当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
なお、当社は前連結会計年度において、決算期を12月31日から6月30日へ変更しており、前連結会計年度は2021年1月1日から2021年6月30日までの6ヶ月間となっております。そのため、前期比較は行っておりません。
当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が和らぎ一部で持ち直しの動きがみられたものの、年度後半にかけては新たなウイルス変異株による感染再拡大、緊迫状態が続くロシア・ウクライナの情勢、原材料価格の高騰や急激な為替レートの変動等により、不透明な状態が継続しました。
当社グループの事業領域であるデジタルマーケティング市場、マーケティングリサーチ市場は、お客様企業によるDX(デジタルトランスフォーメーション)への旺盛な投資を背景に堅調に推移しており、今後も中期的な成長が予想されます。一方で、消費者ニーズ調査の多様化、消費者の購買行動の多様化に合わせたプロモーション手法等の最適化や進化が加速し、競争環境の激化が想定されます。
こうした経営環境のもと、当社グループは持続的な成長の実現のため、中期経営計画「DX Action 2024」の指針である「マーケティングDXパートナー」の実現へ向けた様々な取り組みを通じて、グループのビジネスモデルの進化と各事業における対応領域の拡大を推進しました。
その結果、当連結会計年度における売上高は24,899百万円、営業利益は2,522百万円、経常利益は2,498百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は1,559百万円となりました。
なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等の適用により、売上高が38百万円減少し、売上原価が33百万円減少し、営業利益、経常利益及び税金等調整前当期純利益がそれぞれ4百万円減少しております。詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(会計方針の変更)」をご参照ください。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
当連結会計年度におけるデジタルマーケティング事業は、主に国内のグループ各社が、デジタル領域に軸足を置き、販促支援メディアの運営、プロモーション・マーケティング支援、システムの受託開発及び保守・運用、人材供給等、DX(デジタルトランスフォーメーション)に関わる総合的なITソリューションを提供しております。
2021年1月から連結を開始し、主に販促支援メディア関連領域で事業を展開する株式会社ドゥ・ハウス他1社は、高い収益成長を実現しグループ全体の収益拡大に貢献しました。また、主にプロモーション関連領域で事業を展開する株式会社ディーアンドエム他関連会社は、お客様企業のマーケティング戦略のデジタルシフト化進展に対応し、サービス領域の幅を広げながら受注・売上共に好調に推移しました。また、株式会社クロス・コミュニケーションを中核子会社とするITソリューション領域は、堅実に成長いたしました。
その結果、デジタルマーケティング事業の売上高は10,475百万円(外部顧客に対する売上高は10,083百万円)、セグメント利益(営業利益)は655百万円となりました。
なお、収益認識会計基準等の適用により、売上高は38百万円減少し、セグメント利益(営業利益)は4百万円減少しております。
(データマーケティング事業)
当連結会計年度におけるデータマーケティング事業は、国内外のグループ各社において、マーケティングリサーチにおけるオンライン・オフラインでのデータ収集を中心にサービスを提供しております。株式会社クロス・マーケティングを中心とする国内の事業会社においては、新型コロナウイルス感染症の拡大以降、オンラインサービスの需要は引き続き堅調で、売上高は着実に成長いたしました。また、継続的に実施しているアウトソーシング拠点活用等の生産性向上施策の効果により、収益性が向上しております。海外の事業会社も、コロナ禍からの経済活動の回復に合わせ、主に米国、インド拠点の収益拡大が業績を牽引しました。
その結果、データマーケティング事業の売上高は9,157百万円(外部顧客に対する売上高は8,366百万円)、セグメント利益(営業利益)は2,473百万円となりました。
(インサイト事業)
当連結会計年度におけるインサイト事業は、国内外のグループ各社において、各種マーケティングデータの複合的な分析、消費者インサイトの発掘、レポート作成などを通じ、お客様企業のマーケティング戦略における意思決定への支援を行っております。
