(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルスによる緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が断続的に発出され、依然として厳しい状況が続きました。政府による各種給付金等を背景に、雇用・所得環境の改善、個人消費に持ち直しの傾向がみられましたが、新たな変異株の脅威や原油高をはじめとした原材料価格の高騰など、先行き不透明な状況が続いております。
不動産関連業界におきましては、ウッドショックによる建材不足や建設コストの高騰が生じるものの、住宅ローン減税延長等の住宅取得支援策や低金利環境、コロナ禍における「新しい生活様式」による住宅への意識の高まりにより、実需の住宅需要は堅調に推移いたしました。なお、当社グループの営業エリアである兵庫県・大阪府における中古住宅の成約件数は前期比4.5%増加(近畿レインズ調べ)、愛知県における中古住宅の成約件数は同8.2%増加(中部レインズ調べ)いたしました。
このような経営環境のなかで当社グループにおきましては、フィービジネスとリフォームの連携強化(収益面)、開発分譲事業の推進(事業規模の拡大)など、ワンストップ体制のシナジー最大化戦略に注力することで、持続的成長と高収益な事業基盤の強化に取り組みました。
まず、流通事業においては、2021年上半期に中部圏で新規2店舗(新瑞橋営業所・大曽根営業所)を開設するなど、ドミナント戦略の効果が相乗的に出始めた結果、中部圏での住宅を購入されるお客様の来場件数が前期比88.2%増加し、全体の来場件数も同24.1%増加いたしました。それによりワンストップサービスの提案機会も増加し、「フィービジネスとリフォーム」の業績が堅調に推移いたしました。
更に、開発分譲事業においては、「新しい生活様式」における戸建の購入意欲の高まりを背景に、兵庫県伊丹市(全55戸)をはじめとした複数の戸建プロジェクトが完売いたしました。更に、好調な販売状況を背景に、来期以降の戸建分譲用地の仕入にも積極的に取り組んだ結果、開発分譲事業のたな卸資産が前期末と比べて43.0%増加いたしました。
また、今後の東京圏での営業エリア拡大をはじめとした事業展開への先行投資を含め、採用計画の達成や業績に連動した決算賞与を従業員へ支給するなど、人的資本への配分に努めました。
これらの結果、当連結会計年度における連結業績は、売上高8,681百万円(前期比9.1%増)、営業利益837百万円(同20.1%増)、経常利益802百万円(同19.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益577百万円(同24.6%増)となり、売上高、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益の全てにおいて過去最高を更新いたしました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
流通事業におきましては、2019年12月にリニューアルした自社サイトのUU(※)が前期比42.0%増加するとともに、自社サイトからの反響件数も同23.4%増加し、流通事業全体の成約件数は同27.8%増加いたしました。更に、売却物件の獲得に注力したことによって、売却の成約件数が同47.7%増加いたしました。この結果、売上高は1,919百万円(前期比27.4%増)、営業利益は538百万円(同20.9%増)となり、売上高と営業利益の過去最高を更新いたしました。
リフォーム事業におきましては、流通事業の中古物件の取扱件数が増加したことによって、「中古×リフォーム」の引渡件数も前期比25.5%増加いたしました。特に、中部圏での引渡件数は同236.6%増加し、売上をけん引いたしました。なお、2021年12月末の受注残高は574百万円(同49.1%増)となりました。この結果、売上高は1,705百万円(前期比8.6%増)、営業利益は311百万円(同21.4%増)となりました。
開発分譲事業におきましては、ウッドショックや原材料価格の高騰を背景として建設コストが上昇するなか、製販一体の連携強化による原価圧縮と付加価値向上に努めました。併せて、流通店舗に集まる売却情報と顧客情報を活用することで適正価格での仕入及び早期販売を実現し、営業利益率が同3.3ポイント向上いたしました。この結果、売上高は4,848百万円(前期比4.4%増)、営業利益は493百万円(同53.8%増)となり、売上高と営業利益の過去最高を更新いたしました。
賃貸事業におきましては、テナント用事業用地(兵庫県伊丹市)を取得し、2022年春のオープンに向けた工事に取り組みました。また、商業ビル(兵庫県宝塚市)においてはコロナ禍のテナント退去が更に進んだことで入居率が低下し、賃料収入が減少いたしました。この結果、売上高は158百万円(前期比7.4%減)、営業損失は52百万円(前期は営業利益17百万円)となりました。
不動産取引派生事業におきましては、流通事業と開発分譲事業の取扱件数増加を主な要因とし、FP業務の取扱件数が前期比20.1%増加し、事務手数料の売上高も同14.5%増加いたしました。一方で、受託販売物件の減少に伴い、広告収入は同55.5%減少いたしました。この結果、売上高は161百万円(前期比0.2%増)、営業利益は89百万円(同8.0%減)となりました。
その他の事業におきましては、不動産業界のミドルマーケットに対する各種コンサルティング業務の受注を目指しました。なお、緊急事態宣言中は新規開拓の出張等を自粛したものの、既存クライアントからの採用戦略コンサルティングの受注件数が好調に推移し、コンサルティング業務等の売上高が前期比26.5%増加いたしました。この結果、売上高は186百万円(前期比49.7%増)、営業利益は15百万円(前期は営業損失11百万円)となりました。
※UU(ユニーク・ユーザー)
