業績

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要ならびに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

また、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1) 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。会計方針の選択・適用、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の相対的な開示には、経営者が過去の実績等を勘案し、実態に即した合理的な見積り・判断をしております。

特に、当社グループの主要資産であるソフトウエアに関しては、管理系のものを除き、急速なインターネット業界の成長を勘案して、償却年数を2年(有税償却)としております。

なお、新型コロナウイルスの影響の仮定に関する情報は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。

 

(2) 経営成績

    (業績等の概要)

 化粧品業界におきましては、新型コロナウイルスの影響により消費者の購買意欲の低下や、外出自粛による化粧をする機会の減少、インバウンド需要の蒸発などにより、依然として景況感が厳しい状況にあります。各化粧品メーカーはこの状況を受け、広告媒体のデジタルシフト、EC販売の強化などDX※1を推進していく傾向が強く、これによりプラットフォームとしてメディア・EC・店舗を一体化したサービスを提供する当社グループが享受できる事業成長の機会は、増加するものと見込んでおります。

 

 当社グループは、Global事業や新型コロナウイルスの影響による国内各種事業の業績悪化から再度成長軌道に乗せるため、当連結会計年度においては不採算事業の整理・撤退並びに収益部門の強化に注力いたしました。

 

 当連結会計年度における業績は以下の通りです。

 売上高におきましては、首都圏を中心に約5ヵ月間に及び布告された緊急事態宣言・まん延防止等重点措置といった行政による行動制限の影響があったものの、2022年3月以降における著しい人流の戻りや化粧品需要の回復を受けて店舗が増収したことに加え、Beauty Service事業におけるECのスペシャルイベントである「@cosme BEAUTY DAY(アットコスメビューティーデー)」の売上拡大を含むECの成長と、On Platform事業の広告・ソリューションの増収等が寄与し、過去最高の売上高を記録いたしました。

 営業利益におきましては、賞与引当金繰入の増加や、On Platform事業におけるソフトウエア償却費の増加等、販売費及び一般管理費が増加したものの、増収に伴う売上総利益の増加により前年同期比で改善しての着地となりました。

 その他、2021年8月に子会社化した韓国のGlowdayz,Inc.の株式取得に際して発生しました段階取得に係る差益114百万円を計上し特別利益は208百万円となった一方、海外店舗の収益性の低下に伴う減損等による減損損失211百万円を計上したこと等により特別損失は305百万円となりました。

 以上の結果、当連結会計年度の業績は以下の通りとなりました。


 売上高               34,401百万円(前年同期  30,950百万円 / 前年同期比 11.2%増)
 営業利益                 △453百万円(前年同期   △604百万円)
 経常利益               △593百万円(前年同期   △795百万円)
 税金等調整前当期純利益         △690百万円(前年同期   558百万円)
 親会社株主に帰属する当期純利益      △571百万円(前年同期   379百万円)

 

※1 デジタルトランスフォーメーションの略。企業がビジネス環境の激しい変化に対応しデータとデジタル技術を活用して、

   顧客や社会のニーズを基に製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや組織、プロセス、

   企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。

 

①On Platform事業
 当セグメントには、当社が運営するコスメ・美容の総合サイト「@cosme(アットコスメ)」を基盤とした各種サービス(BtoB、BtoC)が属しております。
 当連結会計年度におきましては、新型コロナウイルスの影響により引き続きクライアントの予算が保守的ではありますが、マーケティングサービス「ブランドオフィシャル」を用いた分析・プロモーション施策・販売まで一貫したマーケティング提案等が功を奏し、前年同期比で増収となりました。

 営業利益におきましては、ソフトウエア償却費、賞与引当金繰入及び「@cosme」のユーザーアクション活性化のための費用の増加により利益率が低下し、前年同期比で減益となりました。なお、ユーザーアクション活性化に向けた施策が奏功し、MAU(月間アクティブユーザー数)、年間クチコミ投稿数及びアプリダウンロード数は、過去最高水準を記録いたしました。

 以上の結果、当連結会計年度の業績は以下の通りとなりました。

 

 売上高               7,317百万円(前年同期 6,981百万円 / 前年同期比  4.8%増)
 営業利益              903百万円(前年同期 1,313百万円 / 前年同期比 31.2%減)

 