株式会社クロス・マーケティングを中心とする国内事業会社では、新型コロナ感染症拡大による定性的リサーチサービスのオンライン化ニーズに迅速に対応するとともに、業務プロセス自動化等の生産性向上施策に取り組み、収益成長を実現いたしました。
また、海外の事業会社についても、一部で新型コロナウイルス感染症の変異株による再拡大の影響がみられるものの、経済活動の回復に伴う需要拡大を捉え、主にインドネシアや英国拠点の売上回復が牽引するとともに、継続的な費用効率化の効果により、収益回復が顕著でした。
その結果、インサイト事業の売上高は6,521百万円(外部顧客に対する売上高は6,449百万円)、セグメント利益(営業利益)は1,268百万円となりました。
当連結会計年度末の財政状態は、資産については、流動資産が10,715百万円(前連結会計年度末比1,159百万円増)となりました。主な項目としては、現金及び預金5,542百万円、売掛金3,203百万円となっております。固定資産は2,418百万円(同198百万円増)となりました。主な項目としては、ソフトウェア498百万円、のれん381百万円、繰延税金資産277百万円となっております。その結果、総資産は13,133百万円(同1,358百万円増)となりました。
負債については、流動負債が5,036百万円(前連結会計年度末比15百万円減)となりました。主な項目としては、買掛金1,325百万円、1年内返済予定の長期借入金703百万円、未払金846百万円となっております。固定負債は1,961百万円(同424百万円減)となりました。主な項目としては、長期借入金1,674百万円となっております。その結果、負債は6,998百万円(同439百万円減)となりました。
純資産は6,136百万円(前連結会計年度末比1,796百万円増)となりました。主な項目としては利益剰余金が4,537百万円となっております。なお、収益認識会計基準等の適用により、利益剰余金の期首残高が15百万円増加しております。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は5,504百万円(前連結会計年度末比364百万円増)となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
当連結会計年度における営業活動の結果増加した資金は、1,951百万円となりました。主な要因は、法人税等の支払額773百万円、棚卸資産の増加額400百万円などの減少要因があった一方で、税金等調整前当期純利益2,318百万円の計上、仕入債務の増加額166百万円の計上、減価償却費196百万円の計上などによる増加要因があったことによります。
当連結会計年度における投資活動の結果減少した資金は、900百万円となりました。主な要因は、投資有価証券の売却による収入1,396百万円などの増加要因があった一方で、投資有価証券の取得による支出1,644百万円、有形・無形固定資産の取得による支出319百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出250百万円などの減少要因があったことによります。
当連結会計年度における財務活動の結果減少した資金は、777百万円となりました。主な要因は、長期借入金の返済による支出903百万円、配当金の支払額163百万円などの減少要因があったことによります。
当社グループでは、販売実績のほとんどが生産実績であることから、記載を省略しております。
当社グループでは、概ね受注から納品までの期間が短く、受注管理を行う必要性が乏しいため記載を省略しております。
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、連結損益計算書の売上高の10%以上を占める相手先がないため、記載を省略しております。
3.決算期変更に伴い、前連結会計年度は6ヶ月決算となっております。そのため、前年同期比については記載しておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、以下のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社は前連結会計年度において決算期変更を実施しており、前連結会計年度は6ヶ月決算となっておりますが、前年同期比等に使用する前期業績については、便宜上、前年同期間(2020年7月~2021年6月)の累計損益及び2021年6月末残高を使用しております。また、前年同期のROE(自己資本当期純利益率)27.2%は、前年同期間累計の親会社株主に帰属する当期純利益(975百万円)を、前年同期間の期首期末単純平均自己資本(3,578百万円)で除した値を使用しております。
