業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。

 なお、当連結会計年度より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用する会計方針の変更を行っており、遡及処理後の数値で比較分析を行っています。

 

①経営成績の状況

 当連結会計年度における我が国経済は、持ち直しの動きが続いているものの、新型コロナウイルス感染症の影響による厳しい状況が残る中で、一部に弱さが見られます。

 電子書籍の市場規模は、「インプレス総合研究所『電子書籍ビジネス調査報告書2021』」によると、2020年度は4,821億円と推計されています。

 電子書籍の市場環境は、前連結会計年度の前半は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、外出自粛による巣ごもり消費の影響等によって需要が増加しましたが、後半以降は、感染拡大の長期化による社会情勢が、ユーザーの購買行動に影響を及ぼしています。また、海賊版サイトの不正利用も急増し、市場全体に深刻な影響を与えています。

 市場参入企業も多く、厳しい競争が続いているため、コンテンツ需要の増加により、出版社等のコンテンツホルダーからの仕入コストが上昇し、集客を強化するための、広告宣伝や販促コストも拡大傾向となっています。

 このような環境の中で、当社グループは、顧客第一主義の基本理念に基づく、サービスの向上施策及び他社との差別化を図るためのブランド戦略施策を実施しました。

 サービス向上施策は、レンタル販売方式の拡充を進めました。

 ブランド戦略施策は、中長期的な事業拡大を目的とした広告宣伝を、先行投資として、積極的に行っています。

 また、ユーザーへの還元を目的とした販売促進施策も積極的に行いました。

 さらに、将来、市場が拡大すると予測される英語圏や中国語圏を中心とした海外事業への投資強化及び次世代コンテンツの開発強化を図りました。

 この結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高は20,700百万円(前年同期比12.7%減)、営業利益は957百万円(前年同期比57.0%減)、経常利益は1,208百万円(前年同期比47.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は751百万円(前年同期比51.3%減)となりました。

 当社グループの事業は、電子書籍事業のみであり、重要な事業拠点も当社のみとなっているため、報告セグメントはありません。

 以下、当連結会計年度における主な事業活動を報告します。

 

(集客施策)

 「Renta!」の認知度向上のため、TVCM、動画、インターネット広告等の広告施策を積極的に実施しています。全国放送のTVCMの内容を刷新し、また、「恋はDeepに」等のTVドラマ放送との番組連動CMを実施しました。

 動画では、VTuber/バーチャルライバーグループとのライブ配信イベントを業界で初めて実現しました。海外ユーザーもターゲットにした世界同時配信による著名作家とのオンラインイベントを実施し、ブランドの向上に努めました。

 また、ポイントによる販促キャンペーン企画も積極的に行い、ユーザーの獲得を目指しました。

 

(サイト改良施策)

 「Renta!」のレンタル価格が、配信日からの期間に応じて、「新作レンタル」⇒「準新作レンタル」⇒「レンタル」と変動する新サービスを業界で初めて導入しました。

 また、検索時において、「みんなの感想」、「詳細ジャンル」、「属性ジャンル」、「読み方」、「人気キーワード」等をカスタマイズして探すことができる、こだわり機能を導入し、ユーザビリティの向上を目指しました。

 

(オリジナルコンテンツ施策)

 自社オリジナルのコミックレーベル「Rentaコミックス」の作品として、TVドラマ「恋はDeepに」のドラマと異なる視点で描いたコミカライズ版の先行配信及びTVドラマ「あのときキスしておけば」のコミカライズ版の先行配信を実施しました。

 また、新しく自社オリジナルのライトノベルレーベル「Rentaノベルス」を開始しました。

 さらに、「Rentaコミックス」のオリジナルマンガレーベル「COMICスピア」よりリリースする作品の、コミカライズ原作コンテストを、「小説家になろう」と共同で実施しています。

 

(次世代コンテンツ施策)

 タテ読みフルカラーコミック「タテコミ」の拡充を進めています。コミックのカラー化の制作時間とコストを削減するため、ピクシブ株式会社と株式会社Preferred Networksの共同開発に協力し、AIによる線画自動着色サービスの試験導入を実施しました。

 また、マンガにモーションと音声を付加し、スマートフォンでの視聴に最適のタテ型アニメーション形式の動画コンテンツ「アニコミ」について、声優事務所とのコラボレーションによる新シリーズの配信を開始しました。

 

(海外展開施策)

 海外直営販売サイトの「英語版Renta!」、「中国語繁体字版Renta!」の売上拡大を目指して、集客、サイト改良、コンテンツの拡充を進めています。コンテンツについては、翻訳クオリティ担保と制作工数削減を目指して、AIの試験導入を開始し、翻訳強化を図りました。

 また、海外取次会社AAG(アルド・エージェンシー・グローバル株式会社)を通して、直営以外の海外販売サイトにも販路を拡大し、英語圏や中国語繁体字圏での販売を開始しました。

 

②財政状態の状況

(資産)

 当連結会計年度末における流動資産は12,846百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,438百万円減少しました。これは主に、現金及び預金が1,057百万円、売掛金が435百万円減少したことによるものです。

 固定資産は984百万円となり、前連結会計年度末に比べ78百万円増加しました。これは主に、繰延税金資産が45百万円増加したことによるものです。

 この結果、資産合計は13,830百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,360百万円減少しました。

 

(負債)

 当連結会計年度末における流動負債は5,057百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,077百万円減少しました。これは主に、買掛金が312百万円、未払金が293百万円、未払法人税等が494百万円減少したことによるものです。

 固定負債は1百万円となり、前連結会計年度末に比べ1百万円増加しました。

 この結果、負債合計は5,058百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,076百万円減少しました。

