(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」に記載のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が続く中、回復基調を維持しておりますが、ウクライナ情勢による資源価格の高騰や米欧の金利上昇など先行き景気には十分留意する必要があります。
当社グループの属する不動産業界におきましては、コロナ禍の影響により新しい生活様式への対応が求められる中、在宅時間の増加により住宅取得への関心は高まりを見せ、日銀の金融緩和政策継続も背景に、事業環境はおおむね良好に推移いたしました。
このような状況の下、当社グループにおきましては、2022年6月期を最終年度とする中期経営計画に基づいた成長強化事業への積極的な投資継続を行い、これまでに培った基盤を活かした持続的成長モデルへの移行に努めてまいりました。フランチャイズ事業及びハウス・リースバック事業、金融事業を成長強化事業と位置づけ、これらの事業に人材、広告宣伝等への積極的な投資を継続し、フランチャイズ加盟店舗数拡大及びサービスの拡充と、ハウス・リースバック物件の仕入契約件数のさらなる増加と流動化によるキャピタルゲインでの収益拡大、金融事業における金融機関との提携によるリバースモーゲージ保証事業拡大により様々な資金ニーズに不動産を活用する「不動産×金融」の取り組みを強化してまいりました。
また、不動産売買仲介事業を基盤とした、仲介・買取・リフォームの三位一体モデルで事業シナジーを効かせた「住まいのワンストップサービス」は継続し、従来の不動産売買事業における直営店エリアを中心とした販売用不動産の仕入強化、中古+リフォーム受注などにより、顧客ニーズに応えることに努めてまいりました。
a.財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ8,189百万円増加し、65,495百万円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ7,213百万円増加し、51,643百万円となりました。
当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べ975百万円増加し、13,852百万円となりました。
b.経営成績
当連結会計年度の経営成績は、売上高は41,395百万円(前期比6.0%増)、営業利益は2,871百万円(同10.9%増)、経常利益は2,947百万円(同17.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,955百万円(同21.0%増)となりました。
セグメントごとの経営成績を示すと、次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より報告セグメントの区分及び集計方法を変更しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおりであります。
(2022年6月30日現在)
セグメント名称 |
売上高(百万円) |
内容 |
フランチャイズ事業 |
3,304 |
新規加盟契約数111件、累計加盟契約数683件 新規開店店舗数100店舗、累計開店店舗数602店舗 |
ハウス・リースバック事業 |
14,455 |
新規取得保有物件数1,010件、累計保有物件数645件 売却件数691件 |
金融事業 |
750 |
リバースモーゲージ新規保証件数 326件、 不動産担保融資実行件数 121件 |
不動産売買事業 |
18,431 |
取引件数 590件 |
不動産流通事業 |
1,790 |
仲介件数 2,857件 |
リフォーム事業 |
2,658 |
契約件数 1,816件 完工件数 1,809件 |
その他 |
5 |
(欧米流)不動産エージェント業、海外事業に係る各種取引 |
合 計 |
41,395 |
- |
(フランチャイズ事業)
フランチャイズ事業では、積極的な広告宣伝活動に加え、店舗数の増加に伴う知名度及びコーポレートブランド価値、信用力向上により加盟検討企業からの問い合わせは堅調に推移し、当連結会計年度における新規加盟契約数は111件を獲得しましたが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響や複数店舗加盟企業の退会等が影響し、累計加盟契約数は683件となりました。
また、スーパーバイザーの加盟店フォロー体制の強化や各種新規サービスの開発及び提携企業の拡充を進め、当連結会計年度における新規開店店舗数は100店舗、累計開店店舗数は602店舗となりました。
その結果、セグメント売上高は3,304百万円(前期比2.1%増)、セグメント利益が2,301百万円(同3.4%増)となりました。
(ハウス・リースバック事業)
ハウス・リースバック事業では、住みながら自宅を売却できる不動産を活用した資金調達方法として、老後の生活資金や事業資金への活用など、さまざまな顧客の資金ニーズに応えてまいりました。取組件数のさらなる拡大に向けた広告宣伝・人材投資の継続等により問合せは順調に推移し、当連結会計年度におきましては、1,010件を新規に取得し、691件を再売買、処分及びファンドや不動産買取会社等へ売却しました。また、保有不動産は累計645件となり、賃貸用不動産として運用しました。
その結果、セグメント売上高は14,455百万円(前期比5.5%増)、セグメント利益が1,717百万円(同0.7%減)となりました。
(金融事業)
金融事業では、グループの強みである全国ネットワークの査定力、販売力を活かし、不動産の活用による顧客の資金ニーズへの対応に注力してまいりました。リバースモーゲージ保証事業では、提携金融機関の新規開拓及び金融機関との連携強化による需要喚起を図り、当連結会計年度における新規保証件数は326件、累計保証件数は829件となりました。また、不動産担保融資では121件の融資を実行しました。
