当連結会計年度(2021年4月1日から2022年3月31日まで)における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要ならびに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の概況
当連結会計年度の経済状況は、コロナ禍からの回復が期待されたものの、新たな変異株による感染の再拡大、半導体不足の継続、感染症拡大によるサプライチェーンの混乱や世界的なコンテナ不足等による物流コストの高騰、加えて、原材料やエネルギーコストの高騰などにより、経済活動の回復は不透明な状況で推移しました。さらに、足元で進行しているロシアによるウクライナ侵攻や中国での都市封鎖は世界の経済活動の回復への大きな不安要素となっております。
当社グループの属する自動車市場は、半導体不足やサプライチェーンの混乱による部品不足等による自動車メーカーの減産の影響、また、原材料や物流費、エネルギーコストの高騰等、広範な影響が生じました。
また、セキュリティ機器事業の主力市場において、2021年度の住宅着工戸数は前年度を約5%(約4万戸)上回る結果となりました。これは賃貸住宅・戸建住宅ともに、新型コロナウイルス感染拡大の影響による前年の着工減の反動に加え、コロナ禍における在宅勤務に対応できる新たな住宅へのニーズの高まり、さらには住宅ローン減税(自らが居住する住宅が対象)の税制優遇対象の住宅購入契約期間終了に伴う駆け込み需要により増加となりました。
コインロッカーのオペレーション収入は、上期において新型コロナウイルス感染拡大に伴う外出自粛・インバウンド減の影響が残り大幅な減収となりました。しかしながら下期に入って政府による人流抑制策緩和の効果もあり、来期に向けて回復の兆しが見えてまいりました。
② 定性的成果
このような経営環境の中、当社グループは100年企業を目指し、2019年度からの4ヶ年中期経営計画の3年目を迎えました。基本方針である「新事業・新商品開発」 「収益基盤の強化」 「人材育成」を、当社グループ一丸となって着実に取り組みました。具体的な成果は下記のとおりであります。
「新事業・新商品開発」については、自動車部品事業では、日本、中国及びメキシコにおいて、様々なハンドルデザインに対応可能なタッチセンサを搭載したハンドルを市場投入いたしました。
セキュリティ機器事業では、YKKAP株式会社様の主力玄関ドアに2012年から標準採用頂いている電気錠(スマートコントロールキー)のリニューアルを行い、10月から『新スマートドア』として発売頂きました。
また、非対面・非接触での効果が得られるロッカー製品が改めて注目されていることを受けて、受け渡しロッカー「STLシリーズ」がコンビニ設置による処方薬の受け取りに採用されました。更に、象印マホービン株式会社様でのお客様のマイボトルを預かり、注文時に飲料を入れた状態で渡す、新たなサービスの実証実験にて、当社ロッカーが採用されました。
「収益基盤の強化」では、スケールメリットによる利益獲得を目指す方針から、利益の質を重視した方針への転換を徹底し、各地域で徹底した工程ロス削減、自動化、在庫削減等を積極的に進めました。また、同時に、固定費と変動費の抜本的な見直しを行っております。
「人材育成」では、次世代のリーダーを育成するべく、選抜型のトップマネジメント研修を継続して実施いたしました。
③ 財政状態及び経営成績の状況
a.財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ442百万円増加し、56,183百万円となりました。当連結会計年度末の負債合計は、支払手形及び買掛金が610百万円増加、短期借入金が146百万円増加したものの、固定負債のリース債務(固定負債)が452百万円減少、社債の償還により330百万円減少、長期借入金(固定負債)が203百万円減少したこと等により、前連結会計年度末に比べ880百万円減少し、28,258百万円となりました。当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ1,322百万円増加し、27,924百万円となりました。
b.経営成績
当連結会計年度の業績につきましては、売上高は53,767百万円と前年同期に比べ6,155百万円(12.9%)の増収となりました。利益につきましては、営業利益は586百万円と前年同期に比べ280百万円(32.3%)の減益となりました。経常利益は1,036百万円と前年同期に比べ13百万円(1.3%)の減益となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は600百万円と前年同期に比べ375百万円(167.1%)の増益となりました。
セグメントの業績は以下のとおりであります。
自動車部品事業(日本)
