業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

① 経営成績の状況

当事業年度における我が国の経済は、新型コロナウイルス感染症の拡大(以下「コロナ禍」という。)に伴う行動制限が緩和されたことにより、経済活動の正常化に向けた動きが見受けられる一方、新たな変異株による感染急拡大の懸念や、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化の影響等による世界的な物価上昇とその対応として米国をはじめとした金融引き締めにより、世界経済が減速する見通しであることも重なり、依然として先行き不透明な状況が継続しております。

当社が主にサービスを提供しているインターネット広告市場においては、コロナ禍の影響を受けつつも、日本社会におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)が加速したこともあり、順調に拡大を続けております。

また、ブロックチェーンをはじめとする新たな技術を通じてインターネットサービスや社会にもたらされる変革を指した概念であるWeb3の到来により、インターネットを取り巻く環境は大きな変革期に突入しており、そのなかでもブロックチェーン技術/NFTビジネスは引き続き注目を集めております。

このような環境の下、当事業年度における当社では、前事業年度には収益確保のために投資を抑制していた広告事業において、事業拡大に向けた追加開発や人員拡充等の投資を再開いたしました。投資により、営業体制や運用体制が強化されたことから取引先からの受注が拡大につながったこともあり、広告事業は堅調に推移し、第2四半期会計期間以降の各四半期会計期間において継続的な営業利益が計上されました。

また、IoTヘルスケア事業では、資本業務提携関係にある分子診断技術を用いた新型コロナウイルス等の迅速診断法の早期実用化を目指している医療機器スタートアップのAscellaBiosystems,Inc.(本社:米国カリフォルニア州CEO:DeepakBoggavarapu、以下「Ascella社」という。)との取り組みに向けた協議を進めておりました。

Ascella社では引き続き迅速診断方法の実用化に向け、昨今のCOVID-19の度重なる変異株の発生や、サル痘をはじめとした感染症の拡大等に対応するため改良を重ねておりますが、当初の計画や次の成長フェーズに対する資金調達に遅れが生じていることから、当社の保有する債権としての性質を有するコンバーチブルノートについて、貸倒引当金繰入額を特別損失に計上いたしました。

なお、本取り組みについては、新型コロナウイルス感染症の収束後においても、COVID-19の変異株を含め様々な感染症に対して対応可能であり、安価かつ短時間で結果を確認できるため、様々な利用状況での需要を見込んでおり、今回の特別損失計上後も本取り組みの実現に向けて協議を進めてまいります。

以上の結果、当事業年度の業績は、売上高2,671,554千円(前年同期比0.6%増)、営業利益13,196千円(前年同期比425.6%増)、経常利益10,274千円(前年同期比75.3%減)、特別損失として貸倒引当金繰入額を計上したこと等により当期純損失100,629千円(前年同期は74,621千円の当期純利益)となりました。

 

各セグメントの業績は次のとおりであります。

 

(広告事業)

広告事業の売上高は2,658,495千円(前年同期比0.9%増)、セグメント利益は142,150千円(前年同期比3.4%増)となりました。

運用代行サービス「トレーディングデスク」は、当社における経営管理体制強化の一環として売掛債権管理を見直し、既存取引先との取引内容が一部変化したことで売上が減少した一方、アドネットワーク「ADroute」は、システム開発投資により収益が改善したほか、電子書籍領域での取引拡大もあったことで好調に推移しました。また、前期からのシステム等の受託開発、運営保守が継続したことで、広告事業としては過去最高の売上高を計上しました。

なお、当事業年度より、上述した広告配信プラットフォームの開発、運用サポート業務の受託等も含めた今後の事業展開を踏まえ合理的な区分の検討を行った結果、システム等の受託開発、運用保守等の報告セグメントを、その他事業から広告事業に変更しております。

 

(その他事業)

その他事業の売上高は13,059千円(前年同期比38.7%減)、セグメント損失は15,140千円(前年同期は30,718千円のセグメント損失)となりました。

その他事業には、ブロックチェーンゲーム配信等及びIoTソリューションの企画・開発・販売・運用等が含まれております。

ブロックチェーンゲーム関連では、株式会社オルトプラスの子会社である株式会社OneSportsと企画開発している国内初NFTを活用したJリーグオフィシャルライセンスゲーム「Jリーグ トレーディングサッカー(略称:トレサカ Jリーグ)」について、Free to Play and Earnのブロックチェーンゲームとしての提供を予定しており、フォーカスグループテストを踏まえて、リリースに向けた改善を図ってまいりました。

クローズドβテスト完了後に、一般ユーザーを対象としたオープンβ版を本年内にリリースすることを予定しております。

なお、本ゲームは株式会社OneSportsが公益社団法人日本プロサッカーリーグより商品化ライセンス許諾を受け商品企画しております。

 

② 財政状態の状況

(資産の部)

当事業年度末における資産合計は、前事業年度末に比べ150,932千円減少し、1,560,513千円となりました。流動資産は、前事業年度末に比べ44,576千円減少し、1,476,025千円となりました。これは、主に現金及び預金が101,496千円増加したものの、売掛金が128,022千円、流動資産のその他が16,607千円減少したこと等によるものであります。

固定資産は、前事業年度末に比べ106,356千円減少し、84,487千円となりました。これは、主に長期貸付金が46,850千円増加したものの、貸倒引当金が106,130千円増加、投資有価証券が42,877千円減少したこと等によるものであります。

 

(負債の部)

当事業年度末における負債合計は、前事業年度末に比べ394,192千円減少し、625,383千円となりました。これは、主に買掛金が70,656千円、転換社債型新株予約権付社債が334,356千円減少したこと等によるものであります。

