課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

当社グループは80年の歴史で培った技術と信頼を基に、「顧客の信頼をもとに、たゆまなく発展する会社」の経営理念の実践によって、株主、顧客、地域社会、全従業員との良好な信頼関係を築き、環境、安全のコンセプトを守りながら社会的貢献に努めてまいります。

北米におきましては、ホースメーカーとして、研究、開発、製造、販売を含めた一体型の経営を推進してまいりました。また、北米全土の物流拠点の拡充により“ONE-STOP SHOPPING(一箇所で各種商品の調達可能)”、“SAME DAY DELIVERY(同日出荷)”を基本とし、顧客満足度の更なる向上に挑戦しております。欧州及び南米におきましては、ゴム製レイフラットホースの製造販売を行っており、北米事業との融合を図りながらグローバル展開を加速させてまいります。一方、日本国内では建機・農機メーカーのTier1サプライヤー、鉄道駅舎・商業施設やスポーツ施設の総合床材メーカー、スポーツアパレルの販売と多角的に事業を展開しており、高い品質と迅速な顧客対応能力を強みとしたメーカー機能を強化し、事業ポートフォリオの最適化を図り、安定した収益確保を実現してまいります。

また、当社グループは、地域社会に身近な幅広い分野の製品を取り扱っているため、持続可能な社会の実現を目指し、地球環境や人々の安全・安心を追求した製品の開発と拡販、ダイバーシティの推進、コーポレートガバナンス改革やSDGS「Sustainable Development Goals(持続的な開発目標)」及びESG「Environment(環境)」、「Social(社会)」、「Governance(ガバナンス)」に関わる取組みを進めてまいります。特に、グローバル企業として経営成績を高め、経営を安定させるためにも、海外グループとの連携を深め、自然体でSDGS及びESGを推進出来るグローバルカンパニーを目指してまいります。

 

(2)目標とする経営指標

目標とする経営指標につきましては、売上高、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益を掲げております。通期(2022年12月期)の連結経営目標は、対米ドル為替レートを112円と想定し、売上高630億円、営業利益43億円、経常利益47億円及び親会社株主に帰属する当期純利益32億円としております。

 なお、当連結会計年度の経営成績におきましては、各国でのワクチン接種が進展したことで先進国を中心に経済活動の正常化が進んだことで業績が改善したことから売上目標520億円に対し14.5%増の595億49百万円となり、営業利益は目標28億円に対し53.6%増の43億2百万円、経常利益は目標30億円に対し59.3%増の47億78百万円となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益は米国の連結子会社において米国中小企業向けの「給与保護プログラム(Paycheck Protection Program、通称PPP)」を活用した融資を受けておりましたが政府当局から当融資の債務を免除する通知を受けたことにより、5億14百万円を債務免除益として特別利益に計上したことで目標17億円に対し124.1%増の38億9百万円となりました。

 

(3)経営環境

 今後の世界情勢は、新型コロナウイルス変異株の出現、世界的なサプライチェーンの混乱、エネルギー価格の高騰をはじめとしたインフレの長期化、中国経済の失速等の懸念があるものの、防疫措置と経済活動の正常化をバランスさせていくことで個人消費や生産活動が改善し、景気は緩やかに回復していくことが予想されます。我が国においても三回目のワクチン接種と治療薬の普及に合わせ、景気は緩やかに回復していくことが予想されます。

 このような経済状況の中、アジア事業における産業資材事業は、世界各国の排ガス規制厳格化が進む中においても、建設機械・農業機械・トラック市場では高い動力性能が求められるディーゼルエンジンの採用が見込まれるため、尿素SCR用モジュール・タンクの需要が持続すると想定されます。当社といたしましては、引き続き日本の建機・農機のグローバルTier1サプライヤーの地位を確立すると共に、国内トラック市場への参入強化を図ることで一層の事業拡大を目指してまいります。また、新用途のセンサー開発にも積極的に取り組んでまいります。

 スポーツ・建設資材事業は、気候変動による自然災害が増加する中で、防災拠点としての活用も考慮した体育館などの文教施設の改修需要が増加することを見込んでおります。当社といたしましては、インドア施設用床材「タラフレックス」(弾性スポーツシート)の受注活動に注力することで市場シェアを拡大してまいります。また、スタジアム・アリーナ改革をはじめとする再開発事業等の関連施設工事、鉄道を始めとしたインフラ整備等の建設需要が期待されることから、当社オリジナル商品である「スーパー・マテリアルズ」(大判セラミックタイル)や「エーストン」(ノンスリップタイル・点字タイル)を中心に受注活動を推進し、スポーツ施設や商業施設などの総合床材メーカーとしてのNo.1ブランドを目指してまいります。

