業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する中、ワクチン接種の普及に伴い、経済活動には回復の兆しが見られるものの、2022年1月にはオミクロン変異株により感染が再拡大したほか、緊迫するウクライナ情勢を巡る地政学的リスク、原燃料価格や金利の上昇、電装部品不足、金融施策・為替相場の動向等により、依然として先行きは不透明な状況が続いております。

当社グループの属する医療業界では、同感染症の影響が緩和されつつあるものの、引き続き診療制限が行われ手術が一部延期となる等、通常の医療提供が例年に比べ抑制気味で推移した一方で、DXを活用した遠隔診断など従来の枠組みを超えた新しい取り組みが出てきております。

このような状況の下、当社グループにおきましては、トータルパックプロデュース事業において例年と比べ小型のプロジェクト案件が多いこと、また、メーカー系については電子部品および樹脂ビニール系製品の入手困難な事態となり、新規契約を一時的に延期せざるを得ない事態となったこと、感染症対策商品需要の反動減の影響があったこと等により減益となりました。

以上の結果、当連結会計年度の売上高は514,353百万円前連結会計年度は497,156百万円)、営業利益は20,505百万円前連結会計年度比5.9%減)、経常利益は21,287百万円前連結会計年度比2.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は12,172百万円前連結会計年度比0.9%減)となりました。

なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しております。この結果、売上高については前連結会計年度と会計処理が異なることから、経営成績に関する説明において前年同期比(%)を記載せずに説明しております。詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)及び(セグメント情報等))」をご参照ください。

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分変更を行っており、前連結会計年度との比較・分析は変更後の区分に基づいております。

a トータルパックプロデュース事業

トータルパックプロデュース事業におきましては、完成年度を迎えたプロジェクト案件の大半が中規模から小規模であったことや、メーカー系の電装品部品調達の逼迫による受注調整の影響、コロナ対策補助金を利用する感染症対策商品需要の反動減の影響等により、業績は低調に推移いたしました。一方で、大阪コロナ大規模医療・療養センターの整備・運営業務を始めとした同感染症対策の各種サービス事業を新たに受託いたしました。また、海外事業におきましては、ミャンマー連邦共和国における医療機器の販売事業において同感染症によるロックダウン、クーデターや欧米による金融制裁の影響を受けながらも、最終的には概ね計画通りの実績を計上することができました。

以上の結果、売上高は99,539百万円前連結会計年度は104,355百万円)、セグメント利益(営業利益)は9,265百万円前連結会計年度比5.3%減)となりました。

b メディカルサプライ事業

メディカルサプライ事業におきましては、医療機関における診療制限の影響が継続した中においても、SPDの受託が引き続き拡大するとともに、新医療材料物流拠点「大阪ソリューションセンター」の本格稼働が開始いたしました。一方で、感染症対策商品需要の反動減や一部製品の納品遅延等により減益となりました。

以上の結果、売上高は360,635百万円前連結会計年度は341,157百万円)、セグメント利益(営業利益)は6,209百万円前連結会計年度比10.8%減)となりました。なお、収益認識会計基準等の適用により、当連結会計年度の売上高が、4,889百万円減少しております。

 

c ライフケア事業

ライフケア事業におきましては、感染症対策として入居者様とご家族様とをWEB環境で繋ぐ等の細やかな情報共有システムの活用をご評価いただき、引き続き高い入居率を維持いたしました。また、M&A等により3施設増加したほか、給食事業における受託先の増加や障がい者就労支援事業である野菜の水耕栽培も軌道に乗る等、業績は堅調に推移いたしました。

以上の結果、売上高は25,247百万円前連結会計年度は24,571百万円)、セグメント利益(営業利益)は2,407百万円前連結会計年度比7.6%増)となりました。

d 調剤薬局事業

調剤薬局事業におきましては、薬価改定の影響を受けましたが、前期比で受診回数が回復傾向にあったこと、新規出店及び小型のM&A等により、業績は堅調に推移いたしました。

以上の結果、売上高は28,930百万円前連結会計年度は27,070百万円)、セグメント利益(営業利益)は3,200百万円前連結会計年度比11.0%増)となりました。

 

当社グループにおける財政状態は、次のとおりであります。

当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ576百万円増加し、335,074百万円となりました。

当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ6,638百万円減少し、212,756百万円となりました。

当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ7,214百万円増加し、122,318百万円となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末残高の72,950百万円から146百万円減少し、72,804百万円となっております。