 

(純資産の部)

当事業年度末における純資産合計は、前事業年度末に比べ243,259千円増加し、935,130千円となりました。これは、主に当期純損失100,629千円を計上したものの、転換社債型新株予約権付社債の転換により資本金及び資本準備金がそれぞれ167,178千円増加したこと等によるものであります。なお、2022年2月の欠損填補を目的とした減資により、資本金が442,818千円減少し、資本剰余金が248,151千円、利益剰余金が194,667千円増加しております。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当事業年度末における現金及び現金同等物は、前事業年度末に比べて101,496千円増加し、1,240,097千円となりました。

当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは93,535千円の増加となりました。これは、主に税引前当期純損失95,855千円の計上、仕入債務の減少70,656千円等があったものの、売上債権の減少128,022千円、暗号資産の減少8,785千円、貸倒引当金繰入額109,280千円、暗号資産評価損5,259千円の計上等があったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは7,461千円の増加となりました。これは、主に長期貸付金の回収による収入3.150千円、出資金の分配による収入4,311千円等があったことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは500千円の増加となりました。これは、新株予約権の発行による収入500千円があったことによるものであります。

 

 

④ 生産、受注及び販売の実績

ア.生産実績

該当事項はありません。

 

イ.受注実績

当社は、受注から納品までの期間が短期間のため記載を省略しております。

 

ウ.販売実績

当事業年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

広告事業

2,658,495

0.9

その他

13,059

△38.7

合計

2,671,554

0.6

 

(注)当事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

相手先

前事業年度
(自 2020年10月1日
 至 2021年9月30日)

当事業年度
(自 2021年10月1日
 至 2022年9月30日)

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

IBGメディア株式会社

703,705

26.5

512,834

19.2

合同会社DMM.com

405,470

15.2

株式会社グローバルネット

445,684

16.8

325,727

12.2

 

1.主な相手先別の販売実績のうち、当該販売実績の総販売実績に対する割合が10%未満の相手先につきましては記載を省略しております。

2.前事業年度の合同会社DMM.comに対する販売実績は、当該販売実績の総販売実績に対する割合が10%未満であるため記載を省略しております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

文中の将来に関する事項は、本報告書提出日において当社が判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

(財政状態)

当事業年度末における資産合計は、前事業年度末に比べ150,932千円減少し、1,560,513千円となりました。流動資産は、前事業年度末に比べ44,576千円減少し、1,476,025千円となりました。これは、主に現金及び預金が増加したものの、売掛金や流動資産のその他が減少したこと等によるものであります。

固定資産は、前事業年度末に比べ106,356千円減少し、84,487千円となりました。これは、主に長期貸付金が増加したものの、貸倒引当金の増加及び投資有価証券が減少したこと等によるものであります。

負債合計は、前事業年度末に比べ394,192千円減少し、625,383千円となりました。これは、主に買掛金の減少、転換社債型新株予約権付社債の当社普通株式への転換による減少等によるものであります。

純資産合計は、前事業年度末に比べ243,259千円増加し、935,130千円となりました。これは、主に当期純損失を計上したものの、転換社債型新株予約権付社債の転換により資本金及び資本準備金が増加したこと等によるものであります。

 

 

(売上高)

当事業年度の売上高は2,671,554千円(前年同期比0.6%増)となりました。広告事業のアドネットワーク「ADroute」がシステム開発投資により収益が改善したほか、電子書籍領域での取引が拡大したこと、運用代行サービス「トレーディングデスク」がEC関連サービス等の広告需要を取り込み堅調に推移をしたこと、システム等の受託開発、運用保守が前期から継続して受注をしていることなどにより、前年同期比で増収となりました。

 

(営業利益)

当事業年度の営業損益は13,196千円の営業利益(前年同期比425.6%増)となりました。増収による売上総利益の増加と販売費及び一般管理費は固定費の抑制等による費用減少により、営業利益は増益となりました。

 

(営業外損益及び経常利益)

当事業年度の経常損益は10,274千円の経常利益(前年同期比75.3%減)となりました。受取利息や投資事業組合運用益等を営業外収益として計上したものの、新株発行にかかる費用や保有する暗号資産などにかかる暗号資産評価損を営業外費用として計上したこと等により、経常利益は減益となりました。

 

(当期純利益)

当事業年度の当期純損益は100,629千円の当期純損失(前年同期は74,621千円の当期純利益)となりました。長期貸付金の回収により貸倒引当金戻入額を特別利益に計上したものの、投資先の債権としての性質を有するコンバーチブルノートに対して、投資先の当初計画や次の成長フェーズに対する資金調達に遅れが生じていることから貸倒引当金繰入額を特別損失に計上したこと等により、当期純損失を計上しております。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当事業年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、上記「(1) 経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。

当社の運転資金需要のうち主なものは、広告出稿に伴う媒体費用のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用であり、運転資金は自己資金及び転換社債型新株予約権付社債の発行や新株予約権の行使により調達した資金を基にしております。

資金調達につきましては、2021年4月に第三者割当により転換社債型新株予約権付社債及び新株予約権を発行したこと、その後これらの行使が行われたことにより資金を調達しており、想定される資金需要に十分に対応できる資金を確保しております。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載のとおりであります。この財務諸表の作成にあたりまして、見積りが必要となる事項については、過去の実績や状況に応じ合理的と考えられる様々な要因に関して情報収集を行い、見積り金額を計算しておりますが、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。

また、財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

④ 経営成績に重要な影響を与える要因について

「第2 事業の状況 2事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

⑤ 経営者の問題認識と今後の方針について

「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。

 

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