自社サイトの各ページに訪問したユーザーの実数を表す数値。集計期間中は自社サイトに同じユーザーが何度訪問した場合でも1UUとしてカウントされます。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ357百万円減少し、1,871百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とその要因は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローにつきましては、税金等調整前当期純利益876百万円に対し、開発分譲物件の新規仕入等によりたな卸資産(販売用不動産及び未成工事支出金等)の増加1,231百万円、法人税等の支払額263百万円及びその他109百万円、関連会社株式売却益73百万円によりそれぞれ資金が減少した一方で、仕入債務の増加133百万円、減価償却費113百万円並びに未払費用の増加69百万円、前渡金の減少58百万円によりそれぞれ資金が増加したことを主な要因として、401百万円の資金減少(前年同期は1,508百万円の資金増加)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローにつきましては、賃貸事業用地の取得及び流通店舗の新規出店に伴う有形固定資産の取得による支出1,625百万円、無形固定資産の取得による支出27百万円を主な要因として、1,641百万円の資金減少(前年同期は518百万円の資金減少)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローにつきましては、開発物件の仕入資金等として長期借入金1,389百万円及び短期借入金による収入1,095百万円、及び社債の発行による収入392百万円の資金がそれぞれ増加した一方で、長期借入金の返済による支出が940百万円、配当金の支払額153百万円、及び社債の償還による支出95百万円の資金がそれぞれ減少したことを主な要因として、1,685百万円の資金増加(前年同期は66百万円の資金減少)となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループの事業形態におきましては、生産実績を定義することが困難であるため、生産実績の記載はしておりません。
b.契約実績
当社グループが行っている事業のうち、流通事業及び不動産取引派生事業は、契約締結から売上計上までの期間が短く、また賃貸事業は、事業の性質上契約実績の表示がなじまないため、記載を省略しております。
当連結会計年度におけるリフォーム事業の契約実績は次のとおりであります。
前連結会計年度 (自 2020年1月1日 至 2020年12月31日) |
当連結会計年度 (自 2021年1月1日 至 2021年12月31日) |
||||||
期中契約高 |
期末契約残高 |
期中契約高 |
期末契約残高 |
||||
数量 (戸) |
金額 (百万円) |
数量 (戸) |
金額 (百万円) |
数量 (戸) |
金額 (百万円) |
数量 (戸) |
金額 (百万円) |
683 |
1,661 |
80 |
385 |
714 |
1,894 |
96 |
574 |
(注)1.上記の金額には消費税等は含まれておりません。
2.セグメント間の内部売上高又は振替高を含めております。
当連結会計年度における開発分譲事業の契約実績は次のとおりであります。
前連結会計年度 (自 2020年1月1日 至 2020年12月31日) |
当連結会計年度 (自 2021年1月1日 至 2021年12月31日) |
||||||
期中契約高 |
期末契約残高 |
期中契約高 |
期末契約残高 |
||||
数量 (戸) |
金額 (百万円) |
数量 (戸) |
金額 (百万円) |
数量 (戸) |
金額 (百万円) |
数量 (戸) |
金額 (百万円) |
144 |
4,483 |
14 |
317 |
163 |
5,381 |
14 |
850 |
(注)1.上記の金額には消費税等は含まれておりません。
2.セグメント間の内部売上高又は振替高を含めております。
3.上記の数量欄及び金額欄には、建築条件付にて土地の売買契約を締結した場合においては、戸数及び契約金額を含めて記載しておりますが、当該契約に付随する建物の建築請負契約につきましては、契約金額のみ金額欄に含めております。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年1月1日 至 2021年12月31日) |
構成比(%) |
前年同期比(%) |
|
流通事業 |
(百万円) |
1,919 |
21.3 |
27.4 |
リフォーム事業 |
(百万円) |
1,705 |
19.0 |
8.6 |
開発分譲事業 |
(百万円) |
4,848 |
54.0 |
4.4 |
賃貸事業 |
(百万円) |
158 |
1.8 |
△7.4 |
不動産取引派生事業 |
(百万円) |
161 |
1.8 |
0.2 |
報告セグメント計 |
(百万円) |
8,793 |
97.9 |
9.2 |
その他 |
(百万円) |
186 |
2.1 |
49.7 |
合計 |
(百万円) |
8,980 |
100.0 |
9.8 |
(注)1.上記の金額には消費税等は含まれておりません。
2.セグメント間の内部売上高又は振替高を含めております。
3.当連結会計年度の開発分譲事業の販売実績の内訳は次のとおりであります。
区分 |
当連結会計年度 (自 2021年1月1日 至 2021年12月31日) |
||
種類 |
物件名 |
戸数 (戸) |
販売高(百万円) |
戸建分譲プロジェクト等 |
伊丹市池尻 |
30 |
632 |
宝塚市末広町 |
7 |
394 |
|
川西市久代 |
11 |
337 |
|
尼崎市西昆陽 |
10 |
318 |