当社グループでは、経営に委託された資本を最も効率よく活用すべく、適正資本構成を維持したうえでの収益力を図ることができるROEを、最も重要な経営指標として位置付けております。同時に、当社グループが成長段階であるとの認識に立ち、株主の収益成長期待に応えるため、売上高成長率、営業利益率を重視した事業経営に取り組んでおります。
〔売上高成長率について〕
当連結会計年度の売上高成長率は、30.8%(前年同期は9.0%)となりました。売上高成長率が前年同期比で顕著に上昇した主因は、1)株式会社ドゥ・ハウスの連結効果が通年寄与したこと、2)プロモーションサービス等の既存事業の成長、3)コロナ禍でマイナス影響を受けていたインサイト事業やデータマーケティング事業の復調、等によるものです。
今後、株式会社ドゥ・ハウスの連結効果やコロナ禍からの回復効果は徐々に剥落すると認識しておりますが、一方で株式会社ドゥ・ハウスのサービスと既存事業とのシナジー効果発現に取り組むほか、高い成長が期待できる事業領域においてM&Aを含む成長投資を適切に継続し、連結売上高全体として10%以上の売上高成長率を中期的に確保するための取り組みを実行してまいります。
〔営業利益率について〕
当連結会計年度の営業利益率は10.1%(前年同期は9.6%)となりました。営業利益率が前年同期比で改善した主因は、1)上述の増収効果に加え、継続的に取り組んだサービス提供プロセスの自動化やBPOセンターの活用による原価改善施策等により売上高総利益率が前年同期比1.1%ポイント改善の41.5%となったこと、2)成長領域への積極的な投資等により販管費は前期比で19億円増加したものの売上高の拡大(前期比59億円増)により売上高販管費比率が前年同期比0.5%ポイント低減できたこと、によるものであります。
今後も、提供サービスの高度化に合わせた原価改善の取り組みを推し進めるとともに、売上高販管費比率を適切に保ちながら、営業利益率改善に取り組んでまいります。
〔ROEについて〕
当連結会計年度のROEは、31.9%(前年同期は27.2%)となりました。ROEが前年同期比で上昇した要因は、1)売上高当期純利益率、2)総資産回転率がそれぞれ上昇し、3)財務レバレッジの低下をカバーしたためです。以下、要素項目ごとに説明いたします。
1)売上高当期純利益率(親会社株主に帰属する当期純利益÷売上高)は6.3%となり、前年同期の5.1%から1.2%ポイント上昇しました。これは、上述のとおり営業利益率が上昇したことに加え、特別損益が前期比0.9億円改善したこと、子会社の統合等に伴い法人税等費用が1.0億円抑制されたことなどによるものです。
2)総資産回転率(売上高÷期首期末単純平均総資産)は2.0回となり、前年同期の1.7回から上昇しました。主な要因として、752万人に及ぶパネルネットワークを全事業セグメントにおける各サービスで有効活用する等、当社の事業資産を効率的に活用した売上拡大戦略が奏功したものであります。
3)財務レバレッジ(期末総資産÷期末自己資本)は2.3倍となり前年同期末の2.9倍から低下しました。これは、利益拡大により自己資本が積み上がる中、借入金の一部返済を進めた結果であります。
当連結会計年度末の財政状態は、資産については、流動資産が10,715百万円(前連結会計年度末比1,159百万円増)となりました。主な項目としては、現金及び預金5,542百万円、売掛金3,203百万円となっております。
固定資産は2,418百万円(同198百万円増)となりました。残高の主な項目は、ソフトウェア498百万円、のれん381百万円、繰延税金資産277百万円となっております。その結果、総資産は13,133百万円(同1,358百万円増)となりました。
負債については、流動負債が5,036百万円(同15百万円減)となりました。主な項目としては、買掛金1,325百万円、1年内返済予定の長期借入金703百万円、未払金846百万円となっております。固定負債は1,961百万円(同424百万円減)となりました。主な項目としては、長期借入金1,674百万円となっております。その結果、負債は6,998百万円(同439百万円減)となりました。
純資産は6,136百万円(同1,796百万円増)となりました。主な項目としては利益剰余金が4,537百万円となっております。
なお、収益認識会計基準等の適用により、利益剰余金の期首残高が15百万円増加しております。
当連結会計年度においては、持続的な成長の実現のため、中期経営計画「DX Action 2024」の指針である「マーケティングDXパートナー」の実現へ向けた様々な取り組みを通じて、グループのビジネスモデルの進化と各事業における対応領域の拡大を推進しており、税金等調整前当期純利益を2,318百万円計上いたしましたことから、営業活動によるキャッシュ・フローは1,951百万円の資金の増加となりました。
また、下記「(資本の財源)」に記載のとおり、長期借入金について903百万円の資金を返済しており、財務活動によるキャッシュ・フローは777百万円の資金の減少となりました。
