業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

 当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の流行により、政府や自治体による各種施策の効果等もあり、企業収益、雇用情勢及び個人消費に持ち直しの動きが見られたものの、厳しい状況となりました。先行きについては、高い感染力を有する変異株の急速な感染拡大や原材料費の高騰、金融資本市場の動向等のリスクに加え、2月以降はウクライナ情勢の緊迫化もあり、不透明な状況にあります。

 当社を取り巻く環境について、外食業界においては、度重なる休業・営業時間短縮及び酒類提供時間の短縮要請により、売上高、来客数が大幅に減少し、特に飲酒業態においては極めて厳しい状況が継続しました。また不動産市況については、当社が事業展開している東京主要地域の商業不動産賃料は近年高止まりの状況が継続していたものの、感染症の影響拡大により、インバウンド売上比率が高い地域や飲食・アミューズメント施設が強い地域では、テナント募集が大幅増となりました。特に、固定費が膨らむ大型の店舗物件や、駅外周部及び空中階に所在する店舗物件等については、出店需要の弱さが継続しており、家賃の下方圧力が強まる状況となりました。

 このような環境のなかで、当社が展開する店舗転貸借事業においては、コロナ禍においても旺盛な個人・小規模飲食事業者の出店需要に対応し、「小規模」「好立地」「居抜き」店舗物件の積極的な仕入れ実施と共に、営業力増強に向けた採用及び教育を推進しました。また、首都圏一都三県における営業時間短縮要請に係る協力金等について、飲食店向けの情報提供や申請支援を行いました。不動産売買事業においては、コロナ禍における物件売買の機会を的確に捉えるべく、店舗転貸借事業との顧客情報の共有を開始すると共に、引き続き顧客開拓と物件仕入に注力しました。

 以上の結果、当事業年度の業績は、売上高11,415,134千円(前期比10.4%増)、営業利益909,853千円(同24.3%増)、経常利益986,636千円(同17.2%増)、当期純利益662,386千円(同15.1%増)となりました。

 

 セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

 店舗転貸借事業

 店舗転貸借事業においては、当事業年度における新規契約件数及び後継付け件数(閉店した店舗に対し新規出店者と転貸借契約を締結したもの)の転貸借契約件数の合計は407件(前期比29.6%増)となりました。また、当事業年度末における転貸借物件数は前事業年度末より245件増加し、合計1,951件となりました。一方、給与・賞与や採用費の増加等により、販売費及び一般管理費は前事業年度と比較して増加しました。この結果、店舗転貸借事業の当事業年度の業績は、売上高10,445,060千円(前期比9.2%増)、セグメント利益723,827千円(同46.1%増)となりました。

 最近5年間における転貸借物件数の推移は、以下のとおりであります。

(単位:件)

 

2018年

3月期

2019年

3月期

2020年

3月期

2021年

3月期

2022年

3月期

期末転貸借物件数

1,242

1,459

1,684

1,706

1,951

 

 不動産売買事業

 不動産売買事業では、店舗転貸借事業を更に推進する為に、不動産業者とのリレーションシップ強化を目的として、店舗不動産の仕入販売や建築販売を行っております。当事業年度においては、新型コロナウイルス感染症の影響により市場に様子見傾向が残るなかで、5物件を売却、6物件を取得し、当事業年度末における保有物件数は3件となりました。この結果、不動産売買事業の当事業年度の業績は、売上高970,074千円(前期比25.3%増)、セグメント利益186,026千円(同21.3%減)となりました。

 

 

②キャッシュ・フローの状況

 当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前事業年度末に比べ558,666千円増加し、3,467,517千円となりました。

 当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果得られた資金は1,123,862千円(前事業年度は666,067千円の獲得)となりました。これは主に差入保証金の増加額661,190千円等の資金の減少に対して、税引前当期純利益986,636千円、預り保証金の増加額826,869千円等の資金の増加によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は269,480千円(前事業年度は139,900千円の使用)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出256,565千円等の資金の減少によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は295,714千円(前事業年度は160,414千円の使用)となりました。これは配当金の支払額160,414千円、自己株式の取得による支出135,300千円の資金の減少によるものであります。

 

③生産、仕入及び販売の実績

 a.生産実績

 該当事項はありません。

 

 b.仕入実績

 当事業年度における仕入実績は、次のとおりであります。

セグメント名称

当事業年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

金額(千円)

前年同期比(%)

不動産売買事業

503,278

147.0

(注)仕入が発生する不動産売買事業のみ記載しております。

 

 c.販売実績

 当事業年度における販売実績は、次のとおりであります。

セグメント名称

当事業年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

金額(千円)

前年同期比(%)

店舗転貸借事業

 