 

a 営業活動によるキャッシュ・フロー

営業活動によるキャッシュ・フローは 12,428百万円の収入前連結会計年度比7,343百万円収入減)となりました。これは主に、法人税等を9,170百万円支払い、棚卸資産が3,325百万円増加、仕入債務が1,645百万円減少した一方、税金等調整前当期純利益を20,804百万円計上し、減価償却費を3,609百万円計上したこと等によるものであります。

b 投資活動によるキャッシュ・フロー

投資活動によるキャッシュ・フローは 3,870百万円の支出前連結会計年度比15,419百万円支出減)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出が3,124百万円、無形固定資産の取得による支出が346百万円あったこと等によるものであります。

c 財務活動によるキャッシュ・フロー

財務活動によるキャッシュ・フローは 8,842百万円の支出前連結会計年度比1,623百万円支出減)となりました。これは主に、短期借入金が1,014百万円増加した一方、長期借入金の返済による支出が6,056百万円、配当金の支払額が3,774百万円あったこと等によるものであります。

 

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

トータルパックプロデュース事業

15,186

+4.0

メディカルサプライ事業

ライフケア事業

調剤薬局事業

合計

15,186

+4.0

 

(注) 金額は製造原価によっております。

 

b 受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前期比(%)

受注残高(百万円)

前期比(%)

トータルパックプロデュース事業

100,507

+0.2

11,858

+8.9

メディカルサプライ事業

360,635

+6.9

ライフケア事業

25,247

+2.7

調剤薬局事業

28,930

+6.9

合計

515,321

+3.6

11,858

+8.9

 

(注) セグメント間の取引については、相殺消去しております。

 

c 仕入実績

当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示しますと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

トータルパックプロデュース事業

80,166

+2.6

メディカルサプライ事業

339,903

+16.9

ライフケア事業

2,509

+3.3

調剤薬局事業

48,979

+4.7

合計

471,558

+12.3

 

(注) セグメント間の取引については、相殺消去しております。

 

d 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

トータルパックプロデュース事業

99,539

△0.4

メディカルサプライ事業

360,635

+6.9

ライフケア事業

25,247

+2.7

調剤薬局事業

28,930

+6.9

合計

514,353

+3.5

 

(注) 1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。

2.総販売実績に対する販売割合が10%以上の相手先はありません。

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

a 経営成績の分析

当連結会計年度における売上高は514,353百万円売上総利益は53,643百万円営業利益は20,505百万円経常利益は21,287百万円親会社株主に帰属する当期純利益は12,172百万円となりました。

売上高の構成は、トータルパックプロデュース事業が99,539百万円で全体の19.4%、メディカルサプライ事業が360,635百万円で全体の70.1%、ライフケア事業が25,247百万円で全体の4.9%、調剤薬局事業が28,930百万円で全体の5.6%となりました。また、営業利益につきましては、消去または全社費用控除前でトータルパックプロデュース事業が9,265百万円、メディカルサプライ事業が6,209百万円、ライフケア事業が2,407百万円、調剤薬局事業が3,200百万円となりました。(セグメント別の内容につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要」の項目をご参照下さい。)

営業外損益につきましては、金融収支(受取利息配当金と支払利息の純額)が217百万円の収入、持分法による投資利益を357百万円、貸倒引当金戻入額を270百万円計上しております。

特別損失につきましては、減損損失を241百万円計上しておりますが、これは連結子会社に係るのれんの未償却残高及び保有する事業資産について減損損失を認識したことによるものであります。

 

b 財政状態の分析

(流動資産)

当連結会計年度末における流動資産の残高は、226,529百万円(前連結会計年度末残高は221,890百万円)となり、前連結会計年度末に比べ4,638百万円増加いたしました。

その主な要因は、短期貸付金が688百万円減少した一方、商品及び製品が2,638百万円、電子記録債権が640百万円増加し、貸倒引当金が759百万円減少したこと等によるものであります。

(固定資産)

当連結会計年度末における固定資産の残高は、108,545百万円(前連結会計年度末残高は112,607百万円)となり、前連結会計年度末に比べ4,062百万円減少いたしました。

その主な要因は、建物及び構築物が783百万円増加した一方、投資有価証券が2,517百万円、のれんが1,268百万円、建設仮勘定が1,380百万円減少したこと等によるものであります。

(流動負債)

当連結会計年度末における流動負債の残高は、148,371百万円(前連結会計年度末残高は151,942百万円)となり、前連結会計年度末に比べ3,571百万円減少いたしました。