 

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産合計は8,771百万円となり、前連結会計年度末に比べ283百万円減少しました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益751百万円の獲得、自己株式1,080百万円の取得によるものです。

 この結果、自己資本比率は62.9%(前連結会計年度末は59.2%)となりました。

 

③キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、税金等調整前当期純利益1,208百万円(前年同期比47.2%減)を獲得したものの、法人税等の支払、自己株式の取得による支出等の要因により、前連結会計年度末に比べ1,704百万円減少し、当連結会計年度末には9,336百万円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果使用した資金は101百万円(前年同期は2,431百万円の獲得)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益1,208百万円、売上債権の減少額441百万円、仕入債務の減少額313百万円、未払金の減少額296百万円、法人税等の支払額978百万円等によるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は541百万円(前年同期比875.4%増)となりました。これは主に、定期預金の預入による支出1,404百万円、定期預金の払戻による収入885百万円等によるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は1,183百万円(前年同期比548.6%増)となりました。これは主に、自己株式の取得による支出1,080百万円、配当金の支払額101百万円等によるものです。

 

④生産、受注及び販売の実績

a.仕入実績

 当社グループでは、実際に利用された電子書籍の利用価格及び販売数に応じて、出版社又は著者等に対し、一定割合の著作権料の支払いが発生します。当該著作権料が仕入に当たります。

 当連結会計年度における仕入実績は、次のとおりです。

 

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

 至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

著作権料(百万円)

9,596

89.9

 

b.販売実績

 当連結会計年度の電子書籍事業の形態別販売実績は、次のとおりです。

 

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

 至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

① 電子書籍販売(百万円)

20,468

87.0

② その他(百万円)

232

133.1

合計(百万円)

20,700

87.3

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

 

①経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループの当連結会計年度の経営成績は、売上高は20,700百万円(前年同期比12.7%減)、売上原価は10,615百万円(前年同期比8.1%減)、売上総利益は10,085百万円(前年同期比17.1%減)、販売費及び一般管理費は9,128百万円(前年同期比8.1%減)、営業利益は957百万円(前年同期比57.0%減)、営業外収益は253百万円(前年同期比261.8%増)、営業外費用は2百万円(前年同期比74.9%減)、経常利益は1,208百万円(前年同期比47.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は751百万円(前年同期比51.3%減)となりました。

 

 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、売上高と売上原価及び広告宣伝費があります。

 売上高は、前連結会計年度に比べて減収となっています。これは、前連結会計年度は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、外出自粛による巣ごもり消費の影響等によって需要が増加しましたが、当連結会計年度は、感染拡大の長期化による社会情勢が、ユーザーの購買行動に影響を及ぼしたことによります。また、海賊版サイトの不正利用も急増し、市場全体に深刻な影響を与えています。

 売上原価は、前連結会計年度に比べて発生金額が減少しています。これは、売上高の減少に伴う著作権利用料の減少によるものです。

 広告宣伝費は、前連結会計年度に比べて発生金額が減少しています。これは、「Renta!」ブランドの認知度の向上とユーザー層の拡大を図るため、一般層に向けてTVCM等のマス広告を継続的に実施していますが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の長期化がユーザーの購買行動に与える影響を勘案し、第3四半期連結会計期間から、広告施策を抑制していることによるものです。

 

 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、国内及び海外での電子書籍販売売上高を、達成状況を判断するための指標としています。

 売上高は、当連結会計年度の事業計画に比べて14.5%の不利差異となっています。

 

②財政状態の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループの当連結会計年度末における財政状態は、流動資産は12,846百万円(前連結会計年度末比10.1%減)、固定資産は984百万円(前連結会計年度末比8.6%増)、資産合計は13,830百万円(前連結会計年度末比9.0%減)、流動負債は5,057百万円(前連結会計年度末比17.6%減)、固定負債は1百万円(前連結会計年度末比273.6%増)、負債合計は5,058百万円(前連結会計年度末比17.5%減)、純資産合計は8,771百万円(前連結会計年度末比3.1%減)、自己資本比率は62.9%(前連結会計年度末は59.2%)となりました。

 

 当社グループは、運転資金及び設備資金について、内部資金を充当しています。現在の事業規模に比して十分な事業運営資金を有しています。

 

③キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容

 当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローについては、税金等調整前当期純利益の獲得、売上債権の減少、仕入債務の減少、未払金の減少、法人税等の支払等により101百万円の使用(前年同期は2,431百万円の獲得)となっています。

 投資活動によるキャッシュ・フローについては、定期預金の預入による支出、定期預金の払戻による収入等により541百万円の使用(前年同期比875.4%増)となっています。

 財務活動によるキャッシュ・フローについては、自己株式の取得による支出、配当金の支払等により1,183百万円の使用(前年同期比548.6%増)となっています。

 

④資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、著作権料、コンテンツ制作費用及び広告宣伝費用です。投資を目的とした資金需要は、重要なものはありません。

 当社グループの資本の財源は、ほぼ利益剰余金となっています。

 資金の流動性については、当社グループは、重要な設備等を必要としていないため、総資産の構成は、大部分が流動資産であり、また、流動資産の大部分が現金及び預金となっています。

 

⑤重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されています。

 会計方針は、当社グループの財政状態及び経営成績を正しく示すことができると判断したものを選択及び適用しています。

 会計上の見積りを行うに際して使用した重要な仮定は、時価による測定を含め、合理的であると判断しています。

 なお、当社グループが選択及び適用した会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項) 4.会計方針に関する事項」に記載しています。

 

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