|
川西市小戸 |
7 |
237 |
|
神戸市東灘区森北町 |
1 |
145 |
|
伊丹市鋳物師 |
3 |
134 |
|
豊中市蛍池東町 |
3 |
125 |
|
小計 |
72 |
2,326 |
|
その他 |
91 |
2,522 |
|
合計 |
163 |
4,848 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。
② 当連結会計年度の財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態
(資産)
当連結会計年度における資産合計は、前連結会計年度末より2,613百万円増加し、12,150百万円となりました。
流動資産の残高は、前連結会計年度末より985百万円増加し、6,923百万円となりました。主な要因といたしましては、販売用物件の取得等によりたな卸資産(販売用不動産及び未成工事支出金等)が1,309百万円増加した一方で、開発物件の造成工事費用や建築費等支払いなどにより現金及び預金が357百万円減少したことによるものであります。
固定資産の残高は、前連結会計年度末より1,623百万円増加し、5,212百万円となりました。主な要因といたしましては、賃貸用不動産の取得や2022年出店予定の店舗用地取得等により土地が1,547百万円、投資その他の資産が44百万円それぞれ増加したことによるものであります。
(負債)
当連結会計年度における負債合計は、前連結会計年度より2,188百万円増加し、8,492百万円となりました。
流動負債は、前連結会計年度末より1,609百万円増加し、4,868百万円となりました。この要因といたしましては、販売用物件の取得及び賃貸用不動産の取得に関するつなぎ資金等として短期借入金が1,095百万円、その他が180百万円、支払手形及び買掛金が120百万円、1年内償還予定の社債が80百万円、1年内返済予定の長期借入金が78百万円、未払法人税等が54百万円それぞれ増加したことによるものであります。
固定負債の残高は、前連結会計年度末より579百万円増加し、3,624百万円となりました。主な要因といたしましては、開発物件の仕入資金や財務基盤の構築を目的として長期借入金が340百万円、社債が225百万円それぞれ増加したことによるものであります。
(純資産)
当連結会計年度における純資産合計は、前連結会計年度末より424百万円増加し、3,658百万円となりました。主な要因といたしましては、親会社株主に帰属する当期純利益を577百万円計上した一方で、2020年12月期の期末配当金を153百万円実施したことによるものであります。
b.経営成績
当連結会計年度における経営成績は、売上高8,681百万円(前期比9.1%増)、営業利益837百万円(同20.1%増)、経常利益802百万円(同19.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益577百万円(同24.6%増)となりました。
(売上高)
当連結会計年度における売上高は、前期と比べて724百万円増加し、8,681百万円(前期比9.1%増)となりました。主な要因といたしましては、複数の自社プロデュースの新築戸建プロジェクトが完売し、開発分譲事業が増収となったこと、並びに営業エリア拡大や売却物件の獲得に注力をした結果、流通事業の経営成績が堅調に推移した結果であります。
なお、詳細につきましては「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
(売上総損益)
当連結会計年度における売上総利益は、前期と比べて246百万円増加し、1,545百万円(前期比19.0%増)となりました。主な要因といたしましては、流通事業及びリフォーム事業の売上高増加に連動したものであります。
(営業損益)
当連結会計年度における営業利益は、前期と比べて140百万円増加し、837百万円(前期比20.1%増)となりました。主な要因といたしましては、更なる活動エリア拡大を見据えた人員の増加を要因として、販売費及び一般管理費が前期と比べて106百万円増加し、707百万円(前期比17.7%増)となったこと等によるものであります。
(経常損益)
当連結会計年度の営業外収益は、受取家賃及び助成金収入等の計上により27百万円となりました。また、営業外費用は、支払利息等の計上により62百万円となりました。
以上の結果、当連結会計年度における経常利益は、前期と比べて131百万円増加し、802百万円(前期比19.6%増)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純損益)
当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は、前期と比べて113百万円増加し、577百万円(前期比24.6%増)となりました。
c.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの資金需要のうち主なものは、開発分譲事業に係る用地取得費及び土地造成費等のプロジェクト資金、賃貸事業の物件取得資金、並びに流通事業の店舗用地取得資金等であります。これらの財源は、案件ごとの状況に応じて、内部留保資金及び金融機関からの借入金等で補っております。
また、当社グループは、収益性の高い事業群「フィービジネスとリフォーム」の強化戦略を推進し、安定的かつ持続的な成長に必要な内部留保資金の充実に努めることを基本方針としております。
なお、重要な資本的支出の予定及びその資金の調達源等については、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画 (1)重要な設備の新設等」に記載のとおりであります。
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