その主な要因は、短期借入金が1,153百万円増加した一方、支払手形及び買掛金が2,137百万円、1年内返済予定の長期借入金が2,118百万円減少したこと等によるものであります。

(固定負債)

当連結会計年度末における固定負債の残高は、64,384百万円(前連結会計年度末残高は67,451百万円)となり、前連結会計年度末に比べ3,066百万円減少いたしました。

その主な要因は、長期借入金が2,750百万円、繰延税金負債が254百万円減少したこと等によるものであります。

(純資産)

当連結会計年度末における純資産は、122,318百万円(前連結会計年度末残高は115,103百万円)となり、前連結会計年度末に比べ7,214百万円増加いたしました。

その主な要因は、配当金の支払により利益剰余金が3,774百万円、その他有価証券評価差額金が2,420百万円減少した一方、親会社株主に帰属する当期純利益により利益剰余金が12,172百万円増加したこと等によるものであります。

 

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

a キャッシュ・フローの分析

キャッシュ・フローの分析は、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」の項目をご参照下さい。

 

b 資本の財源及び資金の流動性

当社グループの資金運営は、事業活動にかかる運転資金については、営業キャッシュ・フローで獲得した資金を主な財源としておりますが、債権回収までに必要な資金については、銀行借入の他、連結会社間での資金融通を行う事で資金効率を高め、流動性を保持しております。

一方、設備資金、投資資金等の長期的な資金については、国内外で資金調達について、市場金利動向や為替動向、既存借入金の償還時期、あるいは株式市場動向、機関投資家動向、株主還元等を総合的に勘案し、長期借入金による安定的な資金確保を主としつつ、社債の発行、株式市場からの調達も含め、低コストで調達しつつ安定的な財務基盤を維持できる方法を柔軟に検討・選択してまいります。

なお、当社の持続的成長に向けた資金需要に対し、機動的かつ安定的な資金調達手段を確保するとともに、財務基盤の一層の安定を図ることを目的として、2020年4月30日にコミットメントライン契約を締結しております。

 

c 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標

当社グループは、売上高及び営業利益を重要な経営指標として位置付けており、2025年3月期を最終年度とする中期経営計画における経営目標として、2023年3月期において、売上高560,000百万円、営業利益21,000百万円の達成を計画しております。

 

2022年3月期(当連結会計年度)

2023年3月期

2024年3月期

2025年3月期

 

(計画)

(実績)

(計画比)(%)

(計画)

(計画)

(計画)

売上高(百万円)

507,000

514,353

101.5

560,000

600,000

630,000

営業利益(百万円)

19,500

20,505

105.2

21,000

24,000

26,000

 

 

d 今後の事業戦略と財政状態及び経営成績への影響について

トータルパックプロデュース事業につきましては、大学病院を始めとした地域中核病院における新築移転・増改築の中長期的なニーズに的確に対応していくとともに、海外、特に新興国において高度化する医療ニーズに応えるためのノウハウを蓄積してまいります。また、メーカー系子会社による新製品開発や新システムの構築を進めて、さらなる経営資源の有効活用を進めてまいります。

メディカルサプライ事業につきましては、SPDシステムや専門領域の特定診療材料の取り扱い拡大による棚卸資産の増加、適正な在庫管理を行うとともに、償還価格改定に備えた販売価格と仕入価格交渉を継続して、安定した収益の確保を進めてまいります。

ライフケア事業につきましては、社員教育を徹底し入居率・利用率向上に注力するとともに、施設の効果的な新規開設を実践してまいります。

調剤薬局事業につきましては、訪問調剤などによる既存店舗の運営効率化を図るとともに、新店舗開発による取り扱い数量を確保し、仕入効率化を図ってまいります。

 

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、当連結会計年度末における資産、負債の報告金額及び収益、費用の報告金額に影響を与える見積り、判断及び仮定を使用することが必要となります。当社グループの経営陣は連結財務諸表作成の基礎となる見積り、判断及び仮定を過去の経験や状況に応じ合理的と判断される入手可能な情報により継続的に検証し、意思決定を行っております。しかしながら、これらの見積り、判断及び仮定は不確実性を伴うため、実際の結果と異なる場合があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

また、新型コロナウイルス感染症による事業計画等の将来に関する事項への影響につきましても、当連結会計年度末時点で入手可能な情報により検証を行っております。

 

 

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