自動車部品事業(日本)は、主要得意先での半導体不足による減産やサプライチェーンの混乱による生産調整などにより前期から伸長は低調となり、売上高は7,557百万円と前年同期に比べ205百万円(2.8%)の増収、合理化は進展したものの原材料高騰の影響を受け、営業損失は225百万円(前年同期は営業損失220百万円)となりました。なお、前期業績には171百万円の操業停止に伴う固定費の特別損失への組み替え分を計上しています。
自動車部品事業(北米)
自動車部品事業(北米)は、主要得意先での減産影響を大きく受け、前期からの伸長は限定的となる一方で為替換算の影響等から、売上高は10,498百万円と前年同期に比べ1,340百万円(14.6%)の増収、原材料の高騰や物流費の上昇等の影響を受け、営業損失は124百万円と前年同期に比べ382百万円(148.3%)の減益となりました。なお、前期業績には371百万円の操業停止に伴う固定費の特別損失への組み替え分を計上しています。
自動車部品事業(アジア)
自動車部品事業(アジア)は、ASEANでの生産調整は比較的少なく前期の大幅減産からは持ち直したものの、中国では主要得意先での半導体不足による減産やサプライチェーンの混乱による生産調整等の影響を受け、売上高は16,783百万円と前年同期に比べ1,591百万円(10.5%)の増収、営業利益は247百万円と前年同期に比べ337百万円(57.7%)の減益となりました。なお、前期業績には272百万円の操業停止に伴う固定費の特別損失への組み替え分を計上しています。
自動車部品事業(欧州)
自動車部品事業(欧州)は、上半期での減産影響は比較的少なかったものの、7月以降の主要得意先での生産停止や生産調整が影響し、売上高は10,146百万円と前年同期に比べ637百万円(6.7%)の増収となり、営業損失は183百万円(前年同期は営業損失198百万円)となりました。
セキュリティ機器事業(日本)
セキュリティ機器事業(日本)は、住宅・産業用ロック部門につきましては、新型コロナウイルス感染拡大の影響による前年の着工減の反動に加え、コロナ禍における在宅勤務に対応できる新たな住宅へのニーズの高まり、さらには住宅ローン減税(自らが居住する住宅が対象)の税制優遇対象の住宅購入契約期間終了に伴う駆け込み需要等により、特に足元の当第4四半期連結会計期間の新設住宅着工戸数は堅調に推移し、前年同四半期に比べ、6.6%の増加となりました。このような状況を背景に当社の強みである住宅向け電気錠の販売は好調を維持しました。
また、ロッカーシステム部門につきましては、オミクロン株の感染急拡大と多くの地域でのまん延防止等重点措置の適用があったものの、経済活動も少しずつ活発になり人流が回復したことでコインロッカーの利用が徐々に増え売上も回復傾向となりました。同時に、薬局・ドラッグストアやホテルなどの宿泊施設では非対面・非接触・業務効率化のニーズが顕在化したことで、新たな需要を取り込みはじめました。
以上により、売上高は10,118百万円と前年同期に比べ2,060百万円(25.6%)の増収、営業利益は1,172百万円と前年同期に比べ418百万円(55.6%)の増益となりました。
セキュリティ機器事業(海外)
セキュリティ機器事業(海外)は、日本向け製品の生産増により、売上高は5,493百万円と前年同期に比べ942百万円(20.7%)の増収、営業利益は417百万円と前年同期に比べ27百万円(7.1%)の増益となりました。
④ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、6,345百万円(前期比18.9%減)となり、前連結会計年度末に比べ1,474百万円減少しました。また、当連結会計年度における「営業活動によるキャッシュ・フロー」と「投資活動によるキャッシュ・フロー」との差額であるフリー・キャッシュ・フローは224百万円の収入となり、前年同期の1,097百万円の収入に対して873百万円の減少となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは1,874百万円の収入(前期と比べて1,185百万円収入が減少)となりました。主な収入要因は、減価償却費であり、主な支出要因は、棚卸資産の増加額です。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは1,650百万円の支出(前期と比べて311百万円支出が減少)となりました。主な支出要因は、有形固定資産の取得による支出です。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは1,744百万円の支出(前期と比べて401百万円支出が増加)となりました。主な支出要因は、リース債務の返済による支出です。
⑤ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
前年同期比(%) |
