3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況
当連結会計年度における世界経済は、米国や中国といった一部の国々においては回復傾向となったものの、新型コロナウイルスの変異株が急激な拡がりを見せており、ワクチン接種が進んでいる欧米諸国においても感染が拡大傾向にあることから、依然として収束見通しは立たず、経済へ及ぼす影響も不透明な状況が続きました。わが国経済においては、新型コロナウイルス感染症の拡大に対して断続的に緊急事態宣言や、まん延防止等重点措置が発令され、行動制限や営業自粛など、景気の回復に予断を許さない状況が続きました。
このような状況の中、地域により多少状況は異なったものの、当社グループ全体では事業に大きな影響を受けずに、引き続きPCオンライン事業及びモバイル事業を展開し、ユーザーの皆様に楽しんでいただける高品質なゲームの開発、コンテンツの獲得、新規ゲームタイトルの配信に努めるとともに、既存ゲームタイトルのアップデートを推し進めてまいりました。具体的には、(ⅰ)大規模マルチプレイヤーオンラインゲームへの注力、(ⅱ)PC、コンソール及びモバイル等、あらゆるプラットフォームでのサービス提供、(ⅲ)自社IPの活用、(ⅳ)特別に価値のある新規IPへの投資、を集中戦略として設定し、グローバル事業の成長に取り組んでまいりました。
上記の結果、当連結会計年度の売上収益は274,462百万円(前期比6.3%減)、営業利益は91,541百万円(同17.9%減)、税引前当期利益は135,472百万円(同25.2%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は114,888百万円(同104.4%増)となりました。
報告セグメントの業績は、次のとおりであります。
当連結会計年度の売上収益は5,042百万円(前期比16.8%増)、セグメント損失は11,939百万円(前期は4,338百万円の損失)となりました。
当連結会計年度の売上収益は250,127百万円(前期比6.2%減)、セグメント利益は109,191百万円(同13.9%減)となりました。韓国セグメントの売上収益には、連結子会社であるNEXON Korea Corporationの傘下にあるNEOPLE INC.の中国におけるライセンス供与に係るロイヤリティ収益が含まれます。
当連結会計年度の売上収益は3,150百万円(前期比3.0%増)、セグメント利益は1,680百万円(同11.2%減)となりました。
当連結会計年度の売上収益は14,904百万円(前期比11.9%減)、セグメント損失は175百万円(前期は1,263百万円の損失)となりました。
当連結会計年度の売上収益は1,239百万円(前期比37.0%減)、セグメント損失は4,902百万円(前期は2,821百万円の損失)となりました。
② 財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末の総資産は986,632百万円であり、前連結会計年度末に比べて124,471百万円増加しております。主な増加要因は、現金及び現金同等物の増加(前期末比112,669百万円増)、持分法で会計処理している投資の増加(同53,738百万円増)及びその他の金融資産の増加(同36,765百万円増)によるものであり、主な減少要因は、その他の預金の減少(同103,443百万円減)によるものであります。
(負債)
当連結会計年度末の負債合計は140,739百万円であり、前連結会計年度末に比べて977百万円減少しております。主な増加要因は、繰延税金負債の増加(前期末比2,847百万円増)によるものであり、主な減少要因は、借入金の減少(同2,094百万円減)及び仕入債務及びその他の債務の減少(同1,314百万円減)によるものであります。
(資本)
当連結会計年度末における資本の残高は845,893百万円であり、前連結会計年度末に比べて125,448百万円増加しております。主な増加要因は、親会社の所有者に帰属する当期利益の計上等に伴う利益剰余金の増加(前期末比112,761百万円増)によるものであります。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ112,669百万円増加し、365,239百万円となりました。当該増加には資金に係る為替変動による影響9,724百万円が含まれております。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は105,914百万円(前期は137,603百万円の収入)となりました。主な増加要因は、税引前当期利益135,472百万円によるものであり、主な減少要因は、法人所得税の支払額37,589百万円によるものであります。
前期と比べて、為替の影響により税引前当期利益が増加した一方で、法人所得税の支払額が増加し、仕入債務及びその他の債務も減少したため、営業活動による収入が減少いたしました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果得られた資金は18,084百万円(前期は140,234百万円の支出)となりました。主な収入要因は、定期預金の純減少額110,550百万円によるものであり、主な支出要因は、持分法で会計処理されている投資の取得による支出52,637百万円及び連結子会社である投資ファンドを通じた有価証券の取得による支出37,167百万円によるものであります。
前期と比べて、定期預金の引出しが増加したことにより、投資活動による収入が増加いたしました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は21,053百万円(前期は2,626百万円の支出)となりました。主な支出要因は、自己株式の取得による支出16,034百万円によるものであります。
前期と比べて、自己株式の取得による支出が増加したため、財務活動による支出が増加いたしました。
④ 生産、受注及び販売の状況
当連結会計年度における報告セグメントごとの情報を記載しております。
当社グループの生産実績は、金額的重要性が乏しいため、記載を省略しております。
当社グループは、受注活動は行っていないため、該当事項はありません。
当連結会計年度の販売実績を報告セグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
2021年12月期における当社グループの売上収益は 274,462百万円 (前期比 6.3%減 )、営業利益は91,541百万円(同17.9%減)、税引前当期利益は135,472百万円(同25.2%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は114,888百万円(同104.4%増)となりました。
イ. 売上収益の分析
2021年12月期における売上収益は274,462百万円となり、前期比で6.3%減少いたしました。
当連結会計年度においては、過去最高の売上収益を達成した前連結会計年度との比較により、売上収益が前期比で減少しました。
