(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、国内外における博多ラーメン専門店「一風堂」「IPPUDO」を中心とした複数ブランドの飲食店の展開を中核に、食材の生産、教育、商品開発、製造、流通、販売までを一貫して手がける事業モデルの実現に向け、複数の事業をグローバルに展開しております。
当社グループは創業の精神である、「食を通して新しい価値を創造し「笑顔」と「ありがとう」とともに世界中に伝えていく。変わらないために変わり続ける。」をグローバルに実現することを目指すとともに、より高いレベルでの顧客満足の獲得と更なる企業価値の向上に尽力し、顧客及び株主等のステークホルダーの利益最大化の実現に努めてまいります。
(2)目標とする経営指標
当社グループが重要視している経営指標は、売上高・営業利益・営業利益率・ROEであります。
(3)中長期的な会社の経営戦略、経営環境と優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
①国内事業基盤の強化
当社は、国内既存店の強化並びに収益性向上が重要であるとの認識のもと、基幹ブランド「一風堂」の出店を従来の人口密集地に限らず、都心部近郊の小商圏やロードサイドへ積極的に展開し、低投資、早期回収の収益モデルへ転換していきます。同時にリロケートを含む不採算店舗の戦略的閉店も進め、より高い収益体質へと改善いたします。また、前期より取り組んでおりましたモバイルオーダーや食券機等のDX施策は、既存店において一定の成果があったため、地域特性を考慮しながら展開を進めてまいります。
商品においては、主力商品であるラーメンの継続的なブラッシュアップを行うとともに、定期的に新商品を投下し顧客の来店促進につなげてまいります。また、植物性原材料のみを使用したプラントベースの商品につきまして、今期はプラントベース専門店の出店も検討しております。その他、販売チャネルの多様化を目的として、国内においては、Yo-Kai Express Inc.が開発した米国発のラーメン自動調理機「Yo-Kai Express」事業の国内展開に参画しているほか、海外においては、プラントベース商品需要の高まりを追い風として販路の拡大に取り組んでまいります。
併せて人財不足や人件費の高騰を見据えて店舗レイアウト及び厨房オペレーションの自動化と効率化を図り、飲食事業として総合的な次世代の食の在り方を追求してまいります。
②海外事業の拡大
直営エリア(主に欧米・豪・シンガポール・台湾)においては、それぞれの市場に合わせた商品開発や新規出店、世界規模においてのブランド力の更なる発信力強化など、全体的な事業の発展に注力してまいります。
アジアにおいては、主にライセンス事業の現地のパートナーの資本力、マーケティング力、ネットワーク力を活用し早期の事業拡大を目指していきます。
③商品販売事業の拡大
販売先としましては、規模が見込める国内の主要スーパー並びに、百貨店・空港等のお土産需要が見込まれる商圏、自社サイトを通じてEC市場での規模拡大を目指します。
海外においても一風堂関連商品に対して関心が高い水準にあることから、随時海外各市場においても同商品の導入を進めてまいります。
④人財の採用と教育
当社グループの競争力の源である店舗運営力の向上のためには、人財の育成こそが他社との差別化にもつながると考えており、国内外問わず、人財採用の強化及び従業員満足度の向上を継続して行ってまいります。
日本のみならず、各先進国においても人口の高齢化や少子化の傾向は見受けられ、人財の確保において他社並びに他業種との競合は激化しております。当社グループは、働き方の多様性を確保すべく地域限定社員や契約社員の採用を推進しており、海外においては日本の接客レベルを現地でも実現するための人財交流を行なっております。当社グループとしてはこのような人財育成の取り組みが顧客満足度を最大化するための最重要課題としてとらえ、全事業においてクオリティの高い商品及び接客を提供できるよう、継続的に従業員の教育を行ってまいります。
また、労働環境の改善の観点から、ITシステムの入れ替えによる店舗業務の自動化及び有給休暇取得の施策を進めております。AIやロボティクス技術導入による労働環境の改善も併せて検討しており、当社グループの人財がより働きやすい、将来に希望を持てる労働環境の構築とグローバルな人財の獲得に向けて投資を行ってまいります。
⑤衛生面の強化
近年、食の安心や安全に対する社会的なニーズは高まっております。日本における2021年6月のHACCP完全制度化等、原材料や提供商品のみならず、製造工程や物流の過程においても食の安全性に対しての取り組みは必須となっております。当社グループでは、専門対策部署を設置し、工場から物流、店舗での保管や提供方法等、顧客へ商品が最終的に提供されるまでの全ての工程において最新の法令を遵守し、顧客に安全な食をお届けするべく、衛生管理マニュアルに基づき衛生管理・品質管理に努めております。
⑥食習慣の多様化
新型コロナウイルス感染拡大により、リモートワークが推奨され、それに応じて消費者の食習慣に変化の兆しが見られます。テイクアウトやデリバリーに加え、中食や保存食の需要が非常に高まっており、この傾向は当分継続されると見込まれます。同時に、環境負荷の低減や持続可能な社会の実現を目指す世界的な取り組みは、食の市場に新たな需要を生み出しており、食に関する価値観の多様化や技術革新は今後一層加速していくと見込まれます。
当社グループにおいては、コロナ以前から海外で開始しておりましたテイクアウトやデリバリーを、日本国内においても導入いたしました。また、既に展開している中食事業等を強化し、顧客の来店以外での収益構造の強化に努めます。また、新しい食の提案として植物性原材料のみで作られたプラントベース商品を国内及び海外で販売するなど、今後も多様化するニーズに応えるべく、コロナ禍の状況のもとご来店いただいたお客様に向けてより一層満足いただける様、商品のラインナップを整理し、改善してまいります。
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