自動車部品事業(日本)(百万円) |
5,618 |
103.3 |
自動車部品事業(北米)(百万円) |
10,533 |
116.9 |
自動車部品事業(アジア)(百万円) |
16,481 |
111.6 |
自動車部品事業(欧州)(百万円) |
9,831 |
107.5 |
セキュリティ機器事業(日本)(百万円) |
9,968 |
124.9 |
セキュリティ機器事業(海外)(百万円) |
1,461 |
133.6 |
合計(百万円) |
53,895 |
113.6 |
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.金額は、販売価格によっております。
b. 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
受注高(百万円) |
前年同期比(%) |
受注残高(百万円) |
前年同期比(%) |
自動車部品事業(日本) |
6,145 |
106.8 |
1,807 |
141.5 |
自動車部品事業(北米) |
10,039 |
105.3 |
2,571 |
88.1 |
自動車部品事業(アジア) |
16,728 |
111.0 |
4,692 |
109.5 |
自動車部品事業(欧州) |
9,756 |
109.6 |
2,520 |
94.7 |
セキュリティ機器事業(日本) |
10,593 |
128.3 |
2,619 |
123.4 |
セキュリティ機器事業(海外) |
1,568 |
137.0 |
418 |
140.4 |
合計 |
54,833 |
112.7 |
14,629 |
107.9 |
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
c. 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
前年同期比(%) |
自動車部品事業(日本)(百万円) |
5,615 |
103.3 |
自動車部品事業(北米)(百万円) |
10,387 |
115.0 |
自動車部品事業(アジア)(百万円) |
16,323 |
110.6 |
自動車部品事業(欧州)(百万円) |
9,897 |
106.9 |
セキュリティ機器事業(日本)(百万円) |
10,096 |
125.7 |
セキュリティ機器事業(海外)(百万円) |
1,447 |
133.0 |
合計(百万円) |
53,767 |
112.9 |
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先 |
前連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
||
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
日産自動車株式会社グループ |
18,307 |
38.5 |
19,288 |
35.9 |
The Volkswagen Group |
6,802 |
14.3 |
6,525 |
12.1 |
YKK AP株式会社 |
4,182 |
8.8 |
5,865 |
10.9 |
※ 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績のうち、当該販売実績の総販売実績に対する割合が10%未満の相手先
につきましては記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
Ⅰ. 財政状態及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループは、現在の事業環境及び入手可能な情報に基づき最善の経営方針を立案するように努めておりますが、近年のビジネス環境の変化に鑑みるに、国内外の企業とのグローバル競争が今後も予想されることから、当社グループを取り巻く環境は厳しい状況で推移するものと認識しております。こうした中、当社グループは、グローバル市場の急激な変化に的確に対応するため、安定した収益基盤の確立とお客さまの価値観とニーズに対応した新事業・新商品開発により、競争力の維持強化に向けた様々な取り組みを進めてまいります。今後、当社グループの想定を超えてグローバル市場が悪化した場合や、お客さまのニーズに対応する製品を開発・提供できない場合は、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
a.財政状態及び経営成績等
1)財政状態
当連結会計年度末における総資産は、56,183百万円となり、前連結会計年度末に比べ442百万円増加しました。また、有利子負債は前連結会計年度末に比べ836百万円減少し、16,711百万円となりました。
各項目別の主な要因は次のとおりであります。