  ②Beauty Service事業

当セグメントには、化粧品ECサイト「@cosme SHOPPING(アットコスメショッピング)」の運営、化粧品専門店 「@cosme STORE(アットコスメストア)」や大型旗艦店の運営等、国内における小売業を中心としたサービスが属しております。

 売上高におきまして、ECでは、コロナ禍で加速したECサイトの利用拡大に加えて、「@cosme BEAUTY DAY」にて過去最高の流通総額を記録したことなどにより、前年同期比で18.2%伸長いたしました。店舗では、首都圏中心に約5ヵ月間に及び布告された緊急事態宣言・まん延防止等重点措置といった行政による行動制限の影響があったものの、当該行動制限の解除やワクチン接種の普及等により個人消費の持ち直しの動きが見られ、当社グループの店舗においても来店客数が著しく増加し、前年同期比で21.4%増収いたしました。また、大型旗艦店においても2020年1月のオープン以来、過去最高の売上高を記録しました。その結果、Beauty Service事業全体では、前年同期比19.9%増収いたしました。

 営業利益におきましては、「@cosme BEAUTY DAY」開催に伴うプロモーション費用を2020年開催時と同程度(2020年2.9億円、2021年2.4億円)計上したものの、ECの躍進や店舗の増収により、黒字転換となりました。

 以上の結果、当連結会計年度の業績は以下の通りとなりました。

 
 売上高              21,902百万円(前年同期 18,260百万円 / 前年同期比 19.9%増) 
 営業利益               338百万円(前年同期  △271百万円)
 

 ③Global事業
 当セグメントには、日本国外で展開するEC・卸売、店舗、メディア等のサービスが属しております。
 売上高におきましては、2022年3月下旬から6月上旬まで実行された中国の一部地域におけるロックダウンの影響により、物流の停止や個人消費の冷え込みが発生したため、当社グループのEC・卸売事業は減収となりました。また、香港の店舗を2021年7月から2022年3月にかけて3店舗閉店したこともあり、結果としてGlobal事業全体では、前年同期比8.9%の減収となりました。
 営業利益は、韓国Glowdayz, Inc.の営業損失及びのれん償却費の計上により前年同期比で赤字額が増加したものの、不採算事業からの撤退や規模の縮小による収益性の改善で、韓国事業以外は赤字から黒字へ転換しました。

 以上の結果、当連結会計年度の業績は以下の通りとなりました。


 売上高               4,247百万円(前年同期  4,660百万円 / 前年同期比 8.9%減)
 営業利益              △209百万円(前年同期  △157百万円)
 

  ④その他事業
 当セグメントには、美容部員を派遣する人材派遣事業と、創業間もない企業も含め幅広い成長ステージの企業に投資する投資育成事業が属しております。
 人材派遣事業におきましては、新型コロナウイルスの影響を受け減収となりましたが、黒字を維持しての着地となりました。
 以上の結果、当連結会計年度の業績は以下の通りとなりました。
 
 売上高                 935百万円(前年同期  1,049百万円 / 前年同期比 10.9%減)
 営業利益                 17百万円(前年同期   △18百万円)

 

(3) 生産、受注及び販売の状況

 ① 生産実績

当社グループは生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。

 

 ② 仕入実績

当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

仕入高(百万円)

前年同期比(%)

On Platform事業

1

△51.3

Beauty Service事業

14,735

24.0

Global事業

2,470

△11.9

合計

17,206

17.1

 

(注)

セグメント間取引については相殺消去しております。

 

金額は、仕入価格によっております。

 

 

 ③ 受注実績

当社グループは概ね受注から役務提供までの期間が短いため、受注状況に関する記載を省略しております。

 

 ④ 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

On Platform事業

7,317

4.8

Beauty Service事業

21,902

19.9

Global事業

4,247

△8.9

その他事業

935

△10.9

合計

34,401

11.2

 

(注)

セグメント間取引については相殺消去しております。

 

主な相手先別の販売実績については、該当事項はありません。

 

 

(4)財政状態

 資産、負債及び純資産の状況

 (資産)

当連結会計年度末における資産の額は、前連結会計年度末に比べ67百万円減少し、22,168百万円となりました。

当連結会計年度末における流動資産の額は、前連結会計年度末に比べ497百万円減少し、12,928百万円となりました。これは主に、受取手形、売掛金及び契約資産(前連結会計年度末は受取手形及び売掛金)が447百万円、商品が185百万円、営業投資有価証券が141百万円増加したものの、現金及び預金が1,378百万円減少したこと等によるものであります。

