(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次の通りであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する中、緊急事態宣言及びまん延防止等重点措置が繰り返されるなど、引続き経済活動が制限される状況が継続いたしました。当社グループの主要な関連業界である百貨店等を含む小売業界におきましても、新型コロナウイルス感染症の感染再拡大に伴う外出自粛や商業施設の休業、時間短縮営業等の影響により、厳しい経営環境が続いております。
このような環境の中、当社グループは、「ファッションにエンタテイメントを」を理念とし、オリジナルバッグ・財布等の提供を通じて「お客様に非日常のワクワク感を提供すること」を目指し、引続き販売促進費への投資やSNS活動の強化等を行っております。また、キャラクターブランドであるILEMERのブランド価値向上のための投資を継続し、サプライズ・ハッピードール等の商品や新ラインの拡充を図るとともに、テレビCM等によるプロモーションやクラウドファンディングの実施、アニメーションの公開等を行っております。加えて、ILEMERブランドに関するライセンス事業の一環として、カフェ及び出版に関する取組を開始いたしました。その他、当社グループの15周年を記念して、サスティナビリティ等をテーマにした新ブランドである「StrawberryMe」の販売を開始しております。
その結果、当連結会計年度の販売業態別の売上高は、新型コロナウイルス感染症の感染再拡大に伴う店舗の臨時休業や消費者の外出自粛等の影響を受けたものの、前連結会計年度と比較して休業日数が減少したこと等により店舗販売が1,415,505千円(前連結会計年度比3.7%増)となった一方、広告単価の上昇等による販売促進費のコントロールや新型コロナウイルス感染症の長期化等の影響によりインターネット販売が2,123,900千円(同16.7%減)となりました。
以上の結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下の通りとなりました。
a.財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ505,788千円減少し、3,756,986千円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ428,487千円減少し、899,660千円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ77,300千円減少し、2,857,326千円となりました。
b.経営成績
新型コロナウイルス感染症の感染再拡大に伴う店舗の臨時休業や消費者の外出自粛等の影響により、当連結会計年度の業績は、売上高が3,616,170千円(前連結会計年度比9.7%減)となり、広告単価の上昇等による販売促進費のコントロールや新型コロナウイルス感染症の長期化等の影響により、営業利益は12,751千円(同86.5%減)、経常利益は11,234千円(同88.2%減)、親会社株主に帰属する当期純損失は21,877千円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純利益35,011千円)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、2,116,151千円となり、前連結会計年度末より232,065千円減少いたしました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次の通りであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得したキャッシュ・フローは86,025千円(前連結会計年度は181,872千円の使用)となりました。これは主に、売上債権の減少額146,841千円、法人税等の還付額59,761千円による資金の増加があった一方、未払金の減少額131,613千円、法人税等の支払額19,007千円による資金の減少があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用したキャッシュ・フローは25,003千円(前連結会計年度比25,611千円の減少)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出23,989千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用したキャッシュ・フローは293,087千円(前連結会計年度は667,560千円の獲得)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出224,223千円があったことによるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループは生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
b.仕入実績
仕入実績については、次の通りであります。
品目 |
当連結会計年度 (自 2021年3月1日 至 2022年2月28日) |
|
仕入高(千円) |
前年同期比(%) |
|
オリジナルバッグ等 |
1,368,049 |
94.5 |
合計 |
1,368,049 |
94.5 |
(注)1 金額は、仕入価格によっております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c.受注実績
当社グループは受注生産を行っておりませんので、該当事項はありません。
d.販売実績
当社グループの事業セグメントは、バッグ及び財布等の企画・販売を主とするファッションブランドビジネスを行う単一セグメントであるため、販売実績について販売の業態別に示すと次の通りであります。
業態 |
当連結会計年度 (自 2021年3月1日 至 2022年2月28日) |
|
販売高(千円) |
前年同期比(%) |
|
インターネット販売 |
2,123,900 |
83.3 |
店舗販売 |
1,415,505 |
103.7 |
その他 |
76,764 |
84.4 |
合計 |
3,616,170 |
90.3 |
(注)1 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次の通りであります。
相手先 |
前連結会計年度 (自 2020年3月1日 至 2021年2月28日) |
当連結会計年度 (自 2021年3月1日 至 2022年2月28日) |
||
販売高(千円) |
割合(%) |
販売高(千円) |
割合(%) |
|
㈱デジサーチアンドアドバタイジング |
2,113,905 |
52.8 |
1,865,491 |
51.6 |
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループ経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①当連結会計年度の経営成績等の状況に関する分析、検討内容
財政状態の分析
a.資産
当連結会計年度末の資産については、総資産3,756,986千円であり、前連結会計年度末と比較して505,788千円減少しております。主な要因は、現金及び預金が232,065千円、売掛金が146,841千円減少したことであります。
b.負債
負債につきましては、負債合計は899,660千円であり、前連結会計年度末と比較して428,487千円減少しております。主な要因は、長期借入金が211,637千円減少したことであります。
