当連結会計年度における我が国の経済は、新型コロナウイルス感染症の再拡大を受けた緊急事態宣言やまん延防止等重点措置など、当連結会計年度を通して、各種制限措置の影響を長く受ける厳しい状況が続きました。一方、ワクチン接種が浸透し、社会全般におけるウィズコロナ対策も広く定着しつつあります。当連結会計年度第4四半期には、オミクロン株の広まりから個人消費は一時的に減速が見られたものの、今後は緩やかに景気が持ち直していくことが期待されています。
このような環境のもと、当社グループは、引き続き感染防止対策を徹底し、患者さま、利用者さまの安全確保に取り組み、事業活動の継続に努めてまいりました。
調剤薬局事業におきましては、地域包括ケアシステムの一翼を担うべく、地域連携薬局や健康サポート薬局の拡大に努めてまいりました。また、薬局へのご来店が困難な患者さまに対する新たな店舗の開設等にも取り組み、地域の皆さまに選ばれる薬局づくりを行っております。
ヘルスケア事業におきましては、コロナ禍における利用控えが続く中、介護サービス利用者さまが安心して施設を利用できる体制を整えるべく、安定的に介護人材を確保し、介護サービスの質の向上に取り組んでおります。
この結果、当連結会計年度の当社グループの業績は、売上高33,595百万円(前年同期比6.3%増)、営業利益1,275百万円(前年同期比24.1%増)、経常利益1,357百万円(前年同期比13.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は852百万円(前年同期比2.1%増)となりました。
なお、当連結会計年度において、企業結合に係る暫定的な会計処理の確定を行っており、暫定的な会計処理の確定による見直し後の金額を用いて前連結会計年度との比較・分析をしております。
セグメントの業績は次のとおりであります。
(調剤薬局事業)
調剤薬局事業におきましては、2021年9月末に緊急事態宣言が解除され、医療機関への受診抑制緩和が進み、既存店の応需処方箋枚数は回復に向かいました。当連結会計年度第4四半期よりオミクロン株の影響から、応需処方箋枚数回復の足取りに鈍さが見られたものの、当連結会計年度を通しては前年度を上回る結果となりました。薬剤料単価は薬価改定の影響から下落しておりますが、調剤薬局事業全体の売上高は処方箋枚数の増加を背景に堅調に推移しました。
この結果、売上高22,731百万円(前年同期比3.1%増)、営業利益1,549百万円(前年同期比18.6%増)となりました。なお、当連結会計年度末における当社グループの調剤薬局は合計93店舗となっております。
(ヘルスケア事業)
ヘルスケア事業におきましては、新型コロナウイルス感染症の第6波にみられる感染再拡大を受け、各施設における感染対策を従来以上に徹底し介護サービスの提供に努めてまいりました。入居系施設におきましては、2020年11月に有料老人ホームを運営する株式会社ライフケアのグループ化が通年で寄与し、入居者数の増加に繋がっております。通所介護事業におきましては第2四半期以降、利用控えに改善の兆しがみられましたが、コロナ感染再拡大を受け、足元の稼働率は伸び悩んでいる状況です。今後もウィズコロナ環境下における利用者さまの変化していくニーズに対応し、安心で快適に過ごせる介護サービスの実現により入居率と稼働率の向上に努めてまいります。
この結果、売上高7,813百万円(前年同期比17.0%増)、営業利益218百万円(前年同期比32.4%増)となりました。なお、当連結会計年度末における当社グループの居住系介護サービスは、合計42施設(居室数1,417室)、在宅系介護サービスにおいては、通所介護事業所22ヶ所、居宅介護支援事業所18ヶ所、小規模多機能ホーム10施設、福祉用具レンタル・販売7拠点、訪問介護事業所7ヶ所、訪問看護事業所3ヶ所、ショートステイ1施設と、幅広く介護サービスを提供しております。
(医薬品卸事業)
医薬品卸事業におきましては、コロナ禍における営業活動の制約や外来診療の抑制等による需要減少は底を打ち、感染再拡大による波はあるものの、緩やかに回復基調にあります。また、経費抑制と効率化を進め収益性も改善がみられる状況にあります。
この結果、売上高2,819百万円(前年同期比6.1%増)、営業利益113百万円(前年同期比37.5%増)となりました。(内部売上を含む売上高は3,891百万円となり、前年同期比で4.6%増加しました。)
(不動産事業)
不動産事業におきましては、賃貸不動産からの収入によって、売上高231百万円(前年同期比2.1%増)、営業利益129百万円(前年同期比8.9%増)となりました。
また、投資事業におきましては、投資有価証券売却損益115百万円を計上しております。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末と比較して984百万円増加し7,789百万円となりました。これは、営業活動によるキャッシュ・フローで1,135百万円増加したこと、投資活動によるキャッシュ・フローで215百万円減少したこと、財務活動によるキャッシュ・フローで64百万円増加したことによるものです。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果増加した資金は、1,135百万円(前年同期比687百万円の減少)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益1,476百万円、減価償却費・のれん償却額870百万円などの増加要因と、法人税等の支払725百万円、売上債権の増加153百万円、投資有価証券売却損益115百万円、たな卸資産の増加119百万円などの減少要因によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果減少した資金は、215百万円(前年同期比965百万円の支出減少)となりました。これは主に、投資有価証券の売却による収入750百万円などの増加要因と、投資有価証券の取得による支出699百万円、有形固定資産の取得による支出322百万円などの減少要因によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果増加した資金は、64百万円(前年同期比526百万円の減少)となりました。これは主に、非支配株主からの払込みによる収入755百万円などの増加要因と、短期借入金及び長期借入金の純減少497百万円、配当金の支払150百万円などの減少要因によるものです。
