業績

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 当連結会計年度(2021年3月1日から2022年2月28日まで)における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。

 

(経営成績等の状況の概要)

(1) 経営成績の状況

 当連結会計年度(2021年3月1日から2022年2月28日まで)における当アパレル業界は、新型コロナウイルス感染症に対応するワクチンの接種が進み、これまで段階的に政府より発令されていた緊急事態宣言が終了することによる個人消費の回復が期待されました。

 しかしながら、新型コロナウイルス感染症の新変異株の感染が急速に拡大したことにより、感染者数の大幅な減少とはならず、外出自粛並びに一部商業施設の時短営業等の実施傾向が続いており、依然として販売への影響を受ける厳しい状況となりました。

 このような経営環境のもと当社グループは、中期改革プロジェクトとして推進する「TSIINNOVATION PROGRAM 2024(TIP24)」に基づき、これまで不採算事業及び店舗の撤退や人件費削減、全社横断の販管費削減等に注力してまいりました。これに続き、成長著しいEC事業の強化やITシステム、新規事業への参入などのフェーズに移行し、未来に向けて積極的に投資を行ない、グループにおける収益力の最大化を図ってまいりました。さらに、2021年3月に当社グループ会社の1社統合を目指した第1弾として実施した吸収合併(子会社である㈱サンエー・ビーディーが他のアパレル子会社8社を吸収合併した後、商号を「株式会社TSI」に変更。)により、更なる意思決定スピードの向上と業務効率化を目指してまいりました。

 2021年9月30日発出の緊急事態宣言終了後、国内における新型コロナウイルス感染症の新規感染者数が減少傾向にある一方で、外出自粛の傾向が完全には終息しておらず消費マインドも完全には戻らない状況となりました。来店客数の減少により当社グループ各社の店頭売上も回復傾向にはあるものの厳しい状況が続いたため、従前にも増してECによる販売を強化するとともに、商品の仕入を厳しく見極めて適正基準まで抑えることによる、過剰在庫の抑制並びに原価の抑制などの措置に努めました。

 その結果、売上高については、1,403億82百万円(前期比4.7%増)、営業利益は44億40百万円(前期は118億43百万円の損失)、経常利益は58億34百万円(前期は103億59百万円の損失)となりました。また、当社グループの親会社株主に帰属する当期純利益は10億22百万円(前期比73.5%減)となりました。

 セグメント別の売上の概況は次のとおりです。

 

(アパレル関連事業)

 当社のアパレル関連事業を構成する各子会社につきましては、前述した中期改革プロジェクト(TIP24)に基づき、これまで不採算事業及び店舗の撤退や人件費削減、全社横断の販管費削減等に注力してまいりました。また、中期経営戦略に基づき、主として既存ブランドの改革と業務の効率化による収益の向上に引き続き取り組みました。

 個性が際立ち、価格競争に巻き込まれない市場価値の高いブランド運営が求められているなか、既存事業については、ゴルフブランドの「ピン」、「セントアンドリュース」、ストリートブランドの「ハフ」、アウトドアファッションを主軸とする「アンドワンダー」、レディースブランドの「カデュネ」、などが特色を活かした商品を展開することにより収益力の拡大を目指してまいりましたが、依然として新型コロナウイルス感染症の影響を受けた状況となりました。

 EC事業につきましては、店頭在庫をEC向け在庫へ集約する取り組みや、店頭オンライン接客や店舗顧客のEC送客への拡充など、店頭とEC連携の強化策を推進し、EC売上の増加に努めました。これらの取り組みにより、アパレル関連事業の売上高は、1,358億12百万円(前期比4.4%増)となりました。

 

(その他の事業)

その他の事業につきましては、販売代行及び人材派遣事業を営む㈱エス・グルーヴ、合成樹脂製品の製造販売を行う㈱トスカバノック、店舗設計監理や飲食事業を営む㈱プラックス、化粧品、香水、石鹸等の仕入及び販売を行うLaline JAPAN㈱、そして米国カリフォルニア州で人気のオーガニックカフェを日本で運営するUrth Caffe JAPAN㈱などの事業を展開しておりますが、新型コロナウイルス感染症の影響が続いており、売上高は52億56百万円(前期比38.6%減)となりました。

 

(2) 財政状態の状況

総資産は、流動資産「その他」の増加(前期末比26億68百万円増)等があったものの、現金及び預金の減少(前期末比106億12百万円減)、有形固定資産の減少(前期末比16億5百万円減)、無形固定資産の減少(前期末比34億5百万円減)、投資その他の資産「その他」の減少(前期末比7億68百万円減)等により、145億10百万円の減少となりました。

負債は、支払手形及び買掛金の減少(前期末比10億12百万円減)、未払金の減少(前期末比17億19百万円減)、未払法人税等の減少(前期末比19億44百万円減)、長期借入金(1年内返済予定の長期借入金を含む)の減少(前期末比89億82百万円減)等より、148億16百万円の減少となりました。

純資産は、その他有価証券評価差額金の減少(前期末比17億53百万円減)等があったものの、利益剰余金の増加(前期末比10億22百万円増)、為替換算調整勘定の増加(前期末比9億27百万円増)等により、3億6百万円の増加となりました。

以上の結果、1株当たり純資産は、0.63円の増加となりました。

 

(3)キャッシュ・フローの状況

 (営業活動によるキャッシュ・フロー) 