韓国においては、『FIFA ONLINE 4』や『アラド戦記』(Dungeon&Fighter)が過去最高の売上収益を更新し、『サドンアタック』(Sudden Attack)が前期比で2倍以上に成長したものの、『メイプルストーリー』(MapleStory)が前期比で減収となったことから、PCオンラインゲームの売上収益は前期比で横ばいとなりました。『メイプルストーリー』(MapleStory)については、2月後半に確率型アイテムの獲得率等の開示の不透明さやコミュニケーション不足に関する指摘をユーザーから受けて以降、ユーザーとの信頼関係の回復に向けて、短期的な売上獲得よりも、ユーザーエンゲージメントの向上に注力してまいりました。その結果、売上収益は前期比で減少したものの、ユーザーの満足度を示すネットプロモータースコアは第2四半期連結会計期間以降、継続的に改善してきました。モバイルゲームは、『風の王国:Yeon』 (The Kingdom of the Winds: Yeon)、『KartRider Rush+』及び『V4』などの新作による増収寄与により、過去最高の売上収益を記録した前連結会計年度との比較で、売上収益が減少しました。これらの結果、韓国全体では、売上収益が前期比で減少しました。
中国においては、主力PCオンラインゲーム『アラド戦記』(Dungeon&Fighter)の減収により、売上収益が前期比で減少しました。『アラド戦記』(Dungeon&Fighter)については、長期的な成長に向けてユーザーエンゲージメントの改善に注力し、6月の13周年アップデートや7月の夏季アップデートに加えて、8月に就任した新統括ディレクターの下で行われた新たな取り組みなど、いずれもユーザーから好評を得られました。ユーザーエンゲージメントの改善は着実に進んだ一方で、アクティブユーザー数及び課金ユーザー数は、改善途上にあり前期比で低い水準にあることから、売上収益は減少しました。
日本においては、『メイプルストーリー』(MapleStory)の成長や、『ブルーアーカイブ』(BlueArchive)及び『FIFA MOBILE』の増収寄与があったものの、『TRAHA』や『メイプルストーリーM』(MapleStory M)の減収により、売上収益が前期比で横ばいとなりました。
北米及び欧州においては、主に『メイプルストーリー』(Maplestory)及び『メイプルストーリーM』(MapleStory M)が成長したものの、『Choices: Stories You Play』の減収により、売上収益が前期比で減少しました。
その他の地域においては、主に『メイプルストーリー』(Maplestory)及び『メイプルストーリーM』(MapleStory M)が成長したものの、『KartRider Rush+』及び『V4』の減収により、売上収益は前期比でおよそ横ばいとなりました。
ロ. 売上原価の分析
売上原価は72,121百万円(前期比4.5%増)となりました。これは主に、韓国における新報酬制度の導入や従業員数の増加による人件費の増加によるものです。
ハ. 販売費及び一般管理費の分析
販売費及び一般管理費は108,490百万円(前期比4.6%増)となりました。これは主に、モバイルゲームに係るプラットフォーム手数料や広告宣伝費が減少したものの、韓国における新報酬制度の導入、従業員数の増加及びストック・オプション費用の増加により、人件費及び研究開発費が増加したことによるものです。
二. その他の収益(費用)の分析
その他の収益は805百万円(前期比55.2%減)となりました。これは主に、子会社清算益及び使用権資産に係る減損損失戻入益を計上した前期との比較によるものです。
その他の費用は3,115百万円(同70.8%減)となりました。これは主に、当連結会計年度に計上した子会社の無形資産に係る減損損失が前連結会計年度に計上した子会社ののれん及び無形資産に係る減損損失を下回ったことによるものです。
ホ. 金融収益(費用)の分析
金融収益は47,874百万円(前期比219.1%増)、金融費用は1,355百万円(同92.9%減)となりました。これは主に、外貨建ての現金預金等について為替差益が発生した結果、前期比で金融費用は減少し、金融収益は増加したことによるものです。
へ. 持分法による投資損益の分析
持分法による投資損失は999百万円(前期は765百万円の利益)となりました。これは持分法適用会社の業績の変動によるものです。
ト. 法人所得税費用の分析
法人所得税費用は22,406百万円(前期比57.5%減)となりました。これは主に、在外子会社の未分配利益に係る繰延税金負債を追加認識し、法人所得税費用が大幅に増加した前連結会計年度との比較となったことに加え、当連結会計年度において在外子会社の繰越外国税額控除に係る繰延税金資産を追加認識したことにより、法人所得税費用が減少したことによるものです。
② 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
③ 財政状態の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度における財政状態の状況に関する認識及び分析・検討内容につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の状況」に記載のとおりであります。
④ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
イ. キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況の分析・検討内容につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
ロ. 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループにおける中長期的な事業拡大と企業価値向上のために必要な資金需要の主なものは、外注費、人件費等の原価、販売費及び一般管理費、研究開発費等の営業費用であり、投資を目的とした資金需要は設備投資等によるものであります。これらの運転資金及び設備投資資金については、自己資金を充当しておりますが、必要とされる資金水準を満たす十分な流動性を保持していると考えております。
⑤ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」第93条の規定により、IFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 4 重要な会計上の見積り及び判断」に記載しております。
⑥ 経営者の問題認識と今後の方針について
「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3) 経営環境及び(4) 中長期的な会社の経営戦略及び対処すべき課題」に記載のとおりであります。
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