 

 ランニング

9,788,180

107.1

 イニシャル

656,880

152.4

不動産売買事業

 

 

 不動産売買等

970,074

125.3

合計

11,415,134

110.4

(注)主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、総販売実績の10%以上の相手先がないため記載を省略しております。

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.財政状態の分析

(資産)

 当事業年度末における資産合計は、前事業年度末に比べ1,469,777千円増加し、11,898,440千円となりました。これは主に差入保証金が661,190千円、現金及び預金が558,666千円、建物が395,872千円それぞれ増加し、販売用不動産が188,983千円減少したことによるものであります。

(負債)

 当事業年度末における負債合計は、前事業年度末に比べ1,103,105千円増加し、8,570,474千円となりました。これは主に預り保証金が826,869千円、前受収益が192,755千円それぞれ増加し、預り金が139,391千円減少したことによるものであります。

(純資産)

 当事業年度末における純資産合計は、前事業年度末に比べ366,671千円増加し、3,327,966千円となりました。これは主に利益剰余金が366,752千円増加したことによるものであります。

 

b.経営成績の分析

(売上高)

 当事業年度における売上高は、前事業年度に比べて1,072,454千円増加し、11,415,134千円となりました。これは主に転貸借物件数の増加に伴いランニングに係わる売上高が650,503千円増加したことによるものであります。

(売上総利益)

 当事業年度における売上原価は、前事業年度に比べて810,335千円増加し、9,321,400千円となりました。これは主に転貸借物件数の増加に伴い賃借料が497,926千円増加したことによるものであります。この結果、当事業年度における売上総利益は、前事業年度に比べて262,118千円増加し、2,093,734千円となりました。

(営業利益)

 当事業年度における販売費及び一般管理費は、前事業年度に比べて84,084千円増加し、1,183,880千円となりました。この結果、当事業年度における営業利益は、前事業年度に比べて178,034千円増加し、909,853千円となりました。

(経常利益)

 当事業年度における営業外収益は、前事業年度に比べて14,092千円増加し、193,432千円となりました。また営業外費用は、前事業年度に比べて47,204千円増加し、116,649千円となりました。この結果、当事業年度における経常利益は、前事業年度に比べて144,922千円増加し、986,636千円となりました。

(当期純利益)

 当事業年度における特別利益及び特別損失は計上しておりません。また、法人税等合計は、前事業年度に比べて58,142千円増加し、324,250千円となりました。この結果、当事業年度における当期純利益は、前事業年度に比べて86,780千円増加し、662,386千円となりました。

 最近5年間における営業利益及び営業利益率の推移は、以下のとおりであります。

 

 

2018年

3月期

2019年

3月期

2020年

3月期

2021年

3月期

2022年

3月期

営業利益(千円)

396,993

733,523

785,048

731,819

909,853

営業利益率(%)

5.9

8.9

7.9

7.1

8.0

 

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当事業年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」に記載のとおりであります。

 なお、当社は事業運営上必要な資金について、転貸借物件の賃料等の支払と受領の差額を積み上げることを基本として、安定的な資金調達を実現しております。過去3年のフリーキャッシュ・フローの推移については以下のとおりであります。

(単位:千円)

回次

第14期

第15期

第16期

決算年月

2020年3月

2021年3月

2022年3月

営業活動によるキャッシュ・フロー

923,117

666,067

1,123,862

投資活動によるキャッシュ・フロー

△117,583

△139,900

△269,480

財務活動によるキャッシュ・フロー

△124,804

△160,414

△295,714

現金及び現金同等物の期末残高

2,543,098

2,908,850

3,467,517

フリーキャッシュ・フロー

805,534

526,167

854,381

前年増減額

695,689

△279,367

328,214

(注)フリーキャッシュ・フローは、以下の計算式を使っております。

フリーキャッシュ・フロー = 営業活動によるキャッシュ・フロー + 投資活動によるキャッシュ・フロー

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 注記事項 (重要な会計方針)」に記載しております。財務諸表の作成にあたっては、会計上の見積りを行う必要があり、特に以下の事項は、経営者の会計上の見積りの判断が財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼすと考えております。

 

(販売用不動産の評価)

 当社は販売用不動産について、正味売却価額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を正味売却価額まで減額し、当該減少額を評価損として計上します。正味売却価額の算定に当たっては慎重に検討しておりますが、販売計画や市場価格の変化により、その見積額の前提とした条件や仮定に変更が生じ正味売却価額が帳簿価額を下回る場合には評価損が必要となる可能性があります。なお、販売用不動産における正味売却価額の見積りについては、販売用不動産の現状の市場価格、物件における収益利回り等に基づいて算定しております。

 

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