(1)経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当事業年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種の進展、新規感染者数の大幅減少により、輸出や設備投資の回復が鮮明化し、個人消費においても持ち直しの動きが見られ、経済社会活動が正常化に向かっております。しかしながら、新型コロナウイルスの新たな変異株の登場により収束時期については見通しが立っておらず、依然として不透明な状況が続くものと予想されます。
当社が属するバイク業界におきましては、二輪免許新規取得者数が増加する等の環境変化が起きており、新車、中古車ともに需要は高まってきております。この背景には、近年のアウトドアブームに加えて、コロナ禍による人々の行動の変化としてリターンライダーや新規ライダーの増加に表れるバイク志向の高まりがあるものとみられています。
国内におけるバイクの保有台数は約1,034万台(前年比1.8%減)と前年を下回るものの、当社の主力仕入とする高市場価値車輌である原付二種以上は約549万台(前年比1.1%増)と前年を上回っております
※1
。また、新車販売台数も同様に約33万台(前年比0.9%減)と前年を下回るものの、高市場価値車輌は約21万台(前年比3.4%増)と前年を上回っております
※2
。
※1.出所:一般社団法人日本自動車工業会(2020年3月末現在)
※2.出所:一般社団法人日本自動車工業会(2020年実績)
このような市場環境のもとで、当社は、ビジョンとして掲げる「バイクライフの生涯パートナー」の実現に向けて、従来のバイク買取専門店としての「バイクを売るならバイク王」から、バイクに係る全てのサービスを総合的に提供する「バイクのことならバイク王」と言われるブランドへ進化を目指しております。そして、一人ひとりのお客様満足度のさらなる充実とともに長期にわたって多くのお客様に支持していただける企業になること、さらに、お客様とともにより豊かなバイクライフを創り上げていく企業となることを実現したいと考えております。
当事業年度では、従来から進めてきた複合店(買取およびリテールを展開する店舗)における仕入力および販売力の強化をさらに推進し、より一層お客様満足度を高めるとともに、経営基盤の強化に努めてまいりました。
上記を踏まえ、バイクの仕入においては、効果的な広告展開、人員や体制の強化、仕入れキャンペーン等の実施により、高市場価値車輌の確保が継続できました。
リテールにおいては、マーチャンダイジング施策として商品ラインアップの適正化、店舗の新規出店(2店舗)、移転・増床(5店舗)、接客力向上、売り場改善による既存店の販売力強化および通信販売の強化を推進いたしました。また、優良な在庫を確保し続けたことにより高市場価値車輌の比率が上昇し、堅調なリテール市場の需要にも支えられ好調を維持しました。さらに、車輌とその用品・部品を取り扱うECサイトを営む子会社「株式会社バイク王ダイレクト」を設立し、お客様との接点拡大を図りました。ホールセールにおいても同様に、高市場価値車輌の比率が上昇したことに加え、販売価格水準を維持するよう販売方法の工夫に努めました。
これらの取り組みによって、販売台数は、リテールでは前期より増加いたしました。リテールへ商品在庫を確保し続けたことにより、ホールセールでは前期より減少して、全体としては前期よりやや減少する結果となりました。一方、車輌売上単価(一台当たりの売上高)が前期より大幅に上昇したため、売上高は増収となりました。加えて、平均粗利額(一台当たりの粗利額)が前期より大幅に上昇したため、売上総利益も増益となりました。
営業利益以降の各段階利益につきましては、リテール、ホールセールいずれも好調であったため前期より大幅な増益となりました。
以上の結果、売上高26,570,000千円(前期比18.9%増)、営業利益1,558,930千円(前期比120.3%増)、経常利益1,770,170千円(前期比105.9%増)、当期純利益1,226,182千円(前期比106.3%増)となり、売上高、当期純利益は過去最高を更新いたしました。
(流動資産)
流動資産は、前事業年度末に比べ1,551,732千円増加し、6,752,175千円となりました。これは主に、商品2,252,545千円、売掛金107,945千円が増加し、現金及び預金736,603千円、未収入金33,879千円、前払費用22,094千円が減少したためであります。
(固定資産)
固定資産は、前事業年度末に比べて41,668千円増加し、2,496,800千円となりました。これは、リース資産の増加等により「有形固定資産」が82,498千円、繰延税金資産の増加等により「投資その他の資産」が73,629千円増加し、ソフトウエア償却費の計上等により「無形固定資産」が114,459千円減少したためであります。
(流動負債)
流動負債は、前事業年度末に比べ450,377千円増加し、3,054,389千円となりました。これは主に、短期借入金500,000千円、未払法人税等136,904千円、前受金113,976千円が増加し、未払消費税等198,439千円、未払金137,896千円が減少したためであります。
(固定負債)
固定負債は、前事業年度末に比べ63,390千円増加し、534,161千円となりました。これは、長期リース債務が95,683千円、資産除去債務が20,911千円増加し、長期未払金の減少等により「その他」が53,204千円減少したためであります。
(純資産)
純資産は、前事業年度末に比べて1,079,632千円増加し、5,660,425千円となりました。これは主に、当期純利益1,226,182千円の計上と株主配当による利益剰余金の減少146,638千円があったためであります。
② キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)は、前事業年度末に比べ、736,603千円減少し、944,217千円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果減少した資金は583,637千円となりました。これは主に、たな卸資産の増加2,265,434千円、法人税等の支払額424,629千円、売上債権の増加116,548千円により資金が減少し、税引前当期純利益1,736,214千円、減価償却費421,288千円、減損損失の計上30,127千円により資金が増加したためであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果減少した資金は437,318千円となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出230,543千円、無形固定資産の取得による支出153,615千円、敷金及び保証金の差入による支出45,406千円により資金が減少し、関係会社株式の売却による収入25,258千円により資金が増加したためであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果増加した資金は284,352千円となりました。これは主に、短期借入による収入500,000千円により資金が増加し、配当金の支払額146,075千円、リース債務の返済による支出69,540千円により資金が減少したためであります。
③ 生産、受注及び販売の状況
当事業年度の仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.当社の事業区分は「バイク事業」の単一セグメントであります。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
当社は業者向けオークション販売および小売販売を行うことを主としておりますので、受注状況に該当するものはありません。
当事業年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.当社の事業区分は「バイク事業」の単一セグメントであります。
2.当事業年度の主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
財政状態及び経営成績の分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
今後の見通しにつきましては、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種の進展、新規感染者数の減少により、経済社会活動が正常化に向かう一方で、変異株の登場で収束時期については見通しが立っておらず、依然として先行き不透明な状況が続くと考えられます。
バイク事業につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響は無視できないものの、オークション相場およびリテール市場は堅調に推移しております。今後もバイクは交通インフラを支え、密閉・密集・密接の「3密」を避ける移動手段であり続けることや、コロナ禍によって変化したバイク志向の高まりによる堅調な需要は続くものと予測されます。
このような状況のもと、当社は持続的な成長に向けて新たにコーポレートミッションとして「まだ世界にない、感動をつくる。」を掲げ、ビジョンである「バイクライフの生涯パートナー」の実現に向けて、2022年11月期から2024年11月期までの中期経営計画を策定いたしました。
本計画では、売上高315億円達成のため戦略の三本の柱となるCRM推進、整備インフラ、システムプラットフォームを軸として、設備投資、人的投資、IT投資を推進いたします。そして、営業戦略、オペレーション戦略、情報戦略、人事戦略、財務戦略によって一層の企業価値の向上と事業規模の拡大に取り組んでまいります。
なお、詳細は、2022年1月11日付で公表いたしました「中期経営計画策定に関するお知らせ」をご参照ください。
当社の資金状況については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社の資金需要のうち主なものは、運転資金および設備投資資金であり、その調達は主として自己資金および金融機関からの借入により行っております。
当社は不測の事態・リスクに備えた安定的な運転資金を確保するため、また、当社事業のさらなる拡大のための成長資金を機動的かつ安定的に調達するため、取引銀行2行と貸越限度額2,400百万円の当座貸越契約を締結しております。
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づいて作成されております。この財務諸表の作成にあたって、当社が採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (重要な会計方針)」に記載のとおりであります。
なお、財務諸表の作成にあたって、資産・負債や収益・費用に影響を与える見積りは、経営者が過去の実績や現在の取引状況ならびに入手可能な情報を総合的に勘案し、その時点で最も合理的と考えられる見積りや仮定を継続的に使用しておりますが、見積りおよび仮定には不確実性が伴うため、実際の結果と異なる可能性があります。
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