりました。
3)キャッシュ・フロー
当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、営業活動により2,718百万円減少しました。一方、投資活動において93百万円増加すると共に、財務活動においても3,376百万円増加しました。この結果、資金は前事業年度末に比べて766百万円の増加となり、当事業年度末残高は4,432百万円(前事業年度末比20.9%増)となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により支出した資金は、2,718百万円(前年同期は383百万円の獲得)となりました。主な要因は、税引前当期純利益として1,692百万円を獲得したものの、棚卸資産が2,929百万円増加したことに加えて、前渡金が741百万円増加したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により獲得した資金は、93百万円(前年同期は386百万円の支出)となりました。主な要因は、定期預金の預入により837百万円の支出が発生したものの、定期預金の払戻により934百万円を獲得したことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により獲得した資金は、3,376百万円(前年同期は1,114百万円の獲得)となりました。主な要因は、物件の売却に伴い、長期借入金及び短期借入金を返済したことにより、13,835百万円の支出が発生したものの、物件の取得に伴い、長期借入金及び短期借入金として新たに融資契約を締結したことにより、17,311百万円を獲得したことによるものであります。
b.経営成績に重要な影響を与える要因についての分析
当社の経営に影響を与える大きな要因としては、2.事業等のリスクに記載のとおりであります。
c.資本の財源及び資金の流動性
当社の資金需要の主なものは、運転資金需要と販売用不動産の取得及び建築費に必要な資金等であります。運転資金については、内部資金を充当し、必要に応じて金融機関より短期借入金で調達を行っております。また、販売用不動産の取得及び建築費等については、金融機関より短期借入金及び長期借入金で調達を行っております。
d.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は、自己資本比率を重要な経営指標として位置づけており、中長期的には30%程度の水準まで向上させてゆく方針です。
当事業年度末における自己資本比率は、前事業年度末と比べて0.4ポイント低下し、25.1%となりました。
収益の原資となる販売用不動産の取得については、厳選した上での取得に努めることで総資産の過度な増加を抑制すると共に、着実な利益確保により安定的に自己資本を高めてゆく所存です。
e.セグメント毎の財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
(分譲開発事業)
当事業年度の販売物件は、プルームヌーベル武蔵野(東京都武蔵野市)のみとなっておりました。同プロジェクトは、前期より販売を開始しており、当事業年度においては販売できる戸数が少なくなっていたことから、売上高は前年同期比494百万円減少し、427百万円(前年同期比53.6%減)となりました。セグメント利益は、同24百万円減少し、17百万円(同58.1%減)となりました。セグメント資産については、新規物件を取得したことから、前事業年度と比較して204百万円増加し、1,984百万円(同11.5%増)となりました。
(単位:百万円)
|
2022年5月期 |
2021年5月期 |
増減率 |
売上高 |
427 |
921 |
△53.6% |
セグメント利益 |
17 |
42 |
△58.1% |
セグメント資産 |
1,984 |
1,780 |
11.5% |
(賃貸開発事業)
当事業年度は、前期に複数の大型物件を販売した反動に加えて、物件売却が順調に進捗したことにより保有する竣工済物件数も限られたことを受けて売却物件数が減少した結果、売上高は前年同期比2,221百万円減少し、11,533百万円(前年同期比16.2%減)となりました。セグメント利益については、売却物件の商品企画及び地域優位性が評価されたこと等から収益性が更に向上したことにより、前年同期比207百万円増加し、2,461百万円(同9.2%増)となりました。セグメント資産については、保有物件の売却を積極的に推進した一方で、エリアや駅からの距離等を勘案の上、厳選をしつつ新規物件の取得を進めたことから、前事業年度と比較して2,942百万円増加し、15,922百万円(同22.7%増)となりました。
(単位:百万円)
|
2022年5月期 |
2021年5月期 |
増減率 |
売上高 |
11,533 |
13,755 |
△16.2% |
セグメント利益 |
2,461 |
2,253 |
9.2% |
セグメント資産 |
15,922 |
12,980 |
22.7% |
(バリューアップ事業)
当事業年度の売上高は、販売物件数は前期と同じであったものの、1棟当たりの売却価格が上昇したことを受けて、前年同期比1,511百万円増加し、5,720百万円(前年同期比35.9%増)となりました。セグメント利益については、収益性が向上したことから前年同期比228百万円増加し、699百万円(同48.4%増)となりました。セグメント資産については、保有物件の売却活動を積極的に推進する一方で賃貸開発事業と同様にエリアや駅からの距離等を勘案の上、厳選したうえで新規物件の取得を進めたことから、前事業年度と比較して676百万円増加し、5,248百万円(同14.8%増)となりました。
(単位:百万円)
|
2022年5月期 |
2021年5月期 |
増減率 |
売上高 |
5,720 |
4,209 |
35.9% |
セグメント利益 |
699 |
471 |
48.4% |
セグメント資産 |
5,248 |
4,572 |
14.8% |
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