c.純資産
純資産は2,857,326千円であり、前連結会計年度末と比較して77,300千円減少しております。主な要因は、利益剰余金が91,850千円減少したことであります。
経営成績の分析
a.売上高及び売上総利益
当連結会計年度の売上高は3,616,170千円(前連結会計年度比9.7%減)となり、売上原価1,330,952千円(同9.6%減)を計上した結果、売上総利益は2,285,217千円(同9.8%減)となりました。
b.販売費及び一般管理費及び営業利益
販売促進費935,073千円(前連結会計年度比14.5%減)、支払手数料341,254千円(同6.6%減)等を計上した結果、当連結会計年度の販売費及び一般管理費は2,272,466千円(同6.8%減)となり、営業利益は12,751千円(同86.5%減)となりました。
c.営業外損益及び経常利益
受取家賃960千円(前連結会計年度比1.7%減)等により営業外収益1,705千円(同66.6%減)を計上し、営業外費用3,222千円(同25.0%減)を計上した結果、当連結会計年度の経常利益は11,234千円(同88.2%減)となりました。
d.特別損益及び親会社株主に帰属する当期純利益
特別利益として助成金収入10,569千円を含む13,292千円(前連結会計年度比50.4%減)、特別損失として店舗休業損失9,801千円(前連結会計年度比67.3%減)を計上し、税金等調整前当期純利益は14,726千円(同84.0%減)となり、法人税等36,603千円(同35.6%減)を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純損失は21,877千円(前連結会計年度は当期純利益35,011千円)となりました。
キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載の通りであります。
② 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載の通りであります。
また、会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルスの影響に関する仮定については、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載しております。
③資本の財源及び資金の流動性について
当社グループは、事業運営上必要な運転資金及び設備投資資金等を確保するとともに、経済環境の急激な変化等に備えた財務基盤の強化を図ることを基本方針としております。当社グループの事業活動における運転資金需要の主なものは、業容拡大に伴う仕入、販売促進費、人件費等の運転資本の増加であり、設備投資資金の需要は、主に新規出店や店舗リニューアルによるものであります。所要資金については、内部資金を活用するとともに、必要に応じて金融機関からの調達等により賄うこととしております。なお、2020年3月に金融機関から1,000,000千円の借入を実行しております。
当連結会計年度末における有利子負債の残高は653,077千円、現金及び現金同等物の残高は2,116,151千円であり、ネット・キャッシュは1,463,074千円となっております。
④経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載の通りでありますが、ブランド力の維持、ファッショントレンド、出店、特定取引先との関係等、様々なリスク要因が当社の経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。そのため、市場動向等に留意し、内部管理体制の強化、取引先との関係維持・強化、市場のニーズに合った商品の開発等により、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散・低減し、適切に対応を行ってまいります。
⑤経営戦略の現状と見通し
当社グループの経営の状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」に記載の通りです。
今後の見通しにつきましては、引続き「トレンドに左右されない商品企画と、定番商品を人気商品化するノウハウ」を強みとして、O2O戦略の強化を図り、インターネット販売及び店舗販売等の継続的な成長を目指してまいります。また、キャラクターとブランドを融合させたエンタテイメントビジネスの強化に向け、積極的に先行投資を行い、中長期的に取り組んでまいります。
堅調な「ATAO」の店舗及びオンラインショップを継続して強化していくことに加え、「IANNE」「Roberta di Camerino」「StrawberryMe」の各ブランドの育成及び顧客開拓、オンラインショップと店舗とのさらなる連携強化に積極的に取り組んでまいります。「ILEMER」については、オンラインショップと店舗運営を行っておりますが、YouTube施策やテレビCMをはじめとしたコンテンツの充実とブランドやキャラクターの世界観を浸透させるべく、ファンクラブの運営やLINEなどで固定ファンの獲得とファン層の拡大に積極的に取り組んでまいります。
また、2022年1月26日付で開示した「店舗とECのOMO実現に向けたモール型新ECサイトのオープン及びEC関連業務の提携解消に関するお知らせ」に記載の通り、当社グループは、店舗とECのOMO(※)を実現し、各ブランド価値の更なる向上、顧客サービスの強化、売上及び利益の一層の拡大を図るべく、ATAO、IANNE、ILEMER、StrawberryMe、Atelier Ataoのオンラインサイトが集積したモール型の新ECサイトを段階的にオープンいたします。これに伴いATAO及びIANNEブランドのインターネット販売に係る株式会社デジサーチアンドアドバタイジングとの商品販売基本契約を2022年7月末をもって終了し、当該契約終了をもって提携を解消する予定となっております。「第2 事業の状況 2.事業等のリスク」や「第2 事業の状況 4.経営上の重要な契約等」に記載の通り、同契約において、インターネットサイトに関する知的財産権等及びインターネット販売に係る顧客情報が同社に帰属することとされていること等から、同社との契約終了後において一時的にインターネット販売が減少する可能性があるものの、店舗とECのOMOの実現、プロモーションの強化、新ECサイトのオープンによる業務の効率化及び最適化、一部内製化等により、各ブランド価値の更なる向上、売上及び利益の中長期的な拡大を図ってまいります。
当社グループの主要な関連業界である百貨店を含む小売業界におきましては、今後も厳しい経営環境が続く見通しですが、好調なオンラインショップと店舗を連携させることにより当社グループ全体の売上及びブランド価値の向上を図ってまいります。
なお、当社グループは、新型コロナウイルス感染症の感染再拡大の影響等により引続き不透明であり、今後も外出自粛等の影響を受ける可能性があると考えておりますが、需要は徐々に回復していくものと想定しており、現時点において再度の店舗臨時休業は見込んでおりません。
※ OMO(Online Merges with Offline)とは、店舗とECの融合を図ることにより、顧客体験を向上させることを目的としたマーケティング手法のことをいいます。
⑥経営者の問題認識と今後の方針について
経営者の問題認識と今後の方針につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の通り、新規販売チャネルの展開、店舗とECのOMOの実現、生産体制の強化、人材の確保・育成等が必要であると認識しております。
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