その結果、セグメント売上高は750百万円(前期比30.9%減)、セグメント利益が137百万円(同81.1%増)となりました。
(不動産売買事業)
不動産売買事業では、住宅ローンの超低金利が続く中、消費者の住宅購入に対するニーズの底堅さを背景に、グループシナジーを活かし、不動産売買仲介直営店との連携により顧客ニーズの把握と積極的な仕入及び販売を行ってまいりました。取引件数は590件(前期比19.6%減)となりました。
その結果、セグメント売上高は18,431百万円(前期比13.6%増)、セグメント利益が1,691百万円(同41.8%増)となりました。
(不動産流通事業)
不動産流通事業は、不動産売買仲介事業を行っており、ホームページ、新聞折込広告やテレビ・ラジオCM等のメディアを利用した広告宣伝に加え、地域密着型のポスティング戦略を通じて集客に注力してまいりました。住宅ローンの超低金利継続により実需は堅調に推移しましたが、一方で、注力事業への人員シフトのため店舗を統合したことにより、当連結会計年度における仲介件数は2,857件(前期比15.0%減)となりました。
その結果、セグメント売上高は1,790百万円(前期比13.1%減)、セグメント利益が730百万円(同34.9%増)となりました。
(リフォーム事業)
リフォーム事業では、不動産売買仲介事業との連携による中古住宅+リフォーム受注や、住宅設備メーカー等とコラボレーションしたリフォームイベントを積極的に開催することで集客に繋げてまいりました。新型コロナウイルス感染症再拡大の影響により、顧客動向は不安定な状況が続きましたが、当連結会計年度における契約件数は1,816件(前期比1.1%減)、完工件数は1,809件(同1.0%増)となりました。
その結果、セグメント売上高は2,658百万円(前期比2.1%減)、セグメント利益が195百万円(同14.1%増)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べて2,800百万円減少し、13,513百万円になりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は、11,983百万円(前連結会計年度は12,696百万円の獲得)となりました。
主な増加要因は、税金等調整前当期純利益2,924百万円の計上に加え、棚卸資産が5,384百万円、営業貸付金が4,953百万円それぞれ減少したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、20,879百万円(前連結会計年度は15,289百万円の使用)となりました。
主な減少要因は、有形固定資産の取得による支出19,459百万円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果獲得した資金は、6,083百万円(前連結会計年度は135百万円の獲得)となりました。
主な増加要因は、長期借入れによる収入15,850百万円、社債の発行による収入1,900百万円であります。
主な減少要因は、短期借入金の純減額905百万円、長期借入金の返済による支出9,569百万円、配当金の支払額586百万円であります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループが営む事業では、生産実績を定義することが困難であるため「生産実績」は記載しておりません。
b.受注実績
当連結会計年度における不動産売買事業セグメント及びリフォーム事業セグメントの受注実績は次のとおりであります。なお、フランチャイズ事業セグメント、ハウス・リースバック事業セグメント、金融事業セグメント、不動産流通事業セグメントにおいては受注が存在していないため、記載しておりません。
セグメントの名称 |
受注高(千円) |
前年同期比(%) |
受注残高(千円) |
前年同期比(%) |
不動産売買事業 |
318,929 |
80.0 |
296,026 |
104.8 |
リフォーム事業 |
2,614,163 |
93.6 |
1,071,664 |
89.1 |
合計 |
2,933,093 |
91.9 |
1,367,690 |
92.1 |
(注) 上記の金額には、中古住宅買取再生販売や建売、賃貸事業等の受注を伴わないものは含めておりません。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
売上高(百万円) |
前年同期比(%) |
フランチャイズ事業 |
3,304 |
102.1 |
ハウス・リースバック事業 |
14,455 |
105.5 |
金融事業 |
750 |
69.1 |
不動産売買事業 |
18,431 |
113.6 |
不動産流通事業 |
1,790 |
86.9 |
リフォーム事業 |
2,658 |
97.9 |
その他 |
5 |
50.0 |
合計 |
41,395 |
106.0 |
(注) セグメント間の取引を相殺消去した後の金額を記載しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先 |
前連結会計年度 (自 2020年7月1日 至 2021年6月30日) |
当連結会計年度 (自 2021年7月1日 至 2022年6月30日) |
||
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
HLB8号合同会社 |
4,283 |
11.0 |
- |
- |
HLB9号合同会社 |
- |
- |
4,183 |
10.1 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等
財政状態