(資産の部)
流動資産は、現金及び預金が1,480百万円減少しましたが、受取手形及び売掛金が1,717百万円増加、原材料及び貯蔵品が1,277百万円増加したこと等により前連結会計年度末に比べ1,818百万円増加し、30,527百万円となりました。
固定資産は、保有する株式の売却により投資有価証券が822百万円減少しました。また、有形固定資産が365百万円減少、無形固定資産も203百万円減少しました。これは設備投資の増加に比べ、減価償却が進んだことによるものであります。以上の結果、前連結会計年度末に比べ1,372百万円減少し、25,649百万円となりました。
なお、設備投資につきましては厳しい経営環境の中でも、メキシコ・中国・タイにおいて今後の技術革新に対応した新規設備の戦略的な導入を進めております。
(負債の部)
流動負債は、短期借入金が146百万円増加したこと等により前連結会計年度末に比べ315百万円増加し、17,236百万円となりました。
固定負債は、リース債務が452百万円減少、長期借入金が203百万円減少したこと等により前連結会計年度末に比べ1,195百万円減少し、11,022百万円となりました。
(純資産の部)
純資産は、その他有価証券評価差額金が694百万円減少しましたが、為替換算調整勘定が1,584百万円増加したことにより前連結会計年度末に比べ1,322百万円増加し、27,924百万円となりました。この結果、自己資本比率は前連結会計年度末の45.7%から1.9ポイント改善し、47.6%となりました。
2)経営成績
(売 上 高)
当連結会計年度の売上高は、前期の大幅減産からは持ち直したものの市場の減速並びに主要得意先の減産等の影響を受け、前連結会計年度に比べ6,155百万円増加し、53,767百万円となりました。
(売 上 原 価)
当連結会計年度の売上原価は、原材料費等の増加により、前連結会計年度に比べ5,825百万円増加し、45,976百万円となりました。
(販売費及び一般管理費)
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ610百万円増加し、7,205百万円となりました。
以上の結果、当連結会計年度の営業利益は、前連結会計年度に比べ280百万円減少し、586百万円となりました。
(営業外損益)
当連結会計年度の営業外収益は、為替相場が円安傾向に進んだことから為替差益332百万円計上(前期は為替差損95百万円)したこともあり、前連結会計年度に比べ76百万円増加し、734百万円となりました。
当連結会計年度の営業外費用は、支払利息を206百万円計上いたしましたが、有利子負債の圧縮が進んだことから、前連結会計年度に比べ190百万円減少し、284百万円となりました。
以上の結果、当連結会計年度の経常利益は、前連結会計年度に比べ13百万円減少し、1,036百万円となりました。
(特 別 損 益)
当連結会計年度の特別利益は、有価証券売却益290百万円(前期は182百万円)の計上がありましたが、前連結会計年度は新型コロナウイルス感染症に係る補助金等の収入131百万円が計上されたことにより、前連結会計年度に比べ4百万円減少し、329百万円となりました。
当連結会計年度の特別損失は、メキシコ及びフランス所在の子会社において、保有固定資産の減損損失448百万円を計上いたしました。一方、前連結会計年度は、新型コロナウイルス感染症の拡大防止を背景とした各国政府等の要請に基づき、各拠点の操業停止を実施した期間及び操業時間を短縮した期間に該当する固定費部分を臨時損失として814百万円計上しております。その結果、前連結会計年度に比べ386百万円減少し、474百万円となりました。
以上の結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ375百万円増加し、600百万円となりました。
b.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
セグメントの業績は以下のとおりであります。
① 自動車部品事業(日本)
自動車部品事業(日本)は、主要得意先での半導体不足による減産やサプライチェーンの混乱による生産調整などにより前期から伸長は低調となり、売上高は7,557百万円と前年同期に比べ205百万円(2.8%)の増収、合理化は進展したものの原材料高騰の影響を受け、営業損失は225百万円(前年同期は営業損失220百万円)となりました。なお、前期業績には171百万円の操業停止に伴う固定費の特別損失への組み替え分を計上しています。
資産は前連結会計年度末に比べ92百万円増加の7,718百万円となりました。
② 自動車部品事業(北米)
自動車部品事業(北米)は、主要得意先での減産影響を大きく受け、前期からの伸長は限定的となる一方で為替換算の影響等から、売上高は10,498百万円と前年同期に比べ1,340百万円(14.6%)の増収、原材料の高騰や物流費の上昇等の影響を受け、営業損失は124百万円と前年同期に比べ382百万円(148.3%)の減益となりました。