当連結会計年度末における固定資産の額は、前連結会計年度末に比べ430百万円増加し、9,241百万円となりました。これは主に、有形固定資産が565百万円減少したものの、のれんが1,104百万円増加したこと等によるものであります。

 (負債)

当連結会計年度末における負債の額は、前連結会計年度末に比べ611百万円減少し、13,516百万円となりました。

当連結会計年度末における流動負債の額は、前連結会計年度末に比べ5,805百万円増加し、11,686百万円となりました。これは主に、1年内返済予定の長期借入金が5,463百万円増加したこと等によるものであります。

当連結会計年度末における固定負債の額は、前連結会計年度末に比べ6,416百万円減少し、1,829百万円となりました。これは主に、長期借入金が6,428百万円減少したこと等によるものであります。

 (純資産)

  当連結会計年度末における純資産の額は、前連結会計年度末に比べ543百万円増加し、8,652百万円となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純損失の計上等により、利益剰余金が540百万円減少したものの、為替換算調整勘定が713百万円、その他有価証券評価差額金が378百万円増加したこと等によるものであります。

 

(5)キャッシュ・フロー

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末に比べ1,404百万円減少し、5,690百万円となりました。
  当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況と要因は以下の通りであります。 

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)
 当連結会計年度において営業活動の結果得られた資金は、1,276百万円(前年同期は1,553百万円の収入)であります。
 この主な要因は、税金等調整前当期純損失690百万円の計上があったものの、非資金取引である減価償却費1,855百万円の計上等があったことによるものであります。 

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)
  当連結会計年度において投資活動の結果使用された資金は、1,529百万円(前年同期は389百万円の収入)であります。
 この主な要因は、無形固定資産の取得による支出1,156百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出659百万円等があったことによるものであります。 

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)
 当連結会計年度において財務活動の結果使用された資金は、1,354百万円(前年同期は1,557百万円の支出)であります。

  この主な要因は、長期借入金の返済による支出965百万円、リース債務の返済による支出370百万円等があったことによるものであります。

  

 

(参考) キャッシュ・フロー関連指標の推移

 

2018年6月

2019年6月

2020年6月

2021年6月

2022年6月

自己資本比率 (%)

53.0

47.1

21.5

35.5

38.1

時価ベースの自己資本比率 (%)

356.8

220.0

72.5

167.1

73.8

キャッシュ・フロー対有利子
負債比率 (%)

321.1

4,754.4

712.0

768.2

インタレスト・カバレッジ・
レシオ (倍)

158.2

29.1

 

(注)1. いずれも連結ベースの財務数値により計算しています。
  2. 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式総数(自己株式数を除く)により算出しております。
  3. キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しています。
  4. 有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っているすべての負債を対象と
    しております。
  5. 2020年6月期は営業キャッシュ・フローがマイナスであるため、キャッシュ・フロー対有利子負債比率
    (%) を、2020年6月期、2021年6月期、2022年6月期は営業利益がマイナスであるため、インタレスト
    ・カバレッジ・レシオ (倍)を、記載しておりません。

 

  (6)資本の財源及び資金の流動性

当社グループの所要資金は、大きく分けて、ソフトウエア開発、出資・貸付等の投融資資金と経常の運転資金となっております。

これら所要資金のうち、ソフトウエア開発に伴う投資、出資・貸付等の投融資関連については、自己資金及び金融機関からの長期借入により調達しており、投資及び事業資金は確保されていると認識しております。
 資金の流動性については、グループCMSにより国内グループ各社における余剰資金の有効活用に努め、更に金融機関との間で当座貸越契約を締結すること等により、急な資金需要や新型コロナウイルス等の不測の事態にも備えております。今後につきましても、事業の業績拡大期には先行的に運転資金が増大するビジネスであること、事業拡大に伴いソフトウエア投資の増加が見込まれること等を考慮して、充分な流動性を維持していく考えです。なお、2022年9月に一層の事業拡大及び収益力向上のための資金確保を目的に無担保転換社債型新株予約権付社債(第1回、第2回、第3回)及び新株予約権(第24回、第25回)による資金調達を実施しております。(注)

 

(注)2022年8月15日関東財務局長提出 有価証券届出書をご参照ください。

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