(資産合計)
当連結会計年度末における総資産は65,495百万円となり、前連結会計年度末に比べ8,189百万円の増加となりました。
主な増加要因は、有形固定資産がハウス・リースバック事業における収益物件取得等により9,096百万円、棚卸資産が4,514百万円それぞれ増加したことによるものであります。
主な減少要因は、現金及び預金が2,500百万円、営業貸付金が4,958百万円それぞれ減少したことによるものであります。
(負債合計)
当連結会計年度末における負債は51,643百万円となり、前連結会計年度末に比べ7,213百万円の増加となりました。
主な増加要因は、長期借入金が4,872百万円、社債が656百万円、1年内返済予定の長期借入金が1,408百万円それぞれ増加したことによるものであります。
主な減少要因は、短期借入金が905百万円減少したことによるものであります。
(純資産合計)
当連結会計年度末における純資産は13,852百万円となり、前連結会計年度末に比べ975百万円の増加となりました。
これは主として利益剰余金が、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益の計上により1,955百万円増加したこと及び配当金の支払いにより586百万円減少したことによるものであります。
経営成績
(売上高)
当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度と比較して2,357百万円増加の41,395百万円(前連結会計年度比6.0%増)となりました。これは主として、不動産売買事業の売上高が2,199百万円、ハウス・リースバック事業の売上高が757百万円それぞれ増加した一方、不動産担保融資残高を縮小した金融事業が334百万円減少したことによるものであります。
(売上原価、売上総利益)
当連結会計年度の売上原価は、前連結会計年度と比較して1,487百万円増加の27,611百万円(前連結会計年度比5.7%増)となりました。これは主として、売上高増加に連動して不動産売買事業で1,357百万円、ハウス・リースバック事業で342百万円それぞれ増加した一方で、売上高減少に連動して金融事業で100百万円減少したことによるものであります。
以上の結果により、当連結会計年度の売上総利益は、13,784百万円(同6.7%増)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、前連結会計年度と比較して587百万円増加の10,912百万円(前連結会計年度比5.7%増)となりました。これは主として、人件費が51百万円、租税公課が232百万円、当社ブランド及びサービスの知名度向上を目的とした各種広告を積極的に活用したことにより、広告宣伝費が117百万円それぞれ増加したことによるものであります。
以上の結果により、当連結会計年度の営業利益は、2,871百万円(同10.9%増)となりました。
(営業外収益、営業外費用、経常利益)
当連結会計年度の営業外収益は、匿名組合投資利益及び受取手数料等の計上により、515百万円となりました。また、営業外費用は、支払利息等の計上により、438百万円となりました。
以上の結果により、当連結会計年度の経常利益は、2,947百万円(前連結会計年度比17.2%増)となりました。
(特別利益、特別損失、税金等調整前当期純利益)
当連結会計年度の特別利益は、新株予約権戻入益及び固定資産売却益の計上により、24百万円となりました。また、当連結会計年度の特別損失は、営業所閉店に伴う固定資産除却損及び固定資産の減損損失等の計上により、47百万円となりました。
以上の結果により、当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は前連結会計年度と比較して463百万円増加の2,924百万円(前連結会計年度比18.8%増)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度と比較して339百万円増加の1,955百万円(前連結会計年度比21.0%増)となりました。
キャッシュ・フロー状況
当連結会計年度のキャッシュ・フロー状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの経営に影響を与える大きな要因としては、不動産業界の市場動向及び金融資本市場動向があります。
当社グループが属する不動産業界の市場動向においては、地価の上昇基調が継続する中で、企業収益や雇用・所得環境の改善基調が維持され、その需要は緩やかに拡大しております。そのような事業環境下において、平成初頭のバブル崩壊や2008年のリーマン・ショックが引き起こした不動産価格の大幅な下落を教訓とし、固定収益の安定・拡大と適正在庫の管理を重要な経営課題と認識しております。
金融資本市場動向においては、一部に利上げの動きはありますが、日銀の金融緩和政策の継続を背景に、低金利にて住宅ローンを組める環境が続いており、全体としては底堅く推移しております。
c.資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの資金需要のうち主なものは、ハウス・リースバック事業におけるハウス・リースバック物件の取得費用及び不動産売買事業の販売用不動産の取得費用であります。それらの財源は自己資本及び金融機関から調達した有利子負債であり、状況に応じて充当しております。
また、当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
なお、当連結会計年度末における有利子負債の残高は44,958百万円となり、現金及び現金同等物の残高は13,513百万円となっております。
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