当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、たな卸資産が9億7百万円増加、仕入債務が9億94百万円減少、未払金が17億41百万円減少し、投資活動への調整項目である投資有価証券売却益を16億98百万円計上、法人税等の支払額を32億1百万円計上したものの、税金等調整前当期純利益を27億12百万円計上、非資金費用である減価償却費を36億50百万円及び減損損失を42億25百万円計上したこと等により、13億80百万円の収入(前年同期は53億0百万円の支出)となりました。

 

 (投資活動によるキャッシュ・フロー) 

当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、投資有価証券の売却が61億37百万円、敷金及び保証金の回収が12億14百万円生じたものの、有形固定資産(店舗内装資産等)の取得が11億23百万円、投資有価証券の取得が85億12百万円、敷金及び保証金の差入が11億95百万円生じたこと等により、39億81百万円の支出(前年同期は360億10百万円の収入)となりました。

 

 (財務活動によるキャッシュ・フロー) 

当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の純減が52百万円、長期借入金の返済が89億69百万円生じたこと等により、89億60百万円の支出(前年同期は111億70百万円の支出)となりました。

この結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末より112億57百万円減少して385億3百万円となりました。

 

 

(生産、受注及び販売の状況)

(1) 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメント別に示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

アパレル関連事業

45,092

+6.5

その他事業

899

+8.8

合計

45,992

+6.6

 

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しておりません。

2 金額は、製造原価によっております。

3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2) 仕入実績

当連結会計年度における仕入実績をセグメント別に示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

アパレル関連事業

25,954

+22.4

その他事業

514

+33.7

合計

26,469

+22.6

 

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しておりません。

2 金額は、仕入価格によっております。

3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(3) 受注実績

当社グループは、受注生産を行っておりません。

 

(4) 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメント別に示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

アパレル関連事業

135,702

+4.5

その他事業

4,590

+10.9

合計

140,293

+4.7

 

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)

(1)経営成績の分析

売上高についての当連結会計年度の概要は「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(経営成績等の状況の概要) (1)経営成績の状況」をご参照ください。

(営業利益)

営業利益は、44億40百万円となりました。これは、主として販売費及び一般販管費の削減を積極的に進めてきたことによるものです。

(経常利益)

経常利益は、58億34百万円となりました。これは、主として営業収益の改善によるものです。

(親会社株主に帰属する当期純利益)

親会社株主に帰属する当期純利益は10億22百万円となりました。これは、主として当社保有有価証券の売却益を含む25億43百万円を特別利益に計上したことによるものです。

(2)財政状態の分析

財政状態の分析については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(経営成績等の状況の概要) (2)財政状態の状況」をご参照下さい。

(3)キャッシュ・フローの状況の分析

キャッシュ・フローの分析については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(経営成績等の状況の概要) (3)キャッシュ・フローの状況」をご参照下さい。

(4)資本の財源及び資金の流動性

(資金需要)

当社グループの資金需要の主なものは、運転資金と設備投資資金です。

運転資金は、商品仕入費用、製品製造費用と人件費、賃借料、減価償却費等の販売費及び一般管理費によるものです。

また、設備投資資金は、店舗の新設、改装及びITシステムの開発並びに保証金の差入などによるものです。

(財政政策)

当社グループの運転資金と設備投資資金につきましては、フリー・キャッシュ・フローで充当するとともに、15,591百万円の当座貸越契約を結ぶなど、必要に応じて金融機関からの借入により資金調達を実施しております。

(5)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たって、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債や収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、第5「経理の状況」の1「連結財務諸表等」の(1)「連結財務諸表」の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは以下のとおりです。

なお、新型コロナウイルス感染症の影響に関する情報は、第5「経理の状況」の1「連結財務諸表等」の(1)「連結財務諸表」の「追加情報」に記載しております。

 

(繰延税金資産の回収可能性)

当社グループは、繰延税金資産について将来の課税所得が十分確保でき、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について、繰延税金資産を計上しております。

繰延税金資産の回収可能性は、将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りと異なり将来の課税所得が減少した場合には、繰延税金資産の金額に重要な影響を及ぼす可能性があります。

(固定資産の減損)

当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、減損を認識すべきと判断した場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。

減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に判断しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合には、減損処理が必要となる可能性があります。

(㈱上野商会に関するのれんの減損損失の認識の要否)

 ㈱上野商会ののれんについては、主に新型コロナウイルス感染症の影響による売上高の減少に伴い、連結子会社化した際の当初事業計画と実績に一定の乖離があることから、経営環境の著しい悪化が見られるため減損の兆候があると判断しております。

 減損損失の認識及び測定に当たっては、中期事業計画を基に将来キャッシュ・フローを見積りしております。中期事業計画においては、売上高の回復を主要な仮定として用いており、その予測には主に市場動向や新型コロナウイルス感染症収束後の消費スタイルの変化を考慮して策定しております。当該見積りの前提となる中期事業計画において、条件の見直し等が必要となった場合には、減損損失が計上される可能性があります。

(6)中長期的な会社の経営戦略

「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載したTSI Innovation Program 2025 (TIP25)の達成並びにこれに向けた主要施策の実現が当社グループの中長期的な会社の経営戦略であります。

(7)目標とする経営指標

当社グループは、営業利益率及び株主資本に対する収益性を示すROEを特に重視しております。

 

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