 その他事業の「MONTURA」(イタリア製スポーツアパレル)は、その国内認知度を高めるべく、トップアスリートとのスポンサー契約による広告宣伝活動で市場認知度を高めると共に、日本国内向けオリジナル商品の開発に注力することで、Eコマースと店舗販売の更なる拡大を図ってまいります。また、衛生環境への高まる要求に対応すべく、国内グループ会社間の連携によりダストコントロール事業の商品開発と提案強化に取り組んでまいります。

 北米事業は、製販一体のグループネットワークによる迅速なサービスを軸にホース市場での更なるシェア拡大を図ると共に、新たな市場ニーズとして定着したDIY需要における住宅外壁塗装用の「ペイントスプレーホース」や、住宅屋外プール用の「Spaホース」等の生産設備を増強することで販売シェアを拡大してまいります。また、物流費や人件費の上昇に対応すべく、ロジスティクス最適化と適正な取引条件の設定により収益性向上に努めてまいります。

 欧州・南米事業は、各種ホースの生産効率を改善することで消防機関向け、灌漑を含む農業分野向け市場への更なる深耕に注力してまいります。また、欧州地域にとどまらず、中東・南米・アフリカ・アジア地域の認証規格取得をはじめとした顧客ニーズに沿った商品開発を推進することで、新規顧客の獲得を目指してまいります。また、米国内における消防ホースのアセンブリ能力増強をはじめ、北米事業とのシナジー効果を加速させることで事業規模拡大に努めてまいります。

 

(4)中長期的な会社の経営戦略

 当社グループは下記をクリヤマグループグローバル戦略として掲げ、更なる成長と発展を目指しております。

 1.日本の建機・農機のグローバルTier1サプライヤーとしての地位を確立する

 2.産業用総合ホースメーカーとして品質と信頼のNO.1ブランドを目指す

 3.現地生産・現地販売を推進し、各国の経済発展に貢献する

 

 また、当社の社是に「企業の生命は、社員の成長と発展によって支えられる」を掲げており、「働き方改革」を経営戦略の1つとして捉えております。多様な働き方の実現やワークライフバランスの推進等により、生産性や品質の更なる向上を図り、「社員の豊かな生活を築き、家族ぐるみで愛される会社」を目指しております。

 

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社グループがさらに収益力向上、また企業体質の強化を図るためにも、下記の重点課題に対し、全力をあげて取り組んでまいります。

 

◆アジア事業

[産業資材事業]

① 建設機械、農業機械、トラック市場向けに排ガス規制関連商品(尿素水識別センサー及び尿素SCR用モジュール・タンク等)の開発及び販売強化

② 顧客のグローバル化に向けた海外現地調達力及び商品供給力強化

③ メーカーとしての品質のさらなる向上及び迅速な顧客対応能力強化

④ 各種センサーにおける次世代新商品の研究・開発強化

[スポーツ・建設資材事業]

① 大型商業施設向けにオリジナルブランド商品である「スーパー・マテリアルズ」(大判セラミックタイル)等の受注活動強化

② バリアフリー、安全、都市景観等をキーワードとして鉄道施設、遊歩道及び歩道橋、駅前広場等向けに  「エーストン」(ノンスリップタイル・点字タイル)等のオリジナルブランド商品の販売強化

③ 体育館等の文教施設等向けインドア施設用床材「タラフレックス」の新規及び改修物件受注強化

④ ポストコロナの行動変容に伴う建設投資需要の取込強化

⑤ 中国の関連会社及び協力会社との連携強化による、高品質且つ安定した供給体制による優位性確保

[その他事業]

①「MONTURA」(イタリア製スポーツアパレル)の広告宣伝(テレビCM等)による国内認知度向上と販売強化

② 国内グループ会社連携によるダストコントロール関連事業の商品販売、提案強化

 

◆北米事業

① 製販一体による迅速なサービスと変化する需要に対応した適切な在庫保有によるホース市場でのシェア拡大

② 巣ごもり需要、DIY需要の取り込み強化

③ ロジスティクスの最適化による管理体制の進化

④ 欧州・南米事業とのシナジー効果によるグローバル展開の加速

⑤ 研究開発の促進に資する人材拡充

 

◆欧州・南米事業

① 営業管理体制の再構築及び販売網の整備による売上拡大

② 生産効率の更なる向上による収益力強化

③ 欧州域内及び北米、南米地域における新規顧客開拓

④ 商品ラインナップ拡充に向けた開発強化

⑤ 販売及び技術面における北米事業とのシナジーの最大化

 

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