資産は前連結会計年度末に比べ281百万円増加の10,973百万円となりました。
③ 自動車部品事業(アジア)
自動車部品事業(アジア)は、ASEANでの生産調整は比較的少なく前期の大幅減産からは持ち直したものの、中国では主要得意先での半導体不足による減産やサプライチェーンの混乱による生産調整等の影響を受け、売上高は16,783百万円と前年同期に比べ1,591百万円(10.5%)の増収、営業利益は247百万円と前年同期に比べ337百万円(57.7%)の減益となりました。
資産は前連結会計年度末に比べ819百万円増加の18,653百万円となりました。
④ 自動車部品事業(欧州)
自動車部品事業(欧州)は、上半期での減産影響は比較的少なかったものの、7月以降の主要得意先での生産停止や生産調整が影響し、売上高は10,146百万円と前年同期に比べ637百万円(6.7%)の増収となり、営業損失は183百万円(前年同期は営業損失198百万円)となりました。
資産は前連結会計年度末に比べ904百万円減少の7,477百万円となりました。
⑤ セキュリティ機器事業(日本)
セキュリティ機器事業(日本)は、住宅・産業用ロック部門につきましては、新型コロナウイルス感染拡大の影響による前年の着工減の反動に加え、コロナ禍における在宅勤務に対応できる新たな住宅へのニーズの高まり、さらには住宅ローン減税(自らが居住する住宅が対象)の税制優遇対象の住宅購入契約期間終了に伴う駆け込み需要等により、特に足元の当第4四半期連結会計期間の新設住宅着工戸数は堅調に推移し、前年同四半期に比べ、6.6%の増加となりました。このような状況を背景に当社の強みである住宅向け電気錠の販売は好調を維持しました。
また、ロッカーシステム部門につきましては、オミクロン株の感染急拡大と多くの地域でのまん延防止等重点措置の適用があったものの、経済活動も少しずつ活発になり人流が回復したことでコインロッカーの利用が徐々に増え売上も回復傾向となりました。同時に、薬局・ドラッグストアやホテルなどの宿泊施設では非対面・非接触・業務効率化のニーズが顕在化したことで、新たな需要を取り込みはじめました。
以上により、売上高は10,118百万円と前年同期に比べ2,060百万円(25.6%)の増収、営業利益は1,172百万円と前年同期に比べ418百万円(55.6%)の増益となりました。
資産は前連結会計年度末に比べ845百万円増加の7,404百万円となりました。
⑥ セキュリティ機器事業(海外)
セキュリティ機器事業(海外)は、日本向け製品の生産増により、売上高は5,493百万円と前年同期に比べ942百万円(20.7%)の増収、営業利益は417百万円と前年同期に比べ27百万円(7.1%)の増益となりました。
資産は前連結会計年度末に比べ404百万円増加の3,241百万円となりました。
Ⅱ. キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a. キャッシュ・フローの状況
キャッシュ・フローの分析については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ④キャッシュ・フローの状況」の項目をご参照ください。
キャッシュ・フロー指標のトレンドは以下のとおりであります。
|
2020年3月期 |
2021年3月期 |
2022年3月期 |
自己資本比率 |
44.8% |
45.7% |
47.6% |
時価ベースの自己資本比率 |
15.5% |
21.1% |
17.4% |
キャッシュ・フロー対有利子負債比率 |
5.20年 |
5.73年 |
8.91年 |
インタレスト・カバレッジ・レシオ |
14.4倍 |
12.6倍 |
9.1倍 |
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
※いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
b.資本の財源及び資金の流動性
資金需要
当社グループの事業活動における運転資金需要の主なものは当社グループの自動車部品事業とセキュリティ機器事業に係わる製造原価、販売費及び一般管理費になります。また、設備資金需要としては、生産能力増強の為の新規設備購入、既存設備の償却に伴う更新に加え、情報処理に使用されるソフトウェアを始めとする無形固定資産投資等があります。
財政政策
当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保する為、内部資金の活用及び金融機関からの借入と社債の発行により資金調達を行っており、運転資金及び設備資金につきましては、国内、海外子会社のものを含め当社において一元管理しております。