(1) 調剤実績
当連結会計年度の処方箋応需枚数の地区別実績を示すと、次のとおりであります。
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(3) 調剤薬局事業の地区別販売実績
当連結会計年度の調剤薬局事業の地区別販売実績を示すと、次のとおりであります。
(注) 上記の金額には消費税等は含まれておりません。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
① 貸借対照表に基づく財政状態の分析
当社グループは、事業活動に必要な資金の安定確保と、貸借対照表における財務体質の健全性の維持を財務方針としております。
この結果、当連結会計年度末の資産合計は29,094百万円(前連結会計年度末比(以下「前期末比」という。)1.9%増)となり、負債合計は17,166百万円(前期末比5.0%減)となりました。
流動資産の残高は14,577百万円となり、前期末比922百万円増加いたしました。これは主に、現金及び預金が989百万円、売掛金が153百万円、商品が119百万円それぞれ増加し、流動資産のその他が339百万円減少したこと等によるものです。
固定資産の残高は14,516百万円となり、前期末比382百万円減少いたしました。これは主に、土地が562百万円増加し、建設仮勘定が453百万円、建物及び構築物が360百万円、のれんが213百万円それぞれ減少したこと等によるものです。
流動負債の残高は8,416百万円となり、前期末比681百万円減少いたしました。また、固定負債の残高は8,750百万円となり、前期末比221百万円減少いたしました。負債合計で903百万円の減少となった主な要因は、長期借入金(1年内返済予定を含む)及び短期借入金が497百万円、流動負債のその他が339百万円それぞれ減少したこと等によるものです。
純資産の残高は11,927百万円となり、前期末比1,443百万円増加いたしました。これは主に、利益剰余金が702百万円、非支配株主持分が544百万円、資本剰余金が227百万円それぞれ増加したこと等によるものです。
② 損益計算書に基づく経営成績の分析
当連結会計年度における当社グループは、「良質の医療・介護サービスをより多くの人に提供する」という理念の下で事業を展開、推進してまいりました。主力事業である調剤薬局事業におきましては、新たに2店舗を開局した一方で、閉局により2店舗減少し、当社グループの調剤薬局は93店舗となっております。新型コロナウィルス感染症の感染拡大に伴う医療機関への受診抑制の緩和が進み、既存店の処方箋応需枚数は回復に向かいました。ヘルスケア事業におきましては、新型コロナウイルス感染症の第6波にみられる感染再拡大を受け、各施設における感染対策を従来以上に徹底し、介護サービスの提供に努めてまいりました。入居系施設におきましては、2020年11月に実施した株式会社ライフケアのグループ化が通年で寄与し増収となりました。通所介護等につきましては、感染リスクを懸念した利用控えに改善の兆しが見られました。医薬品卸事業におきましては、コロナ禍における外来診療の抑制や営業活動の制限等による需要減少は底を打ち穏やかな回復基調にあります。不動産事業におきましては継続的に賃貸物件から収入を得ております。この結果、売上高は前年同期比(以下「前期比」という。)1,992百万円(6.3%)増加して33,595百万円となりました。
売上高から売上原価を控除した売上総利益は、前期比411百万円(12.8%)増加して3,614百万円となりました。
売上総利益から販売費及び一般管理費を控除した営業利益につきましては、前期比247百万円(24.1%)増加して1,275百万円となりました。
営業利益から営業外収益と営業外費用を差引きした経常利益につきましては、前期比156百万円(13.0%)増加して1,357百万円となりました。
経常利益から特別利益と特別損失を差引きした税金等調整前当期純利益につきましては投資有価証券売却益115百万円を計上したことにより、前期比34百万円(2.4%)増加して1,476百万円となりました。
以上の結果、税金等調整前当期純利益から法人税、住民税及び事業税、法人税等調整額と非支配株主持分を差引きした親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、前期比17百万円(2.1%)増加して852百万円となっております。なお、期中平均発行済株式総数に基づく、1株当たり当期純利益は、前期の221.31円から226.92円となっております。
(2) キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
① キャッシュ・フロー計算書に基づく資金の流動性の分析
当社グループのキャッシュ・フローにつきましては、当連結会計年度末における現金及び現金同等物が前連結会計年度末に比べ984百万円増加して7,789百万円となりました。当連結会計年度における状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及キャッシュ・フローの状況の分析 (業績等の概要) (2) キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
② 資本の財源
当社グループは、運転資金及び設備投資資金につきましては、内部留保金を超える資金を金融機関からの借入れにより調達しております。金融機関からの資金調達に関しましては、基本的に固定金利による長期借入金によって調達しております。長期借入金以外の資金調達につきましては、金融機関の借入枠の実行、ファイナンス・リースの使用等によるものがあります。
(3) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載したとおりであります。
また、連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載したとおりであります。
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