その結果、現金及び現金同等物の期末残高が364百万円増加しております。
2022年度については、現段階の計画において大規模な資本的支出の予定は無く、今後の資金需要については、手元資金で賄うことを基本とし、必要に応じて金融機関からの借入等による資金調達を実施いたします。
その他については、「3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当連結会計年度においては、一時的な資金需要に対応するため、短期借入金1,800百万円を調達いたしましたが、全額返済しております。また、金融機関からの調達環境も安定しており、好条件での調達も実施できているため、資金需要が増加した場合にも機動的に対応出来ると考えております。なお、当連結会計年度においては、長期借入金を903百万円返済しております。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は5,504百万円(前年同期比364百万円増)であり、有利子負債は主に金融機関からの借入金であります。なお、流動比率は212.8%であります。グループ全体として、一定の流動性は確保しており、現時点において懸念される点は無いと認識しております。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、連結会計年度末における資産及び負債、連結会計年度における収益及び費用に影響を及ぼすような仮定や見積りを必要とします。これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、仮定あるいは条件の変化により、実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
当社グループは、繰延税金資産について回収可能性を検討し、当該資産の回収が不確実と考えられる部分に対して評価性引当額を計上しております。回収可能性の判断においては、将来の課税所得見込額と実行可能なタックス・プランニングを考慮して、将来の税金負担額を軽減する効果を有すると考えられる範囲で繰延税金資産を計上しております。
将来の課税所得見込額はその時の業績等により変動するため、課税所得の見積に影響を与える要因が発生した場合は、回収懸念額の見直しを行い繰延税金資産の修正を行うため、当期純損益額が変動する可能性があります。
当社グループは、固定資産の減損の検討にあたり、管理会計上の区分を基礎として資産のグルーピングを行い、収益性が著しく低下した資産グループについて、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。
固定資産の回収可能価額は、将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額等の前提条件に基づき算出しており、将来キャッシュ・フロー等の前提条件に変更があった場合、固定資産の減損を実施し、当社グループの業績を悪化させる可能性があります。
なお、新型コロナウイルス感染症の再拡大や緊迫状態が続くロシア・ウクライナ情勢などは、当社グループの事業活動へ直接的・間接的な影響が想定されますが、事業の継続性を維持するための不要不急の支出の削減やリモートワーク環境の整備状況等、従来の状況から鑑みて、今後の業績への影響は限定的なものであると仮定して、当連結会計年度の連結財務諸表ののれん及びその他の固定資産、並びに繰延税金資産の回収可能性等の会計上の見積りを行っております。
また、現在入手可能な情報に基づいて会計上の見積り・判断を行っておりますが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の状況やロシア・ウクライナ情勢の影響については不確定要素が多いため、その状況によっては今後の当社グループの財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
「第2 事業の状況 2事業等のリスク」に記載のとおりでありますが、今後当社の連結業績に影響を与えるリスクとして特に注視すべき不透明な要因として、新型コロナウイルス感染症の収束時期の見通しのほか、緊迫状態が続くロシア・ウクライナの情勢、原材料価格の高騰や急激な為替レートの変動などが挙げられます。これらの要因が当社の顧客の企業活動に影響をもたらし、顧客企業の新商品・サービス開発投資、マーケティングDX投資、販売促進活動等が想定以上に急激に変更(加速または縮減)された場合、当社の経営成績に重要な影響を与える可能性があるものと認識しております。
「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
お知らせ