当社グループでは、当社グループ全体での有利子負債の削減を図り財務安定性を高め、また、資金調達コストの低減に努める一方、資金効率化の見地からコミットメントラインの弾力的な利用による機動的な資金調達での流動性確保も行っております。当期末の有利子負債残高は16,711百万円となりました。また、グローバルな事業展開による為替変動リスクの影響を極小化すべく、地産地消型ビジネスの推進や外貨建資産・負債に対し、必要に応じて為替予約の活用も行っております。
Cash(手元流動性)の確保
当社グループでは、連結ベースにおける年間売上高の概ね1.5ヶ月分に相当する金額を手元資金として保有する方針の下で、2022年3月期末時点において約64億円(1.4ヶ月分)の現預金を保有しております。また、単体では複数の金融機関との間で締結しているコミットメントライン契約 10億円を未使用額としているほか、短期借入枠として57億円、合計で67億円を備え、手元流動性を確保しております。
c.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、着実な企業価値の向上を測る尺度として、2019~22年度中期経営計画の連結売上高、同営業利益率、新商品売上高比率、自己資本比率、ROEを重要な指標と位置づけております。
当連結会計年度における各指標はそれぞれ「連結売上高」は53,767百万円、「同営業利益率」は1.1%、「新商品売上高比率」は23.0%、「自己資本比率」は47.6%、「ROE」は2.3%となりました。
Ⅰ. 財政状態及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容に詳細は記載いたしましたが、主要得意先の減産、新型コロナウイルス感染症の影響など中期経営計画策定時に予想し得なかった外部環境の変化の影響を受け中期経営計画スタート3年目としては厳しい結果となりました。しかしながら、最終年度2022年度に達成できるよう、基本方針である「新事業・新商品開発」 「収益基盤の強化」 「人材育成」を強力に推進してまいります。
Ⅲ. 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、決算日における資産及び負債の報告数値及び報告期間の収益・費用の報告数値に影響を与える見積り、仮定及び判断を使用することが必要となります。当社の経営陣は、連結財務諸表作成の基礎となる見積り、仮定及び判断を、過去の経験や状況に応じ合理的と判断される入手可能な情報により継続的に検証し、意思決定を行っております。ただし、これらの見積り、仮定及び判断は不確実性を伴うため、実際の結果と異なる場合があります。この差異は、当社グループの連結財務諸表に影響を及ぼす可能性があります。
・有形固定資産、のれん、無形資産に係る減損判定において測定される回収可能価額
有形固定資産、のれん、無形資産に係る減損判定において、資金生成単位を判別したうえで、当該資金生成単位における売却費用控除後の正味売却価額と使用価値のいずれか高いほうを回収可能価額として測定しております。当該売却費用控除後の正味売却価額算定上の仮定、あるいは使用価値算定の基礎となる資金生成単位の使用期間中及び使用後の処分により見込まれる将来キャッシュ・フロー、割引率等の仮定は、将来の不確実な経済条件の変動によって影響を受ける可能性があり、将来にわたり、有形固定資産、のれん、無形資産に係る減損損失額に重要な影響を及ぼす可能性があります。
・引当金の測定
各引当金は、将来において債務の決済に要すると見込まれる支出の期末日における最善の見積りに基づいて測定しております。将来において債務の決済に要すると見込まれる支出額は、将来の起こりうる結果を総合的に勘案して算定しております。これら引当金の測定において使用される仮定は、将来の不確実な経済条件の変動によって影響を受ける可能性があり、将来にわたり、引当金の測定額に重要な影響を及ぼす可能性があります。
・法人税等の見積り
法人税等の算定に際しては、税法規定の解釈や過去の税務調査の経緯等、様々な要因について見積り及び判断が必要となります。そのため、各期末において見積った法人税等と、実際に納付する法人税等の金額とが異なる可能性があり、その場合、翌年度以降の法人税等の計上額に重要な影響を与える可能性があります。また、繰延税金資産については、将来減算一時差異等を利用できる課税所得が生じる可能性が高い範囲内で認識しておりますが、当該回収可能性の判断は、当社及び子会社の事業計画に基づいて決定した各将来事業年度の課税所得の見積りを前提としております。当該将来事業年度の課税所得の見積りは、将来の不確実な経済条件の変動によって影響を受ける可能性があり、将来にわたり、繰延税金資産の計上額に重要な影響